固定資産税の減免、特別障害者や寡夫・寡婦、生活保護者が対象に
固定資産税は、土地や家屋などの資産をもっている人を対象にしており、保有する資産に応じて負担しなければならない税金です。
しかし、どうしてもやむを得ない事情があり、税金を納めることが困難であると認められた場合は、申請を行なうことで、税金が軽減されたり、免除されたりする場合があります。
この減免は、基本的には自分自身で申請を行わなくてはいけないこととなっていますので、自分が減免の条件に当てはまるのかどうかをしっかりと確認し、適用される場合はすみやかに申請書を提出することが重要です。
固定資産税は国が徴収しているのではなく、市町村が徴収しているものです。
よって、減免の条件等は国ではなく、その市町村によって決められていますので全国一律の条件ではありません。各自で、自分が住んでいるところの減免条件を確認する必要があります。
ここでは、大阪市の減免の条件を紹介します。
固定資産税と都市計画税、どちらも減免の対象となります。
実際に申請する際は、自分が住んでいる市町村役場に問合せをし、細かい条件を確認するようにしましょう。
目次
固定資産税の減免は地方税法で決められている
固定資産税の減免は、納税者の申請に基づいて、税金を納める資金力が十分でない等の理由により税額の全部又は一部が免除される制度です。
固定資産税の減免は、地方税法第367条に規定されており、おおむね次の3つが条件となります。
- 天災その他特別の事情がある場合において減免を必要と認める者
- 貧困により、生活のため公私の扶助を受ける者
- の他特別の事情がある者(公益上の事由も含む)
そして、これら減免の細かい要件は、市町村の税条例で定められます。
自治体によって減免の条件に差があるのは、市町村それぞれの条例で決められているからなのです。
国が決めているわけではないので、条件が一律ではないということを頭に入れておく必要があります。
固定資産税・都市計画税の減免対象~特別障害者や寡夫・寡婦~
固定資産税や都市計画税の減免は、特別障害者や寡夫、寡婦に加え、所有者が65歳以上の人に減免が認められています。
減免対象資産は、条件をすべて満たす家屋およびその敷地となり、減免割合は5割となります。
減免は、1月1日時点において要件を満たしている場合、その年度分の固定資産税が減免となります。毎年審査がありますので、申請は毎年行なうことが必要です。
減免の条件は以下のようになっています。
- 1月1日現在、所有者が特別障害者や寡婦または寡夫、65歳以上の人。
- 所有者および生計を一にする人全員の前年中の所得が住民税均等割非課税限度額以下であること。
- 所有者居住用の延べ面積が70平方メートル以下の家屋およびその敷地であること
- 所有者がその家屋および敷地以外の固定資産を所有していないこと
- 固定資産税および都市計画税の年税額の合計が5万円以下であること
「特別障害者」とは、障害者のうち、特に重度の障害のある人のことをいいます。
具体的には、身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級と記載されている人、精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている人、重度の知的障害者と判定された人、いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない人などです。
「寡婦」とは、次のうちどちらかにあてはまる人のことをいいます。
①夫と死別し、もしくは離婚してから結婚をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人もしくは生計を一にする子がいる人。
この場合の「子」とは、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
②夫と死別してから結婚していない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の方。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
「寡夫」とは、次のすべての条件に当てはまる人のことをいいます。
- 前年の合計所得金額が500万円以下である人
- 妻と死別し、もしくは離婚してから結婚をしていない人、もしくは妻の生死が明らかでない一定の人
- 生計を一にする子がいる人
この場合の「子」とは、上記と同じで、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
上記の条件で出てくる「扶養親族」について、「扶養親族」とは以下の条件すべてに当てはまる人のことをいいます。
①配偶者以外の親族(六親等内の血族、三親等以内の姻族)、児童福祉法の規定により里親に委託された児童(18歳未満)、または老人福祉法の規定により養護受託者に委託された老人(65歳以上)で、納税義務者と生計を一にしている方
- 青色事業専従者給与の支払を受けていない人
- 事業専従者に該当しない人
- 合計課税所得金額が38万円以下の人
固定資産税・都市計画税の減免対象~生活保護受給者~
生活保護を受けている場合、固定資産税や都市計画税の減免対象となります。
対象となる資産は、「生活保護法の規定による生活扶助を受ける者が所有し、かつ、自ら使用する家屋およびその敷地」となります。
ただし、当該家屋の延べ面積およびその敷地面積のうちそれぞれ70平方メートルを超えない部分に限ります。
減免は減額ではなく「免除」となり、生活扶助を受けるに至った日の属する月の翌月から生活扶助を受けなくなった日の属する月までの月割の方法による免除となります。
固定資産税・都市計画税の減免対象~火災や風水害などで被害~
火災や風水害などで、固定資産に損害を受けた場合にも、固定資産税及び都市計画税の減免対象となります。
1月2日から3月末日までの間に災害による損害を受けた場合、災害による損害を受けた日の属する年度分の固定資産税額のうち同日以後に納期限が到来する部分の税額および翌年度分の固定資産税額となります。
4月1日から翌年1月1日までの間に災害による損害を受けた場合は、災害による損害を受けた日の属する年度分の固定資産税額のうち同日以後に納期限が到来する部分の税額となります。
つまり、既に納付している分については減額や返還がなく、今後支払い予定の分のみが対象となるということです。
固定資産税・都市計画税の減免期間は?
固定資産税や都市計画税の減免期間は、その年度分のみとなっており、一度の申請で何年も減免・免除されるということはありません。
基本的には、すべての人に公平に課されるのが税金というものです。
そこを減免・免除してもらうわけですから、毎年きちんと厳しい審査があります。
また、市町村が自動的に適用するということもありませんので、対象となる場合、毎年自分自身で申請を行なうことが必要です。
固定資産税の減免申請の仕方は?
固定資産税や都市計画税の減免申請は、自分が住んでいるところの市町村役場の税務課で受け付けてくれます。
その自治体が発行する「減免申請書」にあたるものに記入し、提出することが必要です。
印鑑に加え、「個人番号(マイナンバー)カード」または「個人番号通知カードと身元確認できるもの」や、身体障害者手帳(1級、2級)、療育手帳(A)、重度の障害を持っている人のみ精神障害者保健福祉手帳(1級)が必要ですので、忘れずに持参するようにしましょう。
まとめ
税金はすべての人が納めるべきものですが、生活の保障も必要ですので、条件に適用した人には減免や免除が認められます。
しかし、自分が条件に合っていても、市町村役場から連絡がくるわけではありません。
あくまでも自分自身で申請を行なう必要があります。
減免もしくは免除される条件が整っているのに、それに気づいていない人も多くいると思われます。
いつか自分自身も「免除」の条件にあてはまる時が来るかもしれません。将来のためにも、しっかりと知識をつけておきましょう。