女性にとって毎月辛い生理痛・・・。
立っているのも困難なほど痛みを感じている人はいませんか?
もしかしたら、その生理痛にはチョコレート嚢胞という病気が隠れているかもしれません。
チョコレートと聞くと何とも甘い響きですが、実際はそうではありません。
チョコレート嚢胞は子宮内膜症のひとつで、子宮内膜症の中でも不妊症になる可能性が高く、痛みも強いという手ごわい病気です。
チョコレート嚢胞があると妊娠できなくなるのでしょうか?
その症状や治療法など、詳しく見て行きましょう。
女性にとって毎月辛い生理痛・・・。
立っているのも困難なほど痛みを感じている人はいませんか?
もしかしたら、その生理痛にはチョコレート嚢胞という病気が隠れているかもしれません。
チョコレートと聞くと何とも甘い響きですが、実際はそうではありません。
チョコレート嚢胞は子宮内膜症のひとつで、子宮内膜症の中でも不妊症になる可能性が高く、痛みも強いという手ごわい病気です。
チョコレート嚢胞があると妊娠できなくなるのでしょうか?
その症状や治療法など、詳しく見て行きましょう。
チョコレート嚢胞とは卵巣にできる子宮内膜症のことです。
「チョコレート嚢腫」とも呼ばれることもありますが、厳密な意味ではチョコレート嚢胞は腫瘍ではありません。
卵巣内に袋状の物(嚢胞)ができ、その中に子宮内膜に似た組織がたまっていく病気です。「子宮内膜症性卵巣嚢胞」と呼ばれることもあります。
命に別状はありませんが、月経と違って外に排出されないため、進行の一途をたどります。
嚢胞にたまった血液は古くなりチョコレート色に変色し、ドロドロとした状態になるために、チョコレート嚢胞という名前がつけられました。
卵巣そのものは本来2~3センチほどの大きさですが、チョコレート嚢胞が成長すると10センチ以上も大きくなることがあります。
排卵機能の妨げになるため不妊の一因になるだけでなく、放置してしまうと最悪の場合、破裂する恐れもあるため、治療が必要になります。
チョコレート嚢胞の原因は、今のところ明確になっていません。
現在、一番有力な説としては月経時の血液が逆流し、子宮以外の組織に癒着するという説になります。
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が盛んな20~30代に多く、女性ホルモンの分泌によって増えて行くため、女性ホルモンと関係があります。
これは女性のライフスタイルの変化も指摘されています。
初潮の低年齢化や初産の高齢化、少子化などで女性の一生の中で月経回数が増えたことも、何らかの関連があると見られています。
チョコレート嚢胞は子宮内膜症と同様の「重い生理痛」という症状が見られます。それも年々重くなっていくことが特徴です。
チョコレート嚢胞がある女性の9割は重い生理痛を感じています。
生理中は痛くて起き上がれない。吐き気を伴う生理痛。痛み止めがないと乗り切れない日が2~3日ある。そんな時は子宮内膜症を疑ってみましょう。
生理以外の時で排卵や便秘などの理由がなくてもお腹の張りを感じる場合も要注意です。排便痛や性交痛、腰痛、骨盤痛なども見られます。
子宮内膜症があるからといって、必ずしも不妊症になるかと言えばそうではありません。
しかし、子宮内膜症の中で不妊症になる確率が最も高いのが、チョコレート嚢胞です。
卵巣には卵子が育つ卵胞がありますが、チョコレート嚢胞があると卵巣内の血流が少なくなり、卵胞の発育の妨げになります。
また、周囲の組織との癒着、炎症、卵管の閉塞などで排卵障害を引き起こす原因にもなります。
実際に、チョコレート嚢胞がある人の50%は不妊症が見られます。
しかし、卵巣は左右に二つあるため、片方の卵巣にチョコレート嚢胞があっても、もう片方からは正常に排卵できれば、妊娠することは決して不可能ではありません。
チョコレート嚢胞の治療には、嚢胞の大きさや症状の具合、妊娠の希望や年齢などを考慮し、最適な方法が選ばれます。
薬物および外科治療が選択されますが、チョコレート嚢胞の大きさが直径4cm以上の場合は外科手術、4cm以下の場合は薬物治療を行います。
チョコレート嚢胞においては薬物によって嚢胞が完全に消滅することは稀なため、外科治療が優先されることも多いです。
外科手術と聞くと、卵巣を取られてしまうのではないか?と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、チョコレート嚢胞を発症する年齢は20~30代と妊娠を希望する年代に多いため、卵巣はそのまま残して、病巣だけを取り除く手術が行われます。
卵巣は残すことで、手術後に妊娠することも可能になります。
チョコレート嚢胞は不妊の可能性が高くなるものの、必ずしも妊娠できなくなるわけではない、というのはわかっていただけたでしょうか?
治療法も必ず卵巣を摘出するわけではありません。
まずは「妊娠したい」という意志を明確にして、恐れずに治療に臨むことが優先されます。
どのような場合でも早期発見・治療がベストなので、少しでも生理痛がひどくなったなと思ったら医療機関で検査をするようにしましょう。
参考文献:産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2014 CQ220 卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の治療は?
参考文献:日本産科婦人科学会 日産婦誌58巻12号研修コーナー
参考文献:意気健康 女性の病気特集 子宮内膜症
参考文献:日本婦人科腫瘍学会 市民の皆さま 子宮内膜症の悪性化