いきなり家に「フレッツ光の営業です」と名乗って電話をかけてきたり、訪問してくる業者があります。
割と話がうまいセールスマンが多いので、つい契約してしまったら後でとんでもないトラブルに巻き込まれた、というケースが頻発しています。
この手口と、防止方法を説明しましょう。
いきなり家に「フレッツ光の営業です」と名乗って電話をかけてきたり、訪問してくる業者があります。
割と話がうまいセールスマンが多いので、つい契約してしまったら後でとんでもないトラブルに巻き込まれた、というケースが頻発しています。
この手口と、防止方法を説明しましょう。
インターネット回線の契約は、NTTなどの回線提供業者と、プロバイダと呼ばれる論理的接続サービスを提供する業者の2者と行なうのが普通です。
ただし、勧誘を行っているのはこの2種類の業者だけではありません。
契約の仲介だけを行っている「代理店」という業者が存在するのです。
回線業者・プロバイダは販売促進・営業だけのために専門の社員を雇用するのはコスト的に無駄だ、と考えています。
このため営業活動をアウトソーシングしよう、という発想になったのです。
回線業者・プロバイダは顧客の獲得を代理店に依頼し、代理店が一定数の顧客を集めてきたら、それに対して報奨金を支払います。代理店はこの報奨金により運営されているのです。
どの回線業者も、新しいサービスを開発した時は、そのサービスを普及定着させるために営業に力を入れます。
特にフレッツ光の場合、最初の全国規模の光ファイバー接続サービスであったため、多少赤字が出てもADSLなどの既存サービスのユーザーを早期に移動させ、インターネット接続のスタンダードとしての立場を確立する必要があったのです。
このため、NTTでは営業代理店を使い、盛んに営業活動を行いました。
「フレッツ光の営業は儲かる」という話が業界内に流れましたので、有象無象が参入するようになります。
その結果、悪質な業者も増加してしまった、ということなのです。
なお、現在ではフレッツ光は基本的には中小企業や自営業者向けのサービスと位置づけが変わっており、個人向けのサービスは「光コラボレーション」と呼ばれるものに移行しています。
しかし、今度はこの光コラボレーションを取り扱う代理店が増え、相も変わらずトラブルを引き起こしています。
ユーザーにとって、代理店を通して契約をするメリットというのは、代理店独自のキャッシュバック等のキャンペーン特典を受けることができる、という点に尽きます。
ところが、電話や訪問販売経由の契約の場合、そもそもキャンペーンを実施していない・実施していても極めて額が少ない、というパターンが大部分なのです。
キャンペーン特典の財源は、回線業者やプロバイダから代理店が受け取る報奨金となります。
ところが電話勧誘や訪問販売の場合、報奨金の大部分はセールスマンの人件費になります。
代理店の場合、他に収入源はありませんから、当然と言えば当然でしょう。
電話勧誘・訪問販売の代理店は構造的にほぼすべてがブラック企業で、従業員の待遇を悪化させることによって利益を上げるビジネスモデルとなっています。
それでも営業の効率が悪くなると財政危機に陥りやすく、とてもではないですが顧客向けのキャッシュバック用に資金をプールすることなどできなくなるのです。
酷い場合には、キャッシュバックを約束していながら、いざ支払うという段階になったら資金が枯渇してしまったので「なかったことにしてください」となることもあります。
もっともきちんと「なかったことにしてくれ」ということはまずなく、黙って無視されてしまうわけですが。
代理店はキャッシュバック等を餌にユーザーを釣るわけですが、できればお金をユーザーに払いたくない、と考えています。
ちゃんとした商常識を持っている企業であれば、思っていても実際に不払いで済ませようとはしないのですが、元がブラックなので、ユーザーの利益を守り信頼関係を構築しようという意識が希薄なことが多いのです。
このため、チラシなどでは大きくキャッシュバック金額を印刷しているけれど、それを獲得するためには各種の有料オプションへの加入が必要、となっているケースがよく見られます。
もちろん、有料オプションが必要だということは、小さく目立たなく書かれています。
ネットなどで営業をしている代理店の場合、こうした条件を書かないと行政から指導されてしまいますので、ページ内部をよく探せば必ず見つけることができます。
ただし、証拠が残らない電話勧誘や訪問販売の場合、説明をせずに契約を取ってしまう、ということがよくあるのです。
こうしたケースの場合、キャッシュバックを受け取ることはできたが、有料オプションが大量について月額料金がかさみ、キャッシュバックの旨味が消えてしまった、ということになります。
有料オプションの大部分は、後から解除することが可能な場合が多く、解除してもキャッシュバック条件が消えないことが多いので、自分で解除すれば被害を最小限に抑えられます。
代理店の仕事は、契約を勝ち取って回線業者から報奨金を貰えばそれで終了です。
その後回線業者やプロバイダとユーザーの関係がどうなろうと知ったことではありません。
このため、悪質な業者の中には、回線業者から報奨金をもらうことのできる条件を満たしたら、それ以後の仲介業務をすべてやめてしまい、連絡を絶ってしまうところがあります。
この場合、いくら待っていても工事の連絡が入らない、などといったトラブルが発生します。
ただし、工事まで進んでしまえば後は回線業者・プロバイダとユーザーとの間の問題なので、「開通してないのに毎月回線料金を取られてしまう」といったことはありません。
プロバイダの場合は、開通していないのに月額料金を取られてしまうということがあり得ますが、回線料金・プロバイダ料金が個別になっているところは(フレッツ光など)そもそもプロバイダ料金が比較的低額なので被害は小さめですし、変な引き落としがあったらすぐプロバイダに連絡して解約することが可能です。
現在のネット回線の主流は、月額利用料金を比較的少なめに設定するが、その代わり契約期間を設定し、定められた更新月以外に解約しようとすると違約金を請求される、というものになっています。
この違約金の設定は、多くの場合プロバイダレベルでなされています。
ところが、電話勧誘や訪問販売の場合、利用者にとって有利だと思われる点についてはくどいほどに説明するのですが、違約金のようなデメリットを伴う事項は説明を省略しがちです。
これが「聞いたことのない違約金を請求された」ということに繋がります。
それでも訪問販売の場合、説明事項のチェックシートが用意されており、ユーザー側が気をつけていれば違約金のような不利な事項の説明もきちんとなされたかどうかを確認できます。
電話の場合はチェックシートなど参照できないので、極めて危険です。
なお、違約金については代理店が仲介した回線業者やプロバイダのホームページには明記されている(しないと行政指導が入ります)ので、後からチェックすることは可能です。
代理店の仕事は、回線業者やプロバイダとユーザーとの契約の仲介です。
それ以外の仕事を請け負うことは原則的にありません。
ですから、開通後のサポートは回線業者やプロバイダの仕事となります。
光コラボレーションのように、回線・接続契約がプロバイダに一本化されているサービスの場合、窓口はプロバイダになります。
代理店が開通後何の関与もしなくなるのは当たり前のことなので、こちらに問い合わせをしようとすること自体が間違いだ、とも言えます。
開通しさえしていればプロバイダは面倒を見てくれるので、代理店などをあてにはせずプロバイダに連絡しましょう。
ただし、代理店は「回線のことは全部任せてください」などという感じで大口を叩くことが多いので、開通後は一切ノータッチ、という態度を取られるとユーザーとしては不愉快に思うのも自然なことだと思います。
インターネット回線のトラブルで特に多いのが、電話勧誘や訪問販売を通じて契約したケースです。
これに対しては「電話勧誘・訪問販売には絶対に応じない」という態度を取ることで対処しましょう。
電話勧誘や訪問販売では、ユーザーの側に条件についてよく考える時間を与えられないことが多く、相手のペースに乗せられて不利な条件で契約をさせられがちです。
特に、電話利用の場合「電話代がかかっている」というプレッシャーを感じる人も多く(払っているのは代理店側でえあるにもかかわらず、です)、早く電話を終わらせるために話をよく聞かずに契約してしまう、などということすらあります。
実は電話勧誘や訪問販売は営業コストが高く、ユーザーに対してキャッシュバック等の特典が与えられることがほとんどありません。
セールスマンがキャッシュバックがどうこうと言ったとしても、それは代理店ではなく回線業者やプロバイダが実施しているキャンペーンについての話だったりします。
この場合は、代理店を通さずにその回線業者・プロバイダのセットをネットなどで申し込めば同じキャンペーンの適用を受けることが可能です。
代理店を通す意味は全くと言っていいほどありません。
各種代理店には、NTTなどの回線業者から正規に委託された代理店と、非正規の代理店があります。
正規代理店であれば絶対に信頼できるかというとそうでもないのですが、少なくとも一定期間営業活動を続けていることや所在地が虚偽ではないことなどは確認できます。
非正規代理店の場合経歴や所在地なども謎のままという極めてカオスな状況になることもあります。
こうした業者の口車に乗ることは、断崖に向かってバンジージャンプすることと同等以上の危険をはらむと考えた方がいいでしょう。
スマホなどの携帯端末や、パソコンなどがある場合は、業者名を聞いた直後に検索をかけ、その業者が持つホームページを確認しましょう。
ホームページがあれば、とりあえずセールスマンが恒常的に営業を行っている業者に属している、ということだけは確認できます。
つまり契約後開通もしていないのに連絡を絶たれる、ということは避けられそうだということになります。
ホームページすら持たない企業は、先の項目で説明した「バンジージャンプ系」ですから、即座にお引き取りを願いましょう。
単にホームページがあるだけでなく、その業者に対する口コミ情報があるのなら、さらに信頼性のチェックを深いレベルで行なえます。
ただ、口コミ情報は存在したとしてもほとんどの場合悪口であると想像されます。
それぐらい、電話勧誘や訪問販売の業者の信頼性は低いのです。
説明が不十分だったり虚偽の説明を受けたりした場合は、公的な機関に被害を受けたと連絡しましょう。
地方公共団体から国家の機関まで、さまざまなところが契約のトラブル報告に対応していますが、最も効果があるのは消費者センターや情報通信関係の監督官庁である総務省でしょう。
これらの機関では、電話による通報だけでなく、ホームページからの通報にも対応しており、「総務省 トラブル」や「消費者センター トラブル」などのワードで検索が可能です。
インターネット回線は、クーリングオフ制度の適用対象です。
このため、契約書を交わした後でも一定期間内であれば、無条件に契約を破棄することが可能です。
これはもともと、強引な勧誘方法などで利用者が被害を受けたりしないように作られた制度なので、最大限に利用しましょう。
訪問販売などで、相手がしつこい場合には、とりあえずその場で契約書にサインしてお引き取りを願い、セールスマンが帰ったら即座にクーリングオフで契約を破棄する、という技が使えます。
訪問販売の場合、説明事項に関するチェックシートが用意されており、訪問販売員はそのすべてにチェックを入れてもらい、サインしてもらわなければ契約を有効にしてもらえません。
このチェックシートにはユーザーにとって不利となる内容でもしっかり説明したか、という項目がありますので、チェックする前に、「もう一度不利になるケースについて説明してください」とセールスマンに聞くことが可能です。
セールスマンの態度が強引で、説明が聞けなかった場合には先のクーリングオフを利用しましょう。
電話や訪問販売によるセールスは、ユーザーにとって経済的な利益がないばかりではなく、頻繁にトラブルを引き起こします。
このため基本的には「これらには応じない」という態度を取ることが大事です。
電話の場合、それがインターネットの回線勧誘だとわかった時点で「そういうの結構です」と言って切ってしまいましょう。
人によっては、「これを断ると電話の契約や今のネット契約に悪影響があるのでは?」と思ってしまうかも知れませんが、相手はNTTやその他の回線業者ではなく代理店に過ぎません。
代理店との関係がどんなに悪化しても、今ある通信サービスの内容に影響は出ません。
訪問販売については、基本的にインターホンで対応して家の中に入れないようにするのが重要です。
ちょっと怖い感じの人でも、一度きちんと断れば、あっさり引き返してくれます。
売る方にすると、脈のない人にしつこく迫るよりも、次のカモを探しに行った方がノルマを達成しやすいからです。
ただ、ちょっとでも甘い顔をしてしまうと「こいつは落とせる」と思い込まれ、契約書に判子を押すまで粘られる可能性があります。