世界各国の通貨には、それぞれ値動きの性格があると聞けば驚かれる方も多いでしょうか?
人間それぞれに個性があるように、通貨にも個性があります。
ここでは、通貨の性格や値動きの傾向から「FX初心者には米ドル/円でのトレードが向いている」という理由を説明します。
米ドル/円は日本人にとってもっとも身近な通貨
日本人にとって為替といえば、「米ドル/円」(以下、ドル円)です。
1ドル○○円、というのはニュースでよく聞く話題で、なんとなくでもドル円の水準であれば、分かっている方も多いのではないでしょうか?
しかし世界の為替は、米ドルと日本円だけではありません。
ユーロ、ポンド、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドル等、多くの通貨が存在し為替市場を形成しています。
では、数多くの通貨が存在しているので、日本人が親しんでいるドル円以外の通貨でもFXトレードがしやすいか、といえば一概にそうとは言えません。
実は日本人にとっては、最も身近なドル円こそが、FX初心者向けの通貨ペアなのです。
その理由はどこにあるのでしょうか。
ドル円がFX初心者に向いている簡単な理由
ドル円でのトレードがFX初心者に向いている理由は、簡単に言ってしまえば「値動きが小さい」からです。
世界中で取引されている為替市場で、最大の取引高を誇っているのはユーロドルです。
そしてドル円は、第2位の取引高を誇っています。
取引高が少ない通貨ペアは、一部の大口投資家の思惑によって、値動きが左右されることも多いですが、取引高が多い通貨ペアでは、そのような動きが生じることは少なくなります。
したがって、取引量の多い通貨ペアは、比較的素直な値動きになることが多い、という特徴があります。
そして値動きが小さいということは『大きく儲からないが、大きく損も出さない』『ゆったりとトレードできる』という特徴も有しているのです。
この2つの特徴について、次に説明していきましょう。
大きく儲からないが、大きく損も出さない
相場は、利益が出ることもあれば損することもあります。トレードの初期は、当然のことながら損を出してしまうことが多いでしょう。
しかし、ドル円であれば値動きが小さいため、その損を小額で済ますことができます。
逆に、値動きの激しいポンドドル等であれば、初心者の場合、一気に証拠金を飛ばしてしまうことも十分ありえます。
相場は生き残るのが第一の世界です。初心者のうちは生き残ることを第一に、値動きの小さい通貨ペアでのトレードをおすすめします。
ゆったりとトレードできる
初心者は、突発的な値動きにどうしても右往左往してしまうものです。
ロングで入っては切られ、逆にショートで入っては切られ、といわゆる往復ビンタをくらうことも多々あります。
その点、値動きが小さい通貨ペアならば、ゆっくり値動きを観察できるため、じっくりとトレードの戦略や戦術を考えた上でトレードすることができます。
(※もちろん、別途メンタル面での修行は必要です!)
また、ドル円の場合、為替の値動きの大きな流れを作るファンダメンタル情報も、通常のニュースサイト等で確認することができ、情報量も豊富です。
つまり、ファンダメンタル情報が把握しやすく、トレードの確実性を高められるのです。
レバレッジを踏まえたリスク・リターンを学ぶのにも最適なドル円
FXトレードの本質は、小さな値動きにレバレッジをかけてその値差を取るというものです。レバレッジをかけないと、FXトレードで利益を上げるのは難しいでしょう。
しかし、レバレッジのコントロールを誤ると、一気に資金を失うリスクも有しています。値動きの小さいドル円は、このレバレッジの優位性と欠点を学ぶのに最適な通貨ペアです。
「どの程度のレバレッジであれば、強制ロスカットに至ることなくトレード可能か」
など、リスク管理についてトレードをしながら深く考察することができます。
FXに限らず、トレードは1トレードに対するリスクとリターンを考えながら行う必要があります。
その中でも、レバレッジがかかっているFXは、それを踏まえたうえでリスクとリターンを考える必要があります。
ドル円は値動きが小さいため、レバレッジを踏まえたリスクとリターンを学ぶのに最適な通貨ペアと言えるのです。
ドル円トレードは日本企業の売買動向に注意が必要
最後に、ドル円の値動きで知っておきたい特徴をもう1つ紹介します。
それは、テクニカル分析が効きにくい傾向があるという点です。
「買い」サインが出ているにもかかわらず、そのまま相場は下落して損切りになってしまうなど、テクニカル分析は元々万能ではありません。
ドル円の場合は特にその傾向があり、テクニカル分析よりも日本の企業による為替取引に注意を払うことで、トレードが成功する機会を増やすことが可能な通貨ペアとも言えます。
日本の大手企業は、テクニカル指標を見ながら、為替の注文を出している訳ではありません。
一斉に同じ考えの下で同じ注文を出せば、当然相場は一方向に進んでいくからです。
テクニカル分析をしていると、「ここで反転するはずなのに…」と悔しい思いをする場合も多いですが、ドル円は大手企業の売買動向等に大きく影響される相場なので、逆に大手企業の為替の売買動向を読み切ることができれば、トレードの勝率を上げやすい通貨であり、非常に学ぶことの多い通貨ペアとも言えます。
FXのコツを学ぶためにも、まずはドル円トレードがおすすめ!
ドル円はアベノミクス相場が始まるまでは、本当に値動きがない通貨ペアでした。
しかし、現在は小さいながらも、トレード可能な程度の値動きは生じています。
「ドル円=値動きが小さい」というイメージが強いため、FX初心者でも、最初からユーロドルやユーロ円のトレードに挑戦される方も多いのが現実です。
しかし、日本人が取っ付きやすく、ニュースも把握しやすいドル円のほうが、トレードのコツを覚える意味でも初心者には向いています。
テクニカル分析が効かないケースは確かにありますが、それはどの通貨ペアにも共通して言えることです。
値動きの小さいドル円でのFXトレードで勝てるようになってから、ユーロドルやその他のトレードを開始することが、総合的にFXトレードで勝つための近道になると考えられます。
以上の理由から、FX初心者には、まずドル円でのトレードから開始することをおすすめします。