日本車の代表格として生誕50周年を迎えたカローラの中でもステーションワゴン型のシリーズが、「カローラフィールダー」です。
同じカローラでも「カローラアクシオ」はセダンのスタンダードとして日本を代表する車種ですが、「カローラフィールダー」はどうなっているでしょうか?
その状況によっては、査定価格に何らかの影響があるかもしれません。
「カローラフィールダー」について、特徴や歴史を見ていきましょう。
トヨタ カローラフィールダーの基本情報
カローラの操作性に大きな積載量を追加したワゴンタイプの「カローラフィールダー」は、とても使い勝手が良く人気のある車種です。5ナンバーサイズで取り回しがしやすいこともあって、商用車としての需要も多く、今ではアクシオに並ぶカローラの主力車種としての地位を築いています。
そんな、「カローラフィールダー」の基本的な情報をおさらいしておきましょう。
新車価格
カローラフィールダーは、実用車として実力の高い車種です。そのため、高級感という意味では、他車に劣るところがあるのは仕方ありません。
ただし、その分価格面のアドバンテージは高くなっています。
具体的な新車価格は以下のようになっています。
- ハイブリッド …… 219.6万円から247.5万円程度
- 1.8L FF …………… 221.5万円から232.5万円程度
- 1.5L 4WD ………… 188.6万円から224.1万円程度
- 1.5L FF CVT ……… 174.4万円から211.5万円程度
- 1.5L FF MT ……… 162.6万円から187.2万円程度
非常にこなれた価格となっている印象です。
型式
カローラフィールダーの型式は、以下の5つに分かれています。
カローラアクシオ同様、MTモデルが揃えられているのは、スタンダードを狙うカローラ故の特徴と言えるでしょう。
- DAA-NKE165 …… ハイブリッド(1.5Lエンジン+モーター)、FF
- DBA-NRE162 …… 1.8L、FF
- DBA-NZE164 …… 1.5L、4WD、CVT
- DBA-NRE161 …… 1.5L、FF、CVT
- DBA-NZE161 …… 1.5L、FF、MT
排気量
型式のところで説明したように、カローラフィールダーには3種類のエンジンがあります。
カローラアクシオにはない1.8L、ベーシックモデルの1.5L、それと1.5Lエンジンとモーターが組み合わされたハイブリッドモデルです。
グレード
カローラフィールダーのグレードは、以下のようになっています。
グレード | 排気量 | 駆動方式 |
HYBRID G | ハイブリッド | FF |
HYBRID | ||
1.8S | 1.8L | FF |
1.5G | 1.5L | FF |
4WD | ||
1.5X | FF | |
4WD |
なお、HYBRID G、1.8S、1.5Gには、内外装に力を入れた“WxB”モデルもあり、合わせて、HYBRID G、1.5Gには、スポーツタイプの“AEROTOURER”モデルもありますので、選択肢の幅は広くなっています。
駆動方式
大衆車のカローラですので、駆動方式は低コストと室内の広さを同時に得られるFFが基本になっており、1.5L車には4WD車が追加されています。
燃費
商用車としての人気もあるカローラフィールダーにとって、燃費は他車以上に重要な要素の1つでしょう。
燃費性能のカタログ値は、次のようになっています。
- ハイブリッド …… 33.8km/L
- 1.8L FF ………… 16.6km/L
- 1.5L 4WD ………… 16.0km/L
- 1.5L FF CVT ……… 23.0km/L
- 1.5L FF MT ……… 17.6km/L
カローラアクシオと同じエンジンを積んでいますので、比較的良い燃費になっています。
しかし、カローラアクシオよりも車体重量が重くなっていますので、その分燃費性能も若干落ちているようです。
ハイブリッド仕様
2013年にカローラフィールダーとカローラアクシオの両方にハイブリッドモデルが投入されました。
世界トップレベルの低燃費を誇るアクアと同じシステムが導入されたことで、カローラフィールダーは、操作性と実用性に合わせて、低燃費も手に入れたことになります。
エコカー減税について
カローラフィールダーのエコカー減税対象のモデルは、ハイブリッドモデルと1.5LのFF(CVT)モデルです。
それ以外のガソリン車は対象から外れていますので、「安く挙げようとしたが、実は総支払額では高くなった」ということもなくはありません。
そのため、どれくらい減税されるかを把握しておく必要があるでしょう。
次項よりグレード毎の減税額について、それぞれ観ていきましょう。
エコカー減税(HYBRID)
・エコカー減税(自動車重量税免税 + 自動車取得税免税)+自動車グリーン税制(約75%減税)
※重量税は22,500円程度、自動車税は25,500円程度で減税額合計を算出しています。
グレード | 駆動 | 取得税 | 減税合計 |
方式 | |||
HYBRID G | 2WD | 57,400円~61,800円程度 | 105,400円~109,800円程度 |
HYBRID | 2WD | 54,800円程度 | 102,800円程度 |
エコカー減税(1.5G・1.5X)
・エコカー減税(自動車重量税50% + 自動車取得税20%)
※重量税は11,300円程度で減税額合計を算出しています。
グレード | 取得税 | 減税額合計 |
1.5G | 9,600円~10,600円程度 | 20,900円~21,900円程度 |
1.5X | 8,700円程度 | 20,000円程度 |
乗車定員
「カローラフィールダー」の定員は5名です。(もちろん、十分な荷室を確保した上での人数です)
5ナンバーサイズのワゴンですので、十分に足を伸ばせるとまではいきませんが、大人4人であれば十分に快適な広さが確保されています。
ボディカラー
カローラフィールダーは、以下の9色のボディカラーを展開しています。
グレードによっては選べない色もありますので注意が必要です。
- パール系 :ホワイトパールクリスタルシャイン、スーパーホワイトⅡ
- ブラック系:ブラックマイカ
- シルバー系:シルバーメタリック
- その他 :オレンジメタリック、スーパーレッドⅤ、ブルーメタリック、ライトブルーメタリック、クールボルドーガラスフレーク(※)
- (※)“WxB”のみ選択可能
スポーツタイプもあることから、比較的カラフルな色合いが揃っています。ただし、商用車としても売れていますので、ホワイト系やブラック系、シルバー系の出荷数が圧倒的に多くなっています。
最高出力
大荷物を積むことを想定すると、最高出力は気になるところです。確認しておきましょう。
- ハイブリッド …… 54kW(74PS)/4,800rpm+モーター:45kW(61PS)
- 1.8L FF ………… 103kW(140PS)/6,200rpm
- 1.5L 4WD ………… 76kW(103PS)/6,000rpm
- 1.5L FF ………… 80kW(109PS)/6,000rpm
※ハイブリッドモデルは、システム全体として100馬力(PS)程度になります。
1.8Lの140馬力は、車体重量1.2t弱に対して力強く、心地よい走りが期待できます。重い荷物を積んでも、それなりに走ってくれるでしょう。
それ以外についても、街乗り程度では気にならないかもしれませんが、高速走行時や重い荷物を積んだ場合、多少のもたつきを感じるかもしれません。
最大トルク
大荷物を積んで走り出すときに重要なのはトルクです。
- ハイブリッド …… 11.3kgm(111Nm)/3,600rpmから4,400rpm+モーター:17.2kgm(169Nm)
- 1.8L FF ………… 17.5kgm(172Nm)/4,000rpm
- 1.5L 4WD ………… 13.5kgm(132Nm)/4,400rpm
- 1.5L FF CVT ……… 13.9kgm(136Nm)/4,400rpm
- 1.5L FF MT ……… 14.1kgm(138Nm)/4,400rpm
トルクも最高出力同様の結果です。
しかし、加速が強いとシートに押しつけられる感覚があって、恐怖を感じる人もいるため、1.5Lやハイブリッドモデルの方が、運転しやすいかもしれません。
歴史
カローラフィールダーは、「カローラワゴン」という名称で、カローラのワゴン型派生車種として、1982年に登場しました。
その後、2000年のカローラの大きな転機に伴って名称が「カローラフィールダー」になり、主力シリーズとして「フィールダー」の名称で親しまれています。
そんなカローラフィールダーの歴史は、どんなものでしょうか。
- 初代 ワゴンモデルの投入(1982年~)
国外モデルでは1966年の初代モデルから存在していたワゴンタイプのカローラが、日本国内に導入されたのが、この時期でした。
これは、1970年代の高速道路開通の波を受けて、自家用車での遠出の増加など、国内での車事情が大きく変わったことが起因するのでしょう。
- 2代目から3代目(1987年~、1991年~)
カローラが日本の自動車を代表するシリーズと認知された時代がこの頃で、それに伴ってカローラワゴンの販売台数も大きくなりました。
そこで、カローラの主力モデルの1つとして注力され始めたのがこの頃です。
- 4代目カローラフィールダーへ(2000年~)
3代目から主力車種になったカローラワゴンは、セダンより一回りサイズアップし、より実用的になりました。
また、エンジンを強化されたスポーツタイプも投入されています。
- 5代目 より実用的なワゴンへ(2006年~)
カローラが大きく変わったこの時期、セダンタイプは「カローラアクシオ」となり、カローラフィールダーは派生車種ではなく肩を並べる車種へと変わりました。
現在では珍しくありませんが、ワンタッチで後部座席を格納できる「ワンタッチ格納リヤシート」が世界に先駆けてカローラフィールダーに搭載されています。これもまた、カローラの使い勝手へのこだわりでしょう。
- 6代目 日本に合ったワゴン(2012年~)
カローラアクシオと同じく大きなフルモデルチェンジを経て登場したカローラフィールダーは、全長が短縮されて取り回しがしやすくなりました。
しかし、それにもかかわらず、後部座席が犠牲になることなく、荷室も大きくなるという快挙を実現しています。
日本国内の道路事情を考慮した5ナンバーワゴンとしての、面目躍如と言ったところでしょう。
特徴
カローラアクシオと並んで、日本の交通事情に即した進化を続けるカローラフィールダーは、カローラの名に恥じない、日本車を代表するワゴンです。
多くの法人でも採用され、個人需要も多いカローラフィールダーのおすすめのポイントを紹介しましょう。
おすすめできるポイント
①優れた燃費性能を実現したエンジン
カローラで培われた技術の粋を集めたエンジンは、トヨタのこだわっている「燃費性能」「環境性能」を十分に実現しているものです。その秘密は、以下に集約されるのではないでしょうか?
- アイドリングストップ機能
ストップ&ゴーの多い日本の交通事情を考慮すると、信号待ちなどでのアイドリングは燃費面で非常に効率の悪い部分です。エンジンを適切に停止・始動することで、その無駄を減らしています。
- 低トルク域での性能向上
ストップ&ゴーが多いということは、低トルク域(エンジンが動き始めてすぐ)での加速性能が重要です。このときのトルクを十分に確保することで、無駄にアクセルを踏み込むことを防ぎ、燃費向上が期待できます。
- 世界トップレベルの低燃費を実現したハイブリッドシステム
33.8km/Lという低燃費を実現し、アクアで世界中を驚かせたハイブリッドシステムを備えていますので、現在考えられる最高レベルの燃費性能を持っていると言えるでしょう。
②洗練されたボディデザイン
先代と比べて流れるようなフォルムを実現したカローラフィールダーの注目すべきデザインは、以下になるでしょう。
- フロントフェイス
センターからヘッドランプへ向かって細く伸びるメッキ加飾によって、ワイド感が強調されました。
また、バンパーは上下の高さが広がって立体的になっており、低重心でスポーティーな印象を与えてくれます。ヘッドランプも鋭くなっており、流れるようなフォルムを形作っています。
- サイド
バンパー面をフロント及びリヤに延長し、フロントからリヤにかけての水平軸を強調するようなデザインになっていますので、全体として伸びやかな印象になっています。
- アンテナ
アンテナは先代のポールアンテナからシャークフィンアンテナへと変更され、シンプルでスタイリッシュな印象を与えててくれます。
- リヤ
リヤコンビネーションランプがバックドアとつながるようなデザインになっており、ワイド感が強調されています。ランプには黒い縁取りがされていますので、ランプが引き締まって見えます。
③あらゆる情報が一目瞭然
運転する上で気になるのが、運転席のメーター類でしょう。
カローラフィールダーにはメーター類には他車種とは少し違った面白さが見られます。
- ハイブリッドモデルの2眼メーター
ハイブリッドモデルのメーター類はタコメーターとスピードメーターの2眼メーターが基本です。
それらに加えて4.2インチの高解像度TFT液晶「TFTマルチインフォメーションディスプレイ」が搭載されています。
- TFTマルチインフォメーションディスプレイ
ステアリングのDISPスイッチで表示を切り替えられる情報画面です。
バッテリーの状態やエコモードでの評価、充電状況など、あらゆる情報がすぐに分かるようになっているのです。
- ガソリン車の3眼メーター
ガソリン車は、タコメーター、スピードメーターに加えて、ガソリン容量も加えた3眼メーターになっています。
また、ガソリン車にもドライブモニターが搭載されており、航続可能距離や平均燃費などをDISPスイッチで切り替え表示することができます。
④内装面に様々な工夫を凝らしている
ワゴンの魅力は荷物が多く積めることです。ただし、それなりの工夫がされていなければ、使い勝手が良いとは言えません。
- ゆとりスペース
後部座席を通常の状態でも407Lの大容量が確保されています。これは家庭用の冷蔵庫並みの容量ですので、どれくらい大きいのか想像できるでしょう。
また、後部座席を格納すれば872Lもの容量に拡張されます。
もちろん、床下収納もありますので、小物類などもすっきり片付けられます。
- リクライニング
後部座席には最大16度まで傾けられるリクライニング機能がありますので、ゆったりとくつろぐことが可能です。それに加えてアームレストもありますので、快適なドライブを楽しむことができるでしょう。
- 格納式フック
日々の買い物で荷室に荷物を置くときに困るのが、買い物袋です。
そのまま置いてしまうと運転中に倒れて中のものがこぼれ落ちてしまったり、破損したりなどの原因にもなります。
カローラフィールダーなら、荷室の左右にフックが付いていますので、買い物袋をそこに引っかけることで、倒れてしまうようなことを防ぐことができるのです。
⑤静粛性に優れている
カローラの静粛性は、このクラスではトップレベルといっても良いかもしれません。
- エンジンノイズ
完全に聞こえないことはありませんが、低音域はほとんど聞こえない程度になっており、ほとんど気になりません。
- 排気音
後部座席に乗っている人でも、遠くの方から聞こえてくるような、本当に気にならない程度のものになっています。これは高級車に匹敵する静かさです。
- 風きり音など
ドアや天井などに吸音措置が施されているのか、高速走行時の風きり音や雨天時の雨の当たる音などがほとんど聞こえません。
⑥広々とした前方視野
安心して運転するためには、視界の広さはとても重要です。
ボンネットの長いセダンやワゴンの場合は、車体の感覚を摑みにくい場合があるので余計に重要です。
- 広くラウンドしたフロントウインドウ
フロントウインドウガラスが大きくラウンドして全体を見渡せるような形になっています。
またフロントピラーも細くなっていますので、より視界が広く明るくなって、状況を把握しやすくなっています。
- サイドミラーの設置位置
サイドミラーが下に垂れたような形で、少し後方に設置されているため、周囲を確認するときに邪魔になりにくくなっています。
おすすめできないポイント
①振動が気になる
カローラフィールダーに関しては、上述の通り静粛性には優れているのですが、その分気になるのが振動です。
以下のような時に、振動が気になるという方もいらっしゃるかもしれません。
- 路面の凹凸
きれいに舗装された道路であれば滑るような間隔がありますが、未舗装路や凸凹のある道路では、突き上げがあります。
これまでのカローラのようなふわふわした感覚ではないのは良いですが、気になる人は多いでしょう。
- エンジン
始動時のエンジンの振動が激しいです。軽自動車並みとまではいきませんが、とても安っぽく感じます。
②ハンドル操作に癖がある
運転しやすい車の代名詞であるカローラですが、一定の癖がありますので、注意が必要です。
ハンドルを切り込んでいくと、急に重くなることがあります。
分かっていれば良いですが、分からなければ何かに引っかかったのかとびっくりするかもしれません。
カローラフィールダーの中古車 買取相場は?
※オークション相場についての注意点とお願い
以下の相場価格は買取業者が実際のオークションで落札した過去の買取落札額です。
2017年1月にオークションサイトで調べて算出したものであり、現在の査定価格と完全一致するものではございません。
車を売ろうと考えている方、購入しようとしている方は、あくまで相場価格の目安としてご参照ください。
- 年式:約3年前(平成26年)走行距離:約3万kmの場合
51~174万円
- 年式:約5年前(平成24年)走行距離:約5万kmの場合
26~122万円
- 年式:約7年前(平成22年)走行距離:約7万kmの場合
26~89万円
- 年式:約10年前(平成19年)走行距離:約10万kmの場合
9~42万円
まとめ
生誕50周年を迎えたカローラの1シリーズとしてしっかりと独立しているカローラフィールダーは、カローラの魂を継承した上で実用性を高めた、質実剛健なワゴンです。
その扱いやすさと価格設定から、法人用途として多く出回っていることもあり、買い替え需要は常にあると考えて良いでしょう。
「法人で中古車?」と考える人もいるかもしれませんが、減価償却期間や導入経費を考慮すると、中古車を法人で導入するところも多いものです。それが、カローラフィールダーのような手堅い車ならなおさらです。
つまり、中古車市場ではカローラフィールダーには、十分な需要があるわけです。
需要があるのなら十分な値段が付きますので、カローラフィールダーを売るのも悪くありません。