マンションのインターネット光回線は、一戸建ての場合と比べると、少し複雑で分かりにくいかと思います。
例えば、
- いいなと思った光回線があっても、住んでいるマンションに回線が引かれていないため、申し込みできなかったり
- 料金プランが戸建てと違って、複数に分かれているため、自分に該当するプランがどれなのか分からなかったり
- ある光回線サービスの戸建てプランと集合住宅プランの違いがイマイチ分からなかったり
マンションのインターネット光回線は、一戸建ての場合と比べると、少し複雑で分かりにくいかと思います。
例えば、
といった理由で悩んでいる方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
実際、集合住宅のネット回線に関しては、「結局どこと契約すればいいのか分からない」という声が口コミ等で多数見受けられます。
そこで今回は、「マンションでおすすめのインターネット光回線はどこなのか」分かりやすく解説していきます。
まず始めに、「マンションのインターネット光回線の基本知識」を解説していきます。
最近の固定回線のネット接続は、光ファイバーケーブルを用いるものが標準となっています。
光ファイバー=光回線によるネット接続を実現するためのケーブル設備
しかし、光ファイバーが通信インフラの標準となったのは、まだまだ最近の話。(ここ5~10年くらいの話)
なので、現存する建築物で、光ファイバーが配線されていないマンションは多数存在します。
もし、光ファイバーが導入されていないマンションで光回線を利用したい場合、後から工事して配線する必要があります。
ただ、光ファイバーケーブルは、これまで使われていた電話線よりも「曲げに弱い」という特徴があるため、集合住宅の建物内部にある配管を使って配線することが困難でした。
この結果、集合住宅の光ファイバー導入は、
建物のMDF室と呼ばれる施設まで光ファイバーで引き込み、そこから先はその建物にある通信インフラ(VDSL/光ファイバー/イーサネット)を使って接続する
という形式を取ることになったのです。
最近建てられたまたは建築中のマンションは、「光回線サービス」を想定して設計・建築されています。
つまり、最初から「光ファイバーケーブル」や「イーサネットケーブル」を通すことが可能なので、光回線の利用に何の心配もいりません。
しかし、10年以上前に建てられた、現存する大多数のマンションは、従来型の電話線を配線することしか考慮されていません。
この結果、MDF室から各戸まで、従来の電話回線を使用してネット接続することになりました。
この通信方式は、「ADSL」とよく似た「VDSL」というものです。
「VDSL」は、「ADSL」よりも通信可能な距離を短くする代わりに速度を向上させる方法ですが、速度の上限は100Mbps程度になります。
少し前までの光回線は、一戸建て用も「最大速度100Mbps」で提供されていたので、ホームタイプとマンションタイプであまり大きな差はありませんでした。
しかし、最近の一戸建ての光回線サービスは「最大速度1Gbps」がスタンダード。
なので、「VDSL」方式のマンションタイプとは、大きな差(約10倍の最大速度差)がつくようになってしまいました。
基本的に、その集合住宅でどのタイプの通信方式が使えるかは、マンションの構造によって決まります。
先ほども紹介したように、建物内部の配管に電話回線しか通せないところに、光ファイバーケーブルを後から導入するのは困難なので。
これは、イーサネットケーブルでも同様です。
このため、回線業者側が
「各戸までの接続方式にはVDSL、イーサネット、光ファイバーがあります」
と言ってきても、実際その物件で利用できる接続方式は、3つのうちのどれか1種類に決まっています。
つまり、マンション内部だけでなく、マンションまでの接続方式も、特定のものしか選べないということです。
NTT東西が提供する通信回線(フレッツ光や光コラボ)の場合、電話回線と一緒に、MDF室まで光配線されているケースがほとんどです。
このため、MDF室から各戸までの通信方法さえ確保されれば「ネット回線が即開通」となります。
しかし、他の回線業者(auひかりやNURO光など)の場合、まずマンションのMDF室まで光ファイバーを引っ張ってこなければならないので、工事に少し時間を要します。
関東エリアで大人気の「NURO光」ですが、マンションで利用するまでの道のりは少し長いです。
もちろん、元からNURO光導入マンションであれば、なんの問題もありません。申し込めばすぐに利用可能。
しかし、独自回線がまだ導入されていない集合住宅の場合、同じマンション内で最低4人の「NURO光」を利用したいというユーザーが現れない限り、回線工事に取り掛かってもらえません。
また、たまに「光回線導入済みマンション」というのがあります。
これは、そのマンションに既に導入されている光回線サービスを、同じマンションに居住する人たちと共有するというものです。
利用料金の計算が面倒になるので、全て家賃に含めてしまい、名目上「利用料金0円」としているマンションも少なくありません。
こういったケースの場合、マンション側が指定する光回線以外を利用することはできません。
ただ、プロバイダについてはユーザー側に選択権がある場合もあります。
先に述べたように、マンション内部での通信方式は、マンションの構造によって固定であって、ユーザーが選ぶことはできません。
最近ではマンションのMDF室を経由させるのではなく、外部の電柱(ほとんど光ファイバーが配線されています)から直接マンションの加入者宅まで回線を引っ張ってしまおう、というサービスが普及しはじめています。
こちらは、ホームタイプと名実ともに同じサービスを受けることが可能です。
ただし、多くの業者では、このタイプのサービスを受けられるマンションに、階数制限を課しています。
ある階以上にある家の場合、電柱からの導入工事が難しいので、契約を断られてしまうのです。
それでもホームタイプと同様の接続環境を構築したい、というユーザーに対しては、電柱側に無線の親機、加入者宅に子機を据え付けて通信する、という方法を提案している業者もあります。
マンションの回線の場合、そもそもMDF室までの配線が最大速度100Mbps程度のVDSLであるため、速度が遅くなってしまうことがあります。
実はこれ以外にも、遅くなる原因があります。
ホームタイプの回線は、少なくとも電柱までは一加入者宅で独占されています。
しかし、マンションタイプはマンションから付近の地域IP網までの回線も共有されているのです。
このため、1本の回線を共有しているユーザーが、同時にインターネットに接続すると渋滞が発生します。
これは回線の接続形態に起因することなので、他の条件を変えることによって状況をよくすることはできません。
つまり、同じマンションに住んでいる他の利用者とは違うプロバイダを利用したから、渋滞から自由になれる、ということではないのです。
しかし、比較的簡単にこの渋滞を回避する方法があります。
それは、他のユーザーが利用しない空いている時間帯にネットを利用するというものです。
誰にでも可能だというものではありませんが、会社に通わず自宅で仕事をしている人などには、比較的簡単にできて効果の高い方法だと言えます。
いわゆるVDSL形式の場合、退去時に修繕費用を要求されることはまずありません。
要求される可能性があるのは、回線導入時に集合住宅のどこかに新規に工事をさせた場合に限ります。
つまり、壁に穴を開けた場合などです。
ですから、マンションではほぼ考えられず、アパート級の集合住宅に限定されます。
現在では壁に穴を開けるような工事はほとんど行われません。
外部から回線を引き込む場合でも、エアコンのダクト穴などの既存の穴を利用するケースが大部分です。
また、穴あけ等の加工を行ったとしても、インターネットへの接続手段があった方が後から入居者を募集する場合に都合がよいのでそのままでよい、とする大家さんも増えています。
退去時に修繕費用請求、というのはほぼ過去の話となった、と思っていいでしょう。
マンションのインターネット回線は、基本的にNURO光などのパフォーマンスに差のあるサービスが利用できるかどうかを調べ、そうでなければケーブルテレビとNTTフレッツ系との二択になります。
auひかりが対応している物件があった場合、こちらも候補になり得ますが、フレッツ系と比べて携帯電話の割引以外にメリットを見出しにくくなっています。
現状では、無理してau光を選ぶよりも、フレッツ系を選んだ方が有利です。
ケーブルテレビ系は、テレビとセットでなければ申し込めませんが、セット時でもフレッツ系のホームタイプ程度の価格にしかなりません。
このため、割安感はかなりのものになります。
ただし、ケーブルテレビのインターネット接続はあまり高速ではないことが多く、その上渋滞も頻繁に起こります。
テレビとセットでとにかく安く済ませたい、というユーザー向けだと言えます。
また、マンションのインターネット接続の場合、もともと回線やプロバイダの選択の余地があまりないので、お得なキャンペーンを選んで業者を決める、というのがホームタイプよりも難しくなっています。
ただフレッツ回線を使っていた場合だけは例外で、光コラボを含め多彩なプロバイダを選択可能です。
このケースに限り、有利な条件を求めての「乗り換え」ができます。
基本的に、マンションに済む住人に対して、ネット回線業者またはプロバイダが営業に来ることは考えられません。
マンションの場合、まず建設時にケーブルテレビの回線が引き込まれており、居住者はそれを使ってインターネットに接続することができます。
さらに、独自の光回線が導入されている場合、回線業者はそのマンションに居住しているユーザーをほぼ独占的に囲い込めます。
こうした事情があるため、第三の業者が飛び込みで営業を行っても、成功する可能性はほぼないのです。
マンションに対する営業は、基本的には居住している個人に対してではなく、管理組合に対して行われます。
管理組合がうんと言わないと、導入工事すらできないからです。
そういう数々のガードをかいくぐってやってくるセールスマンがいたとしたら、事情を知らない大馬鹿者である可能性大です。
必ずと言っていいほどトラブルを引き起こしますから、早々に追い返してしまいましょう。
月額料金 | 3,800円 |
速度 | 70~100Mbps(VDSL) |
電話サービス | 500円 |
エリア | 東海地方・沖縄を除く全国 |
携帯割引 | au |
キャッシュバック | 他業者違約金最大30,000円還元 |
一戸建て用としてはかなり普及しているauひかりですが、集合住宅向けは対応物件以外の導入が難しく、苦戦しています。
東海・沖縄はサービスエリア外ですが、代用としてコミュファ光・auちゅらが選択できます。
月額料金 | 3,800円 |
速度 | 100Mbps(VDSL) |
電話サービス | 500円 |
エリア | 全国 |
携帯割引 | ソフトバンク |
キャッシュバック | 引っ越し・乗り換えの工事費無料 |
光コラボレーションサービスの一種で、フレッツ光の回線が導入されている物件(つまりほとんど)で利用できます。
ソフトバンクの運営なので、ソフトバンクのスマホ・ケータイの割引サービスが利用できます。
月額料金 | タイプA 4,000円 |
速度 | 100Mbps(VDSL) |
電話サービス | 500円 |
エリア | 全国 |
携帯割引 | ドコモ |
キャッシュバック | dポイント10,000円分 |
ソフトバンク光同様光コラボレーションの一種で、速度面等の条件は他の光コラボレーションサービスと同じです。
こちらはブランド名通りドコモの運営なので、ドコモのスマホ・携帯電話の割引サービスが特典としてつきます。
月額料金 | 共有10人以上で1,900円 |
速度 | 2Gbps |
電話サービス | 500円 |
エリア | 関東圏内の対応物件のみ |
携帯割引 | ソフトバンク |
キャッシュバック | 12ヶ月間料金割引等 |
新世代の曲げに強い光ファイバーを使用しているため、マンション内の配管を通すことができ、部屋まで光ファイバーでの接続を可能としています。
ただし、マンションタイプは他の部屋との共有が前提なので、ユーザーが一斉に接続する場合は速度が低下します。
スマホ・ケータイの割引はソフトバンク端末に対して行われます。
月額料金 | 3,524円 |
速度 | 非公開 |
電話サービス | 0円 |
エリア | 畿内 |
携帯割引 | au |
キャッシュバック | なし |
関西電力系のサービスで、利用できるかどうかはマンションに回線が導入されているかどうかで決まります。
NTT回線も導入されている場合は、フレッツや光コラボと比較して有利なサービスを選択できます。
月額料金 | 2,630円 |
速度 | 100Mbps(VDSL) |
電話サービス | 300円 |
エリア | 東海地方 |
携帯割引 | au |
キャッシュバック | 30,000円 |
中部電力が提供する電力系インターネットサービスですが、auひかりの東海地方での補完の役割も果たしています。
プロバイダはso-netのみしか選べませんが、so-netが実施しているキャッシュバックキャンペーンの適用を受けられます。
月額料金 | 4,533円(テレビ込み) |
速度 | 320Mbps |
電話サービス | 1,330円 |
エリア | 全国都市部 |
携帯割引 | au |
キャッシュバック | 乗り換えで最大30,000円 |
ケーブルテレビ系のインターネット接続サービスです。
320Mbpsという速度はホームタイプの光回線と比べるとかなり遅めですが、他業者のマンションタイプ(VDSL)よりは高速です。
ネット接続だけを単独で選択することはできず、テレビとのセット加入という形になります。
①基本情報
月額料金 | 4,000円 |
速度 | オール光タイプ1Gbps、VDSL100Mbps |
電話サービス | 500円 |
エリア | 四国 |
携帯割引 | au |
キャッシュバック | 最大30,000円 |
四国の電力会社系のサービスです。
対応物件は限られますが、マンションであっても1Gbpsでの接続ができる「オール光タイプ」が用意されています。
auスマートバリューに加入しているので、auスマホ・ケータイユーザーは割引の適用を受けられます。
月額料金 | 16戸以上4,100円 |
速度 | 1Gbps(ギガコース) |
電話サービス | 500円 |
エリア | 九州 |
携帯割引 | au |
キャッシュバック | 月額料金割引等 |
九州電力系のサービスです。
集合住宅であっても1Gbpsの速度が出せる「ギガコース」と、集合住宅の各戸に直接光ファイバーケーブルを導入する「マンションダイレクトタイプ」が用意されています。
集合住宅の「ギガコース」の対応状況は物件によって異なります。
現時点ではマンションタイプの屋内配線はVDSLが主流ですが、新築物件を中心に最初から光配線されたものも増えています。
また、光ファイバーケーブルも改良され、既存の通信配管を通すことができるものも増えました。
ここ数年の間には、「マンションタイプの最高速度はVDSLの上限の100Mbps前後」という常識も過去のものとなるかも知れません。