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NISAとは
2014年1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)ですが、少しずつ投資家の間にも広がっています。
NISA制度とは、年間120万円以下の投資金額であれば、その投資額から得た利益が非課税になるという制度のことです。
商品に関しては、株でも投資信託でも構いません。
本来であれば20.315%の税金がかかるところが、NISA口座で投資をすると非課税になるという、とてもお得な制度です。
NISAのメリット
NISA制度は基本的にメリットの方が大きいです。
国が推し進めている政策ですから、メリットが大きいのは当然です。
まずはメリットについて見ていきましょう。
株や投資信託に非課税で投資できる
投資の何よりのネックは税金です。
せっかくリスクを取って利益が出ても、その利益に対して税金をかけられてしまいます。
しかし、NISA口座で投資をすれば、本来20.315%の税金がかかるところが、非課税になります。
ただし、年間120万円以下の投資金額に限られます。
1%でも高く売ろうと考えて投資をしている人からすると、20.315%が非課税になるのは大きすぎるメリットでしょう。
株価が倍になっても制度内であれば非課税
例えば100万円の株を買って、1年後にその株が200万円になったとしましょう。
売却すると利益は100万円です。普通の口座であればこの利益に対して20%の税金がかかります。
つまり、税金として20万円が取られ、手元に残るのは税金20万円を差し引いた80万円です。
しかし、NISA口座であれば、年間120万円以下の投資金額から得た利益は非課税となりますので、利益の100万円を全額受け取ることができるのです。
確定申告も必要ない
税金が還付される制度は日本にもいくつかありますが、大体は確定申告が必要となってきます。
しかし、NISAの場合、そもそも非課税なので確定申告も必要ありません。
確定申告がめんどくさいと思っている人からするとありがたい話です。
NISAのデメリット
NISA制度は、ただただ年間120万円までの投資金額から得た利益が非課税になる制度です。
メリットは少なく感じますが、シンプルでわかりやすい上に、大きなメリットであるといえるでしょう。
しかし、あまりにもお得すぎると怪しくなってきますよね。
そこで、NISAのデメリットや注意点を調べて6つのポイントにまとめてみました。
①売却益が120万円分非課税になるわけではない
まず注意が必要なのは、売却益が120万円まで非課税になるということではないということです。
NISAは、120万円以下の投資金額(投資元本)から得られる利益が非課税になる制度です。
1,000万円分株を買い、それが値上がり1,100万になったとしても、NISAの制度は適用されませんのでお気を付けください。
②NISAの非課税枠は5年間の期限がある
NISAのデメリットとして挙げられるのが、NISAには5年という期限があるということです。
株を買った場合、非課税になる期間は、「買った年を含めて5年間だけ」です。
5年を超えてしまうと税金がかかるので注意してください。
もし非課税期間の5年を過ぎたときは、
- 新たにNISA口座に入れ直す(ロールオーバー)
- 売却する
- 非課税ではない特定口座(一般口座)に移す
という選択肢があります。
5年間の非課税期間を過ぎると、自動的に特定口座へ移されてしまいますので手続きを忘れないように注意してください。
1.の「新たにNISA口座に入れ直す」を選択し、新たにNISA口座に入れ直した場合、非課税扱いのまま移すこと(ロールオーバー)ができます。
しかし、移せる上限はあくまでも時価で120万円までです。
また、120万円分をNISA口座に入れ直した場合、その年の非課税枠を使いきることになりますので、新たに非課税枠で株や投資信託を買うことはできません。
③配当金の受取方法は株式比例配分方式にする
NISA口座で買った上場株式の配当金等を非課税とするためには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にする必要があります。
「株式数比例配分方式」以外の方法を選択している場合
証券口座を開設する際、上場株式の配当金やETF、REITの分配金の受取方法を選択しなければなりません。
その際に、「株式数比例配分方式」以外の方法を選択している場合、NISA口座で買い付けた上場株式の配当金等は、非課税にはなりません。
「株式数比例配分方式」以外の受取方法とは、
- 「配当金領収証方式」
- 「登録配当金受領口座方式」
- 「個別銘柄指定方式」
のことです。
上記の受取方法を選択している場合は、20%の税率で源泉徴収されます。
NISAの非課税の恩恵を受けることはできませんが、確定申告を行い、総合課税を選択すれば、配当控除の適用を受けることができます。
また申告分離課税を選択すれば、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除を適用することができます。
「株式数比例配分方式」を選択している場合
NISA口座にて非課税の恩恵を受けるには、上場株式等の配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。
「株式数比例配分方式」を選択すると、配当金は株式を保有する証券会社の口座に入金されます。
そのため、同じ銘柄の株式を複数の証券会社の口座に保有している場合、それぞれの口座の株式数に応じて配分されて入金されます。
たとえば、○○商事株式会社の株式をA証券会社で400株、B証券会社で600株保有していたとします。
配当金が1万円だった場合、A証券会社の証券口座には4,000円、B証券会社の証券口座には6,000円の配当金が入金されます。
そして、NISA口座で保有している株式からの配当金の場合には、この配当金が非課税になるということです。
1社で手続きをすればOK!
ちなみに、複数の証券会社で口座を保有している場合、どこかの証券会社で「株式数比例配分方式」を選択する手続きをすれば、自動的にすべての証券会社の口座についても適用されます。
④損益通算ができない
通常、NISA以外の普通の口座であれば、損失と利益の相殺、つまり損益通算ができます。
しかしNISA口座は損益通算ができません。
例を挙げて見ていきましょう。
A証券会社の口座で100万円の利益があったとします。
しかし同時にB証券会社の口座では100万円の損失を出してしまいました。
B証券会社の口座がNISA以外の口座であれば、この利益と損失を相殺してプラスマイナス0にすることができます。
ですので、確定申告をすれば税金はかかりません。
しかしNISA口座の場合、この損益通算ができません。
- A証券会社の口座の100万円の利益
- B証券会社の口座(NISA口座)の100万円の損失
NISA口座での損失は、A口座の利益と相殺することができません。つまり、完全に個別に税計算がされてしまいます。
A証券会社の口座の利益100万円に20%課税されます。
ですので20万円税金がかかるため、A証券会社の口座では80万円の利益となります。
B証券会社の口座では100万円の損失であるため、結果20万円のマイナスとなってしまうのです。
⑤損失繰越ができない
NISA口座は損失繰越ができません。
NISA以外の口座であれば、確定申告をすれば損失を3年間繰り越すことが可能でした。
例えば、特定口座(NISA以外の口座)で次のような損失と利益を出したとしましょう。
特定口座で昨年30万円の損失を出し、確定申告により損失繰越をしていたとします。
今年は10万円の利益が出た場合、昨年繰越をしていた30万円の損失を利益10万円と相殺することで、税金はかかりません。
しかしNISAでは損失繰越ができないのです。
NISA口座の場合、損失が出ても確定申告で損失を繰り越すことができないため、昨年出した30万円の損失は、ただただ損失です。
そのため、今年の10万円の利益に対しては、昨年の投資結果は関係なく20%の課税をされてしまいます。注意をしましょう。
⑥NISA口座は1人1口座しか開設できない
NISA口座は1人1口座までしか開設できません。
そのため、「どこでNISA口座を開設するのか」が非常に大事になってきます。
まずは、口座を開設する金融機関を決めます。
各証券会社や銀行では、株式売買手数料も取り扱い商品(株・投資信託)もサービスも多種多様なので、いろいろ比較して検討してください。
例えば、銀行では投資信託は購入できますが株は購入できません。
また、証券会社によっては投資信託を扱っていないところや、外国株を扱っていないところもあります。
NISA口座を開設してから、投資する商品を見つけるのではなく、NISA口座を利用して何の投資商品を購入するのかを決めてから、どこでNISA口座を開設するのかを検討するのがいいでしょう。
まとめ
NISA口座は、投資家にとって非常にお得な制度ですが、お得故にデメリットもあることを理解しておきましょう。
デメリットもありますが、国の意向として投資の裾野を広げるために、期間限定で非課税で投資できる枠を作ってくれているわけです。
これを利用しない手はないのではないでしょうか。
この記事を参考にデメリットや注意点を確認した上で、NISA口座を開設して、節税しながら投資を行いましょう。