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贈与税を計算しよう!土地の贈与を受けた場合の税金の計算方法とは?

 

土地を贈与された場合、どれくらいの贈与税がかかるのでしょうか。現金の贈与と違い土地の贈与は、その土地の評価額によって、かかる贈与税の額がかわってきます。

また、非課税制度をうまく使えた場合は、非課税で土地を贈与できる場合もあります。

ここでは、土地を贈与された場合、どのように贈与税を計算したらよいのか、ということについて考えていきましょう。

目次

贈与税を計算するとき、土地の評価額は路線価を元に算出します

土地を贈与されたり相続したりするときは、その土地の時価から贈与税を算出します。

しかし、土地の時価というものはひとつではなく、いくつかの価格があり、それらをまとめて「時価」と呼んでいます。

土地の時価と呼ばれるものは「売買取引価格(実勢価格)」、「公示価格」、「路線価」、「固定資産評価額」の四つがあります。

だいたいの価格は「売買取引価格(実勢価格)」を100%とすると、「公示価格」が実勢価格の90%ほど、「路線価」が実勢価格の70%~80%、「固定資産評価額」が実勢価格の60%~70%となっています。

それぞれの価格は、どういった特徴があるのかということを見ていきましょう。

土地の時価~公示価格とは?~

公示価格とは国土交通省が示す土地(地価公示標準地)の価格のことをいいます。

この価格は、国土交通省の土地鑑定委員会が、不動産鑑定士の評価などを参考にして決定しています。

この価格が決定される時期は、毎年3月下旬頃です。その年の1月1日の時点での評価となります。

この公示価格は、もともとは公共事業用地の取得価格を算出するための基準となるものです。しかし、最近では一般の土地の取引価格に対しての一種の目安となっています。

公示価格を目安に土地の価格を算出することで、その価格が適正で、客観的なものであると認められやすくなっています。

またこの公示価格を補完するものとして「都道府県基準地価」というものがあります。

これは、国土交通省が示す土地(地価公示標準地)と同じように、都道府県が示す土地(地価調査基準値)のことを指します。

この基準値は1月1日ではなく、毎年7月1日時点での評価となります。発表は9月下旬頃です。この価格も公示価格と同じような価格(実勢価格の約90%)となっています。

公示価格や都道府県基準地価は、国土交通省が運営している「土地総合情報ライブラリー」で調べることができます。

土地の時価~路線価とは?~

路線価とは、国税庁が示す土地(全高の主要な市街地の道路)の値段です。

相続税や贈与税の土地の評価は、「路線価方式(または倍率方式)」というやり方で評価することとなっています。

よって、路線価というものは、相続税や贈与税にとって、とても重要な指標であるということができます。

毎年1月1日時点での評価となり、発表は8月上旬頃です。路線価を調べたいときは、国税庁が運営している「路線価図等閲覧コーナー」で調べることができます。

路線価というものは、通常、売買取引価格の70%~80%くらいになります。

そう考えると、現金1億円を相続または贈与されるよりも、売買取引価格が1億円の土地を相続または贈与される方が贈与税が安くすみます。

1億円の土地の評価は7000万円~8000万円くらいになるので、それにかかる税金も当然安くなってくるからです。

しかし、土地が値下がりしている局面だと、逆に割高な税金を払わなければならなくなる、といった場合もあります。路線価は、実際の売買価格をもとに1月1日を評価時点として計算します。

売買取引価格は常に変動していますから、1月1日時点で1億円の売買取引価格であった土地が、9月の時点では8000万円になってしまっていた、ということもありえます。

しかし、このような場合、実際には8000万の土地にかかる相続・贈与税であるのに、税金は「土地の売買取引価格が1億円」として算出されてしまうので、より高い税金を払わなければならなくなってしまうのです。

このように、デメリットもありますが、やはり現金よりも土地での相続・贈与の方が、税金が安くなる場合が多いといえるでしょう。

土地の時価~固定資産評価額とは?~

固定資産評価額とは、「市町村」が示す土地の値段となります。(東京都23区の場合は都税事務所が示す価格となります)。

固定資産の評価は、総務大臣が定めている「固定資産評価基準」に基づいて行われ、東京都23区の場合は都知事、それ以外は市町村長が固定資産評価額を決定することになっています。

この「固定資産評価額」は、固定資産税、不動産取得税、登録免許税など、土地や家屋にかかる税金の基準となっているため、一般市民にとって一番身近なものといえるかもしれません。

この価格は毎年ではなく、3年ごとに見直されます。

このことを「評価替え」といい、直近では平成27年度が評価替えの年でした。次回は3年後となるので、平成30年が次の評価替えの年となります。

土地や家屋の固定資産評価額を知りたい場合は、その固定資産(土地や家屋)がある市町村の税務課(東京都23区の場合は都税事務所)に行き、固定資産課税台帳というものを閲覧して調べます。

市町村によっては、情報の保護の観点から、「本人」や「本人から委託を受けている人」といったように、一部の人しか閲覧できないように制限を設けているところもあります。

例えば、東京都23区の場合、閲覧できる人の条件はこのようになっています。

  • その固定資産(土地・家屋)の納税者、その配偶者と生計を一にする親族
  • 固定資産の共有者(連帯納税義務者)各人
  • 所有者の相続人
  • 固定資産税の納税管理人
  • 破産管財人
  • 清算人
  • 納税者から縦覧することについて委任を受けている者

土地の評価方法~倍率方式とは?~

相続税や贈与税を算出するときに、土地は路線価方式という評価方法を使いますが、この「路線価」というものは、全国の主要な市街地の道路のみ設置されています。

ですから、路線価がない土地というのも、全国を見るとたくさん存在することとなります。

このような「路線価のない土地」を評価するための方法としては、この路線価にかわる指標として「固定資産税評価額」を用いて税金を算出することになっています。

しかし、この固定資産税評価額は、売買取引価格の60%~70%となっていますから、売買取引価格の70%~80%とされる路線価よりも低い水準です。

それをそのまま相続税や贈与税の評価額として使用した場合、路線価を使って税金を算出された人の方がより割高な税金を払うことになってしまいますから、適切とはいえません。

よって、この差を埋めるため、相続税や贈与税を算出するときには「固定資産税評価額」を何倍かにして、路線価と同じような水準にしてから税金を計算するのです。

このようにして税金を決めることから「倍率方式」と呼ばれています。

何倍になるのか、という倍率を閲覧したい場合は、国税庁が運営している「路線価図等閲覧コーナー」を利用すると良いでしょう。

贈与された金銭で土地を買った場合、贈与税はどうなる?

贈与された金銭ですぐに土地を買った場合でも、贈与税はその金銭に対してかかってきます。

現金での贈与よりも、土地を贈与される方が実質の税金は安くなる場合が多いですから、土地を先に購入してもらい、そのあとに贈与してもらった方が節税対策になる場合もあります。

土地の贈与税を非課税にするにはどうすればよい?

土地の贈与税を非課税にする方法はいくつかあります。

贈与税にはいくつかの非課税制度が設定されており、それらをうまく使うことで、贈与税をかからなくすることができます。

相続時精算課税

60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子供または孫に贈与を行った場合、2500万円までが非課税になります。

もちろん、土地も贈与の対象となります。

しかし、実際に相続が発生したときはその時に贈与された財産が差し戻され、相続財産として加算されることや、この制度を使って贈与された財産(土地など)は物納することができないという点が大きなデメリットになっていますので、慎重に検討する必要があります。

住宅取得資金贈与の特例

直系尊属よりの贈与、という条件がついています。

よって、もしも夫名義の土地や家屋であった場合、配偶者の親からの贈与は条件から外れてしまいますので、この特例を適用できません。

土地と家屋の名義を夫婦半分ずつの名義にした場合、両方の両親からの贈与を受けることができます。

贈与可能額は、その家屋が「良質な家かどうか」という基準によって変わってきます。

細かく条件が設定されていますので、この特例の利用を考える場合は、この制度をよく調べ、理解してから行うことが大切です。

贈与税の配偶控除

贈与税の配偶者控除を使った場合、最大2000万円までの贈与を非課税にすることができます。

この控除が適用されるのは、「居住用不動産の購入または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合」に限られ、夫婦の条件も「婚姻期間が20年以上の夫婦」と定められています。

今まで住んでいた家の土地の名義を妻に変える、という場合でも大丈夫です。

しかし、贈与を受けた翌年の3月15日時点で、実際にその家に住んでいることが条件となります。

また、この特例は一生に一度しか使うことができないので注意しましょう。

土地の名義変更をした場合、贈与税はかかる?

土地の名義変更は「贈与」にあたり、何も対策をしないで名義変更した場合には贈与税がかかってきます。

安易に名義変更をして、あとから税務署の指摘を受け、多額の贈与税を課税されてしまう場合が多いのです。

贈与税は相続税よりも税率が高く、かなり多額な税金を支払わなければなりませんので、名義変更を考えている場合は、非課税制度の利用を検討するなどして、慎重に考えることが必要です。

また、非課税制度を使って贈与税がかからなかった場合でも、登記(名義変更)にかかる登録免許税と不動産取得税は通常通りかかってきますので注意しましょう。

土地家屋にかかる贈与税は?

土地の評価は路線価方式または倍率方式でなされ、贈与税の算出は比較的わかりやすくなっています。

しかし、家屋にかかる贈与税の場合はどうでしょうか。

家屋は、新築されてから、年々古くなるに従って評価額も下がっていきます。

土地と同じように算出するのが難しいのです。それでは、どのようにして自分の家の建物の評価額を把握すればよいのでしょうか。

それは、毎年5月下旬頃に送付されてくる「固定資産税課税明細書」を見ればわかるようになっています。

その土地や家屋の1月1日時点での所有者に送られてくるもので、価格(評価額)や税額が記載されています。

これを見て家屋の評価額や、それを贈与した場合の贈与税がいくらくらいになるのかということが計算できるようになっています。

兄弟から土地を贈与された場合、贈与税はどうなる?

兄弟から土地を贈与された場合も、もちろん贈与税はかかります。しかし、父母などから贈与された場合と違い、贈与税を計算する際に用いる税率が「一般税率」となります。

なぜならば、兄弟は「直系尊属」ではないので、「特例税率」を使うことができないからです。

「一般税率」のほうが税率が高く、また控除される額も少なくなっているので、特例税率を適用した場合よりも、より多くの税金を払わなければならないこととなります。

まとめ

このように、土地の贈与の場合、土地の評価額をまず算定してから、贈与税の額を計算する、という流れになります。

贈与する側が直系尊属かどうかということや、非課税制度の適用を受けられるかどうかによって、税金に大きな差が出てきてしまいます。

土地の贈与は税金の額も高くなる場合が多いので、できるだけ税金が安くなるように検討を重ねてから行なうようにしましょう。