MENU

交通事故の後遺障害認定に不服あり!異議申し立ての方法とは?

 

不幸にも交通事故にあってしまい、半年の通院をしても治らなかった場合、後遺障害が残ったとして等級を認定してもらいます。しかし、その等級の決定に不服があった場合は異議申し立てをすることができます。

事故で後遺症が残ったら、後遺障害の認定を経て後遺障害の慰謝料をもらうことになるのですが、この後遺障害認定は細かく14の等級に分かれています。

しかし、自分が思っていた等級に認定されないこともあり、不満を感じている人が多いのも現状です。

後遺障害は一生つきあっていかなければならない後遺症ともいえます。

被害者であるのに自分の現状にあった等級を認めてもらえず、泣き寝入りしなければならないのは辛いことです。

異議申し立てができることを知らなかったり、その手続きが面倒であったり、また、できるだけ早く慰謝料の額を決定して受給したいと考える人が多いことから、認定された等級に不満があっても異議申し立てをする人は少数派といえます。

しかし、本来は、不服があった場合は「異議申し立て」をする選択肢が誰にでもあるのです。

ここでは、後遺障害の等級認定が不服であった場合、どのように異議申し立てを行えば良いのかということについて説明していきます。

目次

後遺障害認定の重要性とは?慰謝料の金額がかわってくる

後遺障害認定は14の等級にわかれており、1等級~14等級まであります。

一番下が14等級ですが、等級が上がるにつれて慰謝料の額も上がっていきます。

等級によって慰謝料の額も変わるわけですから、できるだけ1等級に近い等級で認定されたい、と誰しもが思うものです。

しかし、等級の違いだけではなく、そもそも「後遺障害に認定されるか」、つまり、14等級が認められるかということも非常に大きな意味合いを持ってきます。

後遺障害自体に認定されなければ、後遺障害にかかわる慰謝料自体がゼロになってしまうからです。

しかし、14等級が認められないという事例も多く、多くの人が不満を抱えてしまう要因となっています。

後遺障害認定の14等級は認定が難しい等級

後遺障害認定の14級は、一番下の等級ですが、それでも14級を認められるのはかなり難しいとされています。しかし、この14等級が認められるかどうかで、慰謝料に100万近い差が出てきてしまうこともあるのです。

また、むちうちなどで辛い思いをしているのに、後遺障害自体が認められず、何もなかったことにされてしまうと、被害者感情としても納得がいかないことでしょう。

むちうちなどの神経症状は、レントゲンにもうつらないため、客観的な判断が難しく、交通事故との関連性が認められない場合もあるようです。

これらの理由から、希望していた等級が認められない、そもそも後遺障害自体を認めてもらえない、といったことにつながってしまうのです。

後遺障害認定の不服申し立てには3つの方法がある

後遺障害認定に不服がある場合、不服申し立てをすることができる制度があり、そのやり方は3つあります。

一つ目は「自賠責保険会社に対する異議申し立て」、二つ目は「自賠責紛争処理機構への申請」、三つ目は「裁判を起こす」となっています。それでは、それぞれについて見ていきましょう。

後遺障害認定、自賠責保険会社に対する異議申し立ての方法

後遺障害の申請を行なう場合、「事前認定」と「被害者請求」の二つの方法があります。

「事前認定」とは、加害者が加入する保険会社を通じて、自賠責調査事務所に申請する方法です。後遺障害等級申請に必要な資料の作成や収集、申請手続きなどすべてを保険会社が行います。

被害者にとっては、手続きをすべて任せられるために手間がかからない反面、どのような資料が加害者の任意保険会社から自賠責調査事務所に提出されているのか、全くわからないというデメリットがあります。

「被害者請求」とは、事前認定とは逆で、後遺障害等級申請に関する必要な資料の作成、収集、申請など、必要な手続きすべてを被害者側で行う必要があります。

手間がかかりますが、加害者側の保険会社の意見を一切挟まないため、自分が納得した書面で申請することができます。

自分が特に訴えたい点をしっかりと主張した書類を出すことが可能ですので、結果に対して不満を抱きにくいという点も特徴です。

実際に上記のどちらかの方法で後遺障害認定の申請を行っていたことになるわけですが、このどちらの方法をとっていたとしても、異議申し立てをする場合、書面での手続きが一般的です。

1.異議申立書を保険会社から取り寄せ、それに記入をし、書面にて提出する

異議申し立ては、基本的には書面で行います。

取り寄せた書面にのっとって記入していくわけですが、異議申し立てには、特に決まった書式はないため、パソコン等で、自分で作成することも可能です。

その場合は、認定結果の結論に問題があることを指摘し、こちらが求める等級を請求します。

そして、その請求の正しさを裏付ける理由を明記します。

症状や治療の経過、自覚症状、検査結果に基づく医師の見解、被害者の状況(自覚症状や仕事などへの影響)などです。

また、医学的証拠を新たに提出したりして、それらを自賠責の後遺障害の認定基準にあてはめ、こちらの希望する等級が理にかなっているということを結論づける、という構成で作成します。

被害者の状況(仕事ができないなど)も大切ですが、一番重要なことは、医学的証拠をもとに、後遺障害の存在やその程度、また事故と後遺障害の因果関係を理論的に主張することが最も大切であり、この部分が、不服申し立てを認めてもらえるかどうかの鍵となってきます。

2.添付書類を用意する

新たに提出する医学的証拠があればそれを提出します。

また、前回資料が不足していたと考えられる場合には、新しい資料を提出し、改めて検討してほしい旨を伝えます。

3.申し立て先に送付する

後遺障害認定に関する異議申立ての申請書類は、郵送もしくは宅配便で提出するのが一般的となっています。

事前認定の場合は加害者加入の任意保険会社へ、被害者請求の場合は加害者加入の自賠責保険会社へ送付します。

4.審査の結果を待つ(通常2~6ヶ月)

異議申し立てのデメリットがあるとすれば、時間がかかるということです。

慰謝料や賠償金は、後遺障害の等級が認定されてから支払われますので、この異議申し立ての結果が出て、その結果を受け入れるまでは後遺障害に関する慰謝料は支払われないこととなります。

後遺障害認定、自賠責紛争処理機構への申請する場合の方法は?

1.紛争処理申請書に記入をする

自賠責紛争処理機構へ異議申し立てを行なう場合は、まず「紛争処理申請書」に記入します。

紛争処理機構が例示する申請書記入例によりますと、紛争の問題点、交渉の経過の概要、及び請求の内容を記載するようにという指示がありますので、それを記入していきます。

基本的には自賠責の異議申し立てと同じですので、同様の内容を記載すればよいでしょう。

紛争処理機構への申請も自賠責の不服の申立てと同様なので、申請書の基本的な内容は異議申立書と同様に考えます。

2.添付書類を用意する

自賠責保険会社への異議申し立ての時と同じように、前回資料が不足していたと考えられる資料や、新たに提出する医学的証拠があればそれを提出します。

また、それに加えてこの自賠責紛争処理機構への申請の場合は、同意書も同封します。

3. 書類を送付する

自賠責紛争処理機構の最寄りの事務所宛に、書類を送付します。

4.審査結果を待つ(3ヶ月以上)

自賠責紛争処理機構へ申請した場合も、平均して3ヶ月以上は待つ場合が多いようです。

後遺障害認定の異議申し立て、裁判を起こす場合

裁判を起こす場合は、弁護士に依頼して裁判を起こすこととなります。

裁判などの申立ては、弁護士に依頼した時点ですべてを委任できますので、必要なことはすべてしてもらうことができます。

依頼人は、特別何かをする必要はありません。しかし、費用はかかります。

裁判を起こす上で、一番考えなければならないのは弁護士費用ということになります。

最近は、初回は無料で相談を受け付けてくれる弁護士も多いようですので、一度相談に行ってみてもよいでしょう。

異議申し立てが認められたときは慰謝料の金額が上がるわけですから、弁護士費用を吸収できると見込めば、頼む価値はあるでしょう。

交通事故の損害賠償請求には時効があるので注意!

交通事故の損害賠償請求には時効があります。

物損による損害は事故日の翌日から起算して3年、傷害による損害は事故日の翌日から起算して3年、死亡による損害は死亡日の翌日から起算して3年、後遺障害による損害は症状固定日の翌日から起算して3年と決められています。

異議申し立ての結果が出るまでに何年もかかることはありませんが、異議申し立てに回数の制限はありません。

何度も異議申し立てをしているうちに、時効が過ぎてしまったということもありえるのです。

交通事故の損害賠償請求には時効がある、ということを念頭においておいたほうが良いでしょう。

後遺障害認定の不服申し立て、認められる確率は?

後遺障害認定の異議申し立てをして、実際に等級の変更が認められたのは1割未満と厳しい結果になっています。

しかし、可能性はゼロではありません。

認められないまま辛い思いをするのであれば、不服申し立てを行ってみるのもひとつの方法です。

その場合、障害が残った事実を明らかにすること、事故と後遺障害の因果関係を明らかにすること、障害の症状が固定されており、今後治癒することが難しいと思われることをしっかりと論理的に主張することが大切です。

後遺障害診断書を書いてもらう医師とも良好なコミュニケーションを取ることが大切ですし、継続して通院し、こちらの状態の推移をしっかりと把握してもらうことも重要です。

また、医師に丸投げするのではなく、自覚症状をできるだけ詳しく伝えて書いてもらいましょう。

しかし、医師の質問に曖昧に答えてしまい、逆にわかりにくい表現で診断書を書かれてしまうこともありますので、その点も注意が必要です。

こちらの症状と、主張したいところをしっかりと医師にわかってもらうように努力をすることが必要です。

このように、後遺障害認定において納得がいかないときは異議申し立てをすることができます。

認められる確率は高くはありませんが、不満を抱えたまま辛い思いをするよりは、一度チャレンジしてみてもよいかもしれません。

ただ、慰謝料の給付が遅れることになりますので、その点は注意して異議申し立てを行いましょう。