投資信託の税金対策に確定拠出年金制度を!すごすぎる節税効果とは?
投資信託の売買益や普通分配金には税金がかかり、利益の約2割が引かれてしまいます。
2013年までは軽減税率が適用されており、利益に対して10.147%の税率でしたが、2014年以降はそれが廃止され、利益に対して20.315%となりました。
税率が大きいため、税金対策をするかしないかで大きく手取りの利益が変わってきます。
投資信託は、値動きの幅が比較的少なく、分散投資されているので、株式に比べるとより長期投資に向いている商品です。
長期投資で運用パフォーマンスが良い場合、利益が大きくなりますので、節税対策がより効果的なのです。
ここでは、節税対策になる確定拠出年金の制度利用についてみていきましょう。
目次
投資信託の長期運用は利益が大きくなるので節税を
まず、投資信託の長期運用について考えてみましょう。投資信託の種類は、分配金があるもの、ないものの二種類があります。
一般的に、分配金が出ないものの方が、利益を再投資できるため、「複利効果」があると言われています。
利益が出ると、その利益を元本に組み入れてさらに運用できるため、預金の複利のようなイメージで資産形成ができるのです。
投資信託の「複利効果」には、基準価額が上がり続けていることなど、いくつか条件がありますが、投資期間が長期にわたるほど、利益が右肩上がりで大きくなります。
5年、10年、20年と投資信託を運用していく場合、「複利効果」などで運用パフォーマンスがよければかなり大きな利益が見込めるのです。
これは一つの例ですが、初年度に100万円で投資信託を購入し、年率10%で30年運用した場合、30年後には「分配金あり」の場合は400万円に、「分配金なし」の場合は1,750万円にもなるという試算があります。
もちろん、毎年10%で運用するのは至難の業ですから、この試算と同じようにうまくいくとは限りません。
それでも、長期投資している場合、利益が大きくなる可能性は十分にあります。
例に挙げた「30年の運用」なんて長すぎるし、想像がつかないな、と思われるかもしれませんが、最近では年金不安から、自分で老後の資金を作るためにお金を積み立てて運用したい、という人が増えているのです。
そのような人たちが、例えば30才から積み立てても、実際に積立金を受け取るまでには、30年の運用期間があることになります(確定拠出年金は60歳までは受け取れないため)。
「30年」は非現実的な数字ではないのです。
このように大きな利益がでると、税金で引かれてしまう額も当然ながら大きくなってきます。
上記の例でいけば、分配金ありの場合の税金は400万―100万×20%=60万円、分配金なしの場合は1750万―100万×20%=330万円にもなります。(復興所得税は平成49年12月31日までのため、税率は復興所得税がかからなくなった場合の20%を使っています)
かなり大きな税額です。
受け取るときには、年金生活をしている可能性も十分にありますから、少しでも収入を多くしたい、資産を減らしたくないという時期です。どうにかして、この税金を減らせないものでしょうか。
それには、確定拠出年金制度の利用が最適なのです。
投資信託の税金対策~長期運用には確定拠出年金を~
投資信託を長期運用する際の税金対策には、確定拠出年金の制度を活用することが、一番効果的です。
なぜなら、運用益がすべて非課税とされているからです。
確定拠出年金とは、2001年4月にスタートした制度です。
企業年金には「確定給付型の企業年金制度」と「確定拠出年金(企業型)」に分けられます。今までは「確定給付型の企業年金」が主流でした。
この制度では、企業が老後の資産の管理や運用をしてくれていたわけですが、長い間の株式市場の低迷などもあり、運用して利益を確保することが難しい場合が出てきました。
実際に大きな損失を出してしまっている企業年金もあります。
今までのように、企業が老後の資産を管理する状態をやめて、自己責任で運用してもらおうというのが、確定拠出年金(企業型)の大きな目的の一つです。
確定給付型の企業年金から、確定拠出年金(企業型)に移行する企業が増えているのは、企業として、運用を失敗するかもしれないリスクを回避する目的もあります。
もし、運用がうまくいかなかった場合でも、社員に約束しているだけのお金を支払わなければなりません。足りない分は、会社のお金から補填する必要があるのです。
これは、金額が大きくなればなるほど、企業活動に影響を及ぼします。確定拠出年金(企業型)にすれば、運用の結果に対する責任は個人が負いますから、リスクが減るため、企業としてはメリットがあるのです。
確定拠出年金は、今までは、それを導入している企業で働いている人や、自営業、自由業者、確定拠出年金を導入していない会社の社員(個人型)しか利用できませんでした。
主婦や、今まで通りの企業年金を実施している会社に勤めている人は積み立てができない仕組みだったのです。
しかし、平成29年1月から、主婦や、給付型の企業年金実施の会社に勤めているサラリーマン、公務員なども確定拠出年金の積み立てを行うことができるようになります。
今まで確定拠出年金を利用したくてもできなかった人が、限度額は設定されているものの、積み立てを行い、老後の資金をためていくことができるのです。
企業年金だけでは不安な人や、「主人が先に亡くなったらどうしよう、年金が足りるだろうか」と不安な主婦も、老後の資金を形成することができるので、画期的ともいえます。
そして、強力な税制優遇の恩恵にもあずかることができるようになるのです。
投資信託の節税効果抜群の確定拠出年金、個人も利用可能になります!
投資信託の運用益の節税において、確定拠出年金には強力な税制優遇があり、メリットが非常に大きくなっています。
一つ目の優遇措置は、先ほども紹介したように、確定拠出年金で積み立てられた商品の運用益は、配当や分配金も含め、すべて非課税となっていることです。
税金は通常20%ですから、大きなメリットといえるでしょう。
二点目の優遇措置についてはあまり知られていませんが、とても大きな節税効果があります。
それは、「確定拠出年金に積み立てたお金は、全額所得から控除することができる」ということです。
全額、というところがポイントです。これにより、所得税と住民税が低くなり、実際にその年にかかる税金が下がります。
運用益が非課税、という点では、実際に確定拠出年金を受け取る際のメリットですが、所得控除については、積み立てすると毎年の税金が下がってくるので、すぐに実感することができます。
確定拠出年金のもう一つのメリットは所得税と住民税が減ること
確定拠出年金の最大のメリットは、「運用益が非課税」ということですが、所得控除できるということも、大きな節税効果につながります。
年末調整でされているように、所得税は、配偶者控除や社会保険料控除などの様々な控除が引かれた残りの金額、つまり「課税所得」に、課税所得の額に応じた税率で課税されます。
課税所得×所得税率、で所得税が算出されるのです。
控除額が大きいほど、課税所得金額が少なくなるので、それにかかる所得税や住民税も低くなるというわけです。
さて、確定拠出年金で積み立てた額は、「小規模企業共済等掛金控除」という名前で全額所得控除されます。生命保険控除などは、12万という限度額が設定されています。
しかし、積立額に限度はありますが、確定拠出年金のために積み立てたお金は全額控除されるので、かなりの節税効果があります。
例を見てみましょう。年間の給与所得から、社会保険料控除や生命保険料控除などの控除を差し引いた課税所得金額が500万円のAさんがいるとします。
課税所得500万円の人の所得税率は20%とします。
平均的な収入の場合は、所得税率が20%の人が多いので、20%として考えていきます。住民税は一律で、課税所得の10%です。
ここで、Aさんが確定拠出年金に加入し、毎月2万円、年間24万円確定拠出年金に積み立てをしたとしましょう。この24万円が所得控除されます。
本来、この24万円には、24万円×20%=4万8千円の所得税と、24万×10%=2万4千円の住民税、合わせて7万2千円の所得税がかかるはずでしたが、この控除により、この「7万2千円」は税金として引かれなくなった、つまり税金の節約になった、ということなのです。
課税所得金額が多くなるにしたがって、所得税率も10%→20%→23%→33%→40%→44%と上昇していきます。税率が高い人ほど、節税効果が高いということになりますね。
Aさんの場合は、1年間に約7万円も税金を引かれずに済むのですから、かなりの節税になりました。これを5年、10年、20年と考えると、相当大きな額が節税できることがわかってもらえると思います。
このように、確定拠出年金の積み立て金が全額控除できる、ということは、とても大きなメリットなのです。
確定拠出年金のデメリットとは?
税制の優遇、所得控除の優遇があり、メリットが多い確定拠出年金制度ですが、それではデメリットとは何でしょうか。
それは、「積み立て金を60歳までおろすことができない」ということです。
今後、生活していくうえで、子育てや学費にお金が必要なときもあるでしょう。
また、働き盛りの時に大病をしてしまうかもしれません。このように、貯めてあったお金が必要になった時でも、基本的に60歳までは解約できません。
解約しにくいからこそ、長期に渡ってお金をためることができるわけですが、引き出せないというのがやはり最大のデメリットです。
正確にいうと、いくつもの条件をすべて満たした場合は解約もできるのですが、その条件は厳しくなっています。
また、解約できたとしても、その資産は非常に少ない可能性がありますので、やはり解約をせずに60歳まで運用する前提で始めることが必要でしょう。
このようなことを考えあわせると、無理ない額で積み立てるのがよいようです。
また、税金が優遇されているからといって、貯蓄をすべて確定拠出年金に充てるのではなく、「いつでもおろせる現金預金」と「確定拠出年金」の二つに分けてお金をためていくのがよいでしょう。
確定拠出年金制度の二つ目のデメリットとは?
二つ目のデメリットは、運用先を自己責任で選択しなければならないため、多少なりとも投資の知識が必要だということです。
窓口でアドバイスをもらうこともできるとは思いますが、「わかったつもり」になってリスクの高い商品を選択してしまい、後で大きな損失を出してしまったということにもなりかねません。
自分がどのような方針で運用したいのかという考えを持つこと(リスクをとるか、とらないか等)や、選択している商品が、どのような金融商品を使って運用されているか等の知識を、大まかでもよいので理解することが求められます。
人任せではなく、「自分で運用する」という意識を持つことが必要なのです。
まとめ
今回の制度改正で、現役世代のほとんどが確定拠出年金制度に加入できることになります。
知名度もますます上がってくると予想され、あまり知られていなかった投資信託の税金におけるメリットについても、認知が広まるのではないでしょうか。
この制度は非常に優遇されているので、利用する価値はたくさんあります。
「自分は投資に関して全然わからないから利用しない」というのではなく、勉強してでも利用する価値がある制度です。
今日では、インターネットで様々な情報を調べることができます。
投資の基礎知識についても、検索すれば様々な情報が出てきますので、独学で基礎知識をつけることは可能です。
知識を学び、この制度を活用すれば、きっと将来の安心につながる資産形成ができ、老後の備えとなることでしょう。