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人口減少社会だからこそ考えたい土地活用を行う上でのポイントを解説

 少子高齢化をうけて人口減少がますます進んでいくと予想されるなかで、今後の土地活用は成功することができないと言われていますが、実際のところそれは事実なのでしょうか?
ここでは、人口減少とともに注目するべき社会情勢から、これからも需要が高い活用方法は何かを検討するとともに、一番先が暗いと言われている住宅活用について、打開策はないのかを考えてみたいと思います。

 

少子高齢化をうけて人口減少がますます進んでいくと予想されるなかで、今後の土地活用は成功することができないと言われていますが、実際のところそれは事実なのでしょうか?

ここでは、人口減少とともに注目するべき社会情勢から、これからも需要が高い活用方法は何かを検討するとともに、一番先が暗いと言われている住宅活用について、打開策はないのかを考えてみたいと思います。

目次

人口減少は土地活用に影響するのか

人口減少で借り手が減ることは間違いない

人口減少が与える影響について、さまざまなメディアで取り上げられるようになってもう随分と久しいですね。

かつては「将来的には…」という枕詞がついていましたが、いまでは人口減少は正に現在進行形の問題と化しました。

総務省の「平成28年度版情報通信白書」によれば、日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は1995年に、総人口も2008年にピークを迎えたのち減少しつづけ、2015年には総人口は1億2,520万人(うち生産年齢人口7,592万人)になったということです。

さらに国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、2030年の総人口は1億1,662万人(うち生産年齢人口6,773万人)、2060年の総人口は8,674万人(うち生産年齢人口4,418万人)と、実に2010年の総人口の32.3%減、生産年齢人口にいたっては45.9%減になるとされています。

また平成25年の「住宅・土地統計調査」では、空き家数が急増し820万戸にのぼると報告され、空き家が社会問題として注目されるきっかけになりました。

空き家といえば、戸建ての持家をイメージされるかもしれませんが、実は820万戸の空き家のうち、439万2,300戸は賃貸住宅の空き家です。

つまり、半数以上が賃貸アパートやマンションの空室ということです。

このような状況をみていくと、土地活用の中でも認知度が高く人気がある賃貸住宅経営であっても、いま始めたところで、このまま人口が減り続ければ「借り手になる可能性の人が減る=需要がなくなる⇒いずれは空き家になる?」と及び腰になってしまいますね。

人口減少はエリアごとに見ることも大切

ここまでで、日本全体の人口は減少していて、この先もこの状態は続くであろうことは把握できました。

では、自身の所有地があるエリアについてはどうでしょうか?

土地活用において人口減少の問題をみるときは、日本全体の数値よりも、エリアごとの数値を把握することが大切です。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)」から都道府県別総人口と指数をみてみます。

2010年を100とした場合、30年後の2040年に90以上をキープしているのは、東京都(93.5)、神奈川県(92.2)、愛知県(92.5)、滋賀県(92.8)、沖縄県(98.3)、80台後半までを含めると埼玉県(87.6)、千葉県(86.2)、福岡県(86.3)という結果になっています。

滋賀県と沖縄県以外は、現在も人口の集中している首都圏や都市部ですね。

大阪府も84.1ですから、まずまずといったところでしょう。

逆に人口減少が大きい(指数が60~70前半)のは、青森県(67.9)、岩手県(70.5)、秋田県(64.4)、山形県(71.5)、福島県(73.2)、和歌山県(71.8)、鳥取県(74.9)、島根県(72.6)、山口県(73.7)、徳島県(72.7)、高知県(70.2)、長崎県(73.5)となっています。

もともと人口が少なかった地方が、さらに人口を減らしていくということになります。

実は人口減少の影響は、「首都圏や都市部ではあまり大きくなく、地方は深刻である。」というのがおおかたの予想なのです。

都道府県別総人口と指数(平成22年=100)
地域 総人口(1,000人)
平成22年
-2010
平成27年
-2015
平成32年
-2020
平成37年
-2025
全国 128,057 126,597 124,100 120,659
北海道 5,506 5,361 5,178 4,960
青森県 1,373 1,306 1,236 1,161
岩手県 1,330 1,266 1,206 1,140
宮城県 2,348 2,306 2,269 2,210
秋田県 1,086 1,023 959 893
山形県 1,169 1,116 1,062 1,006
福島県 2,029 1,913 1,874 1,780
茨城県 2,970 2,922 2,853 2,764
栃木県 2,008 1,974 1,926 1,867
群馬県 2,008 1,971 1,920 1,858
埼玉県 7,195 7,206 7,133 6,991
千葉県 6,216 6,192 6,122 5,987
東京都 13,159 13,349 13,315 13,179
神奈川県 9,048 9,148 9,122 9,010
新潟県 2,374 2,297 2,210 2,112
富山県 1,093 1,064 1,028 986
石川県 1,170 1,153 1,128 1,096
福井県 806 785 760 731
山梨県 863 838 809 776
長野県 2,152 2,091 2,019 1,938
岐阜県 2,081 2,035 1,978 1,908
静岡県 3,765 3,696 3,601 3,480
愛知県 7,411 7,470 7,440 7,348
三重県 1,855 1,821 1,773 1,715
滋賀県 1,411 1,420 1,414 1,398
京都府 2,636 2,615 2,567 2,499
大阪府 8,865 8,808 8,649 8,410
兵庫県 5,588 5,532 5,422 5,269
奈良県 1,401 1,370 1,330 1,280
和歌山県 1,002 961 917 869
鳥取県 589 567 544 520
島根県 717 687 655 622
岡山県 1,945 1,913 1,868 1,811
広島県 2,861 2,825 2,767 2,689
山口県 1,451 1,399 1,340 1,275
徳島県 785 756 723 686
香川県 996 969 937 900
愛媛県 1,431 1,383 1,329 1,269
高知県 764 730 693 655
福岡県 5,072 5,046 4,968 4,856
佐賀県 850 828 803 775
長崎県 1,427 1,371 1,313 1,250
熊本県 1,817 1,776 1,725 1,666
大分県 1,197 1,169 1,134 1,094
宮崎県 1,135 1,107 1,073 1,034
鹿児島県 1,706 1,650 1,588 1,522
沖縄県 1,393 1,410 1,417 1,414
減少県 38 41 46 47
地域 総人口(1,000人)
平成42年
-2030
平成47年
-2035
平成52年
-2040
全国 116,618 112,124 107,276
北海道 4,719 4,462 4,190
青森県 1,085 1,009 932
岩手県 1,072 1,005 938
宮城県 2,141 2,062 1,973
秋田県 827 763 700
山形県 949 893 836
福島県 1,684 1,587 1,485
茨城県 2,661 2,546 2,423
栃木県 1,800 1,725 1,643
群馬県 1,787 1,711 1,630
埼玉県 6,796 6,562 6,305
千葉県 5,806 5,592 5,358
東京都 12,957 12,663 12,308
神奈川県 8,833 8,607 8,343
新潟県 2,009 1,902 1,791
富山県 940 892 841
石川県 1,060 1,019 974
福井県 700 668 633
山梨県 741 704 666
長野県 1,851 1,761 1,668
岐阜県 1,830 1,746 1,660
静岡県 3,343 3,193 3,035
愛知県 7,213 7,046 6,856
三重県 1,649 1,580 1,508
滋賀県 1,375 1,345 1,309
京都府 2,418 2,325 2,224
大阪府 8,118 7,794 7,454
兵庫県 5,088 4,888 4,674
奈良県 1,223 1,161 1,096
和歌山県 820 769 719
鳥取県 494 468 441
島根県 588 555 521
岡山県 1,749 1,682 1,611
広島県 2,599 2,499 2,391
山口県 1,208 1,139 1,070
徳島県 649 611 571
香川県 860 818 773
愛媛県 1,206 1,141 1,075
高知県 616 576 537
福岡県 4,718 4,559 4,379
佐賀県 745 714 680
長崎県 1,185 1,118 1,049
熊本県 1,603 1,538 1,467
大分県 1,050 1,004 955
宮崎県 991 947 901
鹿児島県 1,454 1,386 1,314
沖縄県 1,405 1,391 1,369
減少県 47 47 47
地域 指数(平成22年=100)
平成37年
-2035
平成52年
-2040
全国 94.2 83.8
北海道 90.1 76.1
青森県 84.6 67.9
岩手県 85.7 70.5
宮城県 94.1 84
秋田県 82.2 64.4
山形県 86 71.5
福島県 87.7 73.2
茨城県 93.1 81.6
栃木県 93 81.9
群馬県 92.5 81.2
埼玉県 97.2 87.6
千葉県 96.3 86.2
東京都 100.1 93.5
神奈川県 99.6 92.2
新潟県 89 75.4
富山県 90.2 77
石川県 93.7 83.3
福井県 90.7 78.5
山梨県 89.9 77.2
長野県 90 77.5
岐阜県 91.7 79.8
静岡県 92.4 80.6
愛知県 99.2 92.5
三重県 92.4 81.3
滋賀県 99.1 92.8
京都府 94.8 84.4
大阪府 94.9 84.1
兵庫県 94.3 83.6
奈良県 91.4 78.3
和歌山県 86.7 71.8
鳥取県 88.3 74.9
島根県 86.7 72.6
岡山県 93.1 82.8
広島県 94 83.6
山口県 87.9 73.7
徳島県 87.4 72.7
香川県 90.4 77.6
愛媛県 88.7 75.1
高知県 85.6 70.2
福岡県 95.7 86.3
佐賀県 91.2 80
長崎県 87.6 73.5
熊本県 91.7 80.7
大分県 91.4 79.8
宮崎県 91.1 79.3
鹿児島県 89.2 77
沖縄県 101.5 98.3
減少県
  • 指数とは、平成22(2010)年の総人口を100としたときの総人口の値のこと。
  • 減少県とは、5年前より総人口が減少した都道府県の数のこと。

人口減少と併せて世帯数も重要な数値

賃貸住宅においては人口よりも、部屋を借りてくれる集合体の単位、つまり世帯数が実際の顧客数となるため、重要視されます。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)(2014年4月推計)」をみてみます。

2010年→2035年の推計では、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、沖縄県では人口が減少しているにも関わらず、世帯数が増えると予想されています。

全国でみても-4.4%ですから、減少の割合は少なく、首都圏や都市部でその傾向は強いようです。

人口減少と併せて世帯数も重要な数値
都道府県 世 帯 数 (1,000世帯)
2010 2015 2020
全  国 51 842 52 904 53 053
北海道 2 418 2 428 2 392
青森県 511 505 492
岩手県 483 475 463
宮城県 900 911 916
秋田県 389 380 365
山形県 388 383 374
福島県 719 708 711
茨城県 1 087 1 103 1 102
栃木県 744 755 754
群馬県 754 763 760
埼玉県 2 837 2 938 2 983
千葉県 2 512 2 580 2 604
東京都 6 382 6 663 6 789
神奈川県 3 830 3 997 4 086
新潟県 837 839 828
富山県 382 384 380
石川県 440 446 445
福井県 275 276 273
山梨県 327 328 325
長野県 793 792 780
岐阜県 736 738 730
静岡県 1 397 1 412 1 405
愛知県 2 930 3 032 3 081
三重県 703 709 705
滋賀県 517 534 542
京都府 1 120 1 145 1 150
大阪府 3 823 3 935 3 968
兵庫県 2 252 2 303 2 310
奈良県 523 527 522
和歌山県 393 389 380
鳥取県 211 210 205
島根県 261 257 250
岡山県 753 759 754
広島県 1 183 1 202 1 200
山口県 596 591 576
徳島県 302 299 292
香川県 390 391 386
愛媛県 590 586 574
高知県 321 317 309
福岡県 2 107 2 160 2 171
佐賀県 294 295 292
長崎県 557 553 542
熊本県 686 689 681
大分県 480 482 475
宮崎県 459 461 454
鹿児島県 727 724 707
沖縄県 519 549 569
都道府県 世 帯 数 (1,000世帯)
2025 2030 2035
全  国 52 439 51 231 49 555
北海道 2 321 2 225 2 103
青森県 472 449 423
岩手県 446 426 405
宮城県 907 891 868
秋田県 346 327 306
山形県 362 348 334
福島県 687 660 630
茨城県 1 087 1 061 1 028
栃木県 745 728 707
群馬県 748 729 704
埼玉県 2 977 2 926 2 843
千葉県 2 585 2 528 2 444
東京都 6 814 6 752 6 614
神奈川県 4 106 4 060 3 966
新潟県 808 783 755
富山県 371 360 346
石川県 440 431 417
福井県 268 261 252
山梨県 318 308 295
長野県 761 736 706
岐阜県 716 695 672
静岡県 1 381 1 345 1 300
愛知県 3 088 3 059 3 006
三重県 692 674 652
滋賀県 545 542 535
京都府 1 138 1 110 1 071
大阪府 3 928 3 823 3 679
兵庫県 2 283 2 229 2 153
奈良県 510 492 470
和歌山県 366 350 332
鳥取県 199 192 183
島根県 240 229 218
岡山県 741 722 698
広島県 1 181 1 148 1 103
山口県 555 528 498
徳島県 282 270 257
香川県 377 364 348
愛媛県 555 532 505
高知県 296 281 265
福岡県 2 152 2 111 2 047
佐賀県 286 279 270
長崎県 523 501 475
熊本県 667 648 626
大分県 463 449 431
宮崎県 442 427 408
鹿児島県 683 655 622
沖縄県 581 587 587
都道府県 増 加 率 (%)
2010

2035年
2010

2015年
2015

2020年
全  国 -4.4 2 0.3
北海道 -13 0.4 -1.5
青森県 -17.3 -1.2 -2.7
岩手県 -16.1 -1.6 -2.5
宮城県 -3.6 1.2 0.5
秋田県 -21.4 -2.4 -3.9
山形県 -14 -1.2 -2.4
福島県 -12.4 -1.7 0.5
茨城県 -5.4 1.5 -0.1
栃木県 -5 1.5 -0.1
群馬県 -6.7 1.2 -0.4
埼玉県 0.2 3.6 1.5
千葉県 -2.7 2.7 1
東京都 3.6 4.4 1.9
神奈川県 3.5 4.4 2.2
新潟県 -9.9 0.2 -1.3
富山県 -9.4 0.4 -1.1
石川県 -5.3 1.2 -0.1
福井県 -8.2 0.4 -1
山梨県 -9.8 0.4 -1
長野県 -11 -0.2 -1.5
岐阜県 -8.7 0.3 -1
静岡県 -7 1.1 -0.5
愛知県 2.6 3.5 1.6
三重県 -7.3 0.9 -0.7
滋賀県 3.5 3.2 1.6
京都府 -4.4 2.2 0.4
大阪府 -3.8 2.9 0.8
兵庫県 -4.4 2.2 0.3
奈良県 -10.1 0.8 -0.9
和歌山県 -15.6 -0.9 -2.4
鳥取県 -13.2 -0.7 -2.1
島根県 -16.5 -1.4 -2.9
岡山県 -7.3 0.8 -0.6
広島県 -6.7 1.6 -0.2
山口県 -16.4 -0.9 -2.5
徳島県 -14.9 -0.8 -2.3
香川県 -10.7 0.3 -1.3
愛媛県 -14.4 -0.6 -2.1
高知県 -17.5 -1.1 -2.8
福岡県 -2.8 2.5 0.5
佐賀県 -8.2 0.3 -1
長崎県 -14.7 -0.7 -2.1
熊本県 -8.8 0.4 -1.1
大分県 -10.4 0.3 -1.4
宮崎県 -11.1 0.3 -1.5
鹿児島県 -14.5 -0.4 -2.4
沖縄県 13.1 5.8 3.6
都道府県 増 加 率 (%)
2020

2025年
2025

2030年
2030

2035年
全  国 -1.2 -2.3 -3.3
北海道 -2.9 -4.2 -5.5
青森県 -4 -4.9 -5.8
岩手県 -3.7 -4.4 -5
宮城県 -0.9 -1.8 -2.6
秋田県 -5.1 -5.7 -6.3
山形県 -3.3 -3.8 -4.1
福島県 -3.3 -3.9 -4.6
茨城県 -1.4 -2.4 -3.1
栃木県 -1.3 -2.2 -2.9
群馬県 -1.6 -2.6 -3.4
埼玉県 -0.2 -1.7 -2.8
千葉県 -0.7 -2.2 -3.3
東京都 0.4 -0.9 -2
神奈川県 0.5 -1.1 -2.3
新潟県 -2.4 -3 -3.7
富山県 -2.2 -3 -3.8
石川県 -1.2 -2.2 -3.1
福井県 -2 -2.6 -3.3
山梨県 -2.2 -3.2 -4.1
長野県 -2.4 -3.3 -4.1
岐阜県 -2 -2.8 -3.4
静岡県 -1.7 -2.6 -3.4
愛知県 0.2 -0.9 -1.8
三重県 -1.7 -2.6 -3.4
滋賀県 0.5 -0.5 -1.2
京都府 -1.1 -2.4 -3.5
大阪府 -1 -2.7 -3.8
兵庫県 -1.2 -2.4 -3.4
奈良県 -2.3 -3.5 -4.4
和歌山県 -3.6 -4.5 -5.3
鳥取県 -3.1 -3.7 -4.3
島根県 -3.8 -4.4 -5
岡山県 -1.8 -2.6 -3.3
広島県 -1.6 -2.8 -3.8
山口県 -3.8 -4.8 -5.6
徳島県 -3.4 -4.3 -5
香川県 -2.4 -3.4 -4.3
愛媛県 -3.3 -4.2 -5.1
高知県 -4 -4.9 -5.9
福岡県 -0.9 -1.9 -3
佐賀県 -2 -2.6 -3.2
長崎県 -3.3 -4.2 -5.2
熊本県 -2.1 -2.8 -3.5
大分県 -2.4 -3.2 -4
宮崎県 -2.7 -3.4 -4.3
鹿児島県 -3.5 -4.1 -5
沖縄県 2 1 0.1

注)四捨五入のため合計は必ずしも一致しない

人口減少で住宅としての土地活用は収益化できなくなるのか

都市部以外での住宅の土地活用は難しくなる

人口および世帯数の将来推計データをみていくと、土地を賃貸住宅として活用する場合、地方では入居者獲得に苦戦を強いられるであろうと予想できます。

高齢化社会を見越したサービス高齢者住宅は可能性がある

ただし、賃貸住宅の種類によっては今後の需要の伸びが期待される分野があります。

皆さんもよくご存知のように、日本における人口減少は、少子高齢化が大きく影響しています。

そこで注目されているのが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。

「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」とは、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造などを有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する高齢者向け賃貸住宅のことです。

自立または軽度の要介護老人が入居可能で、生活相談員が常駐して、入居者の安否確認や生活支援サービスがおこなわれます。

高齢化社会が進むことで、サービス付き高齢者向け住宅の需要は、今後も増え続けると期待されています。

サービス付き高齢者向け住宅は、一般の賃貸住宅に比べると、立地の許容範囲が広いのが特徴です。

立地は良いに越したことはありませんが、必ずしも都市部・駅チカである必要はありません。

利用者の生活スタイル・サイクルが、いわゆる現役世代とは異なりますので、多少交通の便が悪いところ、日常生活にクルマが欠かせないような郊外の土地でも、買い物や通院のためのサービスが提供されるのであれば、需要が見込めます。

ただし、サービス付き高齢者住宅では、賃貸住宅としてよりも、介護・福祉事業としてそのサービス内容が重視されます。

質のよい住宅を建てても、契約したサービス事業者のサービス内容が悪ければ経営は上手くいかないでしょう。

現時点で根付いているサービスだけでなく、今後は業界全体のサービス拡大、底上げが重要な課題になってきます。

住宅以外で収益化が見込める土地活用の方法はあるのか

太陽光発電は地価の影響を受けずに運営ができる

人口や地価の影響を受けにくい活用方法として、太陽光発電経営があげられます。

遊休地では大量に太陽光発電パネルを敷き詰めて、発電された電力を売る「野立て太陽光発電」がおこなわれています。

太陽光発電の収益の根源となっているのが、「再生可能エネルギーの固定買取制度」です。

「再生可能エネルギーの固定買取制度」とは、太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーで発電された電力を一定期間、国が定めた金額据え置きで、電力会社が買取る制度です。

この制度を利用することで、太陽光を等しく受けることさえできれば、地域によらず安定した収入を得ることが可能です。

パネルに影を落とす建物が少ないことや、固定資産税や都市計画税が安く済むことを考えると、むしろ都市部でない田舎の方が有利な土地活用といえます。

トランクルームも需要が伸びている活用方法

トランクルームとは、個人や企業に物や資料を保管するための場所を貸すこと=「レンタル収納スペース」のことです。

主な方法として、屋外型レンタル収納スペースの「コンテナタイプ」や、屋内型レンタル収納スペースの「ルームタイプ」があります。

核家族化が進み住居内に大きな収納スペースを取れないことから、トランクルームの需要は近年成長を続けている分野です。

トランクルームは土地の条件にあまり影響を受けずに運用ができます。

形がいびつな土地や日当たりの悪い土地でも、収納スペースが確保できれば対応可能です。

また、少々不便なところにあっても、クルマで来て荷物を出し入れする限りは、駐車スペースをとっておけば問題ありません。

需要の見込める地域としては、戸建て住宅が多い地域より、賃貸アパートやマンションといった少々手狭な住宅が多い地域や、事務所の多いところなどが挙げられます。

ただし、事務所といえども大企業であれば、社内に保管場所を確保しているところが多いですから、需要は見込めません。

事務所内に場所を確保できない会計事務所やクリニックなどの方が、ニーズが高いです。

本当に今後の住宅運営は成り立たなくなるのか

競争は厳しくなるものの、成立しなくはならないという見方もある

先ほど人口減少の影響で住宅としての土地活用は収益化できなくなる可能性が高い、特に地方ではかなり厳しいであろうというお話をしました。

しかしその一方で、借り手の取り合い競争は厳しくなるものの、誰がやっても経営が成り立たないということではないという意見もあります。

確かに、人口は減っても世帯数の減少が抑えられている状態であれば、賃貸住宅の需要は決してゼロにはなりません。

差別化できる、需要にあった住宅を提供できるかが鍵となる

どのような商売であってもそうですが、競争の中で選ばれるだけの時代のニーズにあったものを提供できていれば、顧客が途切れることはありません。

もちろん賃貸住宅においても、それは同じことです。

間取りひとつとっても、一世帯あたりの人数が少なくなれば、部屋数の多さよりもリビングや洗面、浴室が広く、空間にゆとりがあるものが好まれます。

シェアハウスやシェアオフィス、DIY可能な賃貸といったような、自由度の高さを売りにする物件も出てきています。

2017年6月には楽天とLIFULLが「楽天LIFULL STAY株式会社」を設立し、民泊ビジネスに参入すると発表したばかりです。

このようにこれからの賃貸住宅経営では、いかに他と差別化し、ニーズにあった住宅を提供できるかがポイントになります。

ひとり親世帯の増加により、賃貸需要の増加を予想する意見もある

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」では、単独世帯やひとり親世帯が増加するとも予測しています。

これは未婚率、離婚率の上昇によるもので、これらの世帯は持ち家でなく賃貸住宅を選択するため、賃貸需要が増えるのではないかという意見もあります。

住宅に限らず、従来とは違った柔軟な土地活用が重要

人口減少・少子高齢化により、賃貸住宅経営に限らずあらゆる物事が、従来のやり方では難しくなっていくことは明白です。

身軽に動ける、働ける生産年齢人口の低下は、経済の担い手を失うということです。

例えば、今後需要が高まると期待されるサービス付き高齢者向け住宅では、高齢化で入居を希望する人口は増えるでしょうが、運営する生産年齢人口が減ってしまうことは大打撃です。

それをどう補うのかは大きな課題です。

介護ロボットや自動運転自動車の導入が必須になる可能性は否定できないでしょう。

このように今後も、社会的ニーズはどんどん変化していくはずですから、それらに柔軟に対応できるかが成功を掴むカギと言えます。

まとめ

土地活用は個人の力だけでおこなうことは大変困難です。

コンサルティング会社や不動産会社、ハウスメーカーなどさまざまな専門家や企業と共に戦略を練って実行していかなければなりません。

人口が減少すれば、これら専門家や企業も厳しい競争にさらされることになります。

それがために、高齢者を狙った悪質なやり方で、土地を借り上げるような業者も出てきているようです。

高齢になった親の事業や土地を引き継ぐ予定があるのであれば、早めに引継ついで、このような業者から身を守ることも検討した方がよいでしょう。