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為替レートの買われ過ぎ・売られ過ぎを示す「ストキャスティクス」

ストキャスティクスは、相場の過熱感を把握するテクニカル指標の一つです。

この指標は、RSIと並んで為替レートの買われ過ぎ・売られ過ぎ(つまり過熱感)を示すものです。

これは、ある期間の為替レートの最高値と最安値の値幅の中で、現在の為替レートがどの程度の位置にいるのかということを指標化したものです。

ここでは、そのストキャスティクスの使い方についてご紹介します。

目次

最高値と最安値の値幅に対する現在値の位置に注目した指標

現在の為替レートが、n期間の為替レートの最高値と最安値の中で、どの位置にあるかを指標化したのがストキャスティクスです。

その中でも一番シンプルな%Kは、その日の終値から過去n日間の最安値を引いた値を、n日間の最高値から最安値を引いた値で割ったものです。

これは、もう少しわかりやすく言うとある任意の期間の最高値から最安値を引いた値幅に対して、最安値から当日の終値までの値上がり幅が何パーセントかということを算出したものです。

この時、%Kは低ければ低いほど、現在の為替レートは過去の値幅レンジの安値に位置している、高ければ高いほど高値に位置していると判断します。

例えば、%Kが0%なら、その期間の最安値が現在の値になります。

そして、為替レートが安値更新し、下落しているということになります。反対に100%なら為替レートが高値更新しているということです。

求め方は、実際の数字を当てはめて考えてみましょう。

  • 1日目 76円→78円(上昇)
  • 2日目 78円→77円(下降)
  • 3日目 77円→80円(上昇)

とした場合、この3日の間で最安値が初日の76円、最高値は80円、そして終わり値も80円なので%K=(80-76)÷(80-76)=100%(この場合n=3)という形で計算します。

このように、ストキャスティクスは期間中の最高値と最安値というピンポイントに注目しているのに対してRSIは値上がり幅と値下がり幅という面積に注目して計算するところが違います。

そのため、高値更新継続なら100%、逆なら0%に張りつくといった指標の反応が早く激しいと言う特徴があります。

%Dとその移動平均%SDの2本のラインがクロスしたところで売買を判断する

高値更新継続なら100%、逆なら0%に張り付くという反応をするストキャスティクスですが、そのような部分を克服するために%Kに加えて%Kのm日間の移動平均である%Dを計算します。

これは、数値そのものというよりも計算によって導かれた2本のラインのクロスの状態を見て売買を判断するものです。

ただし、これでも動きは激しいので、%Dからさらにその移動平均である%SDを用います。

これは、より滑らかなラインを表示し、そのクロスを見るスローストキャスティクスと呼ばれるものを使います。

この3つのラインを同時に描画して一番動きが激しい%Kを先行指標にしたりします。

また、ストキャスティクスは以下のような売買判断をします。

  • %Kが80%以上の買われ過ぎの場合、%Dとデッドクロスし数値が下がり始めたら売り
  • %Kが20%以下の売られ過ぎの場合、%Dとゴールデンクロスし数値が上がり始めたら買い

一番注意したいのは、ストキャスティクスなどのオシレーター系の指標は、レンジ相場のような動きの時に、非常に威力を発揮する傾向があります。

これは、他のオシレーター系指標も同じようなことが言えます。

いわゆるもみ合い相場で一番使えるのですが、逆に上昇や下降トレンドの場合はトレンドをうまく読み取ることができません。

強いトレンド相場に弱いという弱点があります。

どうしてそうなるかというと、強いトレンドが発生した相場では、買われ過ぎや売られ過ぎシグナルが頻発してしまうからです。

特にストキャスティクスは、最高値と最安値という2点に注目しているため、為替レートのちょっとした勢いでも敏感に反応してしまうからです。

それを回避するには、ストキャスティクスのクロスが、チャートの山と谷の頂点に合うように、通貨ペアの現状に適した期間設定を行うことが必要になってきます。

次のコラムでは、トレンド相場でもこのストキャスティクスを有効に使う方法をご紹介します。

トレンド相場でうまくストキャスティクスを使う方法とは?

ストキャスティクスのクロスがチャートの山と谷の頂点とうまく合うように設定します。

例えば、期間設定を9日にしていた場合、それを5日に変えたらチャートの山の部分と%D、%SDがデッドクロスする地点が重なるように調整してみます(この場合期間は任意なのでそれぞれの状態にあった期間に調節してください)。

こうすれば、相場における売りポイント(またはその逆の買いポイント)を確実に捉えることが可能になります。

ただし、単独では使用せずにトレンド系指標と一緒に使うようにします。

トレンドが強い相場では使い物にならないのですが、例えば下げ相場での売りポイントや上げ相場での買いポイントはトレンド系指標よりも売買シグナルが早く点灯します。

つまり

  • 上昇トレンドの時、スローストキャスが売られ過ぎなら買いで勝負
  • 下降トレンドの時、買われ過ぎなら売りで勝負

というようなトレンドに対して順張りのみの場面なら非常に使えることがあります。

ストキャスティクスは、レンジ相場で有効な指標と思われていますが、工夫して使えばトレンド相場でも通用します。

また、短期売買に向いた指標だとも言われていますが、実際は中長期的な大底買い・天井売りなどを狙う比較的時間軸が長い取引でも使えます。

週足チャートなどの時間軸眺めのチャートでは、ストキャスティクスを単独で使っても十分通用する場合があります。

そして、ストキャスティクスに加えてボリンジャーバンドなども加えて分析するとさらに精度がアップします。ぜひ試してみたい指標です。

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