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FXの確定申告のQ&A(専業主婦、サラリーマン、個人事業主、法人)

 

FX取引をするとうれしいのは、利益を得られた時でしょう。

色々な立場の方がFX取引に参加できる一方で、利益を得た後はどうなるのか少し心配になりませんか?

ここでは、主婦の方、サラリーマンの方個人事業主の方などの場合に分けて、FXの確定申告について解説します。心配な方は是非参考にしてください。

 

目次

専業主婦のケース

質問①

専業主婦で所得はないが、2種類のFX取引をしています。

一方が、取引所FX取引(くりっく365)で、もう一つが非取引所FX取引(店頭取引)です。

それぞれの利益に対する税金はどれくらいかかるのでしょうか?

従来クリック365(取引所取引)と店頭取引(非取引所)は税制の扱いが違いました。

しかし、2011年6月に税制改正法案が成立し、2012年より店頭取引も税金を一律20%(うち所得税15%、住民税5%)で計算する申告分離課税となりました。

これにより、申告分離課税の特例である損失の繰り越し控除やFXにおける損益の通算が行えるようになりました。

現在では、どちらの取引も申告分離課税で所得の大小に関係なく20%となります。

 

※「店頭FX取引」

FX業者と投資家が直接取引をすること。多くのFX業者は店頭FXです。

※「取引所FX取引」

FX業者が仲介をして実際の取引は取引所で行われる取引のこと。

後者はコスト高になる傾向がありますが、FX業者は財力に余力があるFX業者が多く、投資家の証拠金は鳥非違所に全額預託されるのでFX業者に万が一のことがあっても資産は守られます。

自由度が高い取引は店頭FX取引、安心して取引をしたい場合は取引所FXなどの選択が可能です。

質問②

専業主婦で夫の扶養に入っています。FXの利益などで雑所得が130万円を越すと、扶養からは外れるのでしょうか?

また、この場合、税金(国民年金・国民健康保険・住民税・所得税)を払うことになるのでしょうか?

また、その際は、主人(会社員)と同じ税率になるのでしょうか?

FX取引で、たまたま収入が発生した継続性のない収入なら、扶養から外れることはありません。

収益が常態化して130万以上になる場合に健康保険は扶養から外れて、国民健康保険に加入しなければなりません。

また、FX取引で得た収入で、所得税や住民税の税率は給与所得者と同じです。ただし、課税対象になる所得の計算は少し変わります。

FX取引の雑所得が76万円未満といった一定の場合は、配偶者控除や配偶者特別控除を扶養している(この場合は夫)の所得税の計算上控除することが可能です。

その場合は以下のようになります。

<配偶者特別控除 夫の所得が1,000万以下の場合及び配偶者控除にならない場合>

妻の合計所得金額 配偶者特別控除の額
38万円を超え40万円未満 38万円
40万円以上45万円未満 36万円
45万円以上50万円未満 31万円
50万円以上55万円未満 26万円
55万円以上60万円未満 21万円
60万円以上65万円未満 16万円
65万円以上70万円未満 11万円
70万円以上75万円未満 6万円
75万円以上76万円未満 3万円
76万円以上 0万円

サラリーマン・個人事業主の場合

質問①

会社員(サラリーマン)の場合、昨年度の給与所得から給与所得控除後の金額を算出し、これにFX取引による雑収入をプラスして確定申告する必要があるのでしょうか?

所得税は計算上、FX取引の利益の雑所得は給与所得と一緒に総合課税として課税対象になります。

考え方としては給与所得+雑所得-所得控除合計=課税所得金額と計算します。この課税所得金額によって税率が変わります。

ただし、FXの利益が20万円以下の場合は課税対象になりません。これは、給与や退職金以外の所得合計が20万円以下の場合です。

その場合は確定申告の義務はありません。20万を超えると雑所得として給与などの所得に加えて確定申告をします。

詳しくは[質問②]を参考にしてください。一定の金額までなら課税対象になりません。

質問②

課税所得金額によって変わる税率はどの程度でしょうか?

課税所得金額は総所得金額により変わります。

税率は5%~40%まで6段階に区分されています。

<所得金額による税率と控除額の表>

課税される所得金額 (千円未満切捨て) 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

税率計算は、課税される所得金額が650万なら、650万×0.2-427,500円=872,500円となります。

質問③

確定申告をする際に、住民税等の問題で勤務先にFX取引していることがバレないようにするためにはどうしたら良いのでしょうか?

サラリーマンが住民税の徴収をされる場合は特別徴収という方法が取られます。これは給与から差し引く方法です。

そのため、自分で納める方法として普通徴収を選択します。確定申告を行う場合に、給与所得以外の住民税の徴収については、普通徴収を選択すると会社にはわかりません。

FXの利益を申告する時に自分で納付するにチェックすれば納付書は自宅に郵送されます。

会社の特別徴収は会社の給与所得にかかった分だけが差し引かれ、自分で得たFXの利益にだけ住民税がかかるようになります。勤務先には知られることはありません。

質問④

サラリーマンで年末調整をこれから受けます。自分で給与所得の確定申告することも選択できますが、この場合にFX取引で20万円を超える利益があればどちらが有利ということはあるのでしょうか?

給与所得と雑所得(FXの所得)は別々に計算しますが、確定申告の時には全て合算して総合課税として計算されます。

会社に他に所得があることをわからないようにしたいために、別々に所得税の計算をする以外に、どちらが有利かということはありません。

どちらも最終的には得た所得に対して課税されるようになります。

質問⑤

個人事業主としての青色申告はFXで利益を出している場合、確定申告自体はサラリーマン(給与所得)分と兼用できるのでしょうか?

また、兼用できるのであれば、FXで年間どれくらい稼いでいると、個人事業主として青色申告した方がいいのでしょうか?

FX取引はその所得は雑所得または事業所得に該当します。事業所得に該当すれば青色申告することが可能です。

FXによる所得が事業所得に該当するか、雑所得に該当するかは次にご紹介する点をチェックして、FXを事業として営んでいると認められた場合は事業所得、そうでない場合は雑所得として扱われます。

チェックポイントは以下の3つです。

この様に、FXによる利益がいくらを超えるという判断で事業所得として扱われるのではなく、総合的に判断されるようになっています。

不明な場合は税理士や税務署に相談することをお勧めします。

法人のケース

質問①

法人名義でのFX取引の利益に課せられる税金の特徴は?

法人名義でFX取引を行う場合、個人のケースとは異なります。

大きく異なるのは、保有ポジションなどの評価損益が課税対象になる、利益が個人なら一律20%税率(申告分離課税)になるのに対して、法人全体の課税所得(全利益が合算)に対して約30~40%の実効税率になります。

ただしメリットもあります。

例えば、FX以外の金融商品取引での損益があれば、法人事業の全ての損益金が合算できることです。

また、経費計上は先物取引に係る雑所得の対象となる取引だけでなく、法人事業全体の必要経費を控除することが可能です。

さらに、損失が発生した場合(この場合は法人全体の課税所得)には、繰り越し控除は翌年から9年間にわたり可能になります。

個人が3年と比べるとかなりの期間繰り越せることになります。

質問②

法人の場合、未決済ポジションは課税の対象となる?

FX取引では、事業年度末日に未決済のポジションがあった場合は、その損益を課税所得計算に算入する必要があります。

その日の評価損益による確定申告(決算書)が必要になります。法人だけは未決済ポジションの評価益が損失でも含み益でも課税の対象になります。

また、法人はそれ以外の事業の損益の合計額に対して法人税の課税が行われます。FX取引だけの場合はその損益だけが課税対象になります。

質問③

FXの法人口座で発生した利益を確定申告する場合、所得種類は何?

法人のFX取引で発生した利益は事業所得扱いになります。

また、事業所得として前のコラムでもご紹介した損益通算が可能となり、FX以外で得た事業所得に関して合算での損益通算になります。

質問④

法人契約のFXの場合、事業所得として損益通算するためには、日々のトレードについて、売上などを記録する必要があるの?

日々のトレードなどの売り上げが必ず記録されている必要はありません。記録が必要なのは銀行口座に対する入出金のタイミングだけです。

それ以外は、日々のスワップ・ポイントの計上と決算期待つの未実現損益の計上を行います。

銀行口座に対する入出金については、現実的に法人決算書を通る場合にもそれらの入出金データをもとに仕分けするので、必ず用意されているはずです。不明なら税理士か税務署にお問合せください。

その他のQ&A

質問①

「雑所得」とは何ですか?

個人の所得(サラリーマンなら給与所得)に対して所得税が課税されます。

所得と一口に言っても、色々な種類に区別されます。

現在、所得については、以下の10種類に分類されています。

 

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 譲渡所得
  8. 山林所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得