投資信託には多くの種類があり、ただ種類だけを列挙していくと分かりづらくなります。
そこで、投資信託を様々な基準によって分類することで、投資信託にどのような種類があるのかをまとめていきたいと思います。
投資信託は、種類によって手数料が変わったり、税金のかかり方が違ったりしますので、注意が必要です。
大きく分けて5つの基準で分類をしていきます。
- 投資対象で分類する
- 投資スタンスで分類する
- 投資期間・投資方法で分類する
- 購入方法で分類する(上場投資信託)
- 利益の分配方法で分類する
投資信託には多くの種類があり、ただ種類だけを列挙していくと分かりづらくなります。
そこで、投資信託を様々な基準によって分類することで、投資信託にどのような種類があるのかをまとめていきたいと思います。
投資信託は、種類によって手数料が変わったり、税金のかかり方が違ったりしますので、注意が必要です。
大きく分けて5つの基準で分類をしていきます。
ファンドの投資対象によって、投資信託を分類することができます。
大きく分けて、
の2種類に分類することができ、そこから様々に派生して分類することができます。
株式などを組み入れず、国債や金融債など、比較的安全性の高い公社債を中心に投資をする投資信託です。
中期国債ファンド・MRF・MMF・外貨MMFなどといった商品があります。
どれも一般的にはあまり知られていない名前だと思います。公社債投信は利率は銀行の普通預金よりは高く、中長期の運用に向いており、貯蓄性が高いのです。
また、公社債投資信託は、NISA制度の対象外となります。
MRFは、円建ての短期金融商品及び残存期間の短い公社債を中心に運用します。
つまり、極めて安全性の高い商品のみで運用されている商品だと思ってください。
証券会社は、銀行業務を行えない為、証券会社の口座内に預金として資金を待機させておくことができません。
そこで、MRFという安全性の高い投資信託を用いて資金の待機場所として利用しています。
投資信託の形をとることで、証券会社内で資金をプールさせることができ、なおかつその資金に対して利息も発生させることができるのです。
このMRFを経由して株式、債券、投資信託などの決済を行います。
何か商品を買おうとする際には、証券口座に入金して、まずMRFを購入します。
そして、MRFを売却して、株式などの金融商品を購入するのです。
また、金融商品を売却して後、その売却資金は指定銀行口座にすぐに振り込むか、再びMRFを購入するかを選択することになります。
厳密に言うと、MRFも投資信託ですので、いくら安全性の高い公社債で運用していたとしても、元本割れのリスクはあります。
しかし、過去にMRFが元本割れしたことは一度もありません。
そのため、極めて安全性の高い投資信託商品であり、証券会社内に資金をプールさせておく場所としても利用することができるのです。
MMFは、円建ての公社債や短期の金融商品を中心に運用する投資信託です。
MRFとMMFの主な違いは、MRFの方がMMFより短期(残存期間の短い)かつ、信用リスクを抑えた(高格付け)の債券及び短期金融商品を組入れて運用されているところです。
MRFは銀行における普通預金のようなものだと考えてください。MMFは定期預金のようなものです。
海外における比較的安全性の高い短期債券を中心に運用される投資信託です。
MRFの項目で、証券会社は預金業務を行えない為、資金をプールするためにMRFを用いていると説明しました。
証券会社内において、外貨をプールするための商品が外貨MMFです。
イメージとしては、外貨預金のようなものであると考えておいてください。
購入するには為替手数料が必要ですし、外貨を保有することになるため、為替リスクが発生します。
しかしながら、海外の短期債券等に投資しているわけですから、外貨MMFはMRF、MMFと比較しても高い利回りを享受することができます。
株式投資信託とは、公社債投資信託以外の投信のことを言います。
よく、「公社債投資信託」が債券のみに投資している投資信託で、「株式投資信託」が株式に投資している投資信託である。
というような理解されている方がいますが、これは間違いです。
少し分かりにくいですが、
です。
2016年1月の税制改正により、税制上の違いはほとんど無くなりましたが、それ以前では、税制上においても両者には違いがありました。
株式投資信託の中で、さらに細分化していくことができますので、説明していきたいと思います。
国内に上場している企業に対して投資を行う投資信託のことを言います。
国内株に投資をするのですが、
に大別されます。
また、「アクティブファンド」の中でも、投資方針によってさらに分類されます。
などに分類されます。
外国の企業の株式を中心に運用している投資信託です。
この外国株型投資信託は、ほとんどがアクティブファンドに分類されます。
投資テーマや投資国によってファンドが設定されることが多いです。
この外国株型投資信託を購入する際に注意しなければならないのは「為替リスク」です。
外国の株式で運用している投資信託ですから、当然外貨建てで運用をしています。
アメリカの株に投資しているファンドであれば米ドルの、ブラジルであればレアルの為替リスクがあります。
債券を中心に投資をする投資信託です。
その中でも、投資する債券が国内債券か外国債券かで、国内型と海外型に分類することができます。
債券に投資するなら公社債投資信託とは何が違うの?と思いますよね。
先程説明した通り、そもそもの定義が違うのですが、運用目的も違います。
公社債投資信託は、利益を求める運用ではなく、元本を割らないようにする運用です。
そのため、極力リスクの少ない公社債にしか投資をしません。
しかし債券型投資信託は、高いリターンを求め、もっと長期の債券に投資をします。
そのためリスクも高くなるので、債券だから安心ということではないので気を付けてください。
バランス型投資信託とは、
のような様々な投資対象に、バランス良く投資をする投資信託です。
「バランス良く投資」といっても、自分でバランスを考えるわけではありません。
投資をするにあたっては、資産配分(アセットアロケーション)を考えて投資をすることが大切だと良く言われます。
しかし、経済情勢に合わせて資産のリバランスを行うのは非常に難しい作業となります。
バランス型投資信託の場合、ファンドマネージャーが資産のリバランスまで行ってくれるので、運用をプロに任せたいと思っている方には、最適の投資信託であると言えます。
ただし、コストは少し割高になるので注意が必要です。
金融派生商品(デリバティブ)に投資をする投資信託です。
聞きなれない言葉ですが、金融派生商品(デリバティブ)とは金融商品自体を直接取引するのではなく、ある特定の金融商品の値幅などの変数により、相対的に価値が変化するものを指します。
先物取引やオプション取引などがこれにあたります。
ファンドがファンドを買うというもので、ある投資信託が、まったく別の投資信託を購入して運用をするといった投資信託です。
一般的に、投資信託は、
を目的としています。
「ファンドオブファンズ」は、すでに複数の株式や債券を買った投資信託をいくつも買うことになるので、分散効果がさらに効いて運用の安定性が高まります。
また、いろいろな運用会社の投資信託を買い付けることができるため、債券運用を得意とするA社の投資信託と、株式運用を得意とするB社の投資信託を組み合わせることもできるのです。
ただ、「費用」には注意が必要です。
「ファンドオブファンズ」は実質的に投資信託を二重に購入することになる為、信託報酬が割高に設定されていることが多い傾向にあります。
これは名前の通り、不動産に投資をする投資信託です。
みなさんよく間違えるのですが、これはREIT(上場不動産投資信託)とは違います。
REITは不動産にほぼ直接的に投資をしますが、不動産投資信託は複数のREITに投資をすることで投資信託を設定します。
REITを複数組み入れることで、不動産に間接的に投資を行うというものです。
転換社債(株式に交換できる権利がついた債券)に投資をする投資信託です。CBファンドとも呼ばれます。
転換社債は、株式と債券の特性を合わせもつ商品です。
の両方を狙える商品です。
この転換社債をまとめてファンド化したものが、転換社債型投資信託です。
当然ですが、投資信託は運用によって利益をあげる目的を持って設定されます。
しかし、目標とする利益の大きさや投資スタンスは投資信託によって異なります。
その投資目的・投資スタンスによって投資信託を分類することができるのです。
日経平均やトピックスなどの株価指数と連動して成果があがるような投資信託のことです。
投資信託が目標とする指数をベンチマークと呼びます。このベンチマークが日経平均の場合を見てみましょう。
投資信託の成果は日経平均に連動するため、
という仕組みです。
指数に連動しているため、イメージがしやすく、アクティブ運用にくらべてコストが安いのが魅力です。
国内株型投資信託の説明でも出てきましたが、パッシブ型の投資信託のことを「インデックスファンド」とも言います。
パッシブ型が株価指数に連動して成果が上がるのとは異なり、アクティブ型は株価指数を上回ることを目標に設定されています。
株価指数(ベンチマーク)を上回る成果を上げるため、投資のプロや専門家に運用を任せるタイプの投資信託です。
このアクティブ型は、上手くいけば高いリターンが期待できますが、パッシブ型に比べてコストが高いのが難点です。
アクティブ型の投資信託のことを、「アクティブファンド」と言います。
絶対収益型は、ベンチマークを投資の成果の基準として考えず、絶対的な成果を出すことを求めるファンドです。
簡単にいうと、株式市場が上がる・下がるに関わらず、常にプラスの成績を追及するというものです。
相場が下がっているのに利益を求めるということは、普通の運用では不可能です。
そのため、投資信託の中身はデリバティブやオプション等を活用した複雑な仕組みとなっていることがほとんどです。
しかし、収益の追求い関してはあくまで追求です。絶対に収益が上がるというものではありません。
投資信託は、種類によっていつでも購入できるものもあれば、定められた機関にしか購入できないものもあります。
この投資可能期間や投資方法によって投資信託を分類することができます。
オープン型投資信託は追加型投資信託とも呼ばれ、投資の窓口がいつでも開かれている(オープン)投資信託です。
オープン型投資信託の場合、投資可能期間は定められておらず、いつでも購入・解約することができます。
そのため、基準価格(1口あたりの時価)で追加購入することもできます。
クローズ型投資信託は単位型投資信託とも呼ばれ、投資の窓口が募集期間中以外は閉ざされている(クローズ)投資信託です。
投資信託が設定された当初の募集期間にしか購入することができません。
また、クローズ型投資信託は、解約が基本的に制限されているため、現金化しようとする場合、買取という方法になります。
公募投信とは、特段の制限を設けず幅広く投資家に対して、投資信託の募集をかけるタイプの投資信託のことを言います。
普段私たちが接する投資信託のほとんどは、この公募投信です。
私募投信とは、限られた範囲の投資家に対して募集をかけるタイプの投資信託です。
50人未満の投資家で構成される「少人数募集」、銀行や証券会社などの機関投資家が対象となる「適格投資家募集」があります。
ミリオンとは、給与からの天引きで購入ができる投資信託のことです。
財形貯蓄と似ていますが、財形貯蓄には税制優遇があるのに対して、ミリオンには税制上での優遇はありません。
しかし、投資信託の最低投資金額が1万円~10万円であるのに対して、ミリオンは毎月5,000円で購入することができことがメリットです。
投資信託は基本的には、証券会社や銀行で直接購入する商品ですが、なかには株式と同じように証券取引所に上場させることで売買可能となっているものがあります。
これらを上場投資信託といいます。
上場投資信託のメリットは、手数料が安く、リアルタイムでの取引が可能なところです。
普通の投資信託は上場していないので、リアルタイムでの取引ではなく、前日もしくは前々日の基準価格を参考にして取引することしかできないのです。
ETFとは、”Exchange Traded Funds”の略で、「上場投資信託」と言われます。
特定の指数、例えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の動きに連動する運用成果を目指し、東京証券取引所に上場している投資信託です。
国内の株価指数だけでなく、海外の株価指数に連動するETFもありますし、金、原油などのコモディティ(商品)指数に連動するETF等もあります。
海外の証券取引所で取引されているETFです。
海外の取引所に上場しているため、外貨で投資をする必要があり、為替リスクが発生します。実際に商品の取り扱い上、外国株と同じ取り扱いになります。
ETFは、日本よりも外国の方が先進的であると言われており、種類も海外の方が圧倒的にに多いです。
そのため、近年日本でも海外ETFに投資をする投資家が増えてきているようです。
REITは投資家から資金を集め、オフィスビルやマンションなどの不動産を購入します。
そこで得られた賃料などの収益を、投資家に分配するという不動産投資信託です。
本来ならば多額の資金がいる不動産投資ですが、REITは少額の資金で不動産に投資ができます。
そのため、分散投資をする上で、自身の資産配分に手軽に不動産を組み入れることができるということで人気があります。
手数料も一般株式扱いですので、通常の投資信託と比較して安いです。
そのうえ、REITは不動産収入を投資家に配分することを目的として作られているため、普通の株式と比較して利回りが高いことが特徴となっています。
毎月分配という言葉を聞いたことはありませんか?
一時期とても流行った投資信託の種類です。投資信託は分配金が出るものと出ないものがあります。
最後は、分配金の取り扱いに着目して分類していきます。
投資信託の中でも、分配金が出ないものを無分配型投資信託といいます。
利益を分配しないということは、ファンド内の利益が外に出ずにファンド内部に留保されるため、途中で税金がかからず複利で運用されることになります。
長期的な運用にとっては、キャピタルゲインの観点としても非常に効率的です。
債投資型は分配金が出るタイプの投資信託です。
しかし、分配金は現金で支払われるのではなく、「再投資」という方法をとって支払われることになります。
分配金が支払われると、保有する投資信託の口数が増えます。
つまり実質的には、支払われた分配金で再度投資信託を追加購入するということです。
無分配型投資信託と同じように見えますが、「無分配型」は最後まで税金がかからないのに対して、「再投資型」は一度は分配金は支払われたとみなすため、分配の都度税金がかかります。
「再投資型」は無分配型より効率性は劣りますが、損益通算ができるという点と、再投資分に関しては手数料がかからず投資できるという点でメリットがあると言えます。
分配型投資信託とは、一定時期ごとに分配金が支払われるタイプの投資信託のことを言います。
分配金が支払われる頻度は、半年に1回のもの、四半期に1回のもの、毎月支払われるもの等があります。
近年、人気を博しているのは毎月分配金が支払われるタイプです。いわゆる「毎月分配型投資信託」です。
分配が行われるたびに税金がかかる上、利益がファンド内から流出していきますので、ファンド側の立場としては、運用効率はあまり良くありません。
それでも毎月分配型投資信託が投資家に根強く人気がある理由は、やはり投資している成果が毎月実感できるというところだと思います。
毎月分配型投資信託は、高い分配金利回りを謳っているものが多く、非常に魅力的に見えますが、内容をしっかりと吟味する必要性があります。
それは、「タコ足配当」をしている投資信託が少なからずあるからです。
投資信託の分配金は、1万口あたり○○円という表し方をします。
例えば、毎月1万口あたり100円分配している投資信託があったとしましょう。ここでは税金は考慮しないこととします。
このファンドを100万円分買っている場合、毎月1万円を受け取ることができます。
100万円の投資で年間12万円もらえるわけですから、分配金利回りは12%にもなります。こんなに利回りが高い商品があれば、買うしかないですよね。
しかし、実はこのファンドは、1万口あたり50円しか利益をあげることができていません。
つまり、ファンド内に留保している自己資金を削ってまで、高い分配金を維持しているのです。
投資信託の基準価格は、ファンド内の純資産額を出資口数で割って算出します。
そのため、分配金を自己資金(純資産)から捻出するということは、基準価格を自ら下げてしまうということです。
このような「タコ足配当」をしている投資信託は、基準価格がどんどん下がっていきますし、分配金水準も恐らく引き下げられる日が来るでしょう。
毎月分配型投資信託は非常に人気がある反面、想定外の損失が出てしまい金融機関とトラブルになるケースが後を絶ちません。
このような危険性があるということも覚えておきましょう。
このように投資信託は、低リスクのファンドから極めて高リスクのファンドまで様々な種類があります。
自身で選んで投資信託を購入する際はもちろんのことですが、銀行の営業員や証券会社の営業員から投資信託を勧誘された場合、この分類方法が分かっているだけで、自分が求めているリスク・リターンの商品を見極めることができます。
投資信託選びの際の参考にしていただければと思います。