睡眠不足が続けば「もしかして不眠症かもしれない」と心配になるものです。
確かに不眠症の結果、睡眠不足にもなりえます。
ただ、不眠症と一概に言っても、症状は本当にさまざま。そもそも睡眠不足と不眠症は微妙に違う症状なのです。
不眠症のタイプや原因、対策を知って、快眠を目指してください。
健やかな日常生活をするためには、充実した睡眠が必要だからです。
睡眠不足が続けば「もしかして不眠症かもしれない」と心配になるものです。
確かに不眠症の結果、睡眠不足にもなりえます。
ただ、不眠症と一概に言っても、症状は本当にさまざま。そもそも睡眠不足と不眠症は微妙に違う症状なのです。
不眠症のタイプや原因、対策を知って、快眠を目指してください。
健やかな日常生活をするためには、充実した睡眠が必要だからです。
不眠症は入眠障害や中途覚醒など、睡眠に関する問題が1ヶ月以上も続いており、精神的、身体的な苦痛を感じている状態です。
一方睡眠不足の定義は難しい部分があります。
言葉だけで言えば、十分に睡眠ができていない、眠れていない、眠り足りていないと言えます。
睡眠不足の意味を難しくているのは、個人差があるからです。
短い時間でも十分に眠れたと言う人も居れば、10時間ぐらい眠らないと眠った気がしない人も居るなど、人によって大きく異なります。
そのため、睡眠不足と不眠症は少し意味が違って来るのです。
例えば1日だけ十分に眠れなかった日があるとしますよね。
「睡眠不足だ」と言いたくなることは誰にでもあります。
しかしそれを持って「不眠症だ」という病気レベルで言って良いのかどうかとなると、違いますよね。
不眠症と睡眠不足は、微妙に異なるものと考えておいてください。
不眠症には、それぞれタイプがあります。
不眠症かどうかであるかは、専門医の判断が必要です。
ただ、一般的に、症状から4つの種類に分けることができます。
入眠障害、中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒です。不眠症では1つ当てはまるだけではなく、混在しているケースもあります。
自分が不眠症に当てはまるかチェックし、改善の参考にしてみてください。
入眠障害は、眠りたくてもなかなか寝付けない状態です。
眠るために布団へ入って目をつむります。
通常ならそのまま自分がいつ眠ったか分からないまま、寝てしまいますよね。
しかし入眠障害になると、目をつむって寝ようとしてもなかなか眠ることができません。
「明日は早いから眠らないといけない」「眠らないと疲れが取れない」そんな不安が強くなり、余計、眠れなくなることも多い症状です。
中途覚醒は、眠りが浅いため、寝ていても、途中で何度も目覚めてしまう状態です。
途中で目覚めたとしても、すぐ眠りにつければ良いですが、中途覚醒の場合、再び寝ようとしても、なかなか眠れなくなってしまいます。
結局、浅い眠り、あるいは眠れず朝を迎えることも。結果的に、十分な睡眠ができません。
熟眠障害は、眠りが浅いことで睡眠時間が長かったとしても熟睡した感じのない状態です。
熟睡できないため、目覚めても、眠ったという感じがあまりありません。
疲労が残っている感じがする症状です。
早朝覚醒は、朝、早くに目が覚めてしまう状態です。
自分が予定した時間より、2~3時間も早く目覚めてしまいます。
早く起きすぎたと感じ、再び眠ろうとしますが、寝付くことができません。
不眠症を改善させるためには、原因をしっかり知っておくことが必要です。
症状を引き起こすのが、ちょっとした生活習慣が原因だったということもあります。
その場合、生活習慣を見直せば改善できる可能性も大きいです。
しかし重度の不眠症の場合、複数の症状が出る場合もあります。
どちらにしても、原因を知らなければ、対策も難しいのです。
生理学的な原因により、不眠症が発症するケースもあります。
旅行へ行くと、なかなか眠れなくなる、引っ越ししたばかりの新居だと、寝付けられないことはありませんか?
転職をすれば、今までより早く家を出なければならない場合もあります。
逆にちょっと遅くなってもかまわないケースも。ベッドや枕の変化、時差ボケなども生理学的原因に含まれます。
自分を取り巻く環境の変化によって、心と睡眠に影響が出るのです。
毎日、同じような生活をしていると、自然に生活リズムが決まります。同じ時間に目覚めて、眠る。
ごはんを食べる時間も昼の12時。夜は7~8時。
しかしずっと続けていた生活に変化が起きれば、生活リズムも崩れます。
環境の変化により、生活リズムが崩れ、不眠症になることもあるのです。
身体的原因も、不眠症の原因となります。
怪我をすれば痛みますよね。湿疹や蕁麻疹が起きれば、痒くてなかなか眠れません。
風邪や喘息の発作が出れば、咳が止まらなくて寝ようにも寝付けないもの。
せっかく眠れたのに、すぐ尿意で目が覚めてトイレへ行くのもこの身体的原因に含まれます。
不眠症になりやすい病気は複数あります。
糖尿病、胃潰瘍、狭心症や心不全、慢性閉塞性肺疾患、高血圧など、生命に関わる病気なども少なくありません。
病気の治療で使用する薬の副作用で、不眠症になることもあります。
薬理学的原因、薬に関連して不眠症になることもあります。
自律神経や中枢神経に作用するような薬、抗がん剤やステロイドといった薬。
アルコールやカフェイン、ニコチンなども薬理学的原因となります。
寝るため、アルコール類を飲むのが習慣になっている人も居るかもしれません。
酔っ払うと眠気が出ますが、眠りが浅くなる原因ともなりえます。そのため中途覚醒が起きやすく、不眠症の原因となるのです。
心理的原因は、例えばショックなこと言った、言われた等、精神的なストレスが原因となります。
具体的に言えば、家族や友人が亡くなるとなかなか眠れなくなったという人は居ませんか?
仕事で心配なことがあれば、眠ろうとしても頭の中は不安で一杯になります。
強いストレスを感じると、脳の覚醒中枢を刺激し興奮状態にします。
そのため、眠ろうとしても眠れない状態となるのです。
不安や精神的なショックで不眠になった場合、一過性のことも多いです。
しかし、時にはストレスの原因が取り除かれても、不眠症が続くこともあります。
精神医学的原因による不眠症は、精神疾患が原因となります。
うつ病や統合失調症などと言った精神の病気です。
精神疾患を発症した場合、精神的に不安定な状態となります。
そのため、眠ろうとしても眠れない不眠症も発症することも多いです。
中には、不眠症を発症したことによって、うつ病になるケースもあります。
うつ病によって睡眠障害が起きる時、レム睡眠となる時間帯が早まるということが知られています。
しかしどうしてこのような変化があるのかは不明でした。
うつ病患者の特徴として、セロトニンが不足している話があります。
セロトニンの活動は、外側手網核という脳領域によってコントロールされています。
不快な状況や悪い状況になると活性化。
うつ病患者の外側手網核は、血流量が異常に増加していることが分かっています。
このことから、外側手網核が活性化し、セロトニンの分泌を抑制。
そしてうつ病を引き起こすという仮設が考えられています。
外側手網核が異常に活性化することによるレム睡眠への影響、うつ病患者の睡眠異常のメカニズムについて研究が行われています。
生理学的原因による不眠症でしたら、眠りやすい環境を作ることが肝心です。
ポイントは光。人間には自律神経があります。夜やリラックスしている時には、副交感神経が優位になります。
眠る前には、副交感神経が優位になるよう、環境を整えなければなりません。
しかし光があると交感神経が優位に。昼間や活発に活動している時と同じになります。
そのため就寝時には部屋を暗くしたり、間接照明をオススメします。
音が気になるなら、防音設備の強化や耳栓をすると良いです。
温度や湿度にも気を遣うことが大切。エアコンを利用し、快適な室温と湿度にしてください。
生活リズムが崩れても、眠る環境を整えれば、不眠症の対策になるのです。
身体的原因の根本は、病気の症状です。
痛み、かゆみ、咳などがあって不眠症になるなら、まずその病気を治療することで改善が期待できます。
治療のための、薬による副作用が不眠症の原因だと感じたら、担当医師に相談することが重要です。
身体的原因による不眠症では、病気の治療を優先することが肝心となります。
薬理学的原因による不眠症の対策では、まず、不眠症の原因となる薬や嗜好品などを飲んでいるかどうかチェックしてみてください。
眠る前にアルコール類を飲んだり、カフェインが含まれるコーヒーや紅茶を飲んでいないか、振り返ることが重要です。
病気の治療による薬によって不眠症になっていると感じたら、担当医に相談することをオススメします。
睡眠補助薬として、鎮静薬や抗不安薬などを服用中の場合も注意してください。
新しい睡眠補助剤では、トラブルが少なくなりました。
しかそ安易に服用するのは危険です。睡眠補助剤では、離脱症状も不眠症の原因となりえます。
離脱症状とは、睡眠補助剤を2~3日以上服用し、中止した場合に起こる可能性があります。
離脱症状が起きると、元々あった睡眠障害が悪化することも。
これはリバウンド不安症と呼ばれるものです。不眠症だけではなく、不安症状が増えることもあります。
睡眠補助剤の服用を中止する際には、医師に相談してください。
心理的原因による不眠症対策は、リラックスがポイントです。
心理的原因では、不安になること、精神的なショック。
考えないようにしても頭によぎって眠れなくなることは誰でもありえます。
心配事やショックをあまり考えないような状況を作るのが大切です。
入浴や、眠る前は落ち着ける音楽を聞く、軽いストレッチをしてみてください。アロマテラピーも良いです。
眠る前にハーブティーを飲むのもオススメ。
ホットミルクや生姜湯を飲んで気持ちを落ち着かせてください。
寝室に入ったら、不安やショックなことを思い出さないようにしてください。
注意したいのは「考えない」と思っていたら、余計に考えてしまうこと。悪循環に陥る可能性があります。
「眠れない。眠らないといけない」と過剰に考えることも、不眠症を悪化させます。
むずかしいかもしれませんが、もっと前向きになるのが重要。
不安が解決しても、不眠症が改善できなければ、専門医に相談してください。
精神医学的原因による不眠症も、身体的原因と同じように、まずうつ病や不安症などの病気を改善することを目指した方が良いです。
厚生労働省も、うつ病に対して危機感を強めており、早期発見や治療、社会的支援などの対策を行っています。
うつ病にかかっていても、医療機関を受診していない人も多いと言われています。
大切なのは、うつ病かなと感じたら、医療機関の専門医を早めに受診することです。
うつ病の原因として、セロトニン不足が考えられています。セロトニンが少ないなら、作ってください。
セロトニンを作るためには、トリプトファンという必須アミノ酸を摂取することです。
トリプトファンは、タンパク質が豊富に含まれている食べ物から摂取できます。体内では作ることができません。
タンパク質は肉やチーズなどの動物性のものと、大豆やごはんと言った植物性のものがあります。
バランスよく食べてみてください。血液中のトリプトファンを脳に運んでくれるのがブドウ糖です。
食事の最後にスイーツを食べることで、トリプトファンが脳に運ばれやすいです。
サプリメントも出ているこのトリプトファン。ただ、トリプトファンの摂取しすぎは注意です。
もしサプリメントをご検討なら、医師に相談することが肝心です。
不眠症には、複数の原因が存在しています。
不眠症のやっかいな所は、睡眠不足になることのストレスです。
ストレスがかかり、眠らなければならないと思って悩んでいると悪化します。
症状が軽ければ、睡眠環境を改善することで対策も可能です。
しかし複数の原因が絡んだり、うつ病が絡む精神的原因による不眠症は生命を脅かす存在となります。
不眠症で日常生活に支障が出て来たなら、とにかく専門医に相談してください。
参考文献 東京西川
参考文献 厚生労働省
参考文献 日本大学医学部附属板橋病院 睡眠センター
参考文献 日本睡眠総合検診協会
参考文献 田辺三菱製薬