積立投資の非課税制度「iDeCo(イデコ)」と「つみたてNISA」を比較
現在、積立投資には税が優遇される2つの非課税制度があります。
それが「iDeCo(イデコ)」と「つみたてNISA」です。
iDeCoは「個人型確定拠出年金」のことで、2017年1月の改正により、このイデコという名称になりました。
一方、つみたてNISAは、2018年1月から始まった新制度で、積み立てによる投資に特化したNISAです。
今回は、この「iDeCo」と「つみたてNISA」という2つの非課税制度を比べてみました。
それぞれどういったメリットがあり、どんな違いがあるのか、ここで詳しく解説していきます。
目次
iDeCo(イデコ)とつみたてNISAの違い
【iDeCoとつみたてNISAの制度比較表】
|
iDeCo |
つみたてNISA |
対象者 |
日本在住の20歳以上60歳未満※① |
日本在住の20歳以上 |
積立時の税制 |
投資金全額が所得控除 |
所得控除の適用なし |
運用中の税制 |
70歳まで運用益非課税
(ただし積立できるのは60歳まで) |
20年間運用益非課税 |
払い戻しの税制 |
元本も含めて原則課税※② |
非課税 |
対象商品 |
預金、保険、投資信託 |
金融庁の基準をクリアした投資信託、ETF |
最低投資金額 |
5,000円~ |
なし |
年間の投資上限額 |
144,000円~816,000円※③ |
400,000円 |
資産の引き出し |
原則60歳になるまで不可 |
いつでも可能 |
口座開設手数料 |
税込2,777円
(一部の金融機関は3,857円) |
0円 |
口座管理手数料 |
年間2,004円~7,000円くらい※④ |
0円 |
※① 国民年金保険料未納の方はiDeCoに加入することはできません。
企業型DCへの加入者は「マッチング拠出」がなく、規約に「iDeCoに加入できる」旨の記載、かつ拠出限度額の引き下げを行えばiDeCoに加入することができます。
※② 退職所得控除または公的年金などの控除の適用はされます。
※③ 年間の投資上限額は、勤務先の年金制度や働き方(自営業や専業主婦など)によって変わってきます。
※④ 管理手数料は、iDeCo口座を開設した銀行や証券会社など、取引先によって異なります。
iDeCoは原則60歳まで、つみたてNISAは年齢の上限なし
iDeCoは、20歳以上60歳未満の方であれば、原則誰でも加入することができます。(※国民年金保険料未納の人は加入不可)
一方、つみたてNISAには年齢の上限はなく、60歳を過ぎた方でも加入することができます。
そのため、60歳以上で積立投資による資産運用をしたい方にとって、つみたてNISAは唯一の非課税制度とも言えます。
iDeCoの掛け金全額が所得控除されるが、つみたてNISAは控除されない
iDeCoは、積み立てた掛金全額が所得控除されるため、
も税金が安くなります。
一方、つみたてNISAは、所得控除の適用はされませんので、この点ではiDeCoに軍配が上がります。
対象商品の違い
投資できる対象商品に関しては、
- iDeCo→「定期預金」「保険」「投資信託」
- つみたてNISA→金融庁が認可した「投資信託」「ETF」
と、それぞれ全く異なります。
年間の投資上限額の違い
iDeCoは、
- 第1号被保険者(個人事業主)
- 第2号被保険者(会社員、公務員)
- 第3号被保険者(専業主婦・主夫)
- 勤務先の年金制度
などによって、年間の投資上限額が変わってきます。
例えば、公務員は年間144,000円が投資上限額ですが、個人事業主だと年間816,000円まで跳ね上がります。
一方、つみたてNISAは、誰でも年間400,000円が投資上限額となっています。
運用資産の途中引き出しはiDeCo不可で、つみたてNISAは可
iDeCoでは、原則60歳になるまで、資産を途中で引き出すことができません。
一方、つみたてNISAには、そういった期間が設けられていませんので、急遽お金に困ったときなど、いつでも売却して資産を引き出すことができます。
iDeCo口座には手数料がかかるが、つみたてNISAは無料
iDeCoは、口座開設時に最低でも2,777円(税込)の手数料が必要です。
さらに、利用する金融機関によって違いますが、年間で2,004円〜7,000円程度の維持費(口座開設手数料)も発生します。
一方、つみたてNISAは、口座の開設・管理ともに手数料が無料です。
まとめ
以上、積立投資の2つの非課税制度について詳しく見てきました。
両者とも「税が優遇されるお得な制度」という点では同じなのですが、「利用目的」という点では大きく違うことがお分かりいただけたかと思います。
iDeCoは老後資金専用、つみたてNISAは様々な目的に
つみたてNISAは、最悪いつでも運用資産を途中で引き出すことができるので、様々な目的に応じて活用できる制度です。
iDeCoは、所得控除適用という節税メリットが非常に大きいので、勤労収入があって所得控除の効果が得られる人は積極的に活用したい制度です。
ただし、原則60歳までは運用資産の途中引き出しが無理なので、あくまで老後資金の準備を目的に利用するのがよいでしょう。
一方のつみたてNISAは、
- 海外への旅行費
- 高額な買い物
- 住宅の購入資金
- 教育資金
など、様々な目的に応じて利用すると良いでしょう。