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相続税の配偶者控除とは?最大1億6000万円までが非課税に!

相続税の仕組みでは、配偶者の生活を守るために、手厚い控除が設けられています。

これを「配偶者控除」といい、法定相続分もしくは1億6000万円までが非課税になります。

ここでは、相続において大きな節税効果がある配偶者控除についてみていきましょう。

相続税の配偶者控除とは?

相続税の配偶者控除の仕組みは、相続税の計算から法廷相続分もしくは1億6000万円までを配偶者控除として差し引けるというものです。

この方法を使うと、配偶者には実質税金がかからないようになっており、わかりやすく言うと「法定相続分もしくは1億6000万円までの相続は非課税」ということになります。

もしこの配偶者控除の仕組みがないと、夫などが亡くなったとき、相続税の支払いのために自宅を手放したり、老後の生活資金として貯めていたお金を分割したり、税金の支払いに当てたりしなければならなくなってしまいます。

こういったことを避け、配偶者の生活を守るために、手厚い配偶者控除が設けられています。

相続税の配偶者控除は、相続税計算のどの段階で行う?

相続税の計算には順序があります。計算方法を見ていきましょう。

相続税の計算方法

①相続財産(課税価格の合計額)を算出する。

②この課税価格の合計から、相続税の基礎控除を引く。基礎控除の計算式は3000万円+(600万円×法定相続人)。

③法定相続人の各相続分を決める。そして、それぞれの法定相続分に相続税率を掛け、控除をひいて、各人の相続税額を割り出す

④三人の相続税額を一旦合計し、相続税の合計金額を出す

⑤合計金額を、それぞれの相続割合でふたたび按分する

⑥最後に、自分の相続税額から控除を引く

⑦自分の相続税額が算出される

配偶者控除は、上記の⑥の段階で控除することとなります。

配偶者控除の他に贈与税額控除、未成年控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除があり、これらの控除も⑥の段階で行います。

配偶者控除を適用する場合の注意点は?

配偶者控除は、誰がどれくらいの遺産を取得するかということが決まってないと、適用することができません。

つまり、遺産の分割についての話し合いがまとまっていることが必要なのです。

相続税の納付は、被相続者が亡くなってから10ヶ月以内と定められています。

その期限内にそれぞれの相続分が決まっていないと、配偶者控除が使えないため、多額の税金を収めなくてはならなくなりますので注意しましょう。

相続税の申告期限内の遺産分割がまとまらなかった場合は?

基本的には、配偶者控除の適用を受けるには、申告期限までに遺産分割が行われている必要があります。

しかし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、配偶者の税額軽減の対象となると定められています。

また、やむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合でも、申告期限から3年を経過する日までであれば、やむを得ない事情がなくなった日の翌日から4ヶ月以内の分割に限り、配偶者控除が適用となります。

相続税の配偶者控除は、二次相続のことも考えて行おう

大きな金額の配偶者控除が認められているため、「最大額1億6000万円までを配偶者が相続すれば節税になるのではないか」と考える人もいると思います。

確かに、最初の相続ではそう言えるかもしれません。実際どのようになるかを計算してみましょう。

例えば、両親と子供2人の家族で、夫が亡くなり、残された遺産が全部で1億円あったとします。

法定相続分にのっとって、妻の相続分が2分の1、子供が4分の1ずつと決めたとします。

この場合、基礎控除は3000万円×(600万円×3)=4800万円となり、課税対象の相続財産は5200万円です。

法定相続分は、妻は2分の1の2600万円、子供はそれぞれ1300万円の相続となり、子供には相続税がかかってきてしまいますね。

しかし、法定相続分ではなく、妻がすべての財産1億円を相続した場合、かかる相続税はゼロになりますので、この最初の相続(1次相続といいます)では、妻に多くの財産を相続させた方が節税になります。

しかし、この妻が亡くなって、子供が妻の財産を相続する二次相続の場合は、どうなるでしょうか。

最初に法定相続分ずつを相続していた場合、妻が相続した2600万円を子供二人が受け継ぐことになります。

その場合の基礎控除は3000万円×(600万円×2)=4200万円となり、控除額が相続額を超えるので税金はかかりません。

1次相続で妻が1億円すべてを相続していた場合、その1億円を子供二人で相続することとなります。

基礎控除は3000万円+(600万円×2)=4200万円ですから、課税対象の相続財産は5800万円となります。

子供一人あたり2900万円の相続となります。

この事例を比べてみた場合、最初の「それぞれ法定相続分を受け継いだ」場合だと、1次相続と2次相続合わせての子供の相続税対象額は1300万円でした。

しかし、最初に「妻が1億円すべてを受け継いだ」場合、1次相続と2次相続を合わせた子供の相続対象額は2900万円となるので、子供に対する負担が大きくなってしまうことになるのです。

配偶者が亡くなった場合、もう片方の配偶者も同じような年代の人が多いでしょうから、1次相続が発生してそう遅くないうちに2次相続が発生すると予想できます。

子供の相続税の負担を考えた場合は、1次相続で法定相続分ずつを受け継いでいたほうが節税になります。

相続税を考える場合は、1次相続と2次相続、両方の相続を考える必要があるといえるでしょう。

相続税の配偶者控除は改正される?将来廃止になるの?

ここのところ、所得税における「配偶者控除」が廃止されるのではないかと話題になっていますが、「相続税の配偶者控除」とはまったく別のものですので、心配することはありません。

相続税の配偶者控除の改正が行われたのは直近では平成6年で、それ以後は20年以上改正されていません。

近年は、親の世代の財産を早く子供に移してほしい、ということから、贈与税に関する非課税制度がいくつも設けられており、政府としては相続ではなく贈与を優遇、後押ししたい考えのようです。

しかし、相続税の配偶者控除は、配偶者(例えば夫)が亡くなったとき、そのまま自宅に住み続けられるように、また、年金や老後のための資金を確保できるようにという配慮で作られているものですから、今後も大きく変更されることはないと予想されます。

「所得税の配偶者控除」と「相続税の配偶者控除」はまったく別の物であるということをしっかりと覚えておきましょう。

相続税の配偶者控除があるおかげで、一般的な金額の相続では、相続時に配偶者にかかる税金はほぼゼロになります。

もしも配偶者が亡くなっても、相続税などの心配をすることはありませんし、今まで通りの生活を続けていくことができます。

しかし、配偶者はどれだけ相続しても基本的に非課税にはなりますが、二次相続で子供の相続税負担を最小限に抑えるためにも、1次相続では法定相続分を目安に遺産分割を考える方が良いといえるでしょう。

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kumi
元証券会社勤務で現在は3人の子供を育てながらライターとして活動中。nanairoでは主に、お金・節約術に関する記事を執筆しています。