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不倫相手への慰謝料の請求方法とは?慰謝料請求の仕方を徹底解説!

 

不倫相手に慰謝料を請求したい場合、具体的にどのようにしたらよいのでしょうか。

日常では、法律や裁判に関わることがないので、よくわからないという人がほとんどだと思います。

慰謝料請求はあなたの正当な権利ですが、やり方を間違えると、名誉毀損や恐喝で逆に訴えられるケースもありますので、しっかりと準備をしてから行うようにしましょう。

ここでは慰謝料請求のやり方について説明します。

目次

慰謝料請求とは?

慰謝料の請求とは、相手からの不当な行為によって、あなたが受けた精神的苦痛を償ってもらうためのお金を損害賠償として請求することをいいます。

慰謝料の請求権はあなたの「権利」ですから、請求することも、しないこともあなたが自由に選択できます。

ただし、不倫が始まった時点で既に夫婦関係が破綻していた場合は、不倫相手との不貞行為と離婚との因果関係がないと判断され、慰謝料請求ができません。

たとえ夫婦が同居していた場合でも、すでに家庭内別居の状態であると判断された場合には、不倫相手に対する慰謝料請求は難しいと思われます。

慰謝料請求自体は正当な権利ではありますが、請求するときに「この金額を払わないと○○します」「○○されたくなければ支払ってください」等の条件をつけてしまうと、「脅迫」や「恐喝」と取られてしまう場合がありますので注意が必要です。

慰謝料請求の仕方とは?

もし慰謝料を請求するとなった場合、主に「交渉による請求」と「調停申し立てによる請求」、「裁判による請求」の三つのパターンに分けられます。

また、「交渉による請求」は、「口頭による請求」と「書面による請求」があります。

裁判は、多大な費用と時間が取られるものです。

ただでさえ精神的に辛い思いをしているところに、さらに精神的負担・経済的負担を強いられてしまいます。

そのような理由から、一般的には、まずは交渉による請求を行い、それがうまくいかず決裂した場合、裁判による請求へと進む場合が多いようです。

口頭による慰謝料請求とは

交渉による請求の一つが「口頭による請求」です。

口頭による請求のメリットは、お互いの主張をタイムリーに言い合えるため、無駄に時間がかからず早期に解決する可能性が高くなることです。

また、不倫を認めない、責任逃れをしようとしている相手に対し、嘘を考える時間を与えず、言い逃れできないように追求できることがあげられます。

デメリットとしては、口頭のため「言った、言わない」の争いに発展する可能性があること、また、相手の対応や態度が悪かった場合、冷静さを保てず感情的になってしまい、脅迫めいたことを言ってしまう可能性があることなどです。

また、口頭で請求をした場合、相手の言い分に対して即座に反応し、効果的な反論をする必要があるため、頭の回転の良さも必要です。

知識があまりなく、交渉力に乏しく機転がきかなかった場合、言いくるめられたりして交渉が失敗する危険があります。

慰謝料請求書を内容証明で送付する請求

交渉による慰謝料請求で、もう一つのやり方は「慰謝料請求書を内容証明で送付することによる請求」です。

内容証明とは、手紙の一種であり、差し出した日付や差し出し人の氏名・住所、宛先の氏名・住所、また文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる、一般書留郵便物のことをいいます。

内容証明は法的な効力はありませんが、送付した手紙の全文が郵便局に保存されるため、主張したことを後で証明することができます。

また、これに配達証明をつけることで、「受け取っていない」などと相手が主張することもできなくなります。

また、この内容証明に請求におけるメリットは、いくつかあります。

まずは、言った言わないのトラブルを回避できること、主張が書面に記載されているため、お互いの言い分が明確であること、また口頭と違って瞬時に判断、反論する必要がないので、主張の論理的な組み立てに時間をかけられること、普段見慣れない「内容証明」というもので書面を送るため、相手に心理的な威嚇の効果を上げられることなどがあります。

逆にデメリットとしては、書面でのやり取りになるため、口頭の場合と比べて格段に時間がかかってしまうことや、責任逃れをしようとする相手に対し、嘘やごまかしを考える時間を与えてしまうことなどがあります。

口頭と書面、どちらがいいのかということに関しては、状況や相手を見て判断しなくてはなりません。それぞれの場合において、一番効果的な方法をとることが重要となります。

慰謝料請求~調停申し立てによる請求~

交渉による慰謝料請求がうまくいかなかった場合は、調停申し立てによる請求となります。

調停とは、簡易裁判所で行われる非公開の話し合いのことです。

弁護士などの法律の専門家が、調停委員として参加し、双方の主張を聞きながら、法律に照らし合わながら助言し、和解(合意)を目指します。

裁判のように、強制的に答えを下すものではないので、調停がうまくいかず、和解に至らないときもあります。

調停は裁判ではありませんので、弁護士に頼らず、自分達で手続きを進めることが可能です。当事者双方が合意し、和解(合意)となった場合は、「調停調書」が作成されます。

この「調停調書」は判決と同等の効力を持っており、後で「約束などしていない」などと言い逃れすることはできません。

また、慰謝料の支払いが滞った場合、直ちに「強制執行」をすることも可能となります。

簡易裁判所での調停のときに、相手が出頭してこなかったり、話し合いがうまくいかなかったりした場合は「不調(調停不成立)」となり、調停が終わってしまいます。

話し合いの合意を強制することはできないので、合意に至らない場合も多々あります。

そのようなことから、調停を利用する際は、事実の確認等での意見の相違がなく、和解に至る可能性が充分にあると見込める場合にするのが良いでしょう。

慰謝料請求~訴訟(裁判)による請求~

調停がうまくいかなかった場合は、裁判となります。

裁判による慰謝料請求の場合は、まず裁判所に「訴状」を提出し、訴訟の提起を行います。

その訴状の中には「請求する慰謝料の金額」と「慰謝料を請求する根拠となる不貞行為の詳細」を記載する必要があり、不倫相手が不貞行為の事実を認めない場合は、裁判官に判断してもらうための「証拠」を提出する必要があります。

その後、公開の法廷で、口頭弁論によって進められていき、不倫相手による反論、それに対する再反論という流れで裁判進行していきます。

この時に不倫相手と初めて顔を合わすということも珍しくありません。

裁判では、手続が専門的かつ煩雑であり、また、法令や過去の判例を踏まえながら論理的に説明、主張していくことが必要ですので、弁護士に依頼する人が多くなっています。

もちろん弁護士を立てる義務はなく、本人のみで申し立てをすることも十分可能です。

しかし、精神的にも時間的にも大きな負担となりますし、相手が弁護士を立ててきた場合は、論理的に反論する力では劣ってしまいますので、弁護士に依頼した方が安心ともいえます。

裁判上での和解や合意にいたらなかった場合は、裁判官による「判決」が下されることとなります。

裁判が進行中であっても、裁判所から「和解勧告」を打診されるケースが多く、裁判官が示した和解案で折り合いがつけば、「和解」となり、裁判が終了するという場合が多くあります。

もし、最後まで和解にいたらなかった場合は、判決が下され、慰謝料の額を裁判所に判断してもらうこととなります。

不倫相手に保証人をつけたり、両親に支払い義務を課すことはできる?

不倫相手の年齢が若く、慰謝料の支払い能力に不安がある場合、保証人をつけたいという人が多くいますが、慰謝料の支払いについての保証人を強制的につけることは不可能となっています。

ただし、弁護士との交渉の過程で、保証人をつけることができる場合もあり、これは交渉次第ということになります。

また、不倫相手の両親に慰謝料を請求できるかということですが、これはできないこととなっています。

あくまでも、不貞行為の責任は不倫相手にあるので、慰謝料を支払う義務は本人にのみ発生します。

しかし、子供が迷惑をかけたと言って、慰謝料を支払ってくれる両親は実例としていますので、両親が任意に支払いをしてくれるのであれば、受け取ることができます。

離婚に至らなかった時の、不倫相手への慰謝料請求の注意点

たとえ不倫があっても、配偶者のことを許し、離婚まで至らないケースも多々あります。

しかし、配偶者のことは許せても、不倫相手のことだけはどうしても許せず、慰謝料請求をする場合があります。

こういった場合、気をつけなければならないのは、ダブル不倫、いわゆる既婚者同士の不倫だった場合です。

不倫相手に慰謝料請求をした場合、その不倫相手の配偶者からも、自分の配偶者に対して慰謝料請求される可能性があります。

離婚していない場合は、同じ財布ということになりますから、夫が払わなければならない慰謝料は、実質あなたが払うことと同じ意味になります。

不倫相手とあなたの配偶者が、お互いに慰謝料を払うことになれば、プラスマイナスゼロになる可能性もあります。

しかし、あなたの配偶者の方が年齢差や主導性の面などで責任が重いとされた場合、支払う額の方が多くなってしまう可能性もあります。

また、あなたの配偶者との不倫が原因で、その不倫相手が離婚してしまった場合などは、あなたの配偶者の責任がより重くなりますので、多額の慰謝料を払わなければならなくなります。

このようなことから、不倫相手が既婚者だった場合は、こちらの方が損をする可能性がありますので、慰謝料の請求については慎重に考えなければなりません。

求償権が行使されることに注意しましょう

不倫で不貞行為をした場合、あなたの配偶者(夫としましょう)と不倫相手は、それぞれが慰謝料を全額払う義務があり、どちらが払ってもよいということになっています。

慰謝料をあなたの夫が支払った場合は、不倫相手は支払わなくてもいいという事象はこのような理由で起こります。

逆に、不倫相手が全額払った場合、あなたの夫は支払わなくてもよいことになります。

しかし、慰謝料に関しては、それぞれの負担分に応じた額を払えば良いとされているので(不倫をしていて、片方が100%悪く、もう片方は全く悪くないということはありえません。)、不倫相手がまずは全額払ったけれど、「あなたの負担分を返してください」と夫に請求することができるのです。これを求償権といいます。

離婚している場合は関係がありませんが、離婚せずに婚姻関係が続いている場合は、同じ財布ということになります。

一旦慰謝料を200万円もらったけれど、後からその一部を返さなければならないといったことが起きうるのです。

200万円もらったのに、後から100万円返さなければならなくなったら、実質100万の慰謝料となってしまいます。「こんなはずじゃなかったのに。」と後からなってしまわないよう、弁護士に相談するなどして、慎重に対応しましょう。

不倫相手に慰謝料を請求したいという気持ちはおかしいものではなく、怒りのやり場がない者にとって、唯一気持ちが晴れることといえるかもしれません。

しかし、対応の仕方を間違えれば、被害者ともいえるあなたが損をしてしまう場合もありますし、手続きなどの負担から、より大きな精神的負担を抱えてしまう場合もあります。

できれば信頼のおける弁護士に相談し、最適な方法をアドバイスしてもらいながら進めましょう。

弁護士費用は必要とはなりますが、あなたの精神的な負担は和らぎますし、一番良い方法を提案してもらえることがあなたの安心につながるでしょう。