FX取引において、相場のトレンドに乗ったポジション取り(いわゆるトレンドフォロー)を重要視したとしても、実際に取引をしようとすると、想像以上に大変なことがわかります。
一体いつトレンドに乗れば良いのか、判断に苦慮することでしょう。
そして、一番儲かる時は、新しいトレンドが生まれて間もない初期の段階で行う取引の場合が多いのです。
ここでは、値動きの強さを表すモメンタムを見極める方法をご紹介しましょう。
FX取引において、相場のトレンドに乗ったポジション取り(いわゆるトレンドフォロー)を重要視したとしても、実際に取引をしようとすると、想像以上に大変なことがわかります。
一体いつトレンドに乗れば良いのか、判断に苦慮することでしょう。
そして、一番儲かる時は、新しいトレンドが生まれて間もない初期の段階で行う取引の場合が多いのです。
ここでは、値動きの強さを表すモメンタムを見極める方法をご紹介しましょう。
トレンドの転換がはっきり分かった時点は、すでにトレンドが終焉に近いという場合もあります。
このトレンドを見極めるには、どこが初期でどこが終焉なのかを見極めなければなりません。
トレンドの始まりとなる転換を早く掴んでエントリーすれば、利益は大きくなるでしょう。
初期のトレンド転換を狙った取引を行えば、当然このような先行者としての利益を獲得するのは夢ではありません。
しかし、例えば経済ニュースから得る情報により、ヨーロッパ諸国の救済策などを参考にしてチャートを見てみると、どのニュースが為替レートに影響を与えているのかを判断するのは非常に難しいはずです。
例えば、多くのニュースがある中で、ニュースに沿ってチャートを見ると、どのニュースがサプライズに当たるのか、すでに織り込み済みなのかは、一部の専業投資家でも判断が難しい場合があります。
[図1:トレンドラインの弱点]
そこで多くの投資家は、テクニカル指標を使うわけですが、単純なトレンドラインだけではダマシが多くなります。
これは、レジスタンスラインやサポートラインで、レートがブレイクしたとしても、明確なトレンド転換が起こらずに、持合い相場に移行してダマシが頻発したりします。
トレンドが転換するのかしないのかということを、トレンドラインだけでは判断しにくいのが本当のところです。
相場を予測するにはトレンドだけで判断せずに、モメンタム(勢い)という部分も見るようにします。
強いモメンタムと評されれば、力強く勢いがある値動きを指します。このモメンタムは、トレンドの転換を判断する上でも非常に重要になります。
また、このモメンタムを見極めるためのテクニカル指標には、色々な種類が存在します。
例えば、オシレーター系指標のように、トレンドの過熱感を感じて反対方向の動きが生まれやすいという判断をすることも可能です。
このように値動きの強さを掴む指標として一目均衡表の遅行線やボリンジャーバンドのエクスパンション、DMIなどを使うと良いでしょう。
次のコラムでは、一目均衡表とボリンジャーバンドについて解説します。
[図2:一目均衡表の遅行線]
一目均衡表は、基準線と転換線、雲などの色々な要素があります。
その中でも、実際のチャート(日々線と呼ぶ)を単純に26日前にずらした遅行線と、日々線のクロスは勢いを知るにはとても便利なものです。
これを使うと、売買判断が簡単に行うことができ、遅行線が日々線を突き抜けて上昇した場合は買い、下落した場合は売りと判断します。
遅行線は、日々線を過去にずらしたものですが、日々線と遅行線がXの形でクロスする時はチャート図にVの形の山や谷ができます。
もう少し補足するなら、遅行線がクロスして日々線を超える、割れる時は相場の天井や底値からVの形で反転する勢いが強いということがわかります。
逆に、日々線と遅行線が平行にしている場合は、相場の勢いは弱いというように判断できます。
26日前の値動きがなぜ現在の値動きに影響があるのか疑問がある方もいるでしょう。
わかりやすく言うと、遅行線の動きは過去の値動きを示します。
その過去の値動きが、現在の値動きを超えられるかどうかというところを判断します。
超えられれば勢いがある(上昇でも下降でも)と判断して、その点に注目している指標の一つです。
一方で、ボリンジャーバンドのエクスパンションも値動きを掴むのに適した指標です。
この指標は、為替レートのボラティリティ(変動幅のこと)を偏差値(±2σ)のバンド幅で測定したものです。
バンドの拡大(エクスパンション)は、為替レートの変動が強まる、バンドの収束(スクイーズ)は弱まることを指します。
バンドが収束した状態から急に拡大した時、為替レートの変動幅が急拡大したとみなします。
相場が天井か底値で逆の方向にボリンジャーバンドのエクスパンションが発生したら、トレンドが転換するモメンタムがとても強いと見なします。
[図3:ボリンジャーバンド]
上の図3は、±2σのバンドが縮まる、拡大する様子がわかります。
エクスパンションの様子をみると、相場の底打ち反転上昇などを明確に表示していることがあります。
その時は、トレンドラインなども合わせて使うと上昇の強さが良くわかります。
ボリンジャーバンドは、一般的に+2σ売り、-2σで買いという逆張り指標だというのが定説ですが、開発者であるジョン・A・ボリンジャーは順張りにも使えるとコメントしています。
それは、為替レートが±1~2σにある時、どちらかの一定方向に強く動く場合です。
これをバンドウォークと呼びますが、強いトレンドが続くとこのバンドウォークが発生します。
トレンドラインがブレイクして転換した初期にエントリーして、しばらくバンドウォークが続く時はホールドしておくというように使います。
DMI(Directional Movement Index)は方向性指数と訳されますが、これもモメンタムやトレンドの強さを測るのに適した指標です。
DMIは、前日と当日の高値と安値の差に注目して算出される指標です。
+DIは上昇力、-DIは下降力、ADXは値動きの強さというようにそれぞれが示します。
売買方法は、
と判断します。
また、
というように使います。
[図4:DMIの見方]
値動きが強い時は、高値や安値を次々に更新するので、DMIは相場のモメンタムを掴むうえでも適しています。
上下のどちらになっても、値動きの強さを表すADXが下落して底這い状態から上昇を開始した時にエントリーすれば、強い値動きの初動を捉えることが可能になります。
ADXが大きく上昇する場合は、利益を伸ばす部分として考え、そのあと下落したら利益確定を行います。
ただし、DMIだけを使わずトレンドラインのブレイク、複数の指標やチャート分析と一緒に使うとより精度が高まります。
単体で使うと当然ダマシも多くなるからです。
初心者が複数のチャートやツールを使って判断するのは難しいこともあるでしょう。
ただし、それぞれの使い方に慣れて、以下にように使うと有益に使うことが可能になります。
例えば、
いずれにしてもこのような使い方が勝率をアップさせる使い方になります。
相場に山・谷ができる場合、過去の値動きが現在の値動きを打ち消した、ということでトレンド転換時では、一目遅行線の日々線越えは相当早い段階で起こるということです。
一目遅行線は、シンプルな指標なのでダマシもあると考えますが、相場自体に明確なV字反転が起きた場合に、それを真っ先に表示するのも一目遅行線です。
ここ数年前の相場に関して言うと、円高トレンドが継続していました。終焉すると言われながらも、長らく円高傾向が続きました。
また、アメリカの失業率が高止まりの中、FRBのイエレン議長が年内利上げに意欲を表明というニュースが流れても、一時的にドルは急騰しましたが、そのあとすぐに戻るというのを繰り返していました。
このように、本格的な外貨上昇はまだ当分先だという見通しもされています。
一方で、為替相場は今後「円安ドル高」傾向になると予想するエコノミストもいます。その理由は、以下のような意味だと解説されています。
まず、日銀は9月21日に金融政策決定会合を開催しましたが、金利については利下げをせず、そのまま維持する結果になりました。
そして、同日に米国FRBが引き上げをせずに維持しました。
日本は利下げせずに実質的には利上げ効果があり、米国は実際に利上げせずに利下げの効果がありました。
これは、今回の日米の予想に反して金利差を狭める結果に終わりました(米国が高金利)。つまり、ドル/円では、ドル安円高に動いたということです。
そして、この動きは現在の米国大統領選の存在で政治的にも心地よいと言われています。
大統領選の前に、景気にネガティブな動きは行わないというのが一般的な考え方です。そのため利上げはないというのが大方の見方です。
ドル高でメリットを感じるのは金融業だけなので、主たる産業が金融業で得をするのはNYのみです。
他の州は、製造業や農業などが主産業なのでドル安が評価されるという訳です。
他にも色々な要因がありますが、経済ニュースなどを見ると、今年から来年にかけての為替相場は、現在のドル安円高からドル高円安傾向に変わると言われています。
これからも短期トレンドの転換があるでしょうが、その転換が本物かどうかを判断するには、このようなモメンタム系の指標を駆使することが、ますます必要になると思われます。