世界の基軸通貨である「米ドル(USD)」の特徴
アメリカ合衆国はGDP(国内総生産)が世界No.1の国であり、今も経済が発展し続けている国です。
そのアメリカが採用している通貨が米ドル(USD)です。
産業の技術力では日本、ドイツの追い上げ、生産力では中国、インドといった新興国の追い上げはありますが、アメリカは今も他の国の追随を許さない産業力を有しています。
特にIT、医療、航空機分野では他国を圧倒する力を誇っています。
ただしアメリカでも、巨額の財政赤字と貿易赤字という問題は抱えていますし、貧富の差の拡大を背景とする政治の混乱という問題も抱えています。
このコラムでは、国内で多くの問題を抱えつつも、世界の基軸通貨としての地位は当面揺らぎそうにない米ドルについて、その特徴を解説します。
目次
世界の基軸通貨で信用度No.1の米ドル
世界に冠たる経済力そして軍事力を誇るアメリカ。
そして、そのアメリカの通貨米ドルは、第二次世界大戦後から現在に至るまで、世界の基軸通貨としての地位を保ち続けています。
戦後、ソ連との冷戦、日本やドイツの急激な復興、中国の経済発展という、様々な経緯はありつつも、現在に至るまでドル基軸体制を脅かす事態は生じていません。
世界の基軸通貨たる米ドルは、単にアメリカ国内で流通するにとどまらず、その信用度から世界中で利用可能な通貨、と言っても過言ではありません。
特に貿易の世界ではドルで決済するケースは、他の通貨に比べると抜きん出ています。
[図1:米ドルのチャート]
米ドルに影響を与える経済指標
世界の基軸通貨の米ドルですが、その為替レートは経済のファンダメンタル情報に強く影響されます。
特に毎月第一金曜日に発表される
の雇用統計の発表は、単に米ドルだけにとどまらず、世界中の為替レートに大きな影響を与えます。
アメリカのGDPの約70%は個人消費が占めており、雇用統計が良化すれば、
- 雇用された人が物品を購入する→景気が良くなる
- 雇用統計が悪化すればリストラされた人が物品を購入しなくなる→景気が悪くなる
というイメージが働くことで、米ドルのレートに大きな影響が生じます。
ただし、雇用統計は確かに為替市場で最も注目を集める指標発表ですが、その他にも多くの指標発表があります。
米ドルの為替レートは、長期で見ればファンダメンタルに基づいた値動きをする、とも言われており、雇用統計だけでなく、
- 日本の中央銀行にあたるFOMC(連邦公開市場委員会)の金融政策
- GDPの状況
- 消費者物価指数
の状況等のファンダメンタル情報を丹念に追っていくことも、FXトレードで勝ち続けるためには、必要と言われています。(特に長期トレードの場合)
中でも、FOMCが決定する政策金利は、世界の資金の流れに大きな影響を与えるため、金利の引き上げ・引き下げの時期については、常にアンテナを張っておく必要があります。
FXは流通量の多いユーロ米ドルから始めるという選択肢も
FXトレードを始めるに当たり、どの通貨ペアから始めるべきか、と言う点は常に議論の的となります。
日本人には馴染みもあり、値動きも穏やかなドル円からスタートさせるべき、という声も多くあります。
一方で、世界最大の流通量を誇るユーロドルから始めるべき、という声も多く耳にします。
ユーロドルは、世界最大の流通量を誇る通貨ペアとなっています。
流通量が少ない通貨ペアは、一部の大口投資家の注文に左右されて、初心者にはついていけない値動きを演じることがありますが、流通量の多い通貨ペアは比較的素直な値動きとなることが多く、その意味において、ユーロドルは初心者がトレードを行うのに最適な通貨ペアと言えます。
またユーロドルであれば、適度な値動きもあるため、ドル円に比べて、トレードの実感もわきやすい、という側面もあります。
日本時間の夕方から夜に動き始めるユーロドル
ユーロドルは、日本時間の夕方から夜にかけて動きを開始する通貨ペアとなっています。
理由は簡単で、
- ユーロを取引するヨーロッパの投資家は日本時間の夕方から行動を開始
- ドルを取引するアメリカの投資家は日本時間の夜から行動を開始
とい、時差に基づくものです。
よって日本の祝日等に、昼間にFXトレードをユーロドルでしようとしても、動かないレートにイライラするのみになります。
この夕方から夜に動きを開始するユーロドルの特徴から、ユーロドルはサラリーマン等の兼業トレーダーがトレードするのに最適な通貨ペアとも言われています。
また世界No.1の流通量を誇るため、値動きも相応にあり、夕方以降のユーロドルはトレードしやすい通貨ペアと言えます。
初心者はドル円とユーロドルのみでもOK
初心者トレーダーは、最初にどの通貨ペアをトレードすべきか悩むことがありますが、極論すればドル円とユーロドルのみでも充分と言えます。
日本人に慣れ親しんでいるドル円と、世界No1の流通量を誇るユーロドルの両者さえ見ておけば、充分にトレードチャンスを得ることができます。
無理に上級者の扱うポンドや、クロス円(ex.ユーロ円)に手を出さずとも、ドル円とユーロドルでも充分にトレードチャンスを得ることができ、また実績を残すことが可能です。
まとめ
第二次世界大戦後、冷戦やドイツ・マルクや日本・円、そしてユーロの挑戦を受けながらも、未だ世界の基軸通貨の地位を守っている米ドルの強さは伊達ではありません。
現在、中国が米ドルの覇権に挑もうとしていますが、共産党が実質的にコントロールしている人民元が米ドルにその地位を取って代わろうというのは、現実味がありません。
為替の世界では、今後も米ドル中心の世界が続くため、FXトレードの場においてもドル中心でのトレードを行う、というのは非常に合理的な選択と言えます。
特にFX初心者の場合は、日本人に慣れ親しんでいるドル円と世界No1の流通量を誇るユーロドルの両者、もしくはどちらかのトレードから開始することで、スムーズなFXデビューが図れるのではないでしょうか?
いずれにしても、為替市場の世界は今もドルを中心に回っている、という事実を踏まえた上で、FXトレードを行うというスタンスは、FXトレードに携わる上では必要不可欠と言っても過言ではない、と考えられます。