投資信託の積立投資を始める前に「ドルコスト平均法」について知っておこう!
投資信託による資産運用をする場合、「最も安い価格で買って、最も高い価格で売りたい」と誰しもが思うことでしょう。
しかし、価格の天井や底は、時が経過してからチャートを見ることで初めて判明するものです。
「さすがにそろそろこうなるだろう」と思って購入したファンドの価格が、予想と違った動きをすることなんて日常茶飯事です。
そういったリスクに対して、有効な投資法の1つが「積立投資」で、コツコツ投資を積み立てて、時間分散を図るのが資産運用の定石と言われています。
そして、この積立投資の中でも、特に「ドルコスト平均法」は効果が高いと言われています。
今回は、この「ドルコスト平均法」に焦点を当てて解説していきます。
目次
ドルコスト平均法による積み立て投資
ドルコスト平均法とは、ざっくり言ってしまえば
- 投資商品
- 投資金額
- 投資間隔
この3点を毎回同じように積み立て投資していく方法です。
つまり、この投資法は「1つの投資先に対して、毎回定額ずつ、同間隔で資金を投じていく」というものです。
ドルコスト平均法のメリット
「毎回、定額ずつ投資していくだけかよ」と思われた方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
当然の反応です。私も最初はそう思いました。
しかし、この「ドルコスト平均法」には、もの凄い魅力が詰まっているのです。
一括購入よりも多く買える可能性が高い
この投資法で同じ金融商品を買い続けた場合、全額一括で購入するよりも多く買える可能性が高いことを、長年の投資データが示しています。
例えば、投資信託の単位は「1口」「2口」で表す決まりになっていますが、基準価格(1口分の金額)は現在の経済状況に合わせて、日々高くなったり安くなったり値動きしています。
これはつまり、1万円で1口買えることもあれば、1万円で1.3口買えるしまうこともある、ということです。
ただ、まだ投資の経験がない方だと、メリットがいまいち掴めないかと思います。
ですので、実際に投資信託を一括で購入する場合と、ドルコスト平均法で購入する場合で、一体どんな違いがあるのか、具体例を用いてご説明します。
ドルコスト平均法を利用した事例
例えば、先進国の株式に投資している「Aファンド」が、4月の時点で1口1万だと仮定し、投資金額は10万円とします。
そして、この「Aファンド」を4月に一括購入(10口)した場合と違って、ドルコスト平均法を用いた
4月からの10ヶ月間、毎月1万円ずつ積み立て投資
すると下記のようなケースになるのです。
【購入口数】
4月 |
1.0口 |
5月 |
1.2口 |
6月 |
1.4口 |
7月 |
1.5口 |
8月 |
1.3口 |
9月 |
1.1口 |
10月 |
0.9口 |
11月 |
0.8口 |
12月 |
0.7口 |
1月 |
0.8口 |
合計 |
10.7口 |
ドルコスト平均法を用いれば、基準価額が安くなった時に多くの口数を買えるので、一括購入の「10口」よりも「0.7口分」多く保有できたというわけです。
これはあくまで具体例に過ぎませんが、長年の投資データがこのようなケースになることが多いと証明しているのです。
値動きに一喜一憂しなくていい
ドルコスト平均法のもう1つ良いところは、値動きに一喜一憂せず安心して投資できる点にあります。
先ほどの事例だと、もし4月に一括購入していて、基準価額の下落時期(5月~7月)を迎えたら、損失の不安に駆られて、結果的に短期間で大きく資産を減らすことになりかねません。
その点、ドルコスト平均法なら「基準価額の下落は安い価格で買えるタイミング」と冷静に考えることができるのです。
逆に、先ほどの例の基準価格の上昇時期(10月~12月)には、「まだまだ上がるのではないか」と予想してしまい、余分な投資をお金を投資に回してしまい、結果的に損をしてしまう可能性もあります。
しかし、このドルコスト平均法は、相場観を排除して機械的に投資をしていく手法なので、価格上昇に調子に乗って買い足してしまうこともないのです。
ドルコスト平均法のデメリット
ここまでドルコスト平均法の良い点ばかりを述べてきましたが、悪い点がないわけではありません。
ドルコスト平均法は「積立投資」にもってこいの投資法ではあるのですが、欠点も存在します。
相場が下落し続ける場合
まずは、どの投資法にも共通することですが、そのファンドの基準価格が下落し続ける場合は意味がありません。
価格がずっと下落し続ければ、どれだけコツコツと投資を積み立てても、損し続けるということです。
例えば、米国のサブプライムショックが発生する直前の2007年に、ドルコスト平均法で投信積立を始めていたとしたら、2012年からのアベノミクスと呼ばれる上昇が起きるまで、決して満足のいく投資成果を得られることはなかったでしょう。
相場が上昇し続ける場合
また、逆に相場が上昇し続けている場合も、「ドルコスト平均法」がベストな運用ではなくなってきます。
なぜなら、価格が上昇し続ける場合、初期の段階で一気に投資した方が利益は大きいからです。
ドルコスト平均法にも、価格の下落時に大量に買い付けられる利点はあるのですが、そのタイミングで一気に資金を投じた人の投資結果には太刀打ちできないのです。
下げ続ける相場は存在しない
だからと言って、ここで思い出していただきたいのがこの投資法のメリットです。
運良く底値で大量に買付できたとしても、それはたまたま相場観が正しかっただけに過ぎず、実際には予想が外れるケースが多々出てきます。
加えて、サブプライムという世界的な不況に陥ったあとでも、結果的にはアベノミクスが訪れ、その後も相場が上昇し日経平均株価が15年ぶりに2万円台まで到達したように、いつまでも下げ続ける相場も存在しないのです。
上がったり下がったりを繰り返すのが相場というものなので、そういった意味でも「ドルコスト平均法」は合理的な投資法だと評価できるのです。