遊休地では価値はない!資産にするための土地活用の基礎知識を紹介
かつてベストセラーとなった「金持ち父さん、貧乏父さん」の中で、その著者であるロバート・キヨサキ氏は、「資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの」であり、「負債とは、あなたのポケットからお金を奪っていくもの」だと語っています。
あなたが所有している土地は、資産でしょうか?それとも負債でしょうか?
もしあなたが、ポケットからお金を奪っていくだけの土地を持っているなら、「土地活用」を検討してみてはいかがでしょうか?
「土地活用」とは未利用、低利用の土地を効果的に活用することで、負債から資産へ生まれ変わらせることです。
ここでは、資産価値を高める土地活用の考え方を、流れに沿ってご紹介したいと思います。
目次
「土地を持っている」だけでは資産価値が上がらない
「土地を持っている」というと、皆さんはどのようなイメージをお持ちになるでしょうか?
資産家?
お金持ち?
黙っていてもお金が入ってくる?
実際、本当にそうなのでしょうか?
「土地は持っていればいずれは値上がり、多額の収入をもたらしてくれる!?」
かつての日本には確かにそのような時代がありました。
しかし、残念ながら今の日本では土地をただ持っているだけでは、いつの間にやら値上がりして大儲けということにはなりません。
むしろそのままにしておけば、負担の方が多くなることは目に見えています。
毎年の固定資産税・都市計画税の支払いに加え、空き地や空き家を荒れ放題しておけば、近隣の方に迷惑をかけることにもなりかねませんから、掃除・除草・除雪など定期的な手入れをする費用も必要になります。
平成27年5月に空き家対策特別措置法が完全施行されたことは、皆さんの記憶にも新しいでしょう。
さらに将来的には、相続税の負担が重くのしかかることも忘れてはなりません。
適切な活用方法を考えることが重要
そこで検討していただきたいのが「適切な土地活用」です。
土地活用とひとくちにいっても活用方法はさまざまです。
賃貸住宅や駐車場をいの一番に思いつく方もいらっしゃると思いますが、その住宅や駐車場を必要とするひと、つまり需要がなければ土地は金の卵を生み出せません。
土地の条件や土地活用にまわせる資金の額、地域のニーズなどを考慮して、それぞれに合った適切な活用方法を考えることが大切です。
土地条件から有効な土地の活用方法の考え方
どのように自分の土地を活かしていくかを決めるためには、入念な調査とプランニングが必要です。
とはいっても、何から手をつければよいかわからない方も多いかと思います。
まずは、土地そのものが持つ物理的な条件を元に、何ができるのかという可能性を探ってみましょう。
同じ条件の土地はない。自分の持つ土地の特徴を知ろう
土地活用をするにあたり、最初に把握しなければならないのは、自分の土地の特徴です。
立地条件、広さ、形状、地盤などの特性を知れば、数ある活用方法のなかでも向き不向きがわかります。
例えば、立地条件を起点に考えると、駅にほど近い土地であれば、活用できる可能性の範囲はかなり広がりますね。
通勤通学の利便性を生かして、賃貸マンション・アパート・オフィスビルを経営することもできますし、ひとが集まる場所に近いということで、コンビニエンスストア・飲食店などの商業施設へ土地を貸すという方法も選べます。
駅から遠くても幹線道路や高速インターからそう離れていないのなら、物流施設用に利用するというのもありでしょう。
とはいっても、物流施設であればそれなりの広さが必要ですから、自分の土地はそれに適しているだろうか?と考えることになりますね。
もっと単純に、駐車場にしたいけど、この広さならクルマを何台停めることができる?、
この形状でクルマの出入りに支障はない?というようなことも活用方法を検討するための材料になります。
このように、自分の土地の特徴を把握していくことは、おのずと活用候補の取捨選択をおこなうことに繋がります。
周辺の競合となる施設を知ろう
自分の土地の周辺にある競合施設を把握することも重要です。
主に賃貸住宅が多いのか、駐車場が多いのか、それともオフィスが多いのかといったことを調査することになりますが、できればもう少し突っ込んで内容を把握するとよいでしょう。
賃貸住宅であれば単身用かファミリー用か、駐車場なら月極めかコインパーキングかといった具合です。
競合を選ぶか避けるか、競合させるならどういった点で他との差別化をはかるかなど戦略を練る際の材料になります。
例えば、都会の中心部では単身用の賃貸マンションが多く競争が激しいため、それを避けてあえてファミリー用の賃貸マンションを建てる場合があります。
確かに需要は少ないのですが、他にライバルがいない分、一度借り手がつけば長期的に住み続けてくれるので、安定した経営が見込めるというのがその理由です。
引用元:進和建設工業株式会社
その土地にあるニーズを知ろう
需要のないところで商売を始めても、儲かるわけはありませんね。
利益を出したいのであれば、自分の土地がある地域のニーズを拾って、それに即した利用をしなければなりません。
ニーズの違いは、例えば以下のように活用方法の選択に変化をもたらします。
人口集中都市では単身用の賃貸住宅の需要はありますが、地方都市ではそれらの需要はあまり見込めません。
そうなると賃貸住宅という活用方法は好ましくないのかというと、そういうことではありません。
ファミリー用という選択肢もありますが、超高齢化社会を迎えた今、高齢者向けの賃貸住宅の需要が、全国的に伸びていますから、地方都市においてもその方面での活用に期待ができると考えます。
人口集中都市でも単身用の賃貸住宅事情に変化が訪れています。
ここ数年は単身といえども、あえて他人と空間を共にするシェアハウスに人気が集まっています。
単身用のアパートの一部を共有スペースにしてみるというのも良い考えですね。
このように消費者のニーズは、時・場所と共に変化していくものです。
こういった情報に常にアンテナをはり、より効果的な活用を考えることは土地活用を成功させるためにはとても大切なことです。
運用計画から有効な土地の活用方法の考え方
次に、現在の資金状況を鑑みて、自分はどのぐらいリスクをとれるのかを考えながら、資金計画・運用計画を立ててみます。
いくら「土地は遊ばせていては損」といっても、リスクの全くない活用方法はありません。
土地活用の目的に合わせて、無理のない資金計画・運用計画を立てることで、活用方法のなかから選択できるものと、できないものがみえてきます。
捻出できる頭金(イニシャルコスト)を考える
土地活用にどれぐらい自己資金を投入できるかで、当然、選択可能な活用方法も変わってきます。
頭金なしでもアパート・マンション経営をはじめられる方法がないわけではありませんが、
高額なローンを組むリスクは避けたいと思う方も多いでしょう。
初期費用が比較的少なくてすむ土地活用方法としては駐車場経営が挙げられます。
駐車場経営はアパート・マンション経営と比べると収益性は劣りますが、なるべくリスクをとりたくないという場合に向いています。
また、自身が経営するのではなく、土地を貸して地代収入を得るという方法もあります。
代表的なものでは、「一般定期借地権」があります。
これは土地をディベロッパーに貸し、ディベロッパーがそこに分譲マンションを建て販売、契約期間満了後、土地が更地で返還されるというものです。
借地契約の期間が50年と長くなりますが、頭金や借入れの必要がなく、契約期間中は毎月地代収入が得られます。
低リスクで安定した収入を見込める方法といえるでしょう。
借入先と借入額から考える
銀行などの金融機関から融資を受けて土地活用を始める場合は、いくら借りることができるかは大きなポイントです。
どんな立派なマンションを建てたいと思っても、資金を調達できなければどうすることもできません。
どのようなローンでも実際にお金を借りるためには、ローン審査を通過する必要があります。
審査の細かい基準は金融機関ごとで異なりますが、土地活用で融資を受ける場合は、
「担保となる土地の価値」、「申込者の返済能力」、「事業の収益性」が審査の柱になります。
ローンの申請をする前に、土地の鑑定を受けて担保価値を把握し、それをもとにしっかりとした事業計画を立てるようにします。
これはローン審査を無事通過し、融資を受けるための重要なステップですが、なによりオーバーローンを防ぎ、その土地に見合った土地活用の方法を客観的に見定めることに役立ちます。
借入先は、メインバンクとして現在も取引がある銀行や、アパートローンといった事業融資を積極的におこなっている金融機関、建設を依頼する建設業者と提携している金融機関などが候補に挙げられます。
それらを比較検討して融資額、金利、返済期間などが最も有利な金融機関を選択すると良いでしょう。
ランニングコストから考える
実際に運用を始めたら、ランニングコストがかかります。
ランニングコストとは設備や建物を維持するために必要となる費用のことをいいます。
アパート・マンション経営であれば、管理代行の手数料や修繕費などが該当します。
建物の規模が大きくなればなるほど、ランニングコストも高額になってきますから、しっかり運用計画に盛り込んでおかなくてはなりません。
借主からの修理の要請はいつくるかわかりませんから、できればそれ用に資金をストックしておきたいところです。
これが未舗装の駐車場や自己運営のトランクルームならどうでしょうか?
駐車場では砂利の追加やロープの張り替え費用、トランクルームでは照明を付けた場合の電気代ぐらいですから随分と小額になります。
このレベルであれば、ランニングコストのための資金調達に苦慮するということは、ほとんどないといってよいでしょう。
もちろん単純に比較するべきものではありませんが、土地活用の方法を検討する際は、初期費用だけでなく先々の支出も忘れずに盛り込むようにしてください。
返済計画から考える
返済期間を長く設定するか、短く設定するかは、土地活用の目的によって変わってきます。
「長期返済型」は、月々の返済額を低く抑えられるので、収益性の低い運用であっても安定した経営が実現できます。
月々の生活費に収益の一部を充てたい場合に向いています。
また長期間の借入れは、相続税対策としても有効です。
「短期返済型」は借入期間が短い分、金利負担が抑えられトータルの採算性が高まります。
完済してしまえば、その後の収入は全て収益となりますから、将来への備えとして蓄えることができます。
このように運用目的が明確であれば、
- どのぐらいの期間をかけてどのように返していくことがベストか?
- そのためにはいくらぐらいの融資を受けるべきか?
- 自己資金+融資額で目的が達成できる土地活用はなにか?
というように発想を展開させることができるので、事業計画を立てやすくなります。
税金対策から考える
土地活用方法によっては税金対策に向かないものもありますので、税金対策が必要な場合は、その点をよく調べて検討する必要があります。
固定資産税・都市計画税・相続税対策を例にご説明します。
固定資産税や都市計画税は更地の場合と住宅用地の場合では、課税額が大きく異なります。
例えば、賃貸住宅を建てると、住宅用地の課税標準の特例措置を適用できます。
1戸当たりの敷地面積が200㎡以下の場合、固定資産税の課税標準額が6分の1、都市計画税の課税標準額が3分の1に軽減されます。
この特例措置はあくまでも住宅用地に対して適用されるものですから、土地を別の用途で活用した場合はメリットを享受できません。
しかし、相続税対策であればちょっと事情が違ってきます。
減額幅は少なくなりますが、住宅用地でなくても小規模宅地等の特例の適用を受けられる場合があります。
不動産の貸付や駐車場業を営んでいる場合は、評価額の50%が減額されます(上限200㎡)。
まとめ
土地活用方法を決める際は、あらゆる方面から多角的に検討することが重要です。
ここでご紹介した検討方法も、そのなかのごく一部です。
土地活用について、書籍やインターネットで勉強することはもちろん、セミナーに積極的に足を運んだり、専門家のアドバイスを受けてみましょう。
時間と手間のかかることではありますが、そうすることであなたの土地に最適な活用方法が必ず見つかるはずです。