FX取引を行う上で「株・国債・金」などの相場の値動きを見ると、マーケットの状況判断や分析にとても役立ちます。
では、どうしてFX取引をしたいのに「株・国債・金」などのマーケットを見ておかないといけないのでしょうか。
実はFXは、他の相場からいろいろな影響を受けています。そこで、これから3つの相場とFXの関係性を詳しく説明します。
この3つの相場の関係性を知っておくことが、FX取引を有利に運ぶうえで役に立つでしょう。
この上のセオリーを、頭に入れておきましょう。
次に、米国債とドル円相場の関係を説明します。
米国債とは、アメリカが発行する国の債券です。
なぜこの米国債とFXが密接に関係しているのか、まずチャートを見ていきましょう。
[図4:米国債(10年利回り)5年間チャート]
これが、米10年国債の利回りの推移です。
価格の推移では無いので、勘違いしないよう注意してください。
利回りが上昇した時に価格が下がり、利回りが下降した時は価格が上がります。
[図5:ドル円5年間チャート]
2つのチャートを見比べると、完全に一致するとはいかないまでも、流れとしてはほぼ同じような値動きをしているのがわかります。
米国債が買われるということは、先行き不安で株が売られることです。
逆に、米国債が売られるのは、市場の安心感から株が買われることにもつながっています。
つまり、株が買われると、株の影響を受けやすい通貨が買われ、株が売られると通貨も売られるということで、国債と通貨は株を通して密接に関わり合っているのです。
国債の利回り、特にアメリカの10年国債の利回りには、世界中の投資家がその動向に注目しています。
利回りの動きによって、他の金融資産に大きな影響を与えることが分かっています。
実は、米国債と日本国債の利回りの差がドル円の動きに影響を与えるのは、非常に良くあることです。
マーケットの売買材料がない時は、特に注目が集まります。
また、米国債が先行的に動くことで、株式マーケットや為替マーケットが追いかけるケースも散見されるので、急にドル円相場が落ちたときなども現状把握にとても重宝します。
金、株式、国債についてそれぞれ見てきました。なぜ、FXとのつながりが密接なのか見えてきたと思います。
もちろん、上記だけの要因でFX相場が動くわけではありませんが、FXは多くの相場とつながって関係性が構築され、変動をしているのがわかるのではないでしょうか。
以下の表にまとめましたので、参考にしてください。
[表:FXと他の相場の相関関係]
上昇 | 下降 | リスクオン | リスクオフ | |
米国株(ダウ) | 日本株買い | 日本株売り | 買い | 売り |
日本株
(日経平均株価) |
円売り | 円買い | 買い | 売り |
米国債
(利回り) |
ドル円買い | ドル円売り | 売り
利回り上昇 |
買い
利回り下降 |
金相場 | 米ドル売り | 米ドル買い | 売り | 買い |
FX取引ではFXの値動きだけを見ているのではなく、こうしたセオリーを頭に入れることが重要です。
値が崩れたときや上昇が続くときなど、他の相場の値動きも確認しながら進めることで、有利なFX取引ができますので、ぜひ覚えておいてください。
補足説明として、リスクオンとリスクオフについても軽く触れておきます。
簡単に言うと、
という意味になります。
リスクオンはハイリスクハイリターン、リスクオフならローリスクローリターンということになります。
リスクオンの相場は、米ドル・円といった低金利通貨・金などが売られて、資源国通貨や途上国通貨・原油などが買われる傾向があります。
ただし、このリスクオン相場は比較的長いこともあり、相場のイグジットが難しい場合もあります。
リスクオフの相場はリスクオンと逆だと思えばいいでしょう。
例えば、経済の不安材料が発表されると、リスクがある株や通貨などは売り、安定通貨の米ドルや円が買われるようになります。
どちらの場合も、どのように相場が動くのかを最初は見ていくことが大切です。