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資源の輸出先の景気に左右される高金利の通貨「豪ドル(AUD)」

 

ロングポジション時のスワップポイントの高さから、日本国内のFXトレーダーに米ドルやユーロと並んで人気なのが、オーストラリアドル(AUD、以下豪ドル)です。

FXトレーダーに人気の通貨ではありますが、通貨としての豪ドルについては、ドルのように知られているわけではありません。

このコラムではオーストラリアの経済そして、豪ドルの特徴について解説いたします。

目次

好調なオーストラリア経済

オーストラリアの経済、というとほとんどの方が具体的なイメージを有していないのではないでしょうか?

オーストラリア経済は、第一次産業2.4%・第二次産業27.0%・第三次産業70.6%

と、他の先進国同様、サービス業を中心とする第三次産業がオーストラリア経済を支えている状態となっています。

オーストラリアの名目GDPは1兆4427億ドル、国民1人当たりの名目GDPは約61,000ドル(2014年、IMF World Economic Outlook October 2015)となっており、南半球を代表する経済規模を誇る国となっています。

また、1992年度から一貫して経済成長を実現している、数少ない先進国となっています。

オーストラリアは先進国でありながら、鉄鉱石や石炭をはじめとする資源輸出大国でもあります。

2000年代初頭の資源バブルの際は、その恩恵を大きく受けることになりました。

その後、資源価格下落の影響はオーストラリア経済にもありましたが、資源価格の下落はあっても、サービス業を中心に引き続き同国経済の成長は継続しています。

政策金利は1.5%(2016年10月時点)

豪ドルは高いスワップポイントがあることで知られていますが、オーストラリアの政策金利は景気が良いこともあり、先進国の中では高い水準で設定されています。

政策金利は、オーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia=RBA)が決定していますが、2016年10月時点で1.5%となっています。

高金利のおかげで豪ドルには、高いスワップポイントがつきます。

よってスワップ派のFXトレーダー中心に、豪ドルは人気の高い通過となっています。

ただし、その取引量は米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドといった主要通貨に比べれば少なくなっており、大口トレーダーの仕掛けで動きやすい、という特徴を有しています。

特に豪ドル円は大口トレーダーによる日本人をひっかけるような値動きも散見されるので、FXトレードの対象として豪ドルを見た場合、豪ドルは少なくとも初心者向きの通貨とは言えません。

豪ドルに大きな影響を与える資源価格と中国経済

オーストラリアは石炭・鉄鉱石・金といった天然資源が豊富であり、その通貨「豪ドル(AUD)」=資源国通貨にカテゴリー分けされています。

そして豪ドルの価格は、各資源価格に影響される傾向にあります。

また、オーストラリアの貿易相手国の中で、中国は輸出の約3割を占める最大の貿易相手国となっています。

よって中国の経済動向や株式市場の値動きが、オーストラリア経済および豪ドルの値動きに大きな影響を与えることもしばしばあります。

ただし、2015年8月のチャイナショック以降は、中国経済の減速もあり、豪ドルの値動きに対する中国株式市場への影響は限定的になりつつあります。

豪ドルトレード時の注意点

豪ドルは先進国の通貨の中では高金利通貨であるため、スワップポイントを狙う日本人が多いことで知られています。

南アフリカランドやトルコ・リラのように新興国での高金利通貨は珍しくありませんが、オーストラリアは先進国であり、通貨の流通量も新興国に比べれば多いため、豪ドルは高い人気を誇っています。

ただし、いくら日本人に人気が高いとは言っても、世界的には豪ドル円はそれほど流通量が多いとはいえません。

よって同じクロス円のドル円と比べると、投機的な値動きで、急に値段が上下することもしばしばあります。

[図1:豪ドルのチャート]

また豪ドルは高金利通貨であるため、他の通貨に比べると買われる(資金が流入)傾向にあります。

よって、豪ドル円の場合、金利差から上昇しやすい、ということが言えます。

豪ドル米ドル(AUD/USD)にも注目すべき理由

日本人に好まれる豪ドル円のトレードですが、上記のように世界的に見れば、豪ドル円という通過ペアは、日本人以外はトレードしないマイナーな通貨ペアとなります。

そんな中でも豪ドルのトレードにこだわるのであれば、豪ドル米ドル(AUD/USD)にも注目すべきです。

世界の基軸通貨米ドルとのペア通貨である豪ドル米ドルは、豪ドル円に比べれば流通量もはるかに多いため、値動きも素直な動きとなることが多いと言えます。

ただし一見、ユーロ豪ドル(EUR/AUD)も取引が多く値動きが素直なように感じますが、チャートを見るとユーロ豪ドルは英ポンド並みに大きく動く通貨ペアであり、注意が必要です。

ニュージーランドドル(NZD)との関係

豪ドルは隣国ニュージーランドの通貨ニュージーランドドル(NZD)と、類似の動きをすることが多いと言われています。

地理的、経済的にも深い結びつきを有する両国であり、両国の通貨が同じような動きをするのは客観的に納得できる部分があります。

しかしながらニュージーランドで強い産業は乳業であり、資源国という立場にはないため、ニュージーランドドル=資源国通貨、という図式とはなりません。

よってニュージーランドドルは、資源国通貨の豪ドルと確かに類似の動きをすることも多いのですが、両通貨が別々の動きをすることも頻発します。

豪ドル=ニュージーランドドルと類似の動きを取る、という固定観念を持ってポジションを引っ張ると、思わぬ大怪我をすることがあるので注意が必要です。

まとめ

日本人のFXトレーダーにとっては、豪ドルというのは、スワップポイントも高く非常に馴染みのある通貨といえます。

しかしながら豪ドル円は、世界的に見ればマイナーな通貨ペアとなっています。

豪ドルのトレードの際は、資源価格の動向及び中国経済の動向に注意しながら、豪ドル円のみならず、豪ドル米ドルも見ながらのトレードがお勧めします。

スワップポイントが高いから、というだけで豪ドルをトレードするだけでは正直心もとない面はあります。

しかしながら、値動きの背景にある資源価格等を把握しながらのトレードを行うことで、豪ドルはより精度の高いトレードが期待できるのではないでしょうか?