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為替の動きを他の相場(金・株式・国債など)から読み取ろう!

FX取引を行う上で「株・国債・金」などの相場の値動きを見ると、マーケットの状況判断や分析にとても役立ちます。

では、どうしてFX取引をしたいのに「株・国債・金」などのマーケットを見ておかないといけないのでしょうか。

実はFXは、他の相場からいろいろな影響を受けています。そこで、これから3つの相場とFXの関係性を詳しく説明します。

この3つの相場の関係性を知っておくことが、FX取引を有利に運ぶうえで役に立つでしょう。

目次

金相場と米ドルの値動き

まずは、金相場と米ドルの相関関係を説明します。

金相場とは金取引の相場です。

金取引は、

  • ロンドン
  • 香港
  • チューリッヒ
  • ニューヨーク

の4大金市場を中心に、世界中で行われています。

では、金相場と米ドルとどのように関係するのでしょうか。チャートを見ていきましょう。まずは金相場の5日間チャートです。

[図1:金 5日間チャート]

週末の金相場の5日間の値動きを示していますが、同期間の値動きを示す以下のチャートと比較をしてみて下さい。

[図2:ドルインデックス5日間チャート]

ドルインデックスチャートは、アメリカドルの各通貨における値動きを指数化したもので、

  • 「アメリカドルそのものの値動き」

を示したチャートです。

上の金のチャートと下のドルインデックスチャートの値動きが正反対の動きをしているのがわかります。

なぜこのような値動きになるのでしょうか。

金は、証券市場が右肩上がりの時はよく売られ、為替の買いが多くなります。

逆に不況になると、紙切れとなってしまうかもしれない株から資金を引き上げる動きが強まり、現物資産の金を買う動きが出てきます。

こうした相関関係があるからこそ、逆の値動きをするのです。

つまり、以下のことが言えます。

  • 「金が買われると米ドルが売られる」
  • 「金が売られると米ドルが買われる」
  • 「米ドルが買われると金が売られる」
  • 「米ドルが売られると金が買われる」

また、マーケット全体が経済失速等の不安を抱えている状況、いわゆるリスクオフになると、金・米ドル共に買いの動きが活発化しますが、さらに状況が悪化すると「世界不変資産」と考えられている金が米ドルより買われる傾向が強まります。

日経平均株価とドル円との値動き

次に、日経平均株価とドル円の関係を説明します。

日経平均株価とは、日本の株式市場の代表的な株価指標の一つです。

日経平均株価とドル円の5年間比較チャートを見てください。

[図3:日経平均株価とドル円の比較チャート 5年間]

比較すると、2012年以降、

  • 日経平均株価の値動きとドル円の値動き

がかなり似た動きをしていることがわかります。

実はこれまで日本の株式市場は、日本の投資家が主に運用をしていたのですが、ここ数年、外国人投資家による投資額の割合が激増したことにより、為替相場に大きな影響を与えるようになってきました。

そのため為替相場、株式相場共に、上昇下降は日本株への興味の有無や、日本経済の強弱に影響され、相互に関連するようになっています。

このような値動きになるのは、対アメリカの輸出量がかなり多いことが理由です

アメリカの経済が失速すると、日本の企業の商品がアメリカでは売れなくなり、日本の経済にも大きく影響が出ると考えられているのです。

  • 「日本株が買われるとドル円も買われる」
  • 「日本株が売られるとドル円も売られる」
  • 「ドル円が売られると日本株も売られる」
  • 「ドル円が買われると日本株も買われる」

この上のセオリーを、頭に入れておきましょう。

米国債とドル円相場の値動き

次に、米国債とドル円相場の関係を説明します。

米国債とは、アメリカが発行する国の債券です。

なぜこの米国債とFXが密接に関係しているのか、まずチャートを見ていきましょう。

[図4:米国債(10年利回り)5年間チャート]

これが、米10年国債の利回りの推移です。

価格の推移では無いので、勘違いしないよう注意してください。

利回りが上昇した時に価格が下がり、利回りが下降した時は価格が上がります。

[図5:ドル円5年間チャート]

2つのチャートを見比べると、完全に一致するとはいかないまでも、流れとしてはほぼ同じような値動きをしているのがわかります。

米国債が買われるということは、先行き不安で株が売られることです。

逆に、米国債が売られるのは、市場の安心感から株が買われることにもつながっています。

つまり、株が買われると、株の影響を受けやすい通貨が買われ、株が売られると通貨も売られるということで、国債と通貨は株を通して密接に関わり合っているのです。

国債の利回り、特にアメリカの10年国債の利回りには、世界中の投資家がその動向に注目しています。

利回りの動きによって、他の金融資産に大きな影響を与えることが分かっています。

実は、米国債と日本国債の利回りの差がドル円の動きに影響を与えるのは、非常に良くあることです。

マーケットの売買材料がない時は、特に注目が集まります。

また、米国債が先行的に動くことで、株式マーケットや為替マーケットが追いかけるケースも散見されるので、急にドル円相場が落ちたときなども現状把握にとても重宝します。

「金・株式・国債」の値動きはFX相場と関係している

金、株式、国債についてそれぞれ見てきました。なぜ、FXとのつながりが密接なのか見えてきたと思います。

もちろん、上記だけの要因でFX相場が動くわけではありませんが、FXは多くの相場とつながって関係性が構築され、変動をしているのがわかるのではないでしょうか。

以下の表にまとめましたので、参考にしてください。

[表:FXと他の相場の相関関係]

上昇 下降 リスクオン リスクオフ
米国株(ダウ) 日本株買い 日本株売り 買い 売り
日本株

(日経平均株価)

円売り  円買い 買い 売り
米国債

(利回り)

ドル円買い ドル円売り 売り

利回り上昇

買い

利回り下降

金相場  米ドル売り 米ドル買い 売り 買い

FX取引ではFXの値動きだけを見ているのではなく、こうしたセオリーを頭に入れることが重要です。

値が崩れたときや上昇が続くときなど、他の相場の値動きも確認しながら進めることで、有利なFX取引ができますので、ぜひ覚えておいてください。

リスクオンとリスクオフ

補足説明として、リスクオンとリスクオフについても軽く触れておきます。

簡単に言うと、

  • リスクオンという考え方はリスクを好んで選択している
  • オフならリスク回避

という意味になります。

リスクオンはハイリスクハイリターン、リスクオフならローリスクローリターンということになります。

リスクオンの相場は、米ドル・円といった低金利通貨・金などが売られて、資源国通貨や途上国通貨・原油などが買われる傾向があります。

ただし、このリスクオン相場は比較的長いこともあり、相場のイグジットが難しい場合もあります。

リスクオフの相場はリスクオンと逆だと思えばいいでしょう。

例えば、経済の不安材料が発表されると、リスクがある株や通貨などは売り、安定通貨の米ドルや円が買われるようになります。

どちらの場合も、どのように相場が動くのかを最初は見ていくことが大切です。

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