明日の日経平均株価は上がる?下がる? 知って得する日経平均株価の予想の仕方とは
株式投資をしようとする際、
「明日の相場が上がるのか下がるのか、どうなるのかが分かればいいのにな」
と思ったことはありませんか?
実際に「明日の相場がどうなるのか」というのは、分かるはずはないのですが、実はある程度であれば予想することはできます。
さすがに個別株が上がるのか下がるのかを予想するのは難しいです。
しかし、実は日本の相場が上がるのか下がるのかぐらいであれば予想することができるのです。
日本の相場がどうなるのかを予想する、つまり「日経平均株価」を予想するのです。
当然、ただ勘だけで予想していては、なかなかうまくいきません。
「日経平均株価が明日上がるのか、それとも下がるのか」が予想できれば(必ず当たるわけではありませんが)、株式投資に役立ちますよね。
今回は、日経平均の予想の仕方を解説していきます。
全ての材料が必ず予想に役立つわけではありません。
ただ、様々な材料を複合的に考慮することで、ある程度の確度になると思います。
それでは、明日の日経平均株価の予想に使える様々な材料を一つずつ見ていきましょう。
目次
NYダウ
NYダウとは、「The Wall Street Journal」という有名なビジネス雑誌の発行元であるダウ・ジョーンズとスタンダード&プアーズの合併会社である
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズ(S&P Dow Jones Indices)
が算出・公表している、アメリカの代表的な株価指数をいいます。
これは、アメリカの主要企業から30銘柄を選出し、指数化したもので、日本では
- 「ダウ工業株30種平均(ダウ平均)」
- 「ニューヨークダウ」
- 「ニューヨーク平均株価」
などと呼ばれています。
日経平均株価が225銘柄から構成される指数であることを考えると、30銘柄は少ないと感じる方もいるでしょう。
NYダウを構成する具体的な銘柄を挙げるとすると、マクドナルドやアップル、コカ・コーラやマイクロソフトなどが入っています。
30社の中には聞いたことのある銘柄が相当数あると思います。
一度は名前を聞いたことがある大企業ばかりで構成されているNYダウは、世界中で常に注目されている代表的な指標です。
NYダウと日経平均株価は連動している!?
一般的にNYダウと日経平均株価は相関性がある(連動性がある)と言われています。
では、なぜNYダウと日経平均株価は似たような値動きをするのでしょうか。
いくつか理由はあると思いますが、3つ挙げるとするならば以下の通りです。
①日本ともビジネスを通じて結びつきが強いアメリカ企業の好調・不調は、当然日本の企業の株価にも影響を与えるから。
②東京証券取引所で取引している投資家の約半数は外国人投資家であると言われており、NYダウが下がると日本株を売って損失を補てんしようとする人が出てくるため日経平均株価も下がる。
③NYダウが上昇する(アメリカの景気が良くなる)と為替はドル高・円安に振れやすい為、為替が円安に振れると、円安感応度が高い日経平均株価は上昇しやすい。逆もまた然り。
この3つ以外にも色々理由がありますが、とにかくNYダウと日経平均株価は似た動きをすることが多いと覚えておいてください。
NYダウが上昇すれば市場に楽観的な観測が広がり、翌日の日経平均株価は上昇して始まりやすい。NYダウが下落すれば、悲観的な観測で翌日の日経平均株価は下落して始まりやすい。
ということを頭に入れておけば、日経平均株価を予想する手がかりになるでしょう。
NYダウと日経平均株価の動きの関係性は薄れてきている!?
ただ気を付けなければならないのが、NYダウと日経平均株価の相関性は最近薄れてきているということです。
その理由はいくつか考えられますが、次に紹介する中国経済の影響と日米それぞれの経済構造の変化が原因であると考えられます。
中国経済の影響は後述しますが、日米それぞれの経済構造の変化というのは、つまり経済構造が昔と比較して格段にグローバル化しているからです。
お互いの貿易依存度が低下すればするほど、両国の経済の関係性は希薄になります。
それはつまり、両国の株価(NYダウと日経平均株価)の関係性も希薄になることにつながるのです。
中国経済の動向
近年、世界経済に多大な影響を与える国はアメリカよりも中国であると言われています。
良い意味でも悪い意味でも注目されている中国市場ですが、日経平均株価にも当然大きな影響を与えています。
世界経済への影響力は世界一
中国経済は、莫大な人口と通貨安(人民元安)を背景に急激な成長を実現し、今や世界経済に与える影響はとてつもなく大きなものになっています。
「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」などと言われますが、今や「中国がくしゃみをすると世界中が風邪をひく」と言っても過言ではありません。
それほど中国経済のスケールは大きくなっています。
金融市場でも中国の存在感は大きくなってきています。2009年には、中国の上海・深センA株市場の売買代金は、すでに東京証券取引所を上回りました。中国の株式市場は米国に次ぐ規模となっているのです。
世界の投資家が監視している「上海総合指数」
そんな中国ですが、中国にも株式市場があり、いくつかの代表的な株価指数も存在します。
その中の一つが「上海総合指数」です。
「上海総合指数」とは、上海証券取引所に上場する全銘柄を時価総額加重平均して算出する中国本土の平均株価指数で上海証券取引所が公表しています。
時価総額加重平均で算出しているので日経平均株価というよりは、TOPIXに似ている指数です。
中国経済を見る上でのバロメーター的指標であり、日経平均と連動性があるとまでは言いませんが、与える影響は大きいと言えます。
日本株の取引時間中に影響するので注意が必要
上海証券取引所の取引時間は、
- 前場 09:30~11:30(日本時間10:30~12:30)
- 後場 13:00~15:00(同14:00~16:00)
となっています。
そのため、寄付(よりつき)から調子が良かった日経平均株価が10:30頃を境に急変するということも起こります。
日本の現物株は11:30~12:30までは昼休みのために売買はおこなわれていませんが、上海証券取引所が開いているので、その間に何かあれば、後場の寄付(よりつき)にも影響します。
日経平均株価を予想する上においては、上海総合指数をチェックすることは重要です。
上海総合指数の特徴を知っておこう!
上海総合指数は非常に癖のある指数です。
というのも、いくつかの変わった特徴があります。
その特徴を理解した上で日経平均の予想に役立てないと、予想が全く的外れになるというとになりかねません。
上海総合指数の特徴を3つ挙げて説明していきます。
構成銘柄の30%超を金融業が占めている
まず構成銘柄に関する特徴ですが、銀行や保険などの金融業が占める割合が高い傾向にあります。
金融業界というのは、景気動向がシンプルに株価に影響しやすい業種です。
そのため、指数のトレンドが発生した時などは長続きする特徴があります。
投資主体は個人投資家が7~8割を占めている
上海総合指数の最も大きな特徴は投資主体にあります。
この投資主体の違いを理解していないと判断を誤る可能性がありますので、ぜひとも知っておいてください。
上海総合指数は、上海証券取引所に上場する全銘柄を時価総額加重平均であると説明しましたが、上海証券取引所では
という市場に分けられています。
「上海A株」中国本土投資家向けの人民元建ての市場
「上海B株」海外投資家向けの米ドル建ての市場
特に「上海A株市場」は、今でこそ機関投資家や海外投資家(香港市場経由で)も参加できるようになりましたが、そもそも中国本土の人しか参加できない市場として設立された市場です。
そのため、7~8割は個人投資家が占めています。
証券取引所としての歴史も浅く、現在の上海証券取引所が設立されたのは1990年です。
投資家の多くが初心者
2014年末から新規市場参加者が急増しているのですが、これは中国政府の思惑と中国国民の経済事情が一致した結果です。
中国政府が株式市場の活性化を狙ったのと、国民の所得が増え、中流家庭が増えた結果、口座開設数が記録的な勢いで増えました。
そして、あろうことか新規市場参加者の多くがクレジットカードで資金を用立てたり、銀行から借金して、信用取引で株式を売買しているのです。
市場参加者をイメージしておく
上海総合指数は非常に値動きが荒い指数です。
そのため、急騰や急落が結構な頻度で起こります。
その際に、
「個人が7~8割を占めており、その個人の中には借金をして信用取引をしている初心者の投資家が相当いる」
という投資家像イメージしながら、上海総合指数の動きが日経平均に与える影響を想定するようにしましょう。
つまり、本当に重大な材料で値動きをしているのか、それとも個人が勢いだけで買い上がっている、もしくは投げ売りをしているのかを判断することが大事となってくるということです。
CME日経平均先物(シカゴ日経平均先物)
「CME日経平均先物」という指数があります。
知っている人は知っている指数なのですが、これを知っている人と知らない人では、結構差があります。
内容は難しいかもしれませんが、一番簡単に日経平均を予想できるのが、「CME日経平均先物」なので。
ぜひ覚えておいてください。
CMEとは?
CMEとは「シカゴ・マーカンタイル取引所」のことです。
つまり「CME日経平均先物」とは、アメリカのシカゴにある先物市場である「シカゴ・マーカンタイル取引所」で取引されている日経平均の先物のことであり、「シカゴ(日経平均)先物」などとも呼ばれます。
日経平均先物は、大阪証券取引所とシンガポール証券取引所でも取り扱っています。
ただ、シカゴの日経平均先物の取引終了時間が日本時間の朝6:15である為、日本の株式市場が開く日本時間の朝9:00に一番近い日経平均先物の終値(清算値)がわかります。
日経平均先物とは
日経平均先物をできるだけわかりやすく説明していきたいと思います。
日経平均先物とは、日経平均株価の指数を対象とした株価指数先物取引です。
先物取引とは将来一定条件で、決済することを約束する取引のことです。
「将来一定条件で」というところが重要で、将来の日経平均株価を売買しているようなものであると理解しておいてください。
CME日経平均先物は日本市場が閉まった後も動いている
日経平均株価は、取引開始の9:00~取引終了の朝15:00までの間に取引をもとに算出されるので、15:00以降、翌日の9:00までは動くことはありません。
しかし、CME日経平均先物は、円建てで日本時間の7:00~6:00となり、終値(清算値)は、日本時間の朝6:00になります。
CME日経平均先物は、日経平均株価の取引が終わった後も値動きをしているので、アメリカのNYダウや夜中のニュースなども材料として織り込みます。
そのため、日経平均株価の寄付(始値)の値に大きく影響を与えるのです。
日経平均株価の寄付値はCME日経平均先物の終値に近くなる
CME日経平均先物の値は、どれぐらい日経平均株価に影響を与えるのでしょうか。
実は、日経平均株価の寄付(始値)は、シカゴ日経平均先物(円建て)の終値(清算値)に近づいていくことがほとんどです。
非常に大きな影響を与えていることが分かります。
これによって、日経平均株価の寄付が、前日の終値と比べて、どの程度上がるのか、下がるのかが予想できるので、その日の日経平均株価の予想に大きく役立ちます。
日経平均株価を予想する上で、CME日経平均先物がどのような値動きをしたかが重要になってきますので、ぜひとも参考にしていただきたい指標です。
SQ(特別清算指数)
聞きなれない言葉かもしれませんが、最後にSQについて説明しておきます。
先物取引やオプション取引の決済に関係する用語なのですが、こちらもできるだけわかりやすく説明していきたいと思います。
SQとは?
SQとは、「Special Quotation」の略で「特別清算指数」と呼ばれます。
CME日経平均先物のところでも少し説明しましたが、株価指数先物取引やオプション取引には、決済期日というものが決められています。
現物株式のように、何年も保有するという事はできません。
そのため、満期日前までに反対売買を行わなければならないのですが、反対売買を行わない場合にはSQ=特別清算指数で強制的に決済されることになります。
その満期日に清算するための価格のことをSQ値と呼びます。
メジャーSQとマイナーSQ
株価指数先物取引やオプション取引は「満期日前までに反対売買を行わなければならず、反対売買を行わない場合は強制的にはSQ値で決済される」と説明しました。
SQ値が算出されるタイミングは具体的には、株価指数先物取引では3月、6月、9月、12月の第二金曜日の寄付時に算出され、オプション取引では毎月の第二金曜日に算出されます。
3月、6月、9月、12月の第二金曜日は、株価指数先物取引のSQとオプション取引のSQが重なることもあり、メジャーSQと言われています。
その他の第二金曜日はマイナーSQやオプションSQと言われています。
SQの日は現物市場でどんな事が起こるのか
SQは先物取引での用語であることは分かったと思いますが、そのSQが実際に現物株市場にどのように影響するのでしょうか。
一般的にSQの日に起こりがちであると言われていることを簡単に把握しておきましょう。
日経平均株価採用銘柄の出来高が大幅に増える
日経平均株価に採用されている225銘柄の売買が増え、出来高も大幅に増えます。
その理由は、主に2つ(思惑による売買と裁定取引の解消)ありますが、ここでは思惑による売買について説明します。
ヘッジファンドの思惑が交錯する
SQが近くなるとヘッジファンドなどが大量の資金を使って相場を崩しにくることがあります。
ではなぜ相場を崩しにくるのでしょうか。
先物取引やオプション取引では、
- SQ値が上がる事で利益が出る投資家
- SQ値が下がる事で利益が出る投資家
の2つの立場が混在しています。
SQ値はSQ日の日経平均採用銘柄の寄付値をもとに算出するため、指数を上げようとする投資家と下げようとする投資家の双方がせめぎ合うことになります。
よって、寄付前はそれぞれの思惑が入交じり、気配値が乱高下します。
SQ週の中日は荒れる
SQ日もそうですが、SQを控えた1週間は要注意であると言えます。
SQを待たずにSQに向けてヘッジファンドが動き出すことも頻繁にあります。
特にSQがある週の中日は荒れやすいと言われています。
ヘッジファンドによる大きな売りと買いがぶつかり、チャートを無視した動きとなりやすい為、動きの予測がつきません。
一般投資家は手控えムードが広がる
一つ目と逆説にはなってしまいますが、SQの日は相場が荒れるという風潮がある為、消極的な投資家や一般投資家は様子見ムードが強くなります。
要するに、ヘッジファンド次第であるということです。
SQと現物市場
SQを知ることでは、日経平均株価を予測することができません。
なぜ最後にSQを説明したのかというと、「日経平均が予測不能な動きをするということを予測する為」です。
①~③の材料を考慮して、明日の日経平均株価が上がるか下がるかを予測したとしても、SQのことを知らなければ、その予測は吹き飛んでしまうかもしれません。
先物取引やオプション取引をしない投資家の方でも、SQについて最低限の知識は備えておくべきだと考えます。
日経平均予想のまとめ
これらはあくまでも判断材料で、必ず予想が当たるというわけではありません。
しかし、なんとなくの勘だけで予想するよりは当たる確率が高くなるでしょう。
また、こういった指標などを継続してチェックしていると、おのずと世界全体の相場の流れが見えてきます。
「明日の日経平均株価が上がるのか、それとも下がるのか」
の予想方法を自分なりに確率できれば、必ず株式投資に役立ちます。
今回説明した点に注目しながら、毎日予想してみてください。
SQについては、先物・オプションなども理解する必要があるため、完全に理解するのは難しいと思います。
先物の取引はしていないから自分には関係ないと考えている投資家の方もいるかもしれません。
しかし、先物市場が現物市場に与える影響まで考慮しておかなければ、相場の理解不能な動きに振り回されかねません。
今回のテーマをまとめると、