土地活用できない土地を売却して収益にする時に気をつけたいポイント
土地は持っているだけでも、税金や維持管理費がかかるものです。
そのままでは、支出を増やすだけですから、なんとか有効活用したいところです。
しかし、有効活用が難しい土地があるのも事実ですね。
そのような場合には、土地を売却して利益を得るという方法も検討してみましょう。
最終的に売却することになるとしても、まずはそのメリットやデメリットを理解したうえで判断することがとても重要です。
ここでは、土地売却のメリットとデメリット、決断する前に考えるべきポイントをご紹介します。
売却することが本当にベストな方法なのかどうか、考える際の参考にしていただければ幸いです。
目次
有効活用できない土地は売却することも検討しよう
有効活用が難しい土地とは?
- 狭小地
- 変形地
- 旗竿敷地
- 路地状敷地
- 袋地状敷地
- 傾斜地
- 崖地 など
一般的に上記のような土地は有効活用が難しいといわれます。
建物を建てるには狭すぎる土地や形がいびつな土地、建築基準法の接道義務を満たせない土地などが該当します。
これらは主に土地の形状に理由がありますが、この他にも立地条件、周囲の競合の多さ、需要がないなども有効活用の妨げになります。
駅から遠い、交通の便が悪い、周辺にスーパーや病院など生活に必要な施設がない、賃貸住宅が建ち過ぎて供給過剰、人口減少で借り手がいないなどですね。
確かに、需要のないところに収益を求めても、満足な結果が得られるわけがありません。
また市街化調整区域といって、そもそも開発すること自体が認められていない土地もあります。
土地は持っていれば、黙っていても価値が上がるというのは、もう過去のお話です。
今や、土地所有者は、自ら積極的に活路を見出さなければなりません。
税金の問題だけでなく、空き家・空き地の問題もクローズアップされ、所有者の社会的責任も大きくなってきています。
土地活用というと、どうしてもそこになにか建物を建てたり、設備を設置したりして、定期的に収益を上げることをイメージしがちですが、例に挙げたように有効活用が難しい、少なくとも自分たちの手には負えないという土地であれば、「売却」という方法も検討してみるとよいでしょう。
「売却」も立派な有効活用のひとつです。
土地を売却することのメリット
税金の負担が減る
皆さんもご存知のように、土地にはただ持っているだけでも、毎年、固定資産税・都市計画税がかかります。
売却してしまえば、当然、固定資産税・都市計画税の支払い義務はなくなります。
この無駄な支出から開放されるメリットは大きいですね。
相続税対策としても売却は有効な手段です。
将来、土地を相続する予定があるけれど、相続税が支払えるかどうかわからないと、不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。
原則、相続税は死亡を知った日の翌日から数えて10ヶ月以内に、現金で一括払いしなければなりません。
土地をもらったところで、税金分の現金が用意できないために、苦境に立たされるということは珍しいことではないのです。
相続する前に売却して資金を確保しておけば、その心配はなくなります。
売却すれば譲渡所得税がかかりますし、相続税も不動産の方が現金よりも評価が低いですから、得をしているとはいい難いケースもありますが、相続税のために相続人が自己資金を持ち出したり、借金をするということを思えば、これもまた大きなメリットです。
売却した土地を資金にして、資産を組み替えることができる
土地を売却して得たお金で別の資産を購入することができます。
株式や外貨取引などで上手く運用できれば、何倍ものお金を生み出すことになるかもしれません。
もちろん、他の地域で土地を購入して、その土地を活用するという方法もあります。
例えば、郊外で賃貸住宅を経営しているけれど、需要がなく空き部屋が増えてきているというようなケース。
このままこの土地を持っていても、税金と賃貸住宅の維持費で収益を出すどころか、赤字になってしまう可能性があります。
それならば、思い切って売却して、都市部で土地を買い求め、そこで新たに賃貸住宅を経営するという方法とってみるのもよいアイデアです。
土地という性質上、代々受け継がれてきたものを、自分の代で手放すことは申し訳なくてできない、というお考えもあろうかと思います。
一族の土地という考えが根強いほど、兄弟や親戚もいい顔をしないという事情もあるでしょう。
しかし、資産の組み換えは、土地を手放して「無」にしてしまうのではなく、手放すことで違う形で生かすということです。
時代の流れに応じて、このように発想を切り替えることが必要な場合もあります。
維持・管理の必要がない
土地を所有していれば、たとえ空き家・空き地であっても、維持・管理をおこなう必要があります。
そのまま何の手もかけず荒れ放題にしておくと、老朽化による倒壊、景観の悪化、治安の悪化、放火による火災など様々な危険を招きよせます。
こうなってしまえば、近隣の方に迷惑をかけることは避けられません。
その地域全体の、資産価値を引き下げる要因にもなります。
空き家がもたらす悪害の防止と土地の有効活用促進を目的に、空家対策特別措置法(平成26年11月成立、平成27年5月完全施行)が制定されたことをご存知の方も多いでしょう。
土地を売却してしまえば、維持・管理のための費用も時間も体力も必要ありませんね。
土地を売却することのデメリット
土地の所有権を失う
当たり前のことですが、土地を売却することには、土地の所有権を失うという大きなデメリットがあります。
その土地を買戻しでもしない限り、そこに住むことも、そこから収益を得ることもできません。
近くに駅ができることになったり、大型ショッピングモールが建つことになったとしても、残念ながらどうすることもできません。
売却した収益から譲渡の際に支出が必要
土地を売却したら、その売却額がそのまま自分のものになるわけではありません。
「譲渡費用」の支払いが発生します。
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです。
譲渡費用の主なものは次のとおりです。
(1)土地や建物を売るために支払った仲介手数料
(2)印紙税で売主が負担したもの
(3)貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
(4)土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
(5)既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で売るために支払った違約金
これは、土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のことです。
(6)借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
参照:国税庁
譲渡所得税が発生する
売却額から譲渡費用を差し引いたものが、譲渡益です。
土地を売却して譲渡益が出た場合は、譲渡所得税を支払わなければなりません。
所得税が発生すれば、それに応じた住民税も生じます。
譲渡所得税は、その土地や建物を所有していた期間や、使用目的によって税率や計算方法が変わってきますので、大きな負担にならない場合もあります。
例)
・居住用財産を譲渡した場合:居住用財産の3,000万円特別控除を適用可能。譲渡益から3,000円を控除できる。
・居住用財産でかつ所有期間が10年超の場合:長期譲渡所得の特例を適用可能。税率が軽減される。譲渡益6,000万円以下の部分は10%、それを超える部分は15%。