「ファンダメンタル分析」なぜ金利はFXの値動きに影響するのか?
ファンダメンタル分析とは
ファンダメンタルとは、経済用語で「基礎的事項」という意味です。
株式投資では、銘柄の基礎的な情報のことを指しますので、よく使われる用語です。
株式投資は企業が対象ですが、FXは国(通貨)が対象ですので、企業の状態にあたる経済指標などが、ファンダメンタル分析の対象となるわけです。
チャートで分析するテクニカル分析とは、視点が異なることを覚えておきましょう。
金利と為替市場が相関関係にある理由とは
FXにおけるファンダメンタル分析を行う際、まずチェックしたいのが金利です。
機関投資家は常に金利を気にしながら為替の取引をしていますが、個人のFXトレーダーで金利を気にしている方はほとんどいないのが実情でしょう。
しかし、実は、金利と為替市場には非常に深い関係がありますので、先行きを見通すためには必ずチェックしておかなければなりません。
日本では、長くゼロ金利の時代が続いています。金利といっても、ピンと来ない方も多いかもしれません。しかしながら金融市場において、金利は、さまざまな取引を決定付ける非常に重要な要因となっています。
そもそも、金利は資金が国から国へと移動する決定的な要因です。なぜなら金利0%の通貨を持っているより、金利5%の通貨を持っていたいと誰でも思うからです。為替市場のトレーダーたちも、基本的には全く同じことを考えています。従って金利の低い国の通貨から、金利の高い国の通貨に資金は流れやすい、という公式が成り立ちます。
A国の金利が5%、B国の金利が1%であれば、A国の通貨に資金が流れやすくなるわけですから、「A国の通貨が買われる=A国の通貨高になる」ということになります。この金利を絡めた資金の流れが、金利とFXトレードの関係を把握する最初の土台となります。
金利には「名目金利」と「実質金利」の2種類が存在する
金利と聞くと、銀行預金の金利を思い浮かべる人が多いでしょう。
FXならば、スワップポイントが思い浮かびます。
でも、実は金利には、名目金利と実質金利の2種類があることをご存じでしょうか?
この名目金利と実質金利の違いを知るだけでも、一歩進んだFXトレーダーになれます。
名目金利とは、一般的に提示されている金利です。アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)による金利の上げ・下げはFX業界では常に注目の的ですが、FRBが決定しているのは名目金利です。
しかし、名目金利だけでは経済実態を捉えることができません。なぜならインフレを加味していないためです。デフレが長く続いている日本では、インフレと言われてもピンときませんが、多くの国では、数字の大小はあれどもインフレ(物価の上昇)が発生しています。
実態経済はモノやサービスの売買を中心に回っています。つまり、どの程度のインフレが起こっているかを加味しなければ、経済の実態を表すことができません。
金利で言えば、例えばインフレ率が10%で、金利が2%の場合、金利収入は実質的には8%となります。そして、このインフレ率を加味した金利が、実質金利なのです。実質金利は下記の計算式で算出されます。
実質金利=名目金利-期待されるインフレ率
※「期待されるインフレ率」の「期待」は、「発生が予想される」という確率的な意味
機関投資家を中心とする投資家は、より経済実態を表すことができる実質金利に常に注目していますが、その理由がわかってもらえると思います。
日本の実質金利はマイナスではない
上記の計算式を日本に当てはめると面白いことがわかります。日本はマイナス金利と言われていますが、実質金利で考えると、
名目金利0%-期待インフレ率(-3%)=+3%
※期待インフレ率の-3%は仮の数字