各種プロバイダの公式ページを見ると「これからは光コラボレーションモデル!」などといったコンテンツがよくあります。
「光コラボレーション(光コラボ)」とは一体なんでしょうか。
今回は、有利な「乗り換え方法」を詳細に解説します。
各種プロバイダの公式ページを見ると「これからは光コラボレーションモデル!」などといったコンテンツがよくあります。
「光コラボレーション(光コラボ)」とは一体なんでしょうか。
今回は、有利な「乗り換え方法」を詳細に解説します。
「光コラボレーション」というのは、NTT東西が、各種プロバイダとともに個人ユーザー向けに提供する光回線サービスです。
とはいえ、NTTはほぼ回線を提供するのみで、契約その他の窓口はプロバイダに一本化され、ユーザーは回線業者の存在を意識する必要がありません。
すでに携帯電話やWiMAXなどの無線インターネット接続サービスでは、窓口のプロバイダへの一本化が進んでいますので、光回線が世の中の流れに追いついた、と理解することができるでしょう。
「光コラボレーション」は、主にサポートと料金徴収をプロバイダに一本化したものです。
利用する回線は「フレッツ光」のもので、速度その他の物理的な条件は、「フレッツ光」と全く変わりません。
一戸建て向けの最高速度は1Gbpsとなっており、ほぼどのような用途でも快適に利用できるようになっています。
インターネット上の口コミ情報を見ると、よく「光コラボレーションに変えたら遅くなった」とか、「◯◯というプロバイダは遅い、酷い」などという書き込みが見つかります。
しかし、物理的に「フレッツ光」と同じ回線を利用しているのですから、「光コラボレーション」に変えたからといって速度が低下するということは原理的にあり得ません。
ただ、マンション向けで同じ建物内に同じプロバイダで接続しているユーザーが多かったり、一戸建てでも同じエリア内に同一プロバイダを利用しているユーザーが多かったりする場合、一時的な渋滞が発生して速度低下が見られることがあります。
プロバイダの側ではどのエリアが速度低下を招きやすいか、ということはちゃんとチェックしています。そして適宜改良工事を行っています。
ですから中長期的に見ればこの種の速度低下は徐々に解消されるものと考えられます。
「遅い」という口コミ情報が数ヶ月前のものだった場合、今では対策されて快適になっている可能性も少なからずあるのです。
また、1Gbpsクラスの高速通信の場合、インターネットへの回線ではなく家庭内のLANの状況によって通信速度の下限が決まってしまうことがあります。
1Gbps近い速度を安定して出そうと思ったら、家庭内LANの機器もそれなりに気を使って揃えなければならないのです。
「遅い」と感じる基準は人によりそれぞれです。
ある人は、高解像度の動画がコマ落ちした場合に「遅い」と思いますし、ある人は測定サイトの数値を見て「遅い」と判断します。
ただ、動画のコマ落ちは動画配信サーバー側の理由であることもありますし、測定サイトの計測結果にしても絶対ではありません。
ですから、ある人が「遅い」と評価したものが、他の人にとってはそうでないことも大いにあり得るのです。
人は何か不都合を感じた場合、ごく最近に起きた大きな変化のせいにしがちです。
しかしネットワークの速度というのはさまざまな理由によって日々刻々変化するもので、「全部乗り換えのせいだ」と断じることは難しいのです。
というわけで、こと光回線の速度に関しては、ネット上の口コミ情報を過信するのは危険です。
フレッツ光と「光コラボレーション」は、同じ回線を利用しています。
ですからフレッツ光から「光コラボレーション」へ乗り換える場合には、フレッツ光の回線撤去工事や、新規回線の導入工事などは必要ありません。
工事がないので、工事費用を請求されることもありません。
ただ、プロバイダに電話すればすぐ転換ができるというものではなく、「転用承認番号」というものが必要になります。
携帯電話の番号を保持したまま、他キャリアに乗り換えるいわゆるMNPの際には、キャリアからMNP番号を発行してもらって手続きをすることになりますが、「光コラボレーション」への乗り換えも、よく似た流れになります。
「フレッツ光」から「光コラボレーション」への乗り換えの第一歩は、「転用承諾番号」を取得することになります。
この番号は、フレッツ光の回線業者であるNTT東西が発行しています。
NTT東西の「フレッツ」公式ページから取得することができますし、また電話やメールでも取得申込ができます。
一度発行された転用承諾番号は、15日間有効です。
紛失してしまうと手続きが面倒なことになるので、取得したら必ずメモを取っておきましょう。
困ったことがあったら窓口に相談、というのはどのサービスにおいても基本となりますが、光コラボレーションへの転用の場合、どこに相談したらいいのか、というのが問題になるでしょう。
転用の手続きにおいてNTT側が関与するのは、転用承諾番号の発行までです。
後は基本的に乗り換え先のプロバイダでの手続きになります。
ですから、困ったことがあったら新規に契約しようと思っているプロバイダの相談窓口に相談することになります。
光コラボレーションはプロバイダが提供するサービスであるため、料金プランやキャンペーン、割引などについての問い合わせはすべてプロバイダに対して行うことになります。
NTTに連絡してもまともに対応してもらえるとは限りませんので、気をつけてください。
転用承諾番号を取得した後は、プロバイダの公式ページへ行き、そこで手続きをすることになります。
契約フォームに必要事項を記入して送信してしばらく待つと、プロバイダから確認のメールや電話などが来ます。
その後、工事のスケジュール確認が行われ、工事となります。
工事とはいっても、転用の場合は基本的に元のフレッツの回線を利用するので、配線工事が新規に行われることはありません。
ただし、今まで使っていたフレッツのサービスが旧世代の100Mbpsや200Mbpsのものであった場合、端末装置を入れ替えて1Gbps対応にすることがあります。
端末装置まで含めてそれまでのものを転用する場合、端末装置からの導通試験が行われます。
この一連の工事には利用者の立ち会いが必要です。
ただし、そんなに時間がかかるものではありません。
どのプロバイダでも、端末装置までは用意されますが、そこから先にルーターが接続されるかどうかは、プロバイダによって異なります。
ルーターがプロバイダから貸与されない場合は、自分で購入して使うことになりますが、LANポートのあるパソコン一台だけなら、端末装置と直結してインターネットに接続できます。
現在の光回線上でのインターネットへの接続は、PPPoEという方式で行われています。
この接続ソフトは、各種OSに標準で搭載されているので、端末装置に直結する場合には、これを使用することになります。
ルーターを使う場合は、ルーターの設定画面を開いて、PPPoE用の設定をすることになります。
設定項目は単純で、ユーザーIDとパスワードを入力するだけです。
ユーザーIDとパスワードを記した書類は、プロバイダから送られてきます。
ルーターを買い替えたりトラブルが発生した時など、再度設定が必要になることがありますから、この書類は大切に保管しておきましょう。
フレッツ光関連の工事は、NTTから業務を委託された電気工事会社によって行われています。
ですから工事の日程はそれぞれの電気工事会社の仕事の混み具合によって変わってくるのですが、NTT側で指導をしているらしく、申込からだいたい10~20日ぐらいで完了するようになっています。
他の回線業者と比べると速い方です。
新しいプロバイダ用のID・パスワードを設定したルーターでインターネットに接続できていれば、転用は終了しています。
もっとも、工事を行った時に導通試験と、指定したプロバイダへの接続試験は終わっているので、この時点で転用が終わった、ということもできます。
新しいID・パスワードで接続できないことはめったにありませんが、その場合は最初に機器の故障を疑った方がいいかも知れません。
転用後にしなければならないことは、「前のプロバイダの解約」です。
多くの場合、解約は電話一本で可能です。
ただし、期間つきの契約をしている場合、更新月以外に解約すると違約金を請求されることになります。
この違約金の計算関係で、プロバイダ側と幾度かやり取りをすることがあるかも知れません。
なお、前のプロバイダの違約金を肩代わりしてくれるプロバイダの場合、前プロバイダとの交渉も代わりに行ってくれる場合があります。
光コラボレーションは、月額利用料金がフレッツよりも安く、サポートも統一されるので、ユーザーにとって乗り換えは大きなメリットを持ちます。
また、多くのキャリア系プロバイダが、同系列の携帯電話の割引サービスを提供しているので、家族で同じ会社の携帯を複数使っているような場合には、半端なキャッシュバックよりもずっとお得になることがあり得ます。
大手キャリアだと、割引額は最大2,000円ぐらいで、それが24ヶ月継続します。
携帯の契約台数が4台だとすると、最大8,000円の割引が24ヶ月続くことになり、「お得」になった金額は192,000円にもなるのです。
また携帯割引は、光電話導入が前提となっていることも多く、この場合一般電話(基本料金1,400~1,700円前後)との月額料金の差額が900~1,200円ぐらいになり、その分さらにお得になります。
「光コラボレーション」のお得度は、「フレッツ」の場合と測る基準が全く違うので、その点に注意が必要です。