モネロ(Monero)とは?匿名性の高さやマイニング方法を紹介
ここ数年、ビットコインをはじめとする仮想通貨は大きな注目を浴びています。
ビットコインを早い段階で持っていた人は、価格の高騰により大きな恩恵を受けたことでしょう。
そして、仮想通貨はビットコイン以外にもたくさんあります。
ビットコインに続く通貨の普及もめざましく、モネロ(Monero)も注目されている仮想通貨の1つです。
モネロ(Monero)とは、高い匿名性が特徴の仮想通貨で、エスペラント語で「コイン」「硬貨」を意味します。
数百種類以上ある仮想通貨がある中でも時価総額ランキングで上位に進出しているモネロ。
今回は、この仮想通貨「モネロ」について初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
目次
モネロ(Monero)とは何か?
まずは、モネロの基本的な知識から見ていきましょう。
モネロの基本情報
- 通貨名:モネロ(Monero)
- 通貨略号:XMR
- 公開日:2014年4月
- 発行枚数 :1840万枚(※発行上限枚数なし)
- ブロック生成間隔:約1分
- システム:Proof of Work(PoW)
- 取扱取引所(国内):コインチェック
モネロの歴史
モネロ(Monero)は、略号がXMRの仮想通貨で、2014年4月に公開されました。
モネロは、エスペラント語で「コイン」を意味する言葉で、公開以降、その匿名性の高さで人気を誇っている仮想通貨です。
「バルトコイン」を元に開発された仮想通貨
モネロは、匿名性の高い「バルトコイン(Bytocoin)」をベースに設計・開発された仮想通貨です。
多くのアルトコインがビットコインを元に開発されているので、モネロは少し異色と言えるでしょう。
※「アルトコイン(※オルトコインとも言う)」とは、ビットコイン以外の仮想通貨の総称です。
最初の名称は「ビットモネロ」
ちなみに、最初は「ビットモネロ」という名称でした。
最初の名前からは、ビットコインを強く意識して作られたように思えますが、そうではないのが興味深いところです。
モネロ(Monero)最大の特徴
モネロ最大の特徴は、その匿名の高さです。
モネロは、匿名性に特化したアルゴリズム「CryptoNight」を採用しています。
前述しましたが、これは「バルトコイン(Bytecoin)」というコインのソースコードが元になっています。
2016年頃から匿名性の高い仮想通貨が注目され始め、モネロの価格もその時期から上昇し始めました。
匿名性が高い仮想通貨は、他にダッシュ(DASH)やジーキャッシュ(Zcash)などが人気です。
CryptoNightとは
CryptoNightは、匿名性に特化したアルゴリズムで「リング署名」という技術を使っています。
「リング署名」とは、グループの一員なら誰でも署名が可能で、利用者の匿名性が保証されるデジタル署名(電子署名)の一種です。
リング署名の仕組み
「リング署名」をもっと分かりやすく言うと、
複数の人(グループ)の電子署名を束ねて署名することで、署名した人が特定されにくくなるので、匿名性が高まる
という仕組みです。
「リング署名」で署名されたメッセージは、特定のグループの誰かによって承認されますが、署名者同士を区別することはできないようになっています。
リング署名がモネロの匿名性を高める
利用者は1つのグループだけに参加しているわけではありません。
例えば、AとBというグループの両方に参加しているかもしれません。
こうなると、さらに複雑になります。
これが「リング署名」による匿名性の高さにつながっているわけです。
ワンタイムリング署名
リング署名自体は、2001年から提唱されている技術で、現在はさらに匿名性が改良された「ワンタイムリング署名」が使われています。
これは、取引情報から流通ルート自体を特定できないように設計されています。
この「ワンタイムリング署名」では、ミキシング(混合)とワンタイムキーを組み合わせることにより取引が追跡不可能となります。
ビットコインの問題点から開発
以前からビットコインのシステムは、一部で問題視されていました。
その問題点は、ブロックチェーンというネットワーク上のシステムに情報が書き込まれるため、
を観覧できる状態になっていることです。
その問題点を改良した通貨がモネロ
そして、その代わりに誕生した仮想通貨が、モネロなどの匿名性の高い仮想通貨です。
上で2016年頃から匿名性の高い仮想通貨が注目され始めたとお伝えしましたが、今後ビットコインに取って代わる可能性・将来性を秘めています。
ワンタイムアドレス
モネロのアドレスは、非常に長いという特徴があります。
アドレスが長い理由は、「閲覧用」と「送信用」の2つのプライベートキー(秘密鍵)から作られているからです。
このアドレスがマスターキーのような役割を果たし、送金を行うたびに「ワンタイムアドレス」を生成します。
ワンタイムアドレスはその名の通り1回だけ
コイン(お金)は、このワンタイムアドレス宛に送られます。
そして、ワンタイムアドレスはその名の通りに1回しか使えないので、使い終わればもうこのアドレスを使うことはできなくなります。
つまり取引履歴を確認できない
つまり、コイン(お金)を送るアドレスが1度で消滅してしまうので、例えば第三者が長いアドレスになっているマスターキーを盗み出せたとしても、それで取引履歴を確認することができないのです。
これも、モネロの匿名性の高さにつながっています。
ただ「閲覧用」の秘密鍵を公開することで取引履歴のみを外部に公開することは可能です。
匿名性が高い通貨は注目され始めている
現在、プライバシーを保護する匿名性の高い仮想通貨は注目され始めており、実際価格にも大きく影響しています。
ジーキャッシュ(Zcash)
Zcashは、世界的大手銀行「JPモルガン」と、Zcashの持つ匿名性の技術である「ゼロ知識証明」と提携を結び価格が大きく高騰しました。
イーサリアム(Ethereum)
またEthereumについても、2017年注目のアップデートでは、Zcashの技術を使い、通貨に匿名性を持たせる改良を行う予定となっています。
このように、匿名性の高い通貨の技術は、日に日に注目を集めています。
今後、モネロの技術がどこかの企業で採用されたりすれば、価格に大きく影響してくると思われます。
モネロのマイニング(採掘)方法
モネロは、一般的な家庭用PCでもマイニング(採掘)が可能な仮想通貨です。(ビットコインは、ハイスペックPCでないと採掘不可)
「マイニング(採掘)」と言うと難しく感じる方も多いと思いますが、実際にはコンピューターを利用して計算を行うだけです。
その計算結果によって、報酬としてコインが貰える仕組みです。
ここでは、モネロの採掘方法をご紹介します。
①CPUマイニング
PCに搭載されている「CPU(≒計算速度)」を利用して、マイニングを行う方法です。
ただ、効率としては悪くなりますし、ノートPCの性能が低いもので利益を出すことは難しいです。
②GPUマイニング
CPUなどと同様でPCに搭載されているGPU機能を利用して、マイニングを行う方法です。
CPUが計算などを得意とする一方、GPUは画像処理などを得意としています。
ちなみに、GPUは、CPUの約800倍のスピードで計算を行うことが可能。
なので、CPUよりも高い収益性を出すことが可能なのです。
③ハードウェアマイニング
他に、ハードウェア(特殊な機材)とPCを利用して、マイニングする方法があります。
この採掘方法は、とても難しく、ヘビーユーザー向けのマイニングです。
モネロ(Monero)のメリット
Moneroのメリットをまとめてみました。
①匿名性が高い
度々お伝えしていますが、モネロ最大のメリットは「匿名性の高さ」です。
「CryptoNote」という匿名性に特化したプロトコルを利用し、「リング署名」を実装しています。
ビットコインなどは送金する際、秘密鍵と公開鍵を用いて行われるため、誰が署名したのか追跡可能になっています。
一方、モネロの「リング署名」は、グループの公開鍵を束ねて利用することで、追跡するを困難にしてくれます。
②取引時間が速い
モネロは、ひとつの取引を処理するまでの時間がおよそ2分程度です。
一方、ビットコインの場合、ひとつの取引を処理するのに10分程度を要します。
つまり、モネロはその5倍の速さということです。
また、ブロックサイズ制限がないので、ビットコインで現在問題になっているスケーラビリティ(取引処理能力)なども起こりにくいです。
③マイニングが簡単
モネロのマイニングは、ビットコインのようにハイスペックPCは必要とされていません。
Moneroは、一般的な家庭用パソコンのCPUでも、マイニングが可能です。
モネロ(Monero)のデメリット
続いて、Moneroのデメリットを見てみましょう。
①違法な取引に使われる可能性がある
モネロ最大の特徴である「匿名の高さ」が、逆にマイナスに働いてしまうことも十分に考えられます。
それが「違法な取引」、つまりは犯罪やマネーロンダリングなどの悪いことのためにモネロが使われてしまう恐れがあるのです。
実際にモネロが悪用されている事例
モネロは、匿名性の高いコインとして「AlphaBay」というオンラインマーケットに採用されています。
AlphaBayとは、その辺では買えないような危ないものを売っている、いわゆるダークマーケットと呼ばれるサイトです。
匿名通信システムのTor(トーア)というものを利用して、中を覗くことが可能なようです。
犯罪への悪用は以前から懸念されていた
モネロは公開当初から、その匿名性から、こういった闇市場での違法な売買に使われることが懸念されていました。
実際、ハッキングした情報と引き換えに、Moneroを要求するといった犯罪も発生しています。
そして、取引情報が記録されないので、万が一の際に保有していたことを証明する手段がありません。
②モネロが悪用される上で考えられるマイナス要因
上記①で述べた「違法な取引に使われる懸念」によって、考えられるマイナス要因が2点あります。
国・政府が何らかの対策をとる可能性がある
例えば、匿名性の高い仮想通貨があまりにも犯罪などに悪用されるようであれば、国・政府が何らかの対応を取ってくる可能性も考えられます。
こうなってしまうと、国・政府から制限を受けることになるので、今より使い勝手が悪い仮想通貨になってしまい、それが通貨の価値を下げる要因にもなります。
つまり、「匿名性の高さ」は、諸刃の剣でもあるのです。
大手企業が導入しづらい
犯罪やマネーロンダリングなどに利用される恐れがあるということは、イメージを大事にする大手企業には敬遠されてしまいます。
大手企業からも導入されず、流通が起きないとなると、これもモネロの仮想通貨としての価値を下げる要因になってしまうのです。
③ハイリスク・ハイリターンの仮想通貨
「ビットコイン」や「イーサリアム」といったメジャー通貨と比べると、流通量はかなり少ないと言えます。
また、「匿名性が高い」という特徴から、特定の組織や企業などがシェアを占めている可能性が高いとも言われています。
値動きが激しくなりやすい通貨
「流通量が少ない」と「一部がシェアを占めている可能性が高い」から考えると、モネロは値動きが激しくなりやすい通貨と言えます。
つまり、ハイリスク・ハイリターンの仮想通貨なのです。
ですので、あまり大きな額をモネロに投資するのはオススメできません。
もしモネロを所有するなら、始めのうちは少額にしておいた方が無難かもしれません。
まとめ
モネロ(Monero)は総じて言うなら、まだまだこれから大きな可能性を秘めた仮想通貨と言っていいでしょう。
モネロの特徴は、なんといっても「匿名性の高さ」。
この「匿名性の高さ」ゆえの問題点もありますが、匿名性の高さが魅力であることには変わりありません。
これから法律がモネロをどう扱うかにも注目が集まるところですが、余剰資金の一部であれば、モネロに投資しておくのは選択肢の一つです。