市民税(住民税)や所得税は、自分が住んでいる自治体に納める税金です。
サラリーマンなどの給与所得者は、毎月のお給料から市民税(住民税)が天引きされていますが、自営業を営んでいる人などは、固定資産税と同じように自分で支払わなければなりません。
口座振替か一括支払、もしくは年4回の分割払いがあります。年金生活者も自分で納付しなければならなかったのですが、高齢化に伴い滞納者が増えるのを防ぐため、平成21年度からは年金からの天引きとなりました。
しかし、近年税金を払うのが難しく、市民税(住民税)を滞納する人が増えています。
あまり知られていないことですが、最近は税収を確保するため、役所の人も厳しい対応をしており、市民税(住民税)の滞納でも銀行口座や不動産など、財産の差し押さえをされてしまうこともあるのです。
また、税金は自己破産しても免責が認められません。
払えない状態のまま、どんどん住民税がたまっていってしまうと、ますます支払いをすることが難しくなってきます。
日々生活していく上で支払いが必要なものはたくさんありますが、税金は優先的に支払いをする方がよいでしょう。
ここでは、もしも市民税(住民税)を滞納してしまったときにかかる延滞金のことや、どうしても払えない場合にどうすれば良いかなどを詳しく解説していきます。
この記事の目次
市民税(住民税)を滞納すると、督促状が届きます
市民税(住民税)を払うのを忘れていたり、どうしても税金を払うお金がなくて支払えなかった、という場合など、納付期限を過ぎて放置していると、納付期限から20日以内に督促状が発行され、家に届きます。
督促状が来ると、どうにか資金繰りをして支払う人が多いと思いますが、どうしても払えない、という人もいるでしょう。
その督促状が来てもそのままほうっておくと、「差し押さえ予告書」が送付されてきます。
督促状が来た段階で、どうしても払えない事情がある人は、市役所に電話するか、実際に出向くなどして職員と相談することが大切です。
払いたいけれど払えない、と説明し、無理なく支払っていくにはどうしたらよいのかということを職員の人と相談することができます。
職が見つかるまで、月々1000円や2000円程度の分割にしてくれたりもします。
相談するときは、自分の職業の状況、ローンがあるならば残高と期間など、すべての情報を伝えて相談すると、払えると思われる金額を提案してくれる場合もあるようです。
そうやって連絡を取ったり相談に訪れることで「誠意がある」と判断されます。電話や面談に来た事実はきちんと記録されますから、突然差し押さえされる、といったようなことはないでしょう。
一般的には税金の取立ては厳しいものではない、と思われがちですが、実際は、自治体の税金の取立ての姿勢はかなり厳しいものとなっていますので注意が必要です。
払えない場合は、しっかりと理由を説明し、対策を考えてもらいましょう。
市民税(住民税)を滞納すると、延滞金がかかってくる
市民税(住民税)を一定期間滞納すると、延滞金が加算されます。
この延滞金は、実際に納付期限に遅れた時だけではなく、例えば事業所得者が期限までに確定申告をしなかった場合や、確定申告の内容を間違えて、納める税金が少なかった場合などにも、ペナルティとして延滞税が課せられることもあります。
延滞税は、納付期限を過ぎるとどんどん増えていってしまいますから、できるだけ早く納付することが大切です。
市民税(住民税)の滞納金を計算、延滞税率と計算方法は?
市民税(住民税)の延滞金の計算方法は二つあります。
納付期限から2ヶ月以内の延滞税と、2ヶ月を超えている部分についての延滞税は、計算式が異なります。
まず、納付期限から2ヶ月以内の場合の延滞税を計算してみましょう。
まず、「納税期限の翌日から完納するまでの日又は2ヶ月を経過する日までの日数」にかかる延滞税の計算方法は、「税額」×「延滞税率」×「滞納期間(日にち)」 を365で割ったものが延滞税となります。
この計算式における「延滞税率」ですが、年7.3%か「特例基準割合+1%」のどちらか低い割合を適用することとなっています。
特定割合とは、「その年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合 + 年1%」と決められています。
平成28年度の特定基準割合は0.8%と官報で告示されているので、(0.8%+1%)=1.8%となります。
よって、「特定基準割合+1%」=2.8%となり、7.3%と比べて低いほうを採用するので、平成28年度の、2ヶ月間の延滞税率は「2.8%」となります。
計算するとき、税額は、1万円以下は切り捨てて計算します。
では、納付期限が2ヶ月を超えている場合の延滞税の計算方法はどうなるのでしょうか。
計算式は同じですが、延滞税率が変わってきます。
延滞税率は、年14.6%か、「特例基準割合+7.3%」のうち、低い方と決められています。
平成28年度の特定基準割合は1.8%でしたから、1.8%+7.3%=9.1%となるので、2ヶ月を超えた場合の延滞税は9.1%となります。
(例)住民税額12万5千円の人が30日間延滞した場合
(120,000×2.8%×30)÷365=276.164・・・となり、276円となります。
(例)住民税額15万3千円の人が90日間延滞した場合
このような場合は、2ヶ月間の延滞税と、2ヶ月を超えた分の延滞税とを分けて計算します。
2ヶ月分の計算式:(150,000×2.8%×60)÷365=690.410・・・690円
2ヶ月目以降の計算式:(150,000×9.1%×30)÷365=1121.917・・・1121円
合計 690+1121=1811円
税金の延滞税は比較的高く設定されています。納付期限を過ぎて放置していると、どんどん延滞税がふくらんでいってしまいますので、気をつけなければなりません。
市民税の延滞金を免除してもらう方法は?
基本的に、税金は義務であり、どんな人でも支払わなければなりません。
そうでなくては、「税の公平性」が損なわれるからです。しかし、やはりどうしても払えない人がいるのも事実です。
それらの人には、市民税(住民税)の減免・免除の制度があります。ただし、その条件を満たしていても、必ず減免・免除されるわけではありませんので注意が必要です。
その条件とは自治体によって違いがありますが、生活保護法の規定による各種扶助等を受けている場合や、貧困により生活のため公私の扶助を受けている場合などが挙げられます。
ただし、預貯金の額が規定以下であることや、居住用または事業用以外の不動産を持っている場合は対象にならないなど、細かい規定があります。
また、会社都合での失業や倒産などで、職がない状態で雇用保険基本手当の受給資格がある場合なども減免もしくは免除になることがあります。
詳しく知りたい場合は、自分が住んでいる自治体に確認しましょう。
市民税(住民税)を払えなくて滞納していた場合分割してもらえる?
市民税(住民税)を滞納していた場合、市役所に相談しに行けば分割してもらえることが多いようです。通常、納付期限を過ぎて延滞していると「督促状」が届きます。
この督促状を受け取ってから10日すぎても税金の納付がない場合、法律上は差し押さえを行なうことができます。
実際はこれほど早く差し押さえられることはないようですが、取立ての姿勢は自治体によって差があることから、支払えない場合はできるだけ早く市役所に相談しに行くことが必要です。
職員の人と相談することで、個人の事情も考慮に入れてもらうことができ、無理のない額で分割払いをしてもらえることが多いようです。
失業中であれば雇用保険被保険者証、病気で療養中なら医療機関での領収書などを持参すると、説得力が増します。
分割払いを了承してもらえると、自治体によっては誓約書を作成することがあるようです。
このように、分割払いにした場合は、毎月しっかりと払っていかなければなりません。
もし何らかの事情で支払えない場合は、きちんと市役所に連絡しましょう。
連絡せずに支払わなかった場合は、分割払い自体を止められてしまうこともあります。
一番やってはいけないことは、督促状が来ても無視して延滞しつづけることです。
支払えない場合でも、まずは市役所に電話して、少しずつでも支払いたいという誠意を見せましょう。
市民税をずっと滞納している場合時効ってあるの?
税金の時効は5年と決められています。
滞納している税金は、差し押さえや最後に督促状を受け取ってから、5年経過すれば時効となり、税務署は滞納税を徴収することが出来なくなります。
しかし、督促状などは時効の「中断事由」にあたります。税務署が定期的に督促状を発送していれば、実際に時効になることはありません。
自己破産しても、税金の支払は免除されませんので、どこに行っても支払い義務はついてきます。引越しをしても、住民票をうつした時点で税金の滞納の情報も引越し先の自治体が把握してしまいます。
つまり、税金は必ず支払わなければならないような仕組みになっているのです。
住民税(市民税)を延滞しても、実際に時効になることはほとんどなく、また延滞税もどんどん膨れ上がってしまうことから、支払いを先延ばししてもメリットは何もないと思ったほうがよいでしょう。
督促状が来て、その額が払えない場合、まず電話をしてから市役所に行き、職員の人と相談して、少しでも払える額をコツコツと払っていくことが大切です。
そのように少しずつでも支払うこと、つまり分割払いが確定した時点で、延滞税は、それ以降は加算されなくなります。
納税は国民の義務ですから、事情があるにせよ、自分ができる範囲で少しずつでも支払っていきましょう。