トランクルーム経営のメリットとデメリットを解説!
トランクルームは、近年需要が高まり、活気をみせているビジネスのひとつです。
不況の煽りから手狭な家に住まざるを得ない世帯が増え、自宅に荷物が収まりきらないというひとも多いようです。
そこで、年々人気を集めてきているのが、物置専門のトランクルームです。
少子高齢化、人口減少の影響で増えてきた空き家、空き地、空室を活かす土地活用として注目を集めています。
土地活用でトランクルーム経営を始める前に、ぜひ知っておいていただきたいポイントをまとめました。
「トランクルーム経営成功のカギ」を掴んでください。
目次
トランクルーム経営のメリット
利益率が高く、短期で回収ができる
トランクルームとは、個人や企業に物や資料を保管するための場所を貸すこと=「レンタル収納スペース」のことです。
主な方法として、屋外型レンタル収納スペースの「コンテナタイプ」や、屋内型レンタル収納スペースの「ルームタイプ」があります。
「コンテナタイプ」は基本的に、更地にコンテナを設置するだけですので、初期費用が少なくて済みます。
「ルームタイプ」は、建物の中を仕切るなどして収納スペースにするもので、空室率の高くなった賃貸住宅やオフィスビルの一部を、トランクルームに切り替えて利用する、併用タイプが主流です。
こちらも建物を新たに建てるというわけではないので、賃貸住宅やビル経営に比べれば初期費用が少なくて済みます。
どちらのタイプも普段使用しないスポーツ用品や家財、書籍、資料などを保管する目的で利用されますから、一旦契約すると長期間借りてもらえるというメリットがあります。
需要の見込める地域で開業できれば、継続して収入を得ることが可能です。
初期費用が少ない分、回収スピードは早く、平均で5年程度です。
土地の条件に左右されにくく運用ができる
土地活用の中でも特に住宅として利用する場合は、土地の広さや形状、交通の便や周辺環境といった条件に成否が大きく影響を受けますが、トランクルームは土地の条件にあまり影響を受けずに運用ができます。
形がいびつな土地や日当たりの悪い土地でも、収納スペースが確保できれば対応可能です。
また、少々不便なところにあっても、クルマで来て荷物を出し入れする限りは、駐車スペースをとっておけば問題ありません。
ただし、法律によりトランクルームを建てられない場所がありますので、注意が必要です(詳しくは後述します)。
需要の見込める地域としては、戸建て住宅が多い地域より、賃貸アパートやマンションといった少々手狭な住宅が多い地域や、事務所の多いところなどが挙げられます。
ただし、事務所といえども大企業であれば、社内に保管場所を確保しているところが多いですから、需要は見込めません。
事務所内に場所を確保できない会計事務所やクリニックなどの方が、ニーズが高いです。
管理が簡単で管理コストも少ない
居住目的の施設ではないため、キッチンやバスルームなどの水周り設備がなく、管理についても手間をかけずに済みます。
必要な設備としては、電気、監視カメラ(必要に応じて)などです。
解約になった場合も、クロスの張替えや水周りのリフォームなどにかかるコストがほとんど不要です。
日常の集金や清掃、集客、契約などを管理会社に委託する方法もありますが、それでもアパート・マンション経営の管理に比べれば、手間も費用も少なくて済みます。
トラブルが発生しにくい
トランクルームには借地借家法が適用されませんから、借家人保護の影響を受けることはありません。
賃貸住宅では、借家人保護の影響で、土地を転用したくても借家人が容易には退去してくれない可能性がありますが、そのような心配はありません。
また収納スペース内の湿度や室温により、保管品に影響が出た場合も、あらかじめ保管責任を負わない契約を結んでおけば、トラブルを避けることができます。
ただし、コンテナタイプでは近隣への配慮は必要です。
トランクルームの利用者がゴミをそのまま放置したり、夜中の出入りで騒音を出したりする可能性がないとも限りません。
トランクルーム経営のデメリット
税金対策としての効果は薄い
土地活用の目的に節税対策を挙げるひとも少なくありません。
黙って持っているだけでも、土地には税金が掛かってきてしまうからです。
しかし、残念ながら、トランクルーム経営では、節税対策の効果はあまり期待できません。
賃貸住宅のように「住宅用地の課税標準の特例措置」を適用できないため、固定資産税や都市計画税を節税することができないのです。
敷地は更地と同等の扱いになりますから、注意してください。
ただし、相続税については「貸家建付地の評価減」と「小規模宅地等の特例」を受けられる場合があります。
これはトランクルームのタイプとトランクルーム業者との契約形態によって変わってきますので、税理士など専門家に確認してください。
集客に苦戦することがある
メジャーな分野とはいい難いところがありますので、宣伝・広告の仕方に工夫をして、より多くのひとに存在を知ってもらう必要があります。
看板、チラシ、ホームページなどが主な販促ツールになりますが、個人でおこなうのは難しく、トランクルーム業者と契約するケースが多くなります。
また、認知度の低さは、満室に至るまでの期間も長くさせます。
満室になるまで、1年ぐらいはかかると覚悟しておいた方が良いでしょう。
担保としての価値はない
トランクルームは、コンテナタイプはもとより、ルームタイプであっても資産価値がないと判断する金融機関が多く、担保にして融資を受けるのが難しい分野です。
しかし、オリコ「店舗設備ローンサービス」のように、トランクルーム経営に対応している商品もありますし、日本政策金融公庫も利用できる可能性もありますので、全く道が閉ざされているというわけではありません。
トランクルーム経営に向いているタイプの人
住環境には向かない土地を持っている
一般的に土地活用で人気があるのは賃貸住宅経営ですが、それに向かない土地でも需要次第で、トランクルームとして活かすことができます。
例えば以下のような土地が該当します。
- 利便性に欠ける土地
- 狭すぎる土地
- いびつな形の土地
- 日当たりの悪い土地
など
短期間で資金回収をしたい
メリットのところでもご説明しましたように、トランクルーム経営は初期費用が少ない分、回収スピードが早い土地活用です。
現在は遊んでいる土地でも、将来は別の用途で使用する、または売却するなどの予定がある場合も対応できます。
運用期間が10年程でも、トランクルーム経営なら、資金を回収し、十分な利益を上げられる可能性があります。
コンテナタイプであれば、撤去費用もそれほどかかりませんから、廃業時の費用も抑えられます。
建物の空きスペースや埋まらない空室を活用したい
人口減少や賃貸住宅の乱立による供給過多の影響を受けて、賃貸住宅やビルの部屋が空いたまま、なかなか埋まらなくて困っているオーナーもいらっしゃるかもしれません。
テナントがなかなか入らず、1Fの店舗シャッターがずっとしまったままだったりすると、建物全体の印象も悪くなりますし、治安も心配ですね。
このような場合、1F部分を改修してルームタイプのトランクルームにするという方法があります。
重たい荷物でも1Fであれば、出し入れが楽にでき、アピールポイントにできます。
トランクルーム土地活用で経営を始める手続きの流れ
所有している土地でのトランクルームの建設可否を確認
まずは、所有している土地にトランクルームを建てられるか確認しましょう。
コンテナタイプやルームタイプ単体でトランクルームを建設する場合は、用途地域と建築基準法の制限を受けます。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域および市街化調整区域においては建設が出来ません。
また、コンテナであっても、土地に設置して継続的に使用する場合は、必要な処理を(コンクリートで基礎固めなど)施して、建築確認申請をおこなう必要があります。
トランクルームの運営方法を考える
先にトランクルームには「コンテナタイプ」と「ルームタイプ」があることをご説明しました。
トランクルーム経営を始めるにあたり、どちらのタイプが所有している土地や目的にあっているかを検討する必要があります。
それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
コンテナタイプのメリット
- ルームタイプに比べ、初期費用・ランニングコストが少ない
- 大きな荷物を収納できる
コンテナタイプのデメリット
- クルマを横付けして荷物の出し入れができるよう、駐車スペースの確保が必要
- 湿度、温度の管理が困難
- 屋外に設置されているものなのでセキュリティー面で不安が残る
ルームタイプのメリット
- 空調設備や防犯の強化が可能なため、ターゲット層を広げられる
- 付加価値を高めることで、コンテナタイプより賃料を高く設定できる
ルームタイプのデメリット
- コンテナタイプに比べ、初期費用・ランニングコストが高くなる
- 出入り口や通路の関係で大きな荷物の収納が難しい場合がある
トランクルーム業者を選定する
トランクルーム経営の形態には、管理運営をオーナー自らおこなう方法のほかに、トランクルーム業者への委託や共同経営という複数の方法があります。
主な方法をご紹介します。
リースバック(一括借上)方式
オーナーが設置したトランクルームをトランクルーム業者に丸ごと貸す方法です。
オーナーは毎月一定の賃料を業者から受け取ります。
事業用定期借地方式
土地をトランクルーム業者に貸す方法です。
トランクルームの設置から運営まで、全て業者がおこないます。
オーナーは毎月一定の地代を業者から受け取ります。
業務委託方式
オーナーが設置したトランクルームの募集・管理・運営をトランクルーム業者に委託する方法です。
業者への手数料の支払いは発生しますが、トランクルームの売上げは全てオーナーのものになります。
フランチャイズ(共同経営)方式
トランクルーム業者とフランチャイズ契約をおこない運営する方法です。
オーナーはトランクルームの設置・管理・運営をおこない、フランチャイズ料をトランクルーム業者に支払います。
既存企業の知名度を活かして集客できること、業者のサポートを受けられることなどのメリットがあります。
トランクルーム業者によって採用している方式やサービスの内容も異なりますから、複数社をよく比較して、自分たちの目的にあった業者を選びます。
まとめ
2017年6月時点のホットな話題としては、ヤマト運輸の宅配便配達時間帯の変更がありました。
宅配ボックスの需要もかなり高まっているようで、
トランクルーム業者でも宅配ボックスとの併設に乗り出しているところがあるようです。
立地は限られてくると思いますが、ただのトランクルームではなくプラスαとして、宅配ボックスも用意するというのは面白い試みだと思います。
これからも時代の流れとともにさまざまなニーズが出てくるはずですから、既成概念にとらわれず柔軟に対応していく姿勢も大切にしたいですね。