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贈与税と相続税の違いとは?二つの税金について理解しましょう

 

贈与税と相続税、どちらも税率が高いということは、多くの人がなんとなく知っていることと思います。

しかし、実際相続に自分が関わる場合は人生に一、二度程度あるかないかということがほとんどですし、贈与に関しても、あまり身近なものとはいえませんね。

身近なものではない相続や贈与ですが、この二つの税金に関しては、しっかりとした知識を持っておいた方が、いざというとき安心です。

高齢になると税金に関しての知識はどれも難しく感じられ、非課税制度の利用などを考えつくこともなかなかないと言えます。

しかし、例えば自分達が知識をつけておけば、両親に様々な提案をして、少しでも節税できるように手助けしてあげることもできるのです。

それでは、相続税と贈与税はどういったものなのか、ということについて見ていきましょう。

目次

贈与税と相続税、これほど高いのは日本だけ?相続税のない国はある?

贈与税や相続税が高いため、「もしこの税金がなければ・・・」と思う人が多いのではないでしょうか。

先進国の中でも相続税を取り入れていない国があり、カナダやシンガポール、イタリアやオーストラリアなどの国は相続税制度を採用していません。

また、福利厚生に手厚い北欧諸国も相続税を廃止しています。

そのほか、中国やインド等の途上国でも相続税がありません。

逆に、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、アジアでは台湾や韓国に相続税制度がありますが、国によって基礎控除額が違います。

アメリカの基礎控除額は545万ドル(約5億4500万円)も設けられているので、それ以下の財産であれば、相続税がかからないということになります。

同じ相続税がある国であっても、実際に多額の相続税がかかるかどうかは国によって違ってくるようです。

もしも、相続税を回避したいと思っても、被相続人が海外に住んでいるだけでは課税を逃れることはできません。相続人(死亡した人)が日本に住んでいた場合は、国内・海外両方の財産に対して相続税が加算されます。

日本の相続税がかからないようにするためには、日本国内の財産を海外に移し、かつ被相続人、相続人両方が海外に住む必要があります。

なかなかハードルが高いですね。

贈与税は、相続税法で定められていて、相続税を補完する役割がある

相続税とは、財産を持っている人が死亡したことによって、その財産を譲り受けた人にかけられる税金のことです。

贈与税は、贈与した側が生きていて、その財産である現金や不動産などをもらったときにかかります。

贈与税は、相続税法の中で定められており、相続税を補完する役割を持っています。

財産を持っている人が、亡くなる前にその財産を全部贈与してしまったら、相続財産がなくなり相続税がかからなくなってしまう、つまり相続税逃れができてしまうことになります。

それを防ぐために、生前の贈与には「贈与税」がかけられていて、なおかつ、贈与税が相続税よりも高く設定されており、贈与した場合のほうがたくさん税金がかかってしまうようになっています。

こうすることで、「相続するより贈与する方が損」になる状態を作り出し、結果的に相続税を回避させないような仕組みになっているのです。

相続税を節税するため、贈与税の非課税枠を活用しよう

贈与税の税率は相続税に比べて高く設定されていますが、普通に贈与するのではなく、いくつかある贈与税の非課税枠をうまく利用して贈与することにより、相続対策になるということは良く知られていることです。

また、自分の相続の場合は相続税が発生しないから節税対策は必要ない、といった場合でも、節税対策としてではなく、育児などお金が必要な時期に子供に財産を渡したいと考える人がおり、そのような理由で贈与を行なうケースも増えています。

どの非課税制度にもメリットとデメリットがありますので、よく検討してから利用することが大切です。

贈与税と相続税の税率の違いは?

2015年の税制改正で、贈与税と相続税についての改正がありました。

贈与税においては、直系尊属からの贈与に適用される「特例税率」と、それ以外の人からの贈与に適用する「一般税率」に税率が分けられました。

相続税は、基礎控除額が減額されたため、今までの仕組みだと相続税がかからなかったのに、改正後は相続税がかかるようになってしまった、というパターンの人が増えているようです。

相続税での控除は、5000万円+(1000万円×相続人数)だったのですが、減額され、3000万円+(600万円×相続人数)となっています。

それでは、贈与税率と相続税率を比べてみましょう。

贈与税率(特例税率)

課税対象価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円以下 55% 640

相続税率

課税対象価格 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円

1000万円の場合、贈与税では30%ですが、相続税では10%となっています。

5000万円と仮定した場合、相続税では20%の税率ですが、贈与税では55%の高い税率となっています。

比べてみると、贈与税の税率がいかに高いかということがよくわかりますね。

贈与税と相続税を計算してみましょう

(例)父親が亡くなり、基礎控除額を控除したあとの財産を分けたところ、自分の取り分は2000万円でした。相続税の計算はどのようになりますか?

上記の表を見て計算します。

2000万円×15%―50万円(控除額)=250万円

相続税は250万円となります。

(例)Aさんは、父親から生前贈与として2000万円を譲り受けました。贈与税はどのようになりますか?

2000万円―110万円(基礎控除額)=1890万円

1890万円×45%―265万円(控除額)=850万4735円

贈与税は850万4735円となります。

このように、譲り受けた財産の額は同じでも、相続税か贈与税かということによって、納税額が大きくかわってきます。

贈与税と相続税では基礎控除の額が大きく違います。相続税では、基礎控除は3000万円+(600万×法定相続人の数)となります。

両親と子供二人の家族で、父親がなくなった場合、法定相続人の数は3人なので、3000万+1800万=4800万円となり、4800万円を超えない分は非課税となります。

それに反して、贈与税の基礎控除や110万円ですから、110万円を超える贈与には税金がかかってくることになります。

このように考えると、贈与税が相続税に比べ、いかに条件が悪いものであるかということがわかるかと思います。

相続の3年前までの贈与は、相続とみなされ相続税がかかります

相続が発生した時に、それより前の3年間に行われた贈与は「相続」とみなし、相続財産に加えられ相続税が算出されるということが決められています。

もしも相続が起こるまでの3年間、暦年課税により贈与を受けていた場合、贈与を受けたその資産も相続財産としてカウントされ、場合によっては相続税がかかってきます。

年間110万円までの暦年課税は非課税ですから、過去3年間に110万ずつ贈与を受けていた場合、贈与を受けた時には税金を支払っていないはずです。

しかし一旦相続財産とみなされると、110万円×3=330万円が相続財産として加えられます。そして、その相続財産が相続税の控除額を超えている場合は相続税がかけられることとなります。

もし、相続前に基礎控除額以上の財産を贈与され、その当時に贈与税を支払っていたとします。

その場合、相続税から当時支払った贈与税の残りを、相続税として支払えば良いことになっています。

相続税と贈与税を二重に支払う必要はありません。

相続税や贈与税の相談は、税理士に相談してみても良いでしょう

相続税や贈与税の知識を組み合わせると、節税できることがあります。

一般的な節税対策としては贈与税の非課税制度を使うことですが、制度の仕組みを勘違いしていたり、間違った理解をしてしまっている場合もありますね。

予想外に税務署から連絡がきて、多額の相続税を支払わなければならなくなったら大変です。

相続税がかからない人は問題ありませんが、基礎控除額以上の財産を持つ人は、相続税がかかる可能性があります。

税理士に相談すると、料金はかかりますが安心ですし、ベストな節税の方法を教えてくれます。

また、面倒な手続きもすべて代行してもらうことができます。

一定以上の財産がある人は税理士へ相談することも考慮に入れてみましょう。

相続税と贈与税、二つの税金は似ているようで大分中身が違いますね。贈与税率が高いということに加え、相続税では最低でも3600万円の控除があるのに対し、贈与税では110万円しかありませんので、高い税金がかかってしまいます。

その点に気をつけて贈与をするようにしましょう。