外国為替市場(通称:外為市場)は世界中にあります。
中でも、3大市場と言われているのが「ニューヨーク市場」「ロンドン市場」「日本の東京市場」です。
ここでは、日本の東京市場について説明しましょう。
外国為替市場(通称:外為市場)は世界中にあります。
中でも、3大市場と言われているのが「ニューヨーク市場」「ロンドン市場」「日本の東京市場」です。
ここでは、日本の東京市場について説明しましょう。
まず、東京市場でのFX取引量を見てみましょう。
後述する
「建玉数量(月末時点でポジションがあり、決済されずに残っている量)」
と合わせた表を見てください。
[図1:東京外国為替市場の取引数量と建玉数量(2009年~2016年)]
取引数量の額は左の縦軸、建玉数量は右の縦軸を参照してください。
取引数量を見ると、乱高下はしているものの、3~4倍に増加しています。
全体の傾向として取引量が増加しているところは、建玉数量が右肩上がりに増えていることからもわかります。
もちろん、建玉数量ですので、スワップポイント狙いの人が増えている可能性もありますが、いずれにしても長期的な視点で見れば、市場が拡大を続けていると言えます。
では、主に取引されている通貨ペアは何でしょうか?
2016年3月実績のデータがあるので見てみましょう。
[表1:東京外国為替市場の通貨ペア別取引数量と建玉数量(2016年3月実績)]
通貨ペア | 取引数量 | 建玉数量 | |
USD/JPY | 米ドル/円 | 265,846,996 | 3,400,755 |
AUD/JPY | 豪ドル/円 | 48,093,892 | 902,692 |
GBP/JPY | ポンド/円 | 23,456,905 | 532,528 |
EUR/USD | ユーロ/米ドル | 23,439,594 | 418,163 |
EUR/JPY | ユーロ/円 | 14,606,645 | 389,608 |
NZD/JPY | NZドル/円 | 5,834,425 | 2,457,775 |
ZAR/JPY | 南アランド/円 | 5,135,030 | 2,457,775 |
GBP/USD | ポンド/米ドル | 2,853,511 | 49,556 |
CAD/JPY | カナダドル/円 | 764,194 | 77,513 |
TRY/JPY | トルコリラ/円 | 287,396 | 181,300 |
米ドル/円の取引数量が、まさにケタ違いに多いことがわかります。
続いて豪ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円と続きます。
ここで注目したいのは、南アフリカランド/円です。
取引数量は7位ですが、建玉数量は2位です。これは、スワップポイントを狙ってのものだと思われます。
なぜここまで米ドル/円が人気なのでしょうか。
まずは、基軸通貨としての信頼度の高さでしょう。そして、取引量が多いからこそ実現するスプレッドの狭さ(手数料の安さ)も見逃せません。
東京市場の取引時間は9時から17時までです。
ニューヨーク市場やロンドン市場の取引時間と重ならないため、比較的穏やかな値動きをします。
そうした意味では比較的リスクが少なく、FX初心者に適した市場と言えます。
また、東京市場では米ドルが圧倒的な人気を誇ることは先述しましたが、逆張り傾向が強いのも大きな特徴です。
逆張りとは、上昇傾向にあるときに買い、下落傾向にあるときに売るといった、相場の方向に応じて売買する手法です。
そのため、3大市場の中でも、一定の範囲内で上昇・下降を何度も繰り返すボックス相場になりやすい市場となっています。
東京市場で主に取引を行っているのは、ビジネスパーソンや主婦を中心とした個人トレーダーです。
彼らのコアな取引時間はいつでしょうか?
そうです。昼休みの時間です。
特に、ビジネスパーソンにとっては、日中に落ち着いてFX取引ができるのは昼休みしかありませんから、取引量が集中することになります。
では、逆張りを好むトレーダーたちが一斉に取引を始めたらどうなるでしょうか。
いくら全体的な取引量が多くても、トレーダーの多くが集中して取引を行うわけですから、当然のように相場が動きます。
特に要因がないのに、このように相場が動く現象を、イギリスの経済誌「エコノミスト」が「ミセスワタナベ」と名付けました。
皮肉を込めたネーミングですが、ある意味では欧米のマスコミが日本の個人トレーダーの資金力に驚かされたとも言えます。
実際、今でも市場を動かす要因として注目されており、流動性が低下した時間で彼らが損切りをするのを狙う「ミセスワタナベ狩り」を行っている大口ディーラーもいるほどです。
また、東京市場は、比較的海外発の材料や大口トレーダーの影響を受けやすいと言われていますが、それは「ミセスワタナベ」の存在が理由かもしれません。
東京市場がボックス相場になりやすいのは、先に触れました。そこで、ボックス相場の立ち回り方について、少し触れておきましょう。
ボックス相場は、一定の範囲内で上昇・下降を繰り返しますので、大きな利益を狙うのには向いていません。
では、小さな利益を得るにはどんな手法があるのでしょうか。
代表的なのが「スキャルピングトレード」です。
「スキャルピング」は、頭蓋骨を意味する「スカル」からきている言葉で、アメリカインディアンが行っていた「頭の皮を薄く剥ぐ」風習のことをいいます。
最近、頭皮ケアでスカルプシャンプーが人気ですが、頭皮を表す「スカルプ」と語源は同じです。
この「薄く剥ぐ」ことが、小さな利益を積み重ねるイメージと重なり、「スキャルピングトレード」と言われるようになりました。
実際、「スキャルピングトレード」は、確実に利益を得るため、ごく短い時間で行います。
数分間から数秒ということもあり、瞬発力も判断力も必要とする取引方法です。
また、薄い利益を目標とするとはいえ、単位が少なければうまみがないため、大きなレバレッジをかけることが普通です。
非常に高度でリスクも高いため、初心者には向いていない取引方法でしょう。
まずは、こうした取引手法があるということだけ覚えておきましょう。
など、相場が動くイベントが各市場にはあります。
穏やかな値動きをすることで定評がある東京市場ですが、やはり注目すべきイベントはあります。
それは、銀行などの金融機関が為替レートを決める「仲値(なかね)」の発表です。
仲値の発表は午前10時頃ですが、その前後には比較的大きな売買注文が飛び交うことが多くあります。
仲値を予測し、それに合わせて大きな利益を得ようとする大口トレーダーが動くからです。
そのため平日の午前10時前後は、トレーダーがその集中力を発揮する時間帯なのです。
その動きに合わせて立ち回るのは難易度が高いですが、相場の動きや大口トレーダーの思惑、そして経済界の動きと外国為替市場がどのように連動しているかを知るには適しています。
タイミングよくその時間に相場をウォッチできるようであれば、一度注視してみることをおすすめします。