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取引量が世界第3位の安全資産「日本円(JPY)」の特徴

 

日本円は米ドル、ユーロに続き、世界で3番目に取引量の多いFXトレーダーにとって非常に重要な通貨です。

このコラムでは、「円相場の特徴」「円相場を予想する方法」について解説します。

独特な値動きをする日本円の特徴を知れば、米ドル円、ユーロ円等のクロス円の取引で、一歩先を行くトレーダーに近付くことが出来るかもしれません。

目次

安全資産としての日本円

世界の基軸通貨は誰でもご存知の米ドル。

米ドルを発行するアメリカ政府は、世界の大国としての地位を有しており、その通貨米ドルは安全資産として知られています。

一方、我らが日本円も、アメリカ程の国力はないものの、世界に冠たる純債権国(世界各国にお金を貸している)の通貨として、米ドルに並び安全資産として知られています。

日本国内では、大量に発行された日本国債が問題になることがありますが、日本国債は殆どが国内で消化されている(国内の投資家が購入している)、という特徴があります。

自国の発行する国債を、自国で賄えている国は歴史上では、健全な国とされています。

世界の超大国アメリカであっても国債は外国人投資家の購入で賄っている状態であり、イギリスもまた同様です。

(※ただし最近は日本銀行が大量の国債を購入しているので、健全ではない、という指摘もあります)

よって米ドル同様、大きな戦争や経済混乱が発生すると、日本円が買われやすくなる傾向にあります(リスクオン)。

一方、世界経済的に大きな問題が特になく、金融市場がリスク志向の際は、安全資産の日本円は売られる傾向にあります(リスクオフ)。

為替介入を警戒する必要のある日本円

アメリカ政府及び欧州中央銀行は、実際の所は効果があるかどうか分からない、と言われる為替介入に対し、非常に消極姿勢を取っています。

しかし日本政府は、急激な円高が進むと、積極的に為替介入を行うスタンスを取ります。

この為替介入が行われると、一気に円安方向に振れることが通常であるため、円高が行き過ぎた場合は、常に為替介入を警戒する必要があります。

尚、為替介入の決定を行うのは日本国政府(詳しくは財務省)であり、日本銀行は財務省の指示を受けて介入を行う実働部隊に過ぎません。

また、海外では為替介入の効果は限定的、と言われています。

自国の通貨の価値を棄損する介入(ex.円売りドル買い介入)については、非常に否定的なスタンスであり、欧米では基本的には世界中で協調介入の必要がある、と認められる状況下でしか介入は原則行いません。

日本の輸出企業の送り状は外貨建て

為替市場は、短期の値差を狙うファンドや個人投資家を始めとする投機筋と、実際に事業を行う中で為替取引を行う必要のある実需筋から構成されています。

日本で、その実需筋となる事業会社は、輸出する際の送り状(インボイス)に相手国通貨建てのものを利用することが非常に多いです。

他の先進国は、インボイスは輸出する側の通貨建てになるのが普通となっていますが。

そのような訳で、日本の企業はどこかのタイミングでインボイスを日本円に戻す必要があります。

そして9月、3月に多くの日本企業が他国通貨を日本円に転換するため、円相場は実需筋の値動きの影響を大きく受けている、と言われています。

円相場(米ドル円相場)を予想する方法

一言で円相場、と言っても

  • 米ドル円
  • ユーロ円
  • 英ポンド円

と多くの円相場がありますが、ここでは世界的にも大きな取引がなされている、米ドル円相場に的を絞って話を進めます。

まずドル円は100円や100.50円といった、きりの良い数字(ラウンドナンバー)で反応しやすい、という特徴を有しています。

ドル円相場を見る時は、近くにラウンドナンバーが無いかを探して、その上でサポート&レジスタンスが重なっているようであれば、非常に強力な反転サインなることがあります。

また日経平均株価に連動しやすい、という特徴も有しています。

実際の機関投資家のオペレーションでは、株を買って為替を売る、といったことはありませんが、世界的な資金の流れを見た場合、

日本株→日経平均が上がる際は、ドル円市場→上がる(円安となる)ことが非常に多いです。

豪ドルやカナダドルと言った資源国通貨は、その国が輸出する資源価格に為替の価格が連動することが多いのですが、日本は天然資源を持っていません。

しかしながら日経平均は世界的に、ある程度知られた日本を代表する株式指標であることから、海外投資家の売買も入りやすいため、日経平均が上がれば、ドル円も上がる、という傾向が見られます。

尚、日本の株式市場は9時~15時までではありますが、先物市場はそれ以外の時間も取引がなされているので、例えば夜間の日経平均先物の価格が大きく動いた結果、ドル円相場も大きく動く、というケースも頻繁にあります。

アメリカの経済政策の影響を受けやすい日本円

経済的に日本とアメリカは密接な関係を有していますが、日本円はアメリカの経済政策の影響を受けやすい通貨となっています。

政府同士の関係(同盟国)、多くの日本企業がアメリカに拠点を保有している点、アメリカ国債の大口所有者が日本の企業である点など、日本とアメリカは切っても切れない関係にあります。

従って日本円は米ドル同様、アメリカの経済政策の影響を非常に受けやすい立場にあります。

アメリカの経済政策は、世界の国の経済や為替に大きな影響を与えますが、日本に対する影響は、他国と比べても非常に大きなものがあると言えます。

尚、米ドルと日本円は安全資産と見なされるため、同時に買われたり・売られたりする傾向があるため、比較的値動きがおとなしいとも言えます。

[図1:日本円のチャート]

日本人にとって円相場と言えば、基本的に「米ドル円」とのイメージがありますが、ユーロ円他の、クロス円も円相場を形成しています。

しかしながら世界の流通量からすれば、円相場=ドル円相場、というのが実際の姿となります。

日本人には最も身近な外国為替のドル円ですが、ラウンドナンバーで反応しやすい等の、他の通貨ペアにはない特徴を有しています。

それらの特徴を事前に把握することで、トレードの期待値を高めることは十分可能です。

比較的身近なだけに、案外知らないこともある日本円の特徴。

FXトレードでクロス円の通貨ペアのトレードを考えているようなら、改めて日本円の特徴を知っておくと、何かとトレードの役に立つのではないでしょうか?