光回線業者のホームページを見ると、マンションと一戸建てでは料金が異なり、マンションの方が低く設定されています。
これはどうしてでしょうか。
また、安いなりにデメリットなどがあるでしょうか。
そんな疑問に、ずばり答えます。
光回線業者のホームページを見ると、マンションと一戸建てでは料金が異なり、マンションの方が低く設定されています。
これはどうしてでしょうか。
また、安いなりにデメリットなどがあるでしょうか。
そんな疑問に、ずばり答えます。
「マンション」と一言に言っても、その中身は割と複雑です。
ネット環境という観点から見ると、まずそのマンションの建物全体がひとりの大家さんまたは管理会社の所有であるのか、戸別に分譲されているのかで変わってきます。
マンションのインターネット回線の典型的なパターンは、マンションの建物全体に光ファイバーケーブルを引き、それを各戸に分配して使用するというものです。
これは、分譲タイプのマンションでよく使われます。
というか、分譲マンションでの光回線の利用は、この形態か、各戸の利用者が独自に電柱などから光ファイバーを直接部屋の中に引き込むといった利用方法しかあり得ません。
建物全体がひとりの大家さんや管理会社の所有であった場合、インターネット接続契約を建物全体で行い、各部屋にイーサネットコネクタを配して接続させる、という方法がプラスされます。
このパターンの場合、特に手続きをしなくても入居後すぐにインターネットを利用できます。
利用料金は家賃に含められているケースが大半です。
いずれのケースにおいても、建物全体に導入されている回線はあらかじめ決まっており、それをユーザーの好みによって変更することはできません。
auひかりやNURO光の場合、居住者内の有志がまとまって導入希望を管理組合等に出せば、回線業者と管理組合で話し合いが行われ、新規に導入される可能性が出てきます。
ただし、話し合いをしたからと言って必ず可決されるとは限りません。
むしろ、「すでにNTT回線があるのになぜ増やさなければならないのか」と否決されてしまう例の方が多いでしょう。
導入に成功するのは、利用を希望する人たちが粘り強く管理組合側を説得した場合に限られると思われます。
このような事情ですので、ほとんどの集合住宅においては、選べる回線があらかじめ決まっており、他の回線は事実上選べないようになっています。
マンションへの光回線の導入という面で、他業者を一歩リードしているのはNTTです。
近年新築される物件の場合、最初からNTTの光回線が建物全体に接続されているというケースも珍しくありません。
次に対応が進んでいるのは、主に関西圏でサービスを提供している各種の電力会社系の回線業者です。
電線はインターネット接続以上に重要なインフラですから、これとともに光ファイバーを導入させやすいのです。
逆に不利なのは、後発のauひかりやNURO光などです。
これらの場合、運良くすでに回線が導入されている物件でなければ、利用は難しいと考えるべきでしょう。
上で説明したように、マンション内で新たに有志を集めて交渉を行えば導入される可能性は出てきますが、いつ導入されるか時期の保証はできません。
下手をすれば一年ぐらい管理組合と交渉しなければならないことがあります。
このような回線業者の場合、いかに料金プランが魅力的なものであっても、建物全体に大本になる回線を導入できなければ、選ぶことはできません。
また、戸別に直接導入するタイプの回線の場合、マンションの階数制限があります。
同じマンションでも、低層階なら導入可能ですが、高層階だと無理だ、と断られることがあるのです。
光回線は基本的に、建物単位で導入することになっています。
一戸建ての場合には一本の光ファイバーケーブルを直接引き込むことになり、集合住宅の場合はまず建物全体にケーブルを引き込み、それを分配することになります。
なお、集合住宅に引き込まれる光ファイバーケーブルは一本だけとは限りません。
一本のケーブルを共有できる上限戸数が決まっているので、マンション内の部屋数がこの上限より多い場合は、一本あたりの共有数が上限を超えないように、複数のケーブルを引き込むことになります。
一戸建ての場合、一本のファイバーを一家庭で独占して使うことになります。
しかし集合住宅だと一本のファイバーを最大16戸程度で共有することになるのです。
一戸建てと集合住宅向けでプランが分かれているのは、このような理由によります。
どの回線業者でも、集合住宅向けのプランは一戸建て向けのプランよりも安価に設定されています。
これには、以下のふたつの理由があります。
まず、集合住宅向けの回線は、一戸建てよりも低速であることが多いのです。
「光回線」というものの、多くの集合住宅で光回線化されているのは、建物の地下などにあるMDF室までです。
ここから各戸へは、そのマンションの状態によって配線形態が異なります。
集合住宅では、建築時にコンクリートの中に管が埋め込まれ、そこに電力線や電話線などが通されます。
ところが、かつての光ファイバーケーブルは曲げるのが難しく、電話線用の配管を通すことができなかったのです。
このため多くのケースで、各部屋とMDF室との配線は、既存の一般電話回線を利用することになりました。
この部分での通信は、VDSLという方式で行われます。
VDSLはADSLと同様の技術ですが、有効通信距離がADSLより短い代わりに、速度を高めることができるようになっています。
とはいうものの、その最高速度は100Mbps程度です。
現在、一戸建て向けの光回線の速度は最高1Gbpsが普通となっていますが、集合住宅向けはこの1/10程度しか出ないのです。これがマンション向けプランが安価になる理由その1です。
もうひとつの理由は、集合住宅では一本の光ファイバーを一戸で独占しているわけではなく、複数戸で共有していることにあります。
複数戸で共有していても、他の利用者がインターネットに接続していない時は、速度低下はありません。
しかし、同時に複数の利用者がインターネットにアクセスすると、渋滞が発生して速度低下が発生する恐れがあるのです。
全体的に、集合住宅用の光回線は、一戸建てよりも速度的に遅くなる可能性が高いので、利用料金が安めに設定されていると言えます。
インターネット接続提供業者には、「サービス提供エリア」というものがあります。
NTTの場合、サービス提供エリアは東西合わせるとほぼ全国をカバーします。
しかし、auひかりの場合東海地方や沖縄が抜けています。
また、電力会社系の光回線サービスの場合、提供エリアは親会社の電力会社の営業範囲よりも内側になります。
電力会社系の場合、送電用の鉄塔などを利用して光ファイバー網を構築しているのですが、営業範囲外だとこの鉄塔がなくなってしまうので、光回線のサービスも提供できないのです。
ちなみに、auひかりの場合、東海地方はコミュファ光、沖縄はauちゅらにカバーさせ、擬似的に全国でのサービスを提供していることになります。
サービス提供エリアの中であれば、どの会社の回線であろうと契約できるわけではありません。
大前提として、マンションの建物全体に、目的の会社の回線が導入されている必要があります。
分譲タイプのマンションの場合、ほとんどが何らかの光回線を導入していますが、大部分はNTTのものです。
NTTしか導入されていないところに、auひかりやNURO光を新規に導入するのは困難ですし、時間もかかります。
NURO光では、集合住宅ユーザー向けに、建物ごとの対応状況を検索できるようにしています。
まずはこうしたページを使い、自分の建物が目的の回線に対応しているかどうかを確認しましょう。
マンションにより、使える回線は事実上固定されていますが、回線業者によって月額料金等には差が出てきます。
また、業者によっては割引キャンペーンなどを実施し、他社と差別化を図っていることがあります。
一般的に、月額料金はNTT系よりも電力会社系の方が安価になる傾向があります。
なお、NTT系の場合、プロバイダを自由に選べ、価格的に有利な契約を結ぶことができます。
これはフレッツ光・光コラボレーションどちらでも共通ですが、回線・プロバイダ料金がセットになる光コラボレーションの方がお得度が高くなる傾向があります。
auひかりは、プロバイダを選べますが、どこのプロバイダを選んでも月額利用料金は同一です。
マンションに導入されている回線が電力会社系のものである場合、サービス選択の自由度はほぼありません。
この場合、回線業者がプロバイダも兼ねていることがほとんどだからです。
従って、この業者が各種のキャンペーンを実施していなければ、その恩恵を受けることはできません。
上に書いた通り、NTT系の場合プロバイダを選択でき、プロバイダごとに異なるキャンペーンの適用を受けることができます。
なお、プロバイダの契約は各種代理店や家電量販店の店頭などでも行なうことができますが、事情をよく知らない業者に任せてしまうととんでもないことになることがあります。
必ず自分自身で公式サイト等を通じてプロバイダに直接連絡し、調査をしてもらうようにしましょう。
マンションの光回線は、直接導入方式以外は他の利用者と共有する形になります。
このため、同じ時間帯に利用者が集中すると、渋滞が発生して速度が低下します。
なお、この渋滞は回線レベルで発生するので、プロバイダを変更しても緩和することは不可能です。
渋滞を避けるには、混みそうな時間帯を避けてインターネットを利用するしかありません。
訪問販売の勧誘は、分譲式マンションの場合まず来ません。
分譲式マンションの場合、回線がほぼ決まっており、セールスマンが自分のところの商品を売り込む余地がそもそも少ないからです。
ただし、すでに何らかの回線を利用している場合「有利な回線に乗り換えませんか」と提案してくることはあり得ます。
どちらかというと、これは訪問販売よりも電話勧誘の方が多いでしょう。
マンションタイプの回線サービスの場合、回線工事とはいっても各部屋までの配線は終わっていますので、物理的な工事は伴いません。
VDSLモデムなどの装置を持ち込み、導通試験をするだけです。
従って、退去時に回線撤去工事が必要になることもありません。
工事が必要なのは、各部屋にダイレクトに回線を導入したケースだけです。
この場合も、配線はエアコンのダクト穴を通すなど、建物に極力加工を施さずに済むように行われます。
しっかりした作りのマンションの場合、壁はかなり分厚いコンクリートとなっていますから、後から穴を開けること自体そもそも困難です。
エアコンダクトが使えない場合、窓に追加パーツを入れ、隙間を作ってそこから引き込むなどという工事が行われます。
従って、名実ともに「マンション」ならばまず原状回復が必要になるような工事は行われません。
工事が行われない以上、修繕費用も請求されません。
こうした工事が行われる可能性があるのは、いわゆる「アパート」になります。
月額料金 | 3,800円 |
速度 | 70~100Mbps(VDSL) |
比較的安価に利用できる光回線ですが、マンションそのものがすでにauひかりに対応していないと導入できないという欠点があります。
光電話を追加すると、auのスマホ・ケータイの月額料金が割引になるという特典があります。
月額料金 | 3,800円 |
速度 | 100Mbps(VDSL) |
NTTのフレッツ光の回線を使い、ソフトバンクがプロバイダとして契約・料金徴収を一括する「光コラボレーション」の一種です。
光電話を追加することにより、ソフトバンクのスマホ・ケータイ料金を下げることができます。
月額料金 | 共有10人以上で1,900円 |
速度 | 2Gbps |
後発業者であるため、マンション内部の配管を通すことのできる新世代の光ファイバーを使用しています。
このため、従来VDSL接続だった集合住宅でも光ファイバーで接続し、最大2Gbpsの速度を実現しています。
問題は提供エリアが関東限定で、対応物件の数が少ない点です。
月額料金 | 3,524円 |
速度 | 非公開 |
関西電力系のサービスで、利用できるかどうかはマンションに回線が導入されているかどうかで決まります。
NTT回線も導入されている場合は、フレッツや光コラボと比較して有利なサービスを選択できます。
月額料金 | タイプA 4,000円 |
速度 | 100Mbps(VDSL) |
ソフトバンク光と同じく光コラボレーションサービスの一種です。速度等の通信条件は、ソフトバンク光(他の光コラボ系全部とも)と同じです。
ドコモのスマホ・ケータイ料金の割引サービスがつくので、ドコモユーザーはこちらを選ぶと有利でしょう。
マンション向けの光回線の選び方は、一戸建て向けほど自由ではありません。
複数の業者を比較し、有利なキャンペーンを実施しているのを選ぶというのは、フレッツ光系の回線を使っている場合か、フレッツと電力会社系の回線の両方が選べる場合に限られます。
なお、分譲タイプのマンションの場合、ケーブルテレビ局のインターネット接続サービスも候補となります。
ケーブルテレビ局の場合速度は遅くなることが多いのですが、テレビとセットにした場合の月額料金は破格なので、何よりも安さを求めたいという時にはお薦めです。