毎月分配型投信のメリット・デメリットを解説!人気がある理由とは
たくさんある投資信託の中でも「毎月分配型ファンド」には根強い人気があります。
毎月分配型投信は、「将来の資産形成のための運用には不向き」と投資の専門家からの評価は悪い一方で、個人の投資家からは「毎月分配金が貰えるからお得」と評価が良かったりと、意見の分かれる金融商品です。
この毎月分配型投信には、慎重に考慮すべき点があるが故に、投資のアドバイザー的な人は反対するのですが、一方で毎月の生活費を補える分配型が良いというユーザーの声が多いのもまた事実です。
そこで今回は、毎月分配型投信はお得なのか、それともそうではないのか、詳しく見ていきましょう。
目次
毎月分配型ファンドとは
数多くある投資信託の種類ですが、その中に毎月お金(分配金)が貰えるタイプの商品があり、これを「毎月分配型ファンド」と言います。
※毎月の分配金は税引き後に支払われます。
この毎月分配型(※毎月決算型とも言う)は、国内だけでなく世界中で人気のある投資信託で、数兆円規模で取引されています。
やはり、年1回の配当金や売却して初めて利益を得れるタイプの投資信託よりも、毎月配当が貰える投資信託の方が、投資している実感を強く得られることが大きいのかもしれません。
投資信託の分配金は、基本的に年1度の商品がほとんどなので、毎月分配されるファンドに投資したい気持ちになるのは、当然と言えば当然かもしれません。
しかし、ただ「毎月配当が貰えるからこれに投資しよう」というのは絶対にいけません。
この「毎月分配型ファンド」の特性をきちんと理解した上で、投資するかどうか判断するようにして下さい。
毎月分配型投信のメリット
毎月分配型投信のメリットは、やはり「毎月配当金が貰える」点にあります。
毎月お金が貰えるので、給料とは別に副収入があることになり、そのお金を普段の生活に還元することができます。
ですので、仕事の給与は生活に充てて、配当金は買い物や外食・旅行に充てるなど、「投資によって生活が豊かになる」実感を得やすい特徴があります。
これが配当金が年1回の投資信託との大きな違いであり、毎月分配型ファンド最大の魅力です。
毎月分配型投信のデメリット
しかし、冒頭でも述べましたが、プロの投資家たちは「毎月分配型投信はおすすめではない」といった評価をする場合がほとんどです。
むしろ、毎月分配型ファンドを評価している投資の専門家やアドバイザーをあまり見かけない、と言った方がいいかもしれません。
では一体その理由はなぜなのか、次は毎月分配型投信のデメリットを見ていきましょう。
課税を早める
まずは、「頻繁な分配は課税を早める」という点です。
例えば、毎年12月に分配金が支払われる投資信託と比べると、毎月分配型投信は最大で11ヶ月も税のかかる時期が早まることになるわけです。
資産を運用する上では「回収は早く、支払いは遅く」が非常に大事な考え方になります。
そのため、毎月分配型のような税の支払いが早まる運用方法は、長期的に見ると例外なくマイナスに働くのです。
複利効果がない
次は、人類最大の発明とも揶揄される「複利の効果」を活かすことができない点です。
複利とは「利子に利子が付く」という考え方で、
運用することによって元本から生み出された利子を、次の運用の元本に組み込む
という運用方法です。
投資信託で考えた場合、毎月の配当金を分配せずにこれからの投資分に回すことで、その上乗せされたお金にも利子が付くことにより、トータルではより資産が増えるということです。
こう考えると、毎月分配型ファンドよりも通常のファンドの方が、運用資産が増加するスピードが速くなるのは当然ですよね。
つまり、毎月分配型は、「複利の効果」を全く活かすことができない仕組みの投資信託というわけです。
毎月分配型ファンドに人気がある理由は?
毎月分配型投信は、先ほどご紹介したような悪い点から、投資の専門家やプロからは決して評価の良くないタイプの金融商品です。
しかし実際は、世界的に人気の高い金融商品です。
では一体なぜ毎月分配型ファンドの需要は高いのでしょうか?
ここではその理由を心理学を用いて分かりやすく解説していきます。
人は目先の利益を追い求めたがる
まず1番に挙げられるのが、
「将来の利益よりも、目先の利益を追い求めたがる」
という人間の心理にあります。
これは、目先の利益ほど過大に捉えてしまう傾向を人間は持っているということです。
そのため、毎月分配型の方が、長期的に見ると通常の投資信託より「損する可能性が高い」と分かっていたとしても、「毎月お金が貰える」という部分を過大評価してしまい、すぐ手に入る利益を優先してしまいがちと分析できます。
イメージ先行
また、毎月分配型ファンドを
- 「人気がある=良い商品」
- 「毎月お金が貰える=お得」
とイメージ先行で捉えてしまう方も大勢いらっしゃいます。
人は、「人気のある商品だから、みんなが買っているし自分も買おう」とつい考えてしまうのです。
そのため、何が良いのか判断を迷ってしまう投資初心者の人ほど「他の人も買っているなら私も」という心理が働いてしまうのです。
自分に最適な投資信託を見つけるために
ではこうした心理的な影響を取り除いて、自分に最適なファンドを見つけるためにはどうしたらいいのでしょうか?
最後に、投資信託による資産運用をする上で大事な考え方をお伝えします。
1度立ち止まって考えてみる
人間には、損失を回避しようとするあまり、合理的な行動が取れなくなってしまう習性があります。
そのため、時には立ち止まり、
- 今自分がしようとしている行動は本当に合理的なのか
- 感情に左右されていないか
と常に考えるクセを付けることが運用する上では大事になってきます。
自分の考えや目的から投資先を探そう
選択肢が多ければ多いほど、人間は麻痺してしまう傾向にあります。
人は何を選べばいいか分からなくなると、つい相対的に良さそうなもの(皆が買ってるもの)を選びがちということです。
つまり、自分に最適なファンドを探しているうちに、本来自分が投資すべきでないファンドを選んでしまわないように注意しましょう、ということです。
人気ファンドの中から投資先を探すのではなく、ご自身の考えや目的から探さなければ、適切な投資行動を取っているとは言えないのです。
投資の目的は少しでも資産を増やすこと
投資の1番の目的は、少しでも資産を増やすことです。
1つのファンドごとに「儲かった」「負けた」を競うものではありませんし、一時的な利益だけで「勝った感覚」になるのもいけません。
将来の資産形成を考えながら、上手にお金を運用していくことが、投資本来の目的であることを常に覚えておきましょう。