妊活や不妊について調べたことがある人は「卵子は年齢と共に老化する」ということはご存知の通りですよね。
そんな卵子の老化を止めるために、若いころの卵子を保存しておく「卵子凍結保存」という方法があることを知っていますか?
本来は、将来妊娠できなくなるかもしれない病気の女性の救済策として用いられていましたが、今は社会的な理由で妊娠が出来ない健康な女性にもニーズが広がってきています。
今回は、そんな卵子凍結保存について、詳しく見て行きましょう。
妊活や不妊について調べたことがある人は「卵子は年齢と共に老化する」ということはご存知の通りですよね。
そんな卵子の老化を止めるために、若いころの卵子を保存しておく「卵子凍結保存」という方法があることを知っていますか?
本来は、将来妊娠できなくなるかもしれない病気の女性の救済策として用いられていましたが、今は社会的な理由で妊娠が出来ない健康な女性にもニーズが広がってきています。
今回は、そんな卵子凍結保存について、詳しく見て行きましょう。
卵子凍結保存とは、女性の体から卵子を採取し、体外受精の目的で卵子を凍結保存することです。
もともとは、がん治療をする女性が将来妊娠を望めるように、治療の影響を受ける前の卵子を保存する目的で用いられてきました。
最近では、晩婚化の影響でパートナーと出会う前に、よい状態の卵子をキープしておく目的でも行われるようになりました。
実際に、卵子凍結保存で出産したケースも出てきていますが、まだ歴史は浅く、安全性や将来の妊娠を必ず保証できるものではありません。
しかし、女性の社会進出にともなって、仕事も子どももどちらも諦めたくないという思いから、卵子凍結を選択する女性は増えてきています。
抗がん剤治療などの化学治療や放射線治療を行う場合、卵巣など生殖機能にも大きな影響を与えます。
卵子凍結保存は、治療の影響を受ける前の卵子を採取し、将来の妊娠に備えたいという若い女性がん患者の救済策なっています。
この場合は、主治医の許可を得たうえで、本人の意思を持って行うことができます。
最近では妊娠しやすい若い時の卵子を凍結保存し、将来の妊娠・出産に備えるというケースも出てきています。
晩婚化が進み、初産の年齢が高くなってきていますが、卵子の老化は避けられない問題です。
卵子の数は限られていて、卵子が古くなるほど妊娠しにくくなるのは事実です。
「まだパートナーに出会えていない」「今は仕事を頑張りたい」など、将来の出産の備えとして卵子凍結保存するという新しい考え方です。
しかし、未受精卵の卵子凍結保存は歴史が浅いため実例が少なく、実施している施設の内容を評価・判断する基準がないことは注意したい点です。
また、卵子凍結においても高齢出産は、妊娠合併症へのリスクが懸念がされています。
そのことから、高齢出産を助長するといった意見もあり、日本産科婦人科学会は健康な方への卵子凍結は「推奨しない」と判断しています。
卵子凍結保存したからと言って、高齢出産のリスクは避けられませんし、凍結卵子で必ず妊娠するとは限りません。
特に未受精卵は成功例が少なく、生存率は40~70%というデータがあります。
卵子凍結をする場合は、こういったデメリットやリスクについてもよく考える必要があります。
まずは、複数の卵子を育てるためにホルモン剤や注射を使って卵胞の成長を促進させます。
卵巣に針を刺し卵子を数個採取します。採取した卵子の中から質のいいものを選び、マイナス196度の液体窒素で瞬間凍結して保存します。
マイナス196度という温度は、化学変化が起こらないため、全くそのままの状態で何十年も保存することが可能です。
未受精卵を妊娠したい時が来たら凍結卵子を解凍し、採取した精子と体外受精をさせます。受精卵を培養し、胚になった状態で子宮に戻します。
卵子凍結保存の費用は、採卵までに要する注射や薬の数、また、凍結保存する卵子の数や凍結期間によって変わってきます。
クリニックの具体的な費用の例を見てみると、
・診察・検査費用、排卵誘発など 約30,000円~50,000円
・採卵(数によって変動) 約100,000円~200,000円
・卵子凍結作業 約40,000円~60,000円
・卵子凍結保存 約400,000円~700,000円
・凍結卵子融解作業 約100,000円~200,000円
・合計 約700,000円~1,200,000円
これらの費用がかかってくることになります。
もちろん、保存する卵子の数が多ければ多いほど、保存期間が長ければ長いほど、卵子凍結保存にかかる費用は高くなっていきます。
さらに、これ以外にも体外受精や胚移植にかかる費用などが必要になってきます。
女性の社会進出が進むなか、将来の不妊に備えると言う意味では、明るい希望となりそうな卵子凍結保存ですが、卵子の老化を止めることだけが重要ではないと考えます。
たとえ質のいい卵子が確保できても、妊娠したいときに必ず妊娠できるという保証はありません。
さらに、卵子の老化を止めることができたとしても、妊娠をするタイミングが高齢であれば、流産や妊娠高血圧症候群など高齢出産のリスクがあります。
また、将来のパートナーの同意を必ずしも得られるかもわかりません。
卵子凍結保存を行う際は、このようなリスクや妊娠の保証がないことを十分に理解した上で、行う必要があります。
それでも働く女性にとっては、将来の備えのために新しい選択肢としての卵子凍結保存があるということは、これからの女性の仕事と妊娠のあり方に大きな希望を持てるかもしれません。
まだ、歴史の浅い方法でもありますから、ひとつの情報を鵜呑みにせず、しっかりと情報収集をしたうえで慎重に決断することが大切です。
参考文献:日本生殖医学会 倫理委員会報告「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン」
参考文献:杉山産婦人科 当院で行う未受精卵の凍結保存について
参考文献:医療法人オーク会 不妊診療 卵子凍結保存