イーサリアムクラシックとは?イーサリアムから誕生した背景や違いを紹介
「イーサリアム」から分裂して誕生した仮想通貨が「イーサリアムクラシック」です。
「イーサリアム」と「イーサリアムクラシック」に機能性の違いはありませんが、決定的な違いがあります。
それは「安全性の高さ」です。
「イーサリアム」が分裂するきっかけとなったのは、とあるハッキング事件です。
この事件については後ほど詳しく解説しますが、このハッキング被害が起こった事により安全性を重視した「イーサリアムクラシック」が誕生しました。
こういった理由から、「イーサリアムクラシック」の方が安全性が高い仮想通貨となっています。
「イーサリアムクラシック」は、2017年から徐々に価格が上昇し始め、7月に大きな価格の底上げがなされました。
まだまだこれからの仮想通貨ですが、時価総額ランキングの上位にいることからみても、今後が気になる仮想通貨のひとつです。
それでは、今回はこの「イーサリアムクラシック」について詳しく解説していきます。
目次
イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)とは何か?
まずは、イーサリアムクラシックの基本的な知識から見ていきましょう。
イーサリアムクラシックの基本情報
通貨名:イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)
通貨略号:ETC
公開日: 2016年7月
発行上限枚数 :無限(※理論上制限なし)
ブロック生成間隔:約12秒
システム:Proof of Work(PoW)
取扱取引所(国内):ビットフライヤー、コインチェック、GMOコイン
イーサリアムクラシックの機能性はイーサリアムと同じ
冒頭で述べたように、「イーサリアムクラシック」は「イーサリアム」から分裂した仮想通貨です。
そのため、「イーサリアムクラシック」は、「イーサリアム」最大の特徴であるスマートコントラクト機能を有してます。
スマートコントラクトとは、「取引情報」に加え「契約情報」もブロックチェーン上に記録できる機能です。
イーサリアムを知っておくと理解が深まる
そういった点から、「イーサリアムクラシック」を理解する場合、元となる「イーサリアム」についても知っておくと理解がスムーズです。
この記事だけでも、「イーサリアムクラシック」について知っていただけるように解説していますが、下記ページも併せてご覧いただけると、より理解が深まるかと思います。
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イーサリアムクラシックがイーサリアムから誕生した背景
冒頭で、「イーサリアムクラシック」は、「イーサリアム」から分裂して誕生した仮想通貨とご紹介しました。
ここでは、その経緯「イーサリアムクラシックはどのようにして生まれたのか」を詳しく見ていきたいと思います。
①イーサリアムから受け継いだ機能と高い安全性
「イーサリアムクラシック」の特徴は、「イーサリアム」から受け継いだ「スマートコントラクト」による契約・取引情報を記録する機能と、「安全性」に長けた仮想通貨であるというのが何よりも大きなポイントです。
そんな「イーサリアムクラシック」ですが、なぜ「イーサリアム」から分裂する事になったのでしょうか。
②ザ・ダオ(THE DAO)のハッキング事件
ザ・ダオ(THE DAO)とは、イーサリアムのブロックチェーン上のサイドプロジェクトとして開発されたベンチャー企業への投資サービスです。
そして、2016年6月、このTHE DAOに対するハッキング事件が怒りました。
これは、THE DAOのシステムの脆弱性によるバグを狙い、何者かによるハッキングが成功した結果、360万ETH(※当時のレートで約52億円)に上るイーサリアムが不正取得されました。
③この事態を解決するためにハードウォークを実行
「イーサリアム」の開発側は、この事態を解決するために、緊急措置として「イーサリアム」のハードフォークを行いました。
ハードフォークとは、アップデートの一種で、仮想通貨の場合、旧バージョンの仮想通貨を使用できなくするタイプのアップデートです。
具体的に言うと、
ハードフォーク前の「旧イーサリアム」は、アップデート後、手持ちの「イーサリアム」を「新イーサリアム」にアップデートしなければ仮想通貨として使用できない
というアップデートになります。
④ハードウォークを行った理由
開発者がこの「ハードフォーク」を行った理由は、ハッキングで不正取得された「イーサリアム」を仮想通貨として使用できなくする為です。
この迅速な対応については、ユーザーからも称賛の声が上がり、これまでの「イーサリアム」所持者にも大きな被害が出ずに済んだという事でプラスな結果に終わりました。
しかし実は、この「ハードウォーク」実行前、イーサリアムの開発側で賛成派と反対派に分かれ、かなり揉めたそうです。
そして、反対派の一部は、「ハードウォーク」実行後も強く反発していました。
⑤ハードウォーク反対派の主張
ハードウォーク反対派の主張は、
「イーサリアム」は、ブロックチェーンシステムによって「中央管理者」が存在しないという点を特長としている。
だが今回のケースは、特定の人物(中央管理者がいないはずなのに)により、「イーサリアム」のルール変更が行われたという事になり、その根本的な在り方を曲げてしまっている
ということでした。
この結果として、危惧されたのが
今後、開発側(特定の人物)が「イーサリアム」の利益のために、勝手にシステムルールを変更する可能性があるのでは?
といった疑念が生まれることでした。
管理しているのが人間である以上、「絶対的な信頼」「絶対にそのようなことはしないとは言い切れない」と判断したユーザーもいたようです。
⑥イーサリアムクラシックの開発
ですが、実際「ハードフォーク」は実行されたので、「旧イーサリアム」は使用できなくなりました。
そこで、一部の反対派が出た行動が「イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)」の開発です。
この「イーサリアムクラシック」の特性は、この「旧イーサリアム」を「イーサリアムクラシック」として使用できるという点です。
要は、「新イーサリアム(現在のイーサリアム」にアップデートせずとも、仮想通貨「イーサリアムクラシック」として使用し続けられるということです。
⑦「安全性」に重きを置いたイーサリアムクラシック
そして、今回の被害の原因が「ハッキング」であったことからも、「イーサリアムクラシック」では何よりも「安全性」に重点をおき開発運用が行われています。
そのため、「イーサリアム」の仮想通貨として良いポイントをすべて引き継いだまま、アップデートせずに、「安全性」を強化された状態での継続使用を実現しました。
⑧ハードウォークされないイーサリアムクラシック
「イーサリアムクラシック」が目指しているのは、ハードフォークされないイーサリアムです。
ハードフォークは、仮想通貨の保有者からすれば、「お金が紙クズになるのでは?」と不安になる感覚です。
もちろん、アップデートすれば仮想通貨として使用できます。
しかし、今回の「旧イーサリアム」は、もしアップデートをしない状態で、かつ「イーサリアムクラシック」が生まれていなければ、金銭的無価値の紙クズになっていたのも確かです。
だからこそ、仮想通貨の「ハードフォーク」はこれだけ話題になります。
そして、そのリスクのない仮想通貨を目指しているのが「イーサリアムクラシック」です。
「安全性」に加え「安心感」も得られれば、より良い仮想通貨になり得るでしょう。
⑨イーサリアムクラシックはこれからの仮想通貨
2017年現在、ようやく波に乗り始めた「イーサリアムクラシック」ですが、「イーサリアム」と比べると知名度・資金・人員はまだまだです。
この2通貨は、「イーサリアム」が大企業であれば、「イーサリアムクラシック」が中小企業とイメージしていただければ分かりやすいかと思います。
だからこそ、「イーサリアムクラシック」は、投資側からすると狙い時と言えば狙い時の仮想通貨と言えます。
いずれにせよ、今後注目しておくべき仮想通貨の一つであることは間違いありません。
イーサリアムクラシックの特徴
続いて、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)の特徴を見ていきましょう。
イーサリアムと同じ「スマートコントラクト」
上記でも説明してきましたが、「イーサリアムクラシック」は「イーサリアム」から分裂して誕生した仮想通貨なので、「イーサリアム」と同じ特徴を持っています。
それが「スマートコントラクト」という機能です。
スマートコントラクトとは
スマートコントラクトとは、別名「契約の自動化」とも呼ばれています。
例えば、ビットコインの場合、取引情報はブロックチェーン上に記録されます。
一方、イーサリアムクラシックの場合、ブロックチェーン上に取引情報に加えて、契約情報も記録することできます。
この仕組みによって、自動で売買契約の支払いなどを行うことができるようになります。
詳しくは、イーサリアムについての記事をご覧ください。
イーサリアムの価格変動の影響を受けやすい
「イーサリアムクラシック」は、「イーサリアム」との違いがほとんどないため、「イーサリアム」の価格変動の影響を受けたり、逆に「イーサリアム」の価格に影響を与える傾向にあります。
実際、「イーサリアム」のマイナー(発掘する人)と流通量が、ハードフォーク前に比べると減少したことで、「イーサリアム」の価格が一時下落しました。
また、ハードフォーク直後は、「イーサリアムコミュニティ」と「イーサリアムクラシックコミュニティ」の間で激しい対立が起きたことで、両通貨の価格に影響するといった事態も生じていました。
イーサリアムとイーサリアムクラシックの違い
次は、「イーサリアム」と「イーサリアムクラシック」の違いについてご説明します。
手数料が違う
「イーサリアム」でも「イーサリアムクラシック」でも、スマートコントラクトを実行する際には、手数料(Gas Fee)が発生します。
この手数料、「イーサリアムクラシック」の方が通貨の価格が低いぶん安くなります。
Code is law(コードこそが法)
これまで、何度も「ハードウォーク」について説明してきました。
実はこの「ハードウォーク」、Code is lawという仮想通貨の考えた方に反するとして、技術者の中でも賛否両論あるのです。
Code is lawとは、「ブロックチェーン上においてコードこそが法であり、支配権を持つ」という考え方です。
そして、「イーサリアムクラシック」は、この考え方を元に開発された仮想通貨です。
一方の「イーサリアム」は、この考え方に反した「中央集権的」な仮想通貨です。
この考え方を重視する層からの支持を集めるクラシック
「イーサリアムクラシック」は、その誕生の経緯から、本来の分散型システムとしての理念を重視する層から支持を集めています。
そして、「イーサリアムクラシック」の開発側も、コードを絶対とする「Code is law」という理念の下に、非中央集権性を追求しています。
この対立に関しては、仮想通貨全体に関わってくるテーマでもあります。
このテーマは、
- コミュニティの多数決による合意形成(イーサリアムのケース)
- コードに則った合意形成(イーサリアムクラシックのケース)
のどちらを重要視するかという非常に難しい問題提起に繋がっているのです。
ビットコインでも同じような対立が
そしてこの対立は、ブロックチェーンのフォークのリスクという観点からも非常に興味深い事例であると言えます。
実際、ビットコインでも同じような事例があります。
ビットコインは「Segwit」と呼ばれるフォークを予定していますが、一部から猛反発を受けてフォークを拒否する「ビットコイン・アンリミテッド(Bitcoin Unlimited)」と呼ばれる派閥が生まれてしまっている状況なのです。
これらのように議論の分かれるフォークでは、分裂の危険性が十分に存在することを示していると言えるでしょう。
イーサリアムとイーサリアムクラシックの今後
今のところ、「イーサリアム」と「イーサリアムクラシック」は、仮想通貨として共存しています。
しかし、今後も共存していくかどうかは何とも言えません。
例えば、イーサリアムは、将来的にはコンセンサスアルゴリズムを「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」に移行する可能性があります。
プルーフ・オブ・ワーク(PoW)
ネットワークに参加しているノード(NODE)に、膨大でかつ難解な計算をさせ、一番最初に答えを導けたノードが代表者となりブロックの生成を行うことができるシステムです。
ブロックを生成(マイニング)したら、報酬がもらえます。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)は、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)の問題点をいくつか解決したシステムです。
PoSは、より多くの通貨を所有していることを示せる人が、より簡単にマイニングできるようになっています。
このシステムは、ビットコインの進化形と呼ばれているような仮想通貨によく採用されています。
まとめ
「中央集権型のイーサリアム」と「非中央集権型のイーサリアムクラシック」、同じ特徴を有していながらも、その理念は分裂時にはっきり別れました。
イーサリアムに比べて人員や資金が劣るクラシックは、分裂以降あまり注目を集めませんでした。
しかし、ブロックチェーン関連の大型イベント「consensus 2017」での関係者たちの発言、世界的に有名な中国のビットコイン取引所「BTCC」が取り扱いを開始するというニュースなどで、クラシックは再び脚光を浴びました。
今後、イーサリアムの開発と共に差別化が進んでいくと、価格変動にも差が生まれるかもしれません。
おすすめの仮想通貨取引所を紹介
以上、イーサリアムクラシックについて詳しく解説してきました。
この記事を読んだ人の中には、「イーサリアムクラシックに興味が出たけど、そもそもどこで買えるの?」という方がいらっしゃるかと思います。
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