近年、ハリウッド女優やセレブの間で流行しているマタニティピラティスをご存知ですか?
精神を集中して体をバランス良く鍛えるエクササイズは、日本でも話題になっています。
今回は、マタニティピラティスの効果とやり方、注意点についてみていきましょう。
マタニティピラティスとは?
お産の時の体力作り、太り過ぎを防ぐ体重管理などの対策に人気のマタニティピラティス。
健康な身体の維持に必要な筋肉を鍛えるのがピラティスですが、マタニティピラティスには妊婦のためのプログラムが取り入れられています。
胸式呼吸で体の中にたくさんの空気を取り入れながら、ゆったりとエクササイズを行います。
動きはヨガと似ていますが、ヨガは腹式呼吸が基本のため、この点がピラティスとの大きな違いです。
胸式呼吸で酸素をたくさん体に取り入れて、酸素を身体全体にめぐらせます。血流改善効果もあり、赤ちゃんにいっぱい栄養を送ることができます。
また、ヨガはストレッチやポーズに重点が置かれていますが、ピラティスはストレッチを行いながら、深層筋(インナーマッスル)をしっかり鍛えることに重点が置かれています。
さらに、ヨガは腹式呼吸をすることで、副交感神経を刺激しリラックスをさせるのが目的であるのに対し、ピラティスは胸式呼吸を行うことで交感神経を活性化させるのが目的です。
マタニティピラティスの効果
マタニティピラティスは身体を効率的に鍛えることが可能です。
このエクササイズを妊婦が行うことで得られる効果は、以下のものがあります。
- 正しい姿勢を身につけられる。
- 出産に必要な骨盤底筋を鍛えられる。
- 血流が良くなる。
- インナーマッスルを鍛えられる。
- 腰痛の予防、改善効果。
- 肩こりの予防、改善効果。
- 体の柔軟性をアップし、出産に備えられる。
- 頭をすっきりとさせ、リラックス効果が得られる。
- 肋骨の痛みを改善できる。
- 産後の回復力を高めることができる。
- 不安を解消し、安眠効果が期待できる。
マタニティピラティスを行える時期とは?
マタニティピラティスはいつ頃から行うことができるのでしょうか。
妊娠初期は体調も崩しやすく、つわりなども起こりやすいためマタニティピラティスに限らず、運動は控えたほうが良いと言われています。
そのため、子宮内で赤ちゃんが安定する16週目以降から行うのが基本です。
ただし、16週を過ぎればみんな安全というわけではありません。必ず担当の主治医に運動を始めてもいいかどうかを確認しましょう。
妊娠中期はお腹も大きくなり始めたばかりなので、体を動かしてエクササイズするには適した時期です。
この時期にしっかりと鍛えておけばむくみを改善し、お腹が大きくなった際の腰痛を予防する効果も期待できます。
妊娠後期には出産に必要になる筋肉を鍛えるだけでなく、柔軟性を高めていきます。マタニティピラティスは出産直前まで行うことができますが、体調がすぐれない時は控えましょう。
出産後に産後ピラティスを行う施設も多くあります。産後は膣が緩んだり、尿が漏れやすくなったりといった症状が出る場合がありますが、このような悩みを改善するためにもピラティスは有効です。
また、出産によって崩れた体型を元に戻すためにも産後ピラティスをする人もいます。
マタニティピラティスのやり方
それでは、マタニティピラティスとは具体的にはどのようなエクササイズを行うのでしょうか?ピラティスのやり方をご紹介します。
基本の呼吸法
マタニティピラティスの呼吸法は「胸式呼吸」です。
鼻から息を大きく吸って胸に空気をたくさん送り込みます。そして、口からゆっくりと息を吐きます。背筋を伸ばし、呼吸を繰り返します。
普段から胸式呼吸に慣れていない人は両手を肋骨に当て、息を吸い込むと、肋骨が広がり空気が溜まっていくのがわかります。
息を吐き出す時は体が肋骨の下、腰の上、腰の下、下腹部の4つに分かれているイメージを持ちます。
大量に吸い込んだ空気を少しずつ、上から順に吐き出していきます。
呼吸を吸って吐いてを繰り返し、お腹の中の赤ちゃんにたくさん栄養を与えてあげるイメージを持ちましょう。
基本の姿勢
マタニティピラティスは呼吸法と同時に姿勢も重要です。まず、立ち姿勢の作り方をみていきましょう。
- 立つ時の姿勢は、親指の付け根と薬指と小指の付け根の間、かかとの3点で体重を支えます。(いまいちイメージがつかめない場合は、つま先を上げて立つと分かりやすくなります。)
- くるぶしから太ももまでの脚を意識してくっつけます。腰のバランスは左右均等に地面に平行になるようにします。(こちらもまっすぐになっているイメージがつかみにくい場合は腰に両こぶしをおいて、手が水平になっているかを確かめましょう。)
- まっすぐに立つことができたら、今度は恥骨と尾てい骨の高さを合わせて、下腹部、内腿、お尻に力を入れます。
- 上半身は肩甲骨のバランスを合わせます。鏡で見て、鎖骨がまっすぐ地面と水平になるようにします。脇と肩甲骨に力が入って肩甲骨のバランスが良くなります。
- 肩甲骨が綺麗に安定したら、最後は頭。頭蓋骨を背骨の上にあげるイメージで伸ばします。すると、首を左右に回すことができるため、ピラティスを行いやすくなります。
次に、座ったときの姿勢をみていきましょう。
座るときはあぐらをかくのが基本です。あぐらをかいたときも背筋を伸ばします。
尾てい骨から頭蓋骨までがまっすぐになるようにイメージします。背中が丸くなって猫背にならないように気をつけましょう。
姿勢が正しくなるだけでマタニティピラティスの効果が上がります。
また、マタニティピラティスにはオールフォーキャットというポーズもあります。ヨガでいうところの猫のポーズです。
背筋を伸ばしたまま両手、両膝をつきます。息を吸いながら頭を上げ、息を吐きながら下腹部を見るように頭を丸めます。
この時背中を丸くします。腰をしっかり伸ばすイメージを忘れないようにしてください。
マタニティピラティスの注意点
何度も述べますが、マタニティピラティスに限らず妊婦運動を行う際はまず、医師に運動をしても良いかどうかを確認しましょう。そして、運動を行う際は以下の点に注意が必要です。
- 水分補給をこまめに行いましょう。
- 運動中に気分が悪くなったら中止しましょう。そして気分が良くならない場合は医師に相談しましょう。
- お腹の張りが気になる時も運動は控えましょう。また、疲れがひどい時も中止しましょう。
- 股関節の可動域が広くなるからといって過度なストレッチは禁物です。
- 長時間の仰向けは気をつけましょう。