相続税には6つの控除が設けられており、控除を使うと相続税を安くすることができます。
相続の際には、相続税の控除のことをしっかりと理解しておくことが必要です。それでは、6つの控除について見ていきましょう。
相続税には6つの控除が設けられており、控除を使うと相続税を安くすることができます。
相続の際には、相続税の控除のことをしっかりと理解しておくことが必要です。それでは、6つの控除について見ていきましょう。
相続財産を計算するときは、土地や自宅、有価証券などを時価評価して算出します。
そして、その相続財産に相続税率をかけたり、控除をしたりして計算します。
相続税の計算方法はこのようになっています。どのステップで控除をするかということが重要です。
まず、相続財産(課税価格の合計額)を算出する。
課税価格の合計から、相続税の基礎控除を引く。
計算式は3000万円+(600万円×法定相続人)。(例)の場合は、3000万円+1800万円=4800万円
課税価格の合計額から、この4800万円を引きます。
それぞれ法定相続分に相続税率を掛け、控除をひいて、各人の相続税額を割り出す
三人の相続税額を一旦合計し、相続税の合計金額を出す
合計金額を、それぞれの相続割合で按分する(上記の例の場合、母は二分の一、子供は各四分の一の取り分なので、母は相続税の合計額×二分の一、子供はそれぞれ相続税の合計額×四分の一が、自分の相続税の額となる)
最後に、自分の相続税額から控除を引く。
この段階で引く控除とは、贈与税額控除、配偶者控除、未成年控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除の六つとなります。
自分の相続税額が算出される
相続人が、相続開始の3年以内に、亡くなった人から財産を贈与されていた場合、その財産も相続税の対象となります。
しかし贈与を受けた段階で贈与税を支払っていた場合、贈与税と相続税の二重払いになってしまうことになります。
日本の法律では、同じ財産に対して2度課税する「二重課税」は認めない、という考え方がありますので、もし贈与税を支払っていた場合は、課税が二重とならないように、贈与税額を控除できることとなっています。
配偶者は、死亡した被相続人と一緒に財産を形成してきたと考えられており、また、配偶者が死亡した後の生活保障なども考慮されていることから、大きな金額の控除が設けられています。
この配偶者控除により、配偶者が取得した遺産額が法定相続分以下、もしくは1億6000万円以内であれば、配偶者に納付税額が発生しないこととなります。
この控除となるのは、配偶者が相続で実際に取得した財産に限られます。
例えば、相続人が配偶者と子供二人である場合を考えてみましょう。
配偶者の法定相続分は2分の1、子供は4分の1となりますね。(子供が何人いても、配偶者の法定相続分は2分の1です)
この場合、配偶者が遺産全体の2分の1までの財産の取得であるならば、収める相続税はゼロということになります。
(法定相続分以下の相続は、税金がかかりません)
法定相続分を超えた相続であっても、上限の1億6000万円以内であれば、やはり税金がかからないこととなっています。
相続の開始時においての年齢が20歳未満の相続人は、未成年控除として一定額を控除することができるので、相続税が減額となります。
もしも、未成年者控除がその未成年の相続税額を超えてしまい、引ききれないときは、超えた金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から控除することができます。
未成年者控除が適用される条件ですが、
となっています。
未成年控除の金額は、1年につき10万円です。未成年者が20歳になるまでの年数を数え、10万円×満20歳になるまでの年数=控除額 の式で計算します。
年数を計算する時に、1年未満の期間があった場合は切り上げて1年として計算します。
(例)未成年者が満20歳になるまでに8年3ヶ月だった場合、「9年」として未成年者控除を計算するので、
10万円×9(年)=90万円が未成年者控除の額となります。
相続人であり、かつ障害をもっている場合は「障害者控除」として一定額を控除することができます。
障害者控除は二つに分けられており、身体障害者手帳3~6級の人は「障害者控除」、身体障害者手帳1・2級の人は「特別障害者控除」の適用となります。
「障害者控除」の場合、1年につき10万円が、85歳に達するまでの年数分控除できます。
障害者控除額=10万円×(85歳―相続開始時の年齢)となります。
「特別障害者控除」の場合は、1年につき20万円の控除が認められています。
特別障害者控除=20万円×(85歳―相続開始時の年齢)
となります。
障害者控除、もしくは特別障害者控除が障害者本人の相続税額を超えて引ききれない場合は、その人の扶養義務者の相続税額から引くことができます。
扶養義務者とは、一般的に、配偶者、祖父母・父母・子・孫及び兄弟姉妹等のうち一定の者をいいます。
相続が立て続けに起こった場合(例えば、父親が亡くなってからすぐに母親が亡くなった場合など)、相続を受ける人は大変な思いをします。
1度目の相続税を支払った後に、またすぐに2度目の相続税を支払わなければならなくなるからです。
このように相続が立て続けに起こると、相続人の納税負担が非常に大きくなることから、2回目の相続において、一定の金額が相続税から控除されることとなっています。
10年以内に続けて相続が起こった場合、2度目の相続で、1度目に支払った相続税の一部を差し引くことができる控除のことを「相次相続控除」と呼んでいます。
相次相続控除の適用は、次の全ての要件を満たす必要があります。
(1度目の相続のことを「1次相続」、2度目の相続のことを「2次相続」と呼びます。)
相次相続控除の適用対象者は限られており、「 第2次相続の相続人」となっています。
相続を放棄した者や、相続権を失った者が、遺贈により財産を取得した場合は適用できませんので注意が必要です。
(遺贈とは、遺言で、財産の全部または一部を相続人以外の人に無償で贈与(譲渡)することをいいます。
つまり、財産を譲り受けた場合でも、法定相続人でなければ、相次相続控除は使えないということです。)
外国に相続財産があった場合、外国で、日本の相続税に相当する税金を外国で支払うことがあります。
その場合、二重課税を防ぐため、外国で支払った税金分を日本の相続税から差し引くことができるようになっています。
今までに紹介した6つの控除を引く場合、どの控除から順に引いていったらよいのでしょうか。
控除の順番が決まっており、①~⑥の順番で控除することとなっています。
相続税の計算の仕組みはとてもややこしく感じられるかもしれませんが、控除について理解しておくと、意外とスムーズに計算できます。
控除をするかしないかで、相続税額が大きくかわってくることもありますので、計算するときは忘れずに控除分を引くようにしましょう。