自分の土地ならば自由に使いたいところですが、法律によってさまざまな制約があるのが実情です。
開発が規制されているような土地でも、土地活用は可能なのでしょうか?
ここでは「市街化調整区域」の土地を、できるだけ上手に利用する方法をご紹介したいと思います。
自分の土地ならば自由に使いたいところですが、法律によってさまざまな制約があるのが実情です。
開発が規制されているような土地でも、土地活用は可能なのでしょうか?
ここでは「市街化調整区域」の土地を、できるだけ上手に利用する方法をご紹介したいと思います。
本来、土地をどう利用しようとも、土地所有者の自由です。
しかし、それぞれが自分勝手に建物を建てたり、道を作ったりしたら無秩序になり、土地が有効利用できなくなってしまいますよね。
そのような状態は、国レベルでみても国益には繋がりません。
そこで国土をどのように利用するかを「国土利用計画法」で定め、次に都市をどのように整えるかを「都市計画法」で定め、さらに都市整備が秩序をもって行なわれるよう、都市に建てられる建物の基準を「建築基準法」で定めています。
このように国土という観点から、土地と建物の有効活用のために、段階的に法律が定められています。
都市計画法は、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与する」ことを目的として作られました。
この法律に基づき地方自治体では、街づくりの基本となる都市計画を作成し、安全・安心で快適な都市造りを推進していきます。
都市計画法では「都市計画区域」という区域を定め、それを「市街化区域」、「市街化調整区域」、「非線引区域」の3つに区切ります。
それぞれは以下のように定義されています。
市街化区域は、いわば都市化したい区域です。
人口が集中し、建物が多く建設される状態にあっては、計画性をもって都市化を進めていくことは大変重要なことです。
市街化区域では、原則、1,000㎡未満の開発(東京・大阪・名古屋の3大都市圏の一定区域については500㎡)であれば、都道府県または市の許可を受けずに開発はできますが、建設される建物については用途地域(*)や建築基準法の規定にしたがって建設しなければなりません。
(*)用途地域とは・・・住環境の整備や、経済効率のために都市計画上、市街化区域の土地の用途を制限したもの
市街化調整区域は、都市化させたくない区域です。
田舎は田舎のまま、田畑、山林、原野が存在しているなら、その緑を保存し続け、都市化を抑制しなければなりません。
原則、用途地域は定められておらず、どのような規模の開発行為もおこなうことができません。
もしも、開発をおこないたい場合は、都道府県知事(指定都市、中核市または委任を受けた市の場合は市長)の許可を得る必要があります。
ただし、図書館や公民館などの公共施設や、農林漁業用の建物(畜舎、温室、サイロなど)、農林漁業を営むひとの住居を建てる開発行為は、許可を受けずともおこなうことができます。
市街化調整区域で最も厄介なのは、原則、新たに建物を建てたり、改築、用途変更をすることができないことです。
市街化調整区域に土地を所有していたとしても、農林漁業を営むひとでなければ、自宅でさえ許可を得なければ建てられないのです。
建物を建てられないとなると、土地活用を考える場合、なかなか扱いづらい土地であることは事実です。
しかし、都市計画税はありませんし、固定資産税も市街化区域に比べて低く設定されています。
市街化調整区域の多くが緑多い田舎ですから、田舎暮らしに憧れるひとにとっては、魅力的に映るかもしれません。
先ほどもご説明したとおり、市街化調整区域で新たに建物を建てることはできません。
ですから、まず検討できるのは、建物を建設しなくもいい土地活用です。
駐車場、資材置き場、太陽光発電は建物を建てる必要がありませんね。
駐車場の場合は、そこにクルマを駐車してどこかに行くことが目的なので、適した場所は限られます。
市街化区域に隣接している土地であれば、需要は見込めるでしょう。
太陽光発電は、土地に架台を置いてパネルを並べる「野建て」方式ですが、これらの設備は建物とはみなされませんので設置可能です。
また、駐車場のようにひとの往来を意識する必要はないので、不便なところでも問題はありません。
ただし、電力会社に電気を送るために、電線が近くあった方が良いです。
ない場合は別途、送電線を引くことになりますので、その分のコストがかかります。
また、架台を設置するのに適した土壌でない場合は、開発許可を得て造成工事を行う必要があります。
契約後、土地に建物を建てるか否かは別として、事業者に「定期借地」として貸し出すという方法もあります。
「定置借地」とは、土地所有者自身が経営するのではなく、土地を事業者に貸して地代収入を得るという方法です。
土地の利用方法は借り受けた事業者に任せてしまいますので、所有者は初期費用の負担もなく安定した収入を得ることができます。
市街化調整区域の多くが農地です。
食糧確保の目的から、農地については権利移動、転用、転用目的権利移動に関する規制が農地法にて定められています。
市街化調整区域内の農地を土地活用する場合は、たとえ建物を建てない方法だとしても、指定市町村長に転用許可を受ける必要があります。
許可を受けずに他の目的で利用した場合は、権利移動無効、工事中止、原状回復を命ぜられます。
市街化調整区域では原則、建物を建てることはできませんが、役所から特例許可を受ければ(必要に応じて事前協議要)、建物を建てることができます。
市町村毎に詳細は異なりますが、ざっくりいいますと下記のような建物が特例許可を受けることができます。
建物を必要とする土地活用方法で検討してみると、コンビニエンスストア、クリニック、サービス付き高齢者向け住宅などが考えられます。
札幌市の公式HPでの説明が、比較的分かりやすいので参考に掲載します。
号 内容 1 主として周辺居住者の利用に供する公益上必要な建築物又は日常生活に必要な物品の販売・加工・修理等の業務用の店舗、事業場等
一般的には、小・中学校、診療所、通所系の老人福祉施設、日常生活に必要な物品の小売業又は修理業、理容業、美容業等の用に供する建築物などが考えられます。
本号に該当する店舗・施設等は、周辺の市街化調整区域に居住する者を主たるサービス対象とすると認められるものに限定され、また、施設に応じて敷地面積や建築規模について制限があります。2 市街化調整区域内の鉱物・観光等の資源の有効利用上必要な建築物
市街化調整区域において産出する原料を使用する生コンクリート製造業等に係る建築物や鉱山開発事業の用に供するもの等が考えられます。
なお、本号の「資源」は当該市街化調整区域内にある資源に限定されます。したがって、札幌市においては温泉の湧出のみでは観光資源とはいえません。4 農林漁業用施設(許可不要のもの以外のもの)、市街化調整区域で生産される農林水産物の処理・貯蔵・加工用建築物
当該市街化調整区域における生産物を主として対象とする業種(畜産食料品製造業、野菜かん詰、果実かん詰、農産保存食料品製造業等)で、農産物等の処理、貯蔵又は加工に必要な建築物が該当します。 6 都道府県が国又は独立行政法人中小企業基盤整備機構と一体となって助成する中小企業者の行う他の事業者との連携若しくは事業の共同化又は中小企業の集積の活性化に寄与する事業用建築物 7 市街化調整区域内に現存する工場の事業に密接に関連する事業で、事業活動の効率化のため市街化調整区域に必要な建築物
市街化調整区域内の既存の工場と密接な関連を有する事業の用に供する建築物等で、これらの事業活動の効率化を図るために必要な建築物等を許可対象としているものです。ここでいう「関連」とは、人的関連や資本的関連ではなく、具体的な事業活動に着目しての関連をいい、「密接な関連を有する」というためには、既存工場に対して自己の生産物の50%以上を原料又は部品として納入している場合であって、かつ、それらが既存工場の生産物の原料又は部品の50%以上を占める場合である等の関係が必要とされています。 8 火薬類の貯蔵・処理用の火薬庫、火薬類の製造所 9 円滑な道路交通の確保のため適切な位置に設けられる給油所等
札幌市では、ガソリンスタンド又は自動車用液化石油ガススタンドで、4以上の車線数を有する国道、道道又は主要市道である道路に面しており、かつ、市街化区域から、当該道路に沿っておおむね500m以上離れているものを対象としています。 10 地区計画区域内における、当該地区計画に適合している建築物 13 市街化調整区域編入の際の土地所有者等が編入時から5年以内に行う自己用の建築物等
都市計画の決定又は変更により市街化調整区域となった土地の区域に、以前から土地の所有権や土地の利用に関する権利を有していた者に対し、5年間に限り、自己居住用・自己業務用の建築物の建築等を認める経過措置です。
編入時から6か月以内に市長に対して開発目的等の届け出をすることが必要です。14 前各号に掲げるもののほか、開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認めるもの
第1号から第13号の規定に該当しないものであっても、一定の要件に該当するものは、札幌市開発審査会(都市計画法第78条)の議を経て許可し得ることを定めたものです。
具体的には札幌市開発許可等審査基準第81条(第7章「法第34条関係」)で定めていますが、詳細については、宅地課へお問い合わせください。
市街化調整区域でオススメの土地活用の概要とメリット・デメリットをご紹介します。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)といわれるものです。
バリアフリー賃貸住宅で自立または軽度の要介護老人が入居可能、生活相談員が常駐して、入居者の安否確認や生活支援サービスを行います。
1.市場拡大分野である
超高齢化社会を迎え、今後ますます需要が拡大される分野ですので、安定した収入が見込めます。
2.空室リスクが少ない
一般の賃貸住宅より入居者の年齢層がかなり上になりますから、転勤・転職での転居の可能性は少ないです。
3.補助金が受けられる
国土交通省から住宅施設の建設工事費に係る補助金を受けることができます。
1.介護・福祉事業である
賃貸住宅としてよりも、介護・福祉事業としてそのサービス内容が経営の要になります。
サービス事業者の一括借上げ(サブリース)になりますので、そのサービス業者のレベルに大きく影響されます。
2.多額の費用がかかる
200坪〜500坪ほどの敷地を要するので、その建設費用がかなりかかります。
5億〜10億弱になることも少なくありません。
再生可能エネルギーとして認知度も高い太陽光発電。
遊休地では大量に太陽光発電パネルを敷き詰めて、発電された電力を売る「野立て太陽光発電」がおこなわれています。
1.原材料の調達コストがない
発電に要するのは太陽光です。
火力や原子力発電のように、発電するための原材料を調達してくる必要がありません。
2.田舎でも大丈夫
第三者に売ったり、貸したりする方法では人口が少ない土地では不利ですが、太陽光発電は太陽の光が十分に当たる土地であれば問題ありません。
3.買取制度がある
国によって定められた固定買取制度があります。
この制度が太陽光発電がもたらす収益の根源になっています。
4.補助金制度がある
各自治体によっては、太陽光発電設備設置に関して補助金制度を設けているところがあります。
1.天候に大きく左右される
当然ですが、雨や曇天では発電ができませんね。
2.買取金額が下がっている
太陽光発電の買取金額が年々下がっています。
これからの固定買取制度の動向に注視する必要があります。
3.送電線が必要
電力会社に電気を送るためには電線が必要です。
近くになければ送電線を引く為の費用が発生します。
4.造成工事が必要
架台を設置するのに適した土壌でなければ、開発許可を得て造成工事を行う必要があります。
平面駐車場であれば、更地に駐車スペースを区割りするだけでも始められる手軽な方法です。
1.初期費用・ランニングコストが安い
初期費用だけでなく、ランニングコストも安く済みます。
未舗装の駐車場であれば、砂利の追加やロープの張り替え費用ぐらいですから随分と小額です。
2.用地転用が容易
金融機関からの借入れが少なくて済みますから、土地の転用が容易にできます。
借地借家法の影響も受けませんので、借主の退去も契約書に明記しておけば、1~3ヶ月前の事前通知で対応できます。
1.収益性が低い
ローリスク、ローリターンの土地活用方法です。
2.節税効果が低い
アパート・マンションなどの住宅用賃貸に比べると、節税効果は低いです。
3.立地が限られる
市街化調整区域で開業するのであれば、ひとの往来のある場所、できれば市街化区域に隣接しているところが好ましいです。
建設、土木業者に資材置き場として貸す方法です。
1.費用が掛からない
資材を置けるだけのスペースがあればいいので、費用はほとんど掛かりません。
1.安定性がない
近隣の工事のために一時的に資材置き場として利用する場合は、工事が終われば賃貸期間も終了してしまいます。
長期的に安定した収入を得られるとは限りません。
都市計画は都市計画法に準じながら、その地域の事情に合わせて市町村ごとに作られているものです。
場合によっては市町村をまたがって、計画が立てられる場合もあります。
また、計画の見直しが行われることも当然あることです。
ふたを開けてみたら思っていたものと違うということにならないよう、市街化調整区域のみならず、土地活用を検討する際は、必ず最新の計画と規制内容を確認するようにしましょう。
持っている土地で最大効果を生むための土地活用の方法は、自分ひとりで考えていても難しい問題です。
土地活用のプロの意見を求めることが一番確実で効果的な活用方法の発見に繋がります。
ランドピア土地相談窓口では、持っている土地の条件から最適な活用方法を提案してくれます。
実績が豊富であることから、これまでの事例も多く持っておられます。
診断は無料ですので、困ったときは一度相談してみてはいかがでしょう。