MENU

贈与税の非課税制度を解説!住宅取得資金の贈与を非課税にするには?

 

贈与税の非課税制度を利用して、マイホーム資金を贈与してもらう人が増えています。

住宅取得資金を少しでも贈与してもらえたら、ローン返済も楽になりますし、買える物件の幅も広がります。

マイホームの購入は、人生で最大の買い物と言っても良いですが、近年は、一戸建てはもちろんのこと、マンションも高額な物件が増えており、首都圏では富裕層ではなく一般のサラリーマンが購入する場合でも、6000万円台のものも珍しくないようです。

このような高額な物件を購入するには、夫婦だけの資金では厳しいと言わざるを得ません。

しかし、高額な物件が売れているということは、住宅資金を贈与してもらっているパターンが多いということなのです。

高齢者が保有する貯蓄を社会に還元しようと、政府が様々な贈与税・相続税に関する非課税制度を設けていますので、活用できる機会があれば、是非利用すべき制度です。

大きなお金を無税で贈与できる機会ですので、子供が住宅購入を考えている場合は、この非課税制度の利用を検討してみるのも良いでしょう。それでは、この制度の仕組みについて解説していきます。

目次

住宅資金贈与の非課税枠、贈与する側、される側の条件は?

住宅資金を非課税で贈与するためには、いくつかの条件を満たしていなければなりません。

贈与する側と贈与される側の条件は以下になります。

直系尊属からの贈与であること

直系尊属とは、自分と血統が直線的につながっている尊属(=年上)のことです。

自分の父母や祖父母が直系尊属にあたります。配偶者の父母や祖父母は「直系尊属ではありません」ので注意が必要です。

あくまでも、自分と直接血がつながっている尊属ということです。よって、住宅資金の贈与を受けるとき、配偶者の父母からの贈与は対象となりません。

  • 贈与を受ける側が、贈与年1月1日において20歳以上であること。
  • 相続又は遺贈によって財産を取得した個人で、その取得時に国内に住所を有するもの
  • その年の合計所得金額が2000万円以下である者(合計所得金額とは、給与所得+不動産所得+事業所得の合計のことをいいます)

住宅資金贈与の非課税枠、適用されるための条件とは?

住宅資金贈与の非課税枠が適用されるための条件とはいくつかあり、その条件を満たしていることが必要となります。条件とは以下になっています。

  • 居住用家屋の取得、もしくは住んでいる家屋の増改築、家屋の敷地となる土地の取得や借地権の取得のための資金であること
  • 屋の登記簿上の床面積(マンションの場合には、その区分所有する部分の登記簿床面積)が50㎡以上240㎡以下であること
  • 家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるもの
  • 中古物件の場合は、耐火建築物である家屋の場合、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
  • 耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
  • 贈与の翌年の3月15日までに入居する見込みであること
  • 増改築の場合は、増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。
  • 増改築の居住用部分の工事費が、全体の工事費の2分の1以上でなければならない。
  • 増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住の用に供されること。
  • 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下であること。
  • 増改築等に係る工事が、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。

上記のように、中古物件や増改築については、より細かく条件が設定されていますので注意が必要です。

住宅資金贈与の非課税枠、金額はどれくらい?

この住宅資金贈与の非課税制度において、贈与できる金額は「贈与された年」と「住宅の質(省エネなど良質な住宅であるか)」によって非課税で贈与できる金額が変わってきます。

良質な住宅と認められる条件は以下になります。

  • 省エネ等基準(省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱等性能等級4))相当以上であること
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること又は免震建築物であること)に該当する住宅用家屋であること
  • 一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋であること
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上に該当する住宅用家屋であること

これらを一定の書類により証明されたものを「良質な住宅」と定義しています。

非課税で贈与できる金額は以下のようになります。

  • 平成28年1月1日~平成29年9月30日まで   通常住宅700万円  良質な住宅 1200万円
  • 平成29年10月1日~平成30年9月30日まで  通常住宅500万円  良質な住宅 1000万円
  • 平成30年10月1日~平成31年6月30日まで  通常住宅300万円   良質な住宅 800万円

住宅資金の贈与の非課税枠、手続きとは?

この非課税制度を利用する場合は、贈与税がゼロの場合も税務署への「贈与税の申告書」の提出が必要です。

書類は国税庁のHPからダウンロードすることが可能です。

住宅資金の贈与の非課税枠、申告に必要な添付書類とは?

贈与税の申告書にはいくつか書類を添付しなければなりません。添付書類は以下となっています。

戸籍の謄本

贈与した者と贈与された側との血縁関係が直系尊属であるかどうかということをチェックします

住民票の写し

実際に居住しはじめた日や、居住の事実の有無をチェックします

新築や取得の契約書の写しおよび登記事項証明書

贈与を受けた年の翌年の3月15日までに贈与を受けた者が住宅を取得したのかをチェックします。

住宅資金の贈与の非課税枠、土地の贈与に適用できる?

この住宅資金贈与の非課税制度は、あくまでも金銭の贈与の場合に限られます。

土地を購入するための資金として金銭を贈与する場合は適用されますが、親の土地を、子供の住宅を建てるために贈与する、といったような場合は適用になりません。

住宅資金の贈与の非課税枠、土地の先行取得に適用できる?

住宅資金の贈与によって、居住用家屋を建てるための土地を取得した場合でも、贈与の翌年の3月15日までに入居しておかなければならないため、贈与の時期には気をつける必要があります。

また、住宅資金の贈与の非課税枠の条件に「直系尊属よりの贈与でなければならない」というものがあります。

ここで、住宅資金の贈与の非課税枠が認められないケースを紹介しておきます。

例えば、妻の両親が住宅用敷地の土地の取得のために贈与したとします。土地の名義は夫と妻で2分の1ずつです。この場合、

上に建っている家屋の名義が夫のみであった場合は、この非課税枠が認められないケースが相次いでいるようです。

非課税枠が認められるためには、建物の名義も、一部でも妻にする必要があります。

つまり建物の持分がない場合は、土地取得のための資金贈与は認められないこととなります。

住宅資金の贈与の非課税枠、暦年課税と併用できる?

この非課税制度は暦年課税と併用することができます。

よって、上記の表に110万円を加えた額が、非課税で贈与してもらえる最大の額ということになります。

住宅資金の贈与の非課税枠、相続時精算課税と併用できる?

この制度は相続時精算課税制度との併用も可能です。

しかし、優先順位を考えた場合は、まず住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用すること、次に暦年課税の贈与税の基礎控除110万円を利用すること、それでも非課税枠が足りない場合は、最後に相続時精算課税制度を利用する、という順序にします。

なぜかといいますと、住宅資金の贈与は相続が発生したときに相続財産として加算されませんが、相続時精算課税制度を利用した場合は、相続財産として贈与を受けた額が差し戻され、加算されてしまうからです。

住宅資金贈与の非課税枠を使って贈与された金額は、相続財産と切り離すことが可能となっています。

これらのことから、一番先に使うべき非課税制度は「住宅資金贈与の非課税の特例」ということができます。

まとめ

住宅資金の贈与は、贈与される側からみてもとてもありがたいものです。

贈与する側から見ても、相続財産を減らすことができ、その財産を住宅の購入という有意義な目的に使ってもらうことができるので、両者が嬉しい制度と言えるのではないでしょうか。

直系尊属よりの贈与、という点が条件になっていますので、贈与した後に認められなかった、ということにならないよう、しっかりと制度を理解してから住宅資金の贈与を行うようにしましょう。