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FXに役立つファンダメンタル分析!リスクオン・リスクオフとは?

 

為替市場の市場環境は大きく分けて、「リスクオン」と「リスクオフ」の2つがあります。では、そもそも「リスクオン」「リスクオフ」とは何でしょうか?為替市場のニュースではしばしば出てくる言葉ですが、意外と内容は知られていないのが実情です。ここで、改めてそれぞれについて解説していきましょう。

 

目次

リスクオン相場では資源国通貨が買われる

リスクオン、リスクオフという言葉は、2008年のリーマン・ショック以降によく使われるようになりました。

まず、リスクオンとは、いわば“リスク志向”のスイッチがオンになった状態です。世界中の投資家が、「今後の経済状態が好転する」「市場の安定状態が続く」と判断しているため、リスク覚悟でどんどん資金を注入していくわけです。

矛盾した表現ですが、「安心してハイリスクハイリターンに挑む」という状態です。

リスクオンの流れが強くなると、リスクが高いといわれる「リスク通貨」が買われるようになります。一般的にリスク通貨と呼ばれる主な通貨は下記の5つです。

[表1:リスク通貨と呼ばれる通貨]

リスク通貨と言われる通貨
EUR(ユーロ)
GBP(英ポンド)
AUD(豪ドル)
NZD(ニュージーランドドル)
CAD(カナダドル)

勘違いしがちですが、リスクオンの流れが強くなれば必ずこれらの通貨が買われるわけではありません。

「買われやすい傾向になる」というのが原則です。

いわゆる資源国通貨と言われることの多い通貨が大半を占めており、「リスクオンになれば資源国通貨が買われる傾向にある」と覚えてもほぼ間違いはありません。

なぜ資源国通貨が買われる傾向が強まるのでしょうか。

それは、リスクオン相場になると、投資家は高い収益を狙って積極的にリスクを取りに行くからです。高い収益を狙うのですから、金利が高い通貨が狙われるのは自然の流れです。

資源国通貨は金利が高いため、資金が流入しやすくなるのです。

また、リスクオン相場となると、資源国通貨が上昇するとともに、当然のことながらWTIやBRENTと言った原油先物(原油価格)も上昇する傾向にあります。

トレードに慣れてくれば、さらに高い収益を狙って、そうした複合的な投資を視野に入れることも可能になります。

リスクオフとは?

リスクオフとは、リスクオンと逆に“リスク志向”のスイッチがオフになった状態です。

「今後、経済状態が悪化する」「市場に異変がある」と投資家が判断するため、リスクを回避しようとします。

そのため、国債やリスクが低い債権などが買われる傾向が強まります。

通貨では、「安全通貨」とも呼ばれるものが買われます。

[表2:安全通貨(リスク回避通貨)と呼ばれる通貨]

安全通貨(リスク回避通貨)
USD(米ドル)
JPY(日本円)
CHF(スイスフラン)

リスクオフ相場になると、投資家は一斉に手持ち資産の保全に走ります。

つまり、それまでリスク通貨へ投資していた資金を、安全通貨へ注入するわけです。「資源国通貨売り→安全通貨買い」です。

ちなみに、安全通貨同士の通貨ペアであるドル円の動きはケースバイケースなので、一概にリスクオン・リスクオフだけでは判断できません。

また、リスクオフ相場の大きな特徴としては、安全資産として金が買われる傾向が強まり、金価格が上昇することが多くあります。つまり、リスクオフ相場かどうかを判断するには、米ドル、日本円、スイスフランの動きだけでなく、金価格の動きに注目したほうがいいでしょう。

リスクオンとリスクオフのトリガーとなる4つの要因

リスクオンとリスクオフは、どんなきっかけでそのスイッチが切り替わるのでしょうか。

さまざまな要因が絡み合うことが多いですが、大きくわけると以下の4点が挙げられます。

 

  1. 経済状況(国の経済、株式市場の動向など)
  2. 中央銀行の金融政策
  3. 政治問題
  4. 突発的な政治、経済の事件・事故

このうち、①②③については、各国で発表される経済指標を丹念にチェックして読み解いておくことで、リスクオン・リスクオフを事前にある程度予測することが可能です。

「為替市場は国のファンダメンタルに大きく影響される」と言われますが、リスクオン・リスクオフも、突発的な事態を除けば、ていねいなファンダメンタル分析で大枠の流れを捉えることができます。

ここまでできるようになるのが、FX投資家としての大きな目標のひとつであり、勝ち組に近づくための大きな課題とも言えるでしょう。

リスクオン・リスクオフ相場が終わるとき

リスクオン・リスクオフ相場に限りませんが、相場が終わるときは思わぬ形で相場が伸びます。この辺りで止まるだろう、と思ったところで止まらず、一気にサポート&レジスタンスを抜けてしまう、ということは頻繁に発生します。

よって、リスクオン・リスクオフ相場では、いずれのケースでも、相場の方向と反対側にポジションを持ってしまったら、確実に損切りすることをおすすめします。

損切りさえしておけば再起も可能ですが、損切りを入れずにズルズル反対ポジションを持ち続けた場合、レバレッジが効き過ぎていると、強制決済という事態も十分にあり得るからです。

リスクオンとリスクオフをトレードに活用するには

リスクオン・リスクオフ相場で、この通貨ペアをこのようにトレードすれば勝てる、という必勝法はありません。そんな方法があれば、投資家は全員大金持ちになっています。

リスクオン相場は確かにチャンスではありますが、あくまで「大きく勝てる可能性がある」程度と考えておくべきです。

個人投資家レベルで注意しておくべきなのは、今トレードしようとしている相場環境がリスクオンになっているのか、それともリスクオフになっているのかを認識することです。

その認識さえできていれば、リスクオフ相場で資源国通貨に買い向かう、といった無謀なトレードをせずに済みます。

FXトレードは、確率に基づいて考えれば、期待値の高いほうにエントリーすべきものです。

数字のゲームではないので、しっかりとした根拠があれば、相場環境と逆ポジションを取るケースも確かにありうるでしょう。

しかし、ロングとショートのどちらにエントリーすれば期待値が高いかを考える際に、リスクオン・リスクオフのいずれかに該当するのか、あるいはしないのかを判断できれば、トレードする際の頼れる基準となります。

まとめ

リスクオン・リスクオフというのは、為替市場をはじめとする金融市場が今どちらの方向に向いているか、を表す指標ともいえます。

為替や原油や金だけでなく、債券や株も大きく影響を受けます。為替市場はその影響の一部分を表しているに過ぎません。リスクオン・リスクオフの認識ができても、それがそのままストレートにFXトレードの必勝法につながるわけではないことは理解してください。

ただしリスクオン・リスクオフの際、ある程度は共通した傾向というものは存在しており、それを踏まえたうえで行うトレードは、期待値向上に間違いなく貢献します。

ですから、トレードをする前に、まず「リスクオン・リスクオフ・いずれでもない」の3つのうち、どれに該当した状態なのかを認識する習慣をつけてください。

それだけで、また一歩「勝てるFXトレーダー」に近づけるのではないでしょうか。