地方の空き家には自治体から補助も受けられる空き家バンクがオススメ!
地方の空き家活用の方法として、国を上げた取り組みとして注目されているのが「空き家バンク」です。
「空き家バンク」は歴史が浅く情報も少ないため、まだまだ一般的な認知が広まりきっていないサービスでもあります。
ここでは、「空き家バンク」とは何かを解説し、空き家バンクを利用するメリット・デメリット、手続きから受けられる助成制度まで詳しく解説をしていきます。
目次
空き家バンクの基礎情報
そもそも空き家バンクとは?
「空き家バンク」とは、空き家を持っているひと(売りたい、貸したい)と、空き家を探しているひと(買いたい、借りたい)をマッチングさせるサービスのことで、市町村などの地方自治体が主体になり提供しているものです。
地域内に埋もれてしまいがちな空き家情報を収集し、ホームページを通じて、地方への移住や定住に興味を持つ人々に向けて情報を発信しています。
空き家の有効活用はもちろんのこと、移住・定住者の受け入れを促進し、地域を活性化させることを目的に全国で取り組みが進められています。
自治体の職員が専属または兼務で運営にあたるケースや、不動産業界団体、NPO法人、一般社団法人などに委託して運営がおこなわれているケースなど、運営形態は自治体毎にさまざまです。
空き家バンクの運用の仕組み
運営形態は自治体毎にさまざまと申し上げましたが、運用の大まかな流れ自体はそう大きくは変わらず、ほぼ以下のとおりです。
- 空き家を所有しているひとが所属する自治体の空き家バンクに空き家情報を登録
- 自治体は公式HPにて空き家情報を公開
- 定住や移住のために家を探しているひと(移住希望者)が、希望の自治体の空き家バンクに登録
- 移住希望者が空き家情報を自由に閲覧
- 移住希望者は気になる物件があれば、自治体の空き家バンク担当者に連絡
- 空き家バンク担当者は所有者と連絡をとり、移住希望者に引き合わせる
多くの場合、空き家所有者と移住希望者の引き合わせまでが空き家バンクの仕事です。
それ以降の売買・賃貸に関する交渉や契約は、自治体と協定を結んでいる地元の不動産業界団体が仲介に入るか、当事者同士の話し合いでおこなわれます。
自治体によって空き家バンクへの取り組み方には温度差があり、専門部署を設ける、地元企業、民間団体、地域住民やNPOなどとの協議会を作る、移住希望者へ向けた交流会や説明会、セミナーを開催する、受け入れ態勢の整備に力を入れるなど、積極的に取り組みをおこなっている自治体ほど成果があがっています。
空き家バンクの利用実態
成果をあげている自治体も出てきてはいますが、空き家バンクは歴史が浅く、情報も整備されていないことからか利用実態はまだまだ少ないのが現状です。
全国の空き家情報を知りたいと思っても、いちいち各自治体の空き家バンクサイトにいかなければ情報を得ることができないことも、利用が広まらないことの一因になっていると考えられます。
一般社団法人 移住・交流推進機構(JOIN)では、ポータルサイトを立ち上げ、全国の空き家バンクの情報を一元化し、ワンストップで情報提供ができる仕組みの実現を目指しています。
掲載されている空き家バンクはまだ全国を網羅できていないなど、情報整備に課題はありますが、情報を一元化するという試みは注目されています。
空き家バンクを利用するメリットは?
借り手は空き家バンクに行けば古民家などの空き家情報が手に入りやすい
空き家バンクは、一般的な不動産の売買のように、収益性重視の事業ではありません。
不動産仲介業者が採算を考えて取り扱わないような古民家や畑付きの住宅といった、市場に流通していない物件も空き家バンクには登録されています。
そのような物件を探しているならば、空き家バンクに相談をすると、希望どおりの物件だけでなく思わぬ掘り出し物にめぐり合える可能性があります。
移住のサポートも受けられる
空き家バンクの目的には、地方へ移住者を受け入れ、地方の活性化を目指すことも含まれています。
移住するためのハードルとなるのは、住まいのことだけではありませんね。
Iターン・Uターン就職の問題、子育ての問題、医療についての不安など移住に向けたさまざま事柄について、移住希望者をサポートするための体制を整えている自治体もあります。
そういった自治体は、移住前だけでなく、地域に上手く溶け込めるよう交流会を開催するなど、移住後のケアにも力を入れていますので、利用する価値は十分にあります。
地方自治体による借り手の紹介
空き家バンクに所有物件を登録すれば、自治体のバックアップを受けて、入居希望者を募ることができます。
行政という信頼度の高い組織に窓口になってもらうことは、空き家を貸す側からしても、メリットがあるといえるでしょう。
空き家所有者は改修費用の補助を受けられる
自治体によっては、空き家バンクに登録された物件の改修・修繕費用を補助する制度を設けているところがあります。
通常、家を売却または貸出する前は、所有者が費用をかけて、機能を向上させたり見栄えをよくしたりします。
空き家バンクを利用すればその支出を抑えつつ、物件の価値を高めて入居希望者を募ることができます。
(補助金制度については後述します。)
物件数が多いわけではなく、希望の物件が見つかるとは限らない
空き家バンクは認知度の低さや、所有者が「物置として必要」、「将来自分や親族が使うかも」、「捨てられないものがある」などの理由から売却や貸出をしたがらないこともあり、登録件数がまだまだ少ないです。
㈱うるるが平成28年9月に自治体に対して実施したアンケート調査では、
「空き家バンクは、全国750の自治体で設置されており、設置率は全体の43.7%。
物件登録数の累計は平均47.6件で、運営する自治体全体に換算すると3万5700件。
これは820万戸と言われる全国の空き家数のわずか 0.4%にとどまる。」
との結果が出ています。
現在の登録数では、移住希望者が空き家バンクを利用しても、物件が必ず見つかるとは言い難い状況です。
[参照]株式会社うるる
空き家バンクによってサービスに差がある
「空き家バンクの運用の仕組み」のところでも触れましたが、自治体によって空き家バンクへの取り組み方には温度差があります。
空き家バンクの仕事と他の業務を兼務としている自治体も少なくなく、移住促進が片手間仕事になっているところもあります。
そうかと思えば、移住にともなう就職、子育て支援のほかにも、引越し費用の補助など至れり尽くせりという自治体もあります。
このように全国どこの空き家バンクでも同等のサービスが受けられるとは限らず、利用者からしてみれば、当たり外れがあるという感覚は否めないところです。
空き家バンクへの物件登録の流れと受けられる補助制度の例
空き家所有者が空き家バンクに物件の登録をするには、おおむね以下のような手続きをおこないます。
空き家バンクへ問い合わせて登録手続きをする
下記書類を作成し自治体の該当部署に申請
- 空き家バンク登録申込書
- 空き家情報登録カード(空き家の情報を記入したもの)
- 位置図および間取り図
- 写真
- 誓約書または同意書(個人情報の取扱いについてや自治体の免責事項への同意)
- 自治体からの審査を受ける
空き家バンク制度の利用の活性化を図り、もって良好な空き家の市場への流通促進並びに空き家を活用した移住及び定住を促進するため、空き家所有者には家財等処分、清掃費用を、空き家利用者には仲介手数料、登記及び引越し費用の一部を補助します。