不倫相手に慰謝料を請求する方法は?内容証明郵便やその文例を紹介!
慰謝料を請求するための内容証明郵便とは、正確には「慰謝料請求書を内容証明郵便で送る」ことをいいます。
不倫相手に慰謝料を請求する場合は、電話などの「口頭による請求」と、慰謝料請求書などによる「書面での請求」があります。
口頭による請求では、お互いにリアルタイムで主張を言い合えるので、無駄に時間がかからず早く決着する場合が多いことがメリットですが、感情的になってしまったり、相手に言いくるめられたりする恐れもあります。
しっかりとこちらの主張内容の証拠が残せて、また時間をかけて文章を考え、論理的に主張できることから、「書面による交渉」が多く行われています。
それでは、この慰謝料請求書の書き方、送り方、文例などについて見ていきましょう。
目次
慰謝料請求書とは
慰謝料請求書とは、その名の通り、慰謝料を請求するための文書のことです。
この文書を「内容証明郵便で」「配達証明つきで」送ります。
慰謝料請求書では、「○月○日までに、○○円を振り込んでください」という文言を記載しますが、これを見て、実際にお金を振り込んでくる人はほとんどいないといってもいいでしょう。
不倫相手からすれば、今回振り込んでも、また再度お金を要求されるのではないかと不安になります。
もちろん、お金を払うこと自体に抵抗がある人もいるでしょう。
慰謝料請求書を見て、すぐに慰謝料を払ってもらえれば一番なのですが、実際には難しいのが実情です。
慰謝料請求書は、実際は、お金を支払ってもらうというよりも、相手を交渉のテーブルにつかせる意味があります。
慰謝料請求は内容証明で送る
内容証明郵便とは、手紙の一種であり、差し出した日付や差し出し人の氏名・住所、宛先の氏名・住所、また文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる一般書留郵便物のことをいいます。
内容証明は法的な効力はありません。
しかし、送付した手紙の全文が郵便局に保存されるため、主張したという事実、また主張した内容を証明することができます。
また、これに配達証明をつけることで、相手が受け取ったことが確実にわかります。「受け取っていない」などと相手が主張してうやむやにすることもできなくなります。
内容証明郵便を受け取ったことがある人はほとんどいないと言ってよいでしょう。
ある日突然、内容証明郵便で慰謝料請求書が送られてきたら、動転し、冷静ではいられない人がほとんどです。
このように、内容証明郵便には相手に無言のプレッシャーを与える力もあります。
慰謝料請求書の文例は?
慰謝料請求書に書く文章は基本的に自由ですが、交際や密会ではなく、「不貞行為を続けていた」こと、精神的苦痛を受けたこと、振込先を指定した場合は、振込期日を明記することが重要です。
文例1
通知書
冠省、○○○○殿、貴殿は夫○○○○と、平成○年○月頃から平成○年○月まで約○年○ヶ月にわたり、
妻子があることをわかっていながら密会を重ね、継続的に不貞行為を行ってきました。
私は、夫の自白と●●●●●という証拠により、貴殿との不倫の関係を知りました。
これにより、約○○年間続いた婚姻生活は、もはや修復不可能で、離婚せざる得ない状況となり、
多大な精神的苦痛を負いました。(離婚に至った場合)
あなたが継続的に不貞行為を行ったことにより、私は著しい精神的苦痛を被りました。(離婚に至らない場合)
貴殿の行為は、私が私の夫に対して有する貞操権を侵害し、夫婦関係の平穏を破壊するものであり、
不法行為(民法709条・710条)にあたります。
そこで、この度私は、貴殿に対して、精神的苦痛に対する損害賠償として、金150万円を請求します。
平成○年○月末日までに、金150万円を口座(金融機関名○○○○、普通口座、口座番号○○○○、
口座名義人○○○○)振込されるようお願い申し上げます。
なお、期限までにお振込みを確認できない場合は、○○地方裁判所へ訴訟を提起する考えでおりますことを
申し添えておきます。
草々
平成○年○月○日
大阪府大阪市〇〇町〇〇1番地
〇〇〇〇
大阪府堺市西尾市〇〇町〇〇10番地
〇〇〇〇 殿
文例2
通 知 書(請 求 書)
冠 省 貴殿は、平成○年○月初旬頃から私の夫(妻)と密会を繰り返し、継続的に不貞行為を行っていることが興信所の調査で判明しました。このため、平穏で円満な夫婦関係の維持が困難となっております。
よって、今後、私の夫(妻)と会うことのないよう強く要求すると共に、貴殿の不貞行為により精神的苦痛を受けたことに関して、慰謝料金200万円を請求します。
平成○年○月○日迄に以下の口座に振込送金願います。振込先○○銀行○○支店普通口座123456
名義□□□□
もし、この要求に応じない場合は、法的な措置を講ずる準備がありますので、その旨ご承知おき下さい。
以上
慰謝料請求書に振込先を記載せず、まずは話し合いのきっかけを作りたい場合
冠 省 ○○○○様、田中勇太の妻の田中花子と申します。夫の帰りが遅いことが頻繁だったため、不審に思い、興信所へ調査を依頼した結果、あなたと夫との不倫関係が判明いたしました。大きなショックを受けましたが、私と夫との間には子供もおり、今後も離婚するつもりはありません。妻として、不倫問題を解決したいと考えています。そのために、夫との交際を中止し、今後一切会わないことを要求するとともに、慰謝料100万円を支払ってもらうことで、一切の解決としたいと考えています。
金額については、不倫期間と結婚期間を考え、それに近い判例を確認してもらえば妥当な金額だということが理解できると思います。
まずはこのことについて、あなたの考えを書面にてご連絡ください。本書が到達してから10日を期限とさせていただきます。
草々
平成○年○月○日
東京都新宿区○○町○○○番地
山田花子 (印)
東京都新宿区○○町○○○番地
○○○○殿
慰謝料請求の時効は?
慰謝料請求の時効は、不貞行為の事実があったことを知り、その相手が誰であるかを知ってから3年以内に行うこととなります。3年以上たってから請求しても、相手が時効だと主張すれば、請求が認められないことになります。
慰謝料には、二つの考え方があり、「不貞行為に対する慰謝料」と「離婚に至ってしまったことに対する慰謝料」があります。
離婚まで至った場合の慰謝料は、離婚から3年以内と定められています。
不倫から3年過ぎてしまっても、離婚からはまだ3年経過していないことが多いため、離婚に対する慰謝料で不貞行為に対する慰謝料をカバーすることもできます。
しかし、離婚に至らない場合は、不貞行為を知ってからきっちりと3年で時効がきてしまいますので、注意が必要です。
慰謝料請求書を受け取った人は、弁護士に相談する人が多いようです。
最近では、初回無料という相談窓口を設けているところも多く、気軽に弁護士に意見を聞ける環境となっています。
この慰謝料請求書の文面で、素人が自分で書いたものか、弁護士のアドバイスの元で作成したのかということは、弁護士が見ればすぐわかるようです。
素人が書いたと判断されると、慰謝料請求書を受け取った側が「様子を見よう」と思い、しっかりとした反応がなく無視されてしまう場合があります。
できれば、慰謝料請求書を書くときは弁護士の意見を仰ぎ、効果的な文面を作成する方が、今後の交渉が有利にすすむといえるでしょう。