引っ越しをするつもりだけど、引越し先でもインターネットを利用したい。こう思っている人は少なくないでしょう。
現在ではインターネットOKな物件が増えてきていますが、具体的にはどのようになっているのでしょうか。
詳しく解説しましょう。
引っ越しをするつもりだけど、引越し先でもインターネットを利用したい。こう思っている人は少なくないでしょう。
現在ではインターネットOKな物件が増えてきていますが、具体的にはどのようになっているのでしょうか。
詳しく解説しましょう。
最近では、不動産屋さんの広告に「インターネット完備」と書いてある物件が増えてきました。
これは大なり小なり、インターネットに接続することを考慮した物件、という意味です。
とはいえ、その具体的な内容にはかなりの違いがあります。
「インターネット対応」とチラシなどに書く上での、法的な基準が存在しないせいです。
最も「ガッカリ度」が大きいのは、大家さんが「インターネット回線を導入する時に壁にちょっと穴(修復可能なもの)開けてもいいよ」と言ってくれた、程度のものです。
次は、「前の入居者が引っ張った回線が撤去されずに残っているから、それを使いなさい」というパターンです。
以上は、主にアパート系の集合住宅に見られる例です。
マンションの場合は、もう少しきちんとした対応がされています。それについては、以下で解説しましょう。
見た目アパートで、名前だけ「マンション」を名乗っているような物件ではなく、一戸ごとに個別に分譲される名実ともに備わったマンションの場合、何らかのインターネットへの接続手段が存在するのが普通です。
まず都市部のマンションの場合、ケーブルテレビは間違いなく導入されています。
かつてはケーブルテレビは都市部の集合住宅と、難視聴地域と呼ばれる人家の少ない地域用のサービスとされていました。
しかし、デジタル放送により人家の少ないところでも安定した受信が可能になったので、今ではほぼ都市部の集合住宅用となっています。
デジタル放送用のアンテナや、衛星放送用のアンテナは指向性が強く、マンションの部屋の位置によっては個別のアンテナを設置できないことが多いため、ケーブルテレビによりこれらをカバーするようになったのです。
ケーブルテレビは、かつてはその名の通り同軸ケーブルを使って放送データを送り出していましたが、今では光ファイバーケーブルを使用するようになりました。
どちらも高速通信が可能なので、現在あるケーブルテレビ局は、そのほとんどがインターネット接続サービスも提供しています。
また、都市部・地方を問わず、一定以上の規模の集合住宅には光ファイバーケーブルが引き込まれており、MDF室から一般電話回線を使い、ネット接続ができます。
ですから、分譲タイプでオーナーが各戸ごとに違うようなマンションでは、まずインターネット接続環境に迷うことはありません。
多くの場合問題になるのは、「アパート以上本物のマンション未満」な賃貸物件です。
すでに述べたように、分譲タイプのマンションはほぼすべてがインターネット対応であるため、わざわざチラシなどにそう書く必要がありません。
わざわざ書いてくるのは、そういう物件とそうでない物件が混じっているクラスです。
基本的には、個別にオーナーがいて、管理組合があるようなものではなく、一人の大家さんがすべてを所有しているタイプになります。
「インターネット対応」となっている物件で比較的多いのが、大家さん名義で集合住宅全部が一本の回線に加入しており、各戸でそれを共有している、というパターンです。
この場合、各部屋にイーサネットの端子があり、手持ちのパソコンの端子をそこに接続すれば、即座にインターネットへの接続が可能になります。
即座に使用できるのは便利なのですが、自分でプロバイダや回線を選べません。
また、一本の回線を同じ建物内すべてで共有していることが多いため(ごく稀に複数回線が導入されていることがあります)、渋滞も発生しやすいという欠点があります。
ただし、共有している回線の費用負担をどうするかが面倒なので、このタイプの場合回線料金がすべて家賃に含まれており、「無料で使えます」としているケースが多く見られます。
建物全体で一本の回線を共有しているのではなく、前の住民がネット接続環境を残していった、という場合、それを利用して入居者が新規に回線業者・プロバイダと契約して接続環境を整えることになります。
この場合大規模な回線工事は必要なく、部屋の中の配線を再チェックしてモデムを接続すれば利用可能です。
導入されている回線は、ほとんどがNTTのものになります。どこの業者の回線であったかは、大家さんか不動産屋が教えてくれるでしょう。
こちらだと、回線業者は選べませんが、プロバイダは自由に選べます。
また、「無料で使える」ということはありません。
大家さんがまとめて回線契約をしているケースは、入居即利用が可能です。
そうでない場合は、契約後すぐに回線業者に連絡し、可能な限り工事日を引っ越し予定日前後に持っていってもらうことになるでしょう。
前の居住者が退去していれば、回線工事は可能です。
すでに何らかの回線が入っており、回線工事の必要がない場合は、比較的スムーズに工事を行ってもらえる可能性があります。
分譲タイプのマンションにしろ、アパートタイプにしろ、比較的スムーズにインターネット接続を導入できる集合住宅は、利用する回線を選べません。
分譲タイプは、ケーブルテレビかNTT回線のほぼ2択です。すでに工事した回線がある場合も、その回線の持ち主である業者と契約するしかありません。
関西地方においては、電力会社系のインターネット業者がある程度シェアを持っていることがあり、マンション全体がそちらに加入していた場合には、その業者を選ぶことも可能です。
いずれにしろ、自分の好きな回線業者を選ぶことはできない、と考えた方がよいでしょう。
ただし、NTTのフレッツ系の回線を利用していた場合、プロバイダは自由に選べます。
プロバイダは、新規加入者対象に各種のキャンペーンを実施しています。
その大部分はキャッシュバックを伴うものなので、有利な業者を選んで契約するといいでしょう。
インターネット接続環境がまったく整備されていない賃貸物件の場合、当たり前ですが自分ですべての手続を行わなければなりません。
この場合重要になるのは、大家さんの許可が取れるかどうか、です。
現在ではインターネット接続が当たり前になったので、「回線を導入する」と言って「いやだ」という大家さんはほとんどいなくなりましたが、それでも「壁に傷をつけるな」「穴を開けるな」という大家さんはいます。
この場合賃貸契約を結ぶ前に大家さんや不動産屋と話し合いを持ち、どれぐらいまで許容されるのかを確認しておきましょう。
新規にインターネット接続を導入する場合、申し込みから工事まで最短でも2週間程度はかかります(フレッツ光の場合)。
大家さんの許可が取れて契約書を交わしたら、即座に回線業者に連絡して工事日を手配してもらいましょう。
運がよければ、引越し日までに工事が間に合います。
そうでない場合は、最大で2週間程度(契約当日または翌日に引っ越した場合)待たされることになります。
神経質な大家さんの場合、回線工事を行った際に壁に金具を取り付けたり、穴を開けたりすることを嫌がることがあります。
インターネットへの接続手段は、入居者が誰であっても募集の際にプラスとなる要素なので、多くの大家さんは店子が引っ越しても回線撤去は行わず、そのままにすることが普通です。
この場合、壁に穴を開けたとしても、「もとに戻せ」と言われることはありません。
復元工事を行わないのに修理費だけを請求すると犯罪になってしまいますから。
また、最近のインターネット配線工事は、外部から配線する際エアコンのダクト穴などの既存の穴を利用するので、新規に穴を開けることなどは余程でもなければありません。
開けたとしても小さなものですし、後々使えるので文句を言われる可能性は低くなっています。
ただ、「ゼロではない」とも言えるでしょう。
大家さんがインターネット回線の工事に同意しない場合や、入居当日にすぐインターネットに接続したい、という場合には、「モバイルWi-Fiルーター」を利用するといいでしょう。
これらは工事がいらないので、契約したその日からインターネット接続を利用できます。
ネットを通じて契約しても、当日または翌日に発送されるので、固定回線のように2週間も待たされるということはありません。
また、格安SIMのスマホを使った「テザリング」も候補となります。これはスマホをWi-Fiルーターの代わりとして使用するものです。
現在ではインターネットへの接続環境があるかないかが、入居希望者が確保できるかどうかの大きなポイントとなっています。
このため、まったく環境が用意されていないし、新規に導入させるつもりもない、というケースは極めて稀です。
賃料が安く、築後年数が高い物件だと、インターネット接続環境が不十分なことがありますが、それでも新規導入まで許可しない、という大家さんはまずいないと考えていいでしょう。
どうしてもダメ、という場合には、一般電話回線を利用するADSLでインターネットに接続する、というのも手です。