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先人たちから学べ!株式投資に役立つ相場の格言(中級者編)

 

相場には長い歴史がありますが、先人たちは数多くの格言を遺してくれています。

相場は人間の行動により左右されます。だからこそ、「相場は生き物」と言われるように人間の感情を体現します。

先人の投資家たちも数々の成功や失敗を繰り返しながら相場に向き合っていたのです。

その先人たちが遺した相場の格言には、知っていると非常に役に立つものが数多くあります。

何より知っているとちょっとカッコイイです。

かくいう私も証券会社で営業をしているときに、お客様に対して格言やことわざを引き合いに出して相場の助言をしたものです。

今回は、初心者編に引き続き、中級者編として紹介していきたいと思います。

初心者編では株式投資の基本的な要素を含んだ格言を紹介しました。

中級編では、もう少し実践的な格言も交えたものを中心に7個厳選して紹介していきたいと思います。

 

目次

①「もうはまだなり、まだはもうなり」

株式投資において利益を出すには、株を安く買って高く売ることが必要です。

それでは、利益を最大化するにはどうすればよいでしょうか。

答えは、「底値で買って天井で売る」 ことができれば利益を最も大きくすることができます。もちろんこれが一番理想の形です。

しかし、これはプロの投資家でも非常に難しいことです。

底値と天井を見極める難しさを説いた格言が、「もうはまだなり、まだはもうなり」という格言です。

「もう底値」、「もう天井」はあてにならない

「ここら辺がもう底値だろう」とか「もう株価は天井だろう」と考えていると、実は「まだ」底値ではなく株価が一段安になったり、実は「まだ」天井ではなく株価が一段高になったりするケースが多々あります。

逆に、「底値はまだでもっと株価は下がるだろう」とか「天井はまだで株価はもっと上がるだろう」と考えていると、実は「もう」底値で株価は上昇してしまったり、実は「もう」天井で株価が下落してしまったりすることが往々にしてあります。

これが、「もうはまだなり、まだはもうなり」という格言の意味です。

似たような格言に、「押し目待ちに押し目なし」「戻り待ちに戻りなし」といったような格言もあります。

②「頭と尻尾はくれてやれ」

この格言の意味は、「底値で買えなくて逃した利益」と「天井で売れなくて逃した利益」を、猫も食べずに残す魚の「頭」と「尻尾」に見立てて、自ら進んでくれてやろうということです。

底値と天井を狙うのは投資が下手な証拠!?

先ほど説明した「もうはまだなり、まだはもうなり」の格言の通り、「底値」と「天井」を見極めることは非常に難しいです。

そのため、「底値より少し高く買ったとしても、天井よりも少し安く売ったとしてもいいじゃないか」という余裕のあるスタンスで投資に臨むことが大切であるという考え方です。

「底値で買って天井で売る」ことが利益を最大化する理想であることは間違いないのですが、これを実際に狙おうとするのは個人投資家だけです。

稀に成功することもありますが、失敗する可能性の方が圧倒的に高いでしょう。

しかし、本当に投資が上手な人は底値と天井には興味を示しません。

投資が上手くなるには余裕が大事

昔に私が担当していたお客様に言われた言葉で、印象に残っているものがあります。

その方は、もう何年も株式投資をされているベテランの投資家の方でした。ある日、その方が保有している株を売却したいと連絡してきました。

私自身の相場観ではその株は「まだまだ上がる」と考えていましたので、「売却のタイミングをもう少し遅らせてもいいのではないか」と伝えてみました。

すると、「いや、いいんだ。自分なりに利益を出せたと思っているから、この先の利益は今から買う人に残しておいてあげるんだ」と。

この言葉が、まさに「頭と尻尾はくれてやる」なのですが、「今から買う人に利益を残しておいてあげる」という考え方が目から鱗で、本当に投資が上手い人は余裕を持っているなというのを実感した言葉です。

「もうはまだなり、まだはもうなり」を実践的に表した格言が「頭と尻尾はくれてやれ」という格言です。

この2つをセットとして覚えておくと効果的だと思います。

③「天井三日、底百日」 

これは相場の一般的な形成の様子を表した格言です。

長い時間をかけて上昇相場は作られますが、価格が天井付近をつけている期間は非常に短く(三日)、その後下落した株は再び上昇するまでには長い期間がかかる(百日)ということです。

売り時を逃すと百日売れない!?

この格言から学ぶ大切な点は2つです。

一つは、特に短中期売買をするにあたって、売り時はあっという間に過ぎてしまうのでタイミングを逸しないようにということ。

もう一つは、売り時を逃して一相場終わった株が、底を打って再び高値に戻ってくることを期待したとしても、そう簡単には戻ってこないということです。

④「大回り三年、小回り三月」

ここで③「天井三日、底百日」と合わせて憶えておきたい格言が、「大回り三年、小回り三月」という格言です。

こちらは、相場の動きには一定のサイクルがあることを表した格言です。

相場は、短期的には三ヵ月、長期的には三年で周期的に上昇と下降を繰り返すという意味です。

実際の株価予測に役立てることができる

実際の株式投資の中でも、上昇を始めた株に対して、底入れから約3ヵ月を目途に転換点が来るのではないかと予測したり、上昇下降を繰り返して大底から3年かけて大相場を形成する予測をたてるなど、相場の流れを読む一つの参考にすることができます。

なぜ三年と三月なのか?

「大回り三年、小回り三月」の「三年」と「三月」には決定的な根拠はありませんので、必ずしも「三年」と「三月」になるとは限りません。

しかし、「三月」は比較的よく言われるのが、日本もアメリカも企業決算が12月と3月が主流であること、また四半期毎に業績見通しが発表されることが理由の一つとされています。

また、昔の信用取引の期日が3ヵ月(現在は6ヵ月)であったことも理由の一つです。

「三年」の周期というのは、景気循環のサイクルとほぼ一致しています。

景気循環のサイクルにはいくつか有名なものがありますが、その中でも「キチンの波」という在庫循環をベースにした景気循環のサイクルが知られています。

これは、約40ヵ月で景気が循環するというサイクルです。

当然、景気の良し悪しによって相場も上げ下げするわけですから、約3年で相場が一巡するのはあながち根拠がないわけではないのです。

⑤「国策には逆らうな」

経済活動を行っているのは企業ですが、その企業も国家が無ければ成り立ちません。

国が経済を正しい方向に導けば、その国に属する企業も良い影響を受けますし、方向性を誤れば悪影響を受けます。

国が経済政策を推し進める時には、すべての企業に恩恵があるとは限りません。

ほとんどが、業界を絞った重点的な経済政策であることがほとんどです。

この経済政策が正しいのか正しくないのかは別として、国が行う政策には逆らわずに素直に買いで向かうべきであるという格言が、「国策には逆らうな」です。

国策はバブルすらも作り出す

国が行う政策は、その推し進める力にもよりますが、強烈に推進したときにはバブルすら作り出します。

2000年頃から始まったITバブルはその典型的な例です。

当時の世界的なITの急速な成長に遅れを取らない為に、国がIT企業を積極的に育成しようとした結果、ITバブルが起こりました。

これは逆もまた然りです。特定の産業に不利になるような厳しい規制がかかるようなことがあれば、逆らわずに買いを控えることも大事です。

国が大きく舵を取って特定の産業を後押しするような経済政策を行いだしたら、「国策には逆らうな」を思い出しましょう。

⑥割高に売りなし、割安に買いなし

投資に慣れてくると、自身の相場観も持つことができてきたり、自分なりに重視する指標が出てきたりもします。

自分の理論のようなものができてくるので、投資にこだわりが出てきます。

とても良いことなのですが、この時期が一番落とし穴にはまりやすい時期でもあります。

「ついた値段は正しい」

株の割高・割安を測る指標の一つがPER(株価収益率)です。

「この株は割高だから売ろう」、「この株は割安だから買おう」というバリュー投資は戦略としてあります。

ただ、それが全てだと軽率に考えると判断を間違うことがあります。

というのも、「ついた値段は正しい」という格言にもあるように、株の買い手と売り手の需給が一致してついた株価は常に正しいのです。

それが割安であれ、割高であれ、何かの理由があって割安になっている、割高になっているということも考慮しなければいけません。

格言の真意は?

「割高だから売る」、「割安だから買う」のではなく、割高・割安の理由を考える大切さと、逆張りではなく、順張りを推奨した格言だと言えます。

バリュー投資の際には、そこまで考慮してなお、割高だから売る、割安だから買うという判断をするようにしましょう。

⑦「株を買うより時を買え」

中級者編の最後として、この格言を紹介したいと思います。

株式投資において、この格言をベースに実践することができれば、勝率は飛躍的上がると思います。

端的に意味を説明すると、「何に投資をするかよりも、どの時期に投資をするかの方が重要である」という格言です。

「いつ買うか」は「何を買うか」より大切

どれだけ時間をかけて銘柄分析をし、最良の銘柄を選択して投資をしたとしても、時期を誤れば投資は上手くいきません。

逆に銘柄を適当に選んだとしても買う時期さえ合っていれば、利益を出すことができます。

優良株を探し出し、正攻法で投資をしているのになかなか結果が出せていない人は、この「時を買う」ことができていないのかもしれません。

「時を買う」=今がどういう流れなのかを考える

相場には歴史があり、現在に至るまで上下の波動を繰り返しています。その波は生き物のごとく、人間の感情をエネルギーに動いています。

そしてその波は、「ときに高く、ときに低く」波打っているのですが、波が高い時に買うのか、波が低い時に買うのかによっても、結果は大きく変わってきます。

何より大切なのは、波がどの方向に向いているかです。

上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、それてもボックス圏内で推移する保ち合い相場なのか。

銘柄の選択も重要ですが、「時」を選ぶことを忘れないでください。

過去の動きや今後の予想と比較して「今がどういう流れ(トレンド)なのか」を常に考えて投資をすることがとても大事なのです。

「時」を季節性で捉える

相場の大きな流れの中での「時」を見定めることは何より重要ですが、他の意味合いでも「時」は大切です。

例えば、「麦わら帽は冬に買え」という格言があります。

麦わら帽を使うのは夏ですが、冬のオフシーズンの間、つまり安くなっている間に買っておくのがよいという意味です。

つまりシーズンストックの意味合いでの「時」です。

季節性がある銘柄に関しては「時」を考えることは必須条件であると言えます。

「時」を突発的事象で捉える

また、何か予測不可能な突発的事象が起きた時にも、株は大きく下げることがあります。

例えば、「事故」や「天災」です。

「事故は買い、事件は売り」、「天災には買い向かえ」という格言がありますが、企業自体がしっかりしていれば株価も比較的短期間で戻してきます。

特に最近は、インターネットで世界中のニュースが瞬時に入ってくるため、何かが起こった時に売り込まれるのが早くなっているように感じます。

こういった売り込まれているタイミングで買い向かうことができれば、まさに「時」を買ったと言うことができるでしょう。

まとめ

さて、ここまで7つの格言を紹介してきました。

株式投資をしている様々なタイミングで思い出すことで、これらの格言がみなさんの投資の上達に一役買ってくれるのではないかと思います。