法律

消費税の中間納付の仕組みとは?予定申告方式と仮決算方式について解説!

消費税はどんなものにもかかってくるので、日常生活と密接に関わっている税金です。

事業者は、消費者から預かった消費税と、支払った消費税との差額を税務署に納めなければなりません。

一般的には、税金を納める時期は決算や確定申告の時期が多くなっていますが、消費税には中間納付というシステムがあり、条件によっては年度の途中に消費税を申告し、納付を行わなければならないとされています。

一度に消費税を支払うとなると、経営状態によっては難しい場合もあります。

そうなると納付されない可能性があることから、確実に消費税を納付してもらえるようにと考えられた制度であると言えます。

ここでは消費税の中間納付の仕組みと、その計算方法について解説していきます。

消費税とはどのような税金?

消費税とは、ものやサービスなどを消費したときにかかる税金のことをいいます。

一般消費税とも呼ばれ、タバコやお酒などの特定の消費財にかかる個別消費税と区別されています。

また、税金には「直接税」と「間接税」があります。間接税とは、税金を支払う人と納める人が異なる税金のことをいいます。

例えば本屋さんで本を買ったとき、消費税を収めます。あなたが支払った消費税を後日税務署に納付してくれるのは本屋さんです。

このように、支払う人と納める人が異なる人のことを間接税と呼んでおり、消費税も間接税のひとつとなっています。

消費税の10%への増税はいつになるの?

消費税の増税が延期されましたが、平成28年6月1日に、消費税10%への増税は「平成31年10月」に行われると発表されました。

しかし、今まで同様、また延期されることがあるかもしれません、

消費税は年1%につき2.7兆円の税収増になると言われています。

消費税は法人税のように、その企業の業績によって左右される税金ではないため、安定した税収が見込めますので、今やなくてはならない税収といえます。

消費税が5%から8%に引き上げられたときは、税収の増収分は5兆円であり、全額社会保障の財源にするとされていました。

しかし、社会保障のための財源とはいっても、実際には「社会保障の充実」のために使われるのはたったの1割にすぎず、残りの9割は赤字の穴埋めや制度の安定化に使われています。

消費税が10%になれば税収は14兆円に増え、社会保障費の充実に使われる金額も2.8兆円に増えると予想されていますが、それでも社会保障費の不足分は19兆円以上にのぼると言われています。

膨れ上がっていく社会保障費をどうするのか、というところが今後の課題でもあります。

消費税の中間納付の仕組みとは?予定申告方式の場合は納付書で支払う

消費税の中間報告とは納税制度の一つであり、年度末を待たずに、途中で前年度の納税額に応じて消費税を支払うという仕組みです。

消費税の納付時期を分散させることによって、より確実に消費税を納税してもらおうという目的があります。

予定申告方式では、前年度の消費税納付額によって中間報告の回数と納付額が決められており、税務署から納付書が送られてきます。

中間申告と消費税の納付は同時に行わなくてもよいこととなっています。

①前年度の消費税納税額が48万円以下だった場合

この場合は消費税の中間納付を行なう必要がありません。

しかし、今後消費税率がアップした場合、同じような売上高であっても、消費税の中間納付の最低ラインである48万円を超えてくる可能性がありますので、消費税率が上がったときは注意が必要です。

②前年度の消費税納税額が48万円以上400万円以下の場合

この場合は、1回の中間申告を行い、前年納税分の2分の1を納税する必要があります。

申告期間は年度開始から6ヶ月です。

納付期限は、各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内となっています。

③前年度の消費税納税額が400万円以上4800万円以下の場合

この場合は、年に3回の中間申告を行い、前年納付分の4分の1を納税する必要があります。

申告期間は年度開始から3ヶ月ごととなっています。

納付期限は、各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内となります。

④前年度の消費税納税額が4800万円以上の場合

この場合は、年に11回の中間申告、つまり毎月申告を行い、前年納付分の12分の1ずつを納める必要があります。

納付期限は、年に1回や3回の場合と同様、中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内となっています。

消費税の仮決算方式とは?その中間納付金額の計算の仕方は?

消費税の中間納付の計算の仕方は二通りあり、予定申告方式と仮決算方式があります。

予定申告方式

予定申告方式は上記で説明したように、前年度の消費税納税額をもとにした税額が記載された中間納付書が送付されてきて、それを使って中間申告の税金を納める方式です。

仮決算方式

二つ目は仮決算方式で計算する方法です。

仮決算方式とは、たとえば中間申告時期が半年だった場合、その半年間をひとつの事業年度とみなして支払った消費税と預かった消費税を通算して、消費税を納付するやり方です。

仮決算方式は、消費税を詳しく計算する手間がかかる

仮決算をしなければならないため、消費税を詳しく計算する手間がかかります。

しかし、事業状況が悪化しているケースでは、この仮決算方式を採用した方が中間申告納付額を抑えることができ、経営に与えるダメージを最小限に抑えることができます。

例えば前年度に比べて売上が急激に減少している場合や、資金繰りが苦しいといった場合などはこの方式が適しています。

なぜなら、前期の実績に応じた税金を支払うより、今期の悪化した業績に基づいて消費税を計算した方が、中間納税額が低く抑えられるからです。

例えば、今年の最終の消費税納付額が70万円で、前年度の消費税納付額が100万円だった場合を考えてみましょう。

予定納税方式では、前年度の年間納付額が48万円以上400万円以下に該当しますので、この場合、税務署により送付されてくる納付書では、中間納税額は前年度の2分の1、つまり50万円と記載されているので、中間申告では50万円を支払うことになります。

仮決算方式にすると、業績が悪い場合は売上が少ないということですので、売上に対する経費の割合が多くなり、計算してみると30万円になったとします。

この場合、中間申告では、50万円よりも20万少ない納付額でよいこととなります。

その方が得ですし、もしも資金繰りが悪い場合は、この20万円を支払わなくてよいことで経営的にはかなり楽になりますから、メリットがあります。

では、その半年後の決算時点ではどうなるのでしょうか?

例えば、今年の消費税納税額の確定額が最終的に70万円となった場合、予定納税では70万円―50万円(中間申告納付分)=20万円を支払うこととなります。

仮決算方式で中間納付していた場合は70万円―30万円=40万円となり、40万円を支払うこととなります。

1年間を通して考えると、予定納税方式でも仮決算方式でも納付する消費税の合計金額は変わりません。

しかし、中間申告の時点で多額の消費税を支払わなくてよいということが、資金繰りを考えたときにはかなりのメリットとなります。

納付書が送られてきた時点でまず仮決算方式で消費税を計算してみて、どれくらい差額がでるのかということを比較してから納付する方法を選ぶことができます。

前年度と売上が変わらないか、逆によくなっている場合などは郵送されてくる納付書で納付すればよいでしょう。

消費税の中間申告、仮決算方式では消費税の還付を受けられる?

注意すべき点は、仮決算方式による中間申告で、支払った消費税の額が預かった消費税より多かった場合でも、消費税の還付が受けられないということです。

その課税期間について納付すべき税額が発生するか、それとも還付金が発生するかということについては確定申告によって初めて確定するものですから、仮決算による中間申告額がマイナスとなった場合であっても中間申告において還付を受けることはできないと定められています。

一年を通して最終的に納付した消費税が多かった場合にはじめて還付を受けることができます。

なお、仮決算方式における場合でも、中間申告の回数は、予定納税方式と同じように、前年度の消費税納付額によって決定されます。

(48万円以上400万円以下だった場合は年1回、400万円以上4800万円以下は年3回、4800万円以上は年11回)

消費税の中間申告を仮決算方式で行う場合の提出物とは?

法人税などの中間申告はせず、消費税の中間申告のみの場合は、決算時に提出するいつもの「消費税及び地方消費税申告書」と「付表」のみで大丈夫です。

決算申告のような貸借対照表、損益計算書、科目内訳書のような書類は必要ありません。

消費税の中間申告をもし忘れてしまったら?ペナルティはある?

日々の業務に取り紛れているうちに、中間申告書の提出を忘れてしまうことがあるかもしれません。しかし、ペナルティはないので安心してください。

法人税法73条には、中間申告書を提出すべき内国法人である普通法人がその中間申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、中間申告書の提出があったものとみなす」という規定があります。

つまり、申告書の提出を忘れていても、提出したものとしてみなされるということです。

しかし、納付は忘れずに行いましょう。

予定申告方式で送られてくる納付書に基づいて消費税の納付を行えば、申告していなくても問題がないということを覚えておきましょう。

消費税の中間納付期限はいつまで?

消費税の中間納付は、かならずしも中間申告と同時に行わなくても良いこととなっています。

消費税の納付期限は、各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内となっています。

中間申告で消費税を払いすぎた場合は確定申告で還付される

中間申告とは、年または事業年度の途中で、その時点までの消費税をとりあえず納めておくという制度です。

こうすることで、確実に消費税を納付してもらおうと税務署が考えてのことで、年に1回ある確定申告の前段階での、仮の申告と納税ということになります。

予定申告方式では、中間申告期限に合わせて税務署から書類が送られてきます。

前年の消費税納付額に基づいた金額が記載された納付書が同封されていますから、それを使って納付します。

しかし当期の業績が、前期の業績に比べて極端に悪化したり、多額の設備投資をした場合などは、預かる消費税よりも支払う消費税が多くなることとなりますから、当期の年間の消費税額は最終的に減少することになります。

こういった場合は、中間申告で消費税を払いすぎてしまうこともあります。

中間申告で消費税を支払いすぎていた場合などは、確定申告の時に払い過ぎた分がきちんと還付されることとなっています。

消費税の中間申告とは違う!課税期間の短縮とは?

消費税の中間申告と似ているのが、消費税の「課税期間の短縮」です。

消費税の課税期間とは、消費税を計算する期間のことで、個人事業主は1月1日~12月31日まで、法人は事業年度が課税期間となっています。

課税期間の短縮とは、その期間を短くする制度です。届出書を提出することにより、本来12ヶ月である期間を1ヶ月、または3ヶ月おきに短縮することができます。

このことによるメリットは、消費税の還付が受けられるということです。中間申告では、前年度の消費税の納税額により、申告回数が1回、3回、11回と決められています。

この時に仮決算方式で計算して消費税の納付額の方が多かった場合でも、あくまでも仮の計算ということで、消費税の還付を受けることができません。

消費税の還付が決定するのは、年に1回の確定申告もしくは決算のときとなります。

しかし、課税期間の短縮制度を使うと、1ヶ月または3ヶ月ごとに消費税の納税額を確定することができ、納付額が多かった場合は還付を受けることが可能となります。

輸出業など、消費税の免除割合が高い事業者は継続的に還付を受けられる可能性があります。

輸出業者は、輸出時には消費税がかかりませんが、仕入れ時は消費税がかかるため、通算するといつも消費税の納付額が多くなり、常に還付が受けられる可能性が高いのです。

こういった場合、課税期間の短縮をすることで、事業年度内でも消費税の還付が受けられることになり、資金繰りが楽になります。

しかし、課税期間を短縮すると、中間申告の必要はなくなりますが、1ヶ月もしくは3ヶ月ごとにきちんと消費税の確定申告をしなければならないこととなります。

そのぶん消費税の計算など、事務作業が多くなってしまいますので、手間がかかります。

その点を考慮しながら、メリットとデメリットをしっかりと考え合わせ、課税期間を短縮するのかどうかを決める必要があります。

おわりに

消費税は前年の納付額によっては、1年のうちに何回も納付を行わなければならないため、他の税金と比べて手間がかかります。

しかし、消費税は他の税金と比べて税収が安定しており、国にとってはなくてはならない税金です。

消費者から預かった消費税がある場合は、決まりに従い、きちんと納付するようにしましょう。

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kumi
元証券会社勤務で現在は3人の子供を育てながらライターとして活動中。nanairoでは主に、お金・節約術に関する記事を執筆しています。