証券会社の特定口座とは?源泉徴収ありとなし、特徴を徹底解説!
証券会社で口座を開いて投資を始めるとき、口座開設手続きの途中で選択しなければならない「特定口座」にするか「一般口座」にするかで迷ったことはありませんか?
投資の初心者は、税金の知識がまだあまりなく、取引を進めるうちに、なんとなくわかってくることがほとんどだと思います。最初から株などの取引の税金に詳しい人はあまりいないのです。
そのような、知識もあまりないような投資初心者が最初に行うであろう「口座開設」はわかりやすいものであるべきなのに、一番最初に「特定口座」にするのか「一般口座」にするのかを自分で選ばなくてはならないのです。
しかも、特定口座には「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」という選択肢まであって、本当にややこしいのです。
せっかく勇気を出して投資を初めてみようと決心したのに、この口座開設の手続きがよくわからないために、投資意欲が削がれてしまった人もいるのではないでしょうか。
ここでは、証券口座開設のときに、必ず選ばなければならない「証券口座の種類」や「源泉徴収などの仕組み」について説明していきます。
この部分を理解できるとスッキリします!
もし、口座を既に開設していても、年の切り替わり時に「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」は変更可能ですので安心してくださいね。
目次
特定口座とは何?わかりやすく説明すると?
特定口座は、証券会社が、1年間の譲渡損益の明細などを記載した「取引口座年間取引報告書」を作ってくれる口座です。
この報告書があれば、確定申告のときにとても便利です。損益等も計算してくれているので、確定申告時に提出するだけですみます。
また、特定口座には二つの種類があり、「特定口座(源泉徴収あり)」と「特定口座(源泉徴収なし)」に分けられます。
「源泉徴収あり」では、税金の徴収や損益の通算などを証券会社が自動的にやってくれるため、確定申告する必要がありません。
「特定口座の源泉徴収なし」では、税金の徴収は行われないため、一年間の取引の損益を計算し、自分で確定申告して税金を納める必要がありますが、「取引報告書」で証券会社が計算し、書類を作ってくれているので、確定申告が簡単になります。
特定口座と一般口座、何が違うの?
一般口座では、証券会社が「取引口座年間取引報告書」を作ってくれないので、確定申告の時に、自分で損益を計算して書類をつくらなければなりません。特定口座に比べて格段に手間がかかります。
ある証券会社のアンケートによると、口座の種類は特定口座が9割、一般口座の人は1割ほどしかいないようで、一般口座は少数派です。それでは、何かメリットがあるのでしょうか。
一般口座のメリットとしては、国債や社債の売買ができる、ということが挙げられます。
これらの商品の取引には、特定口座は対応していないことから、需要はゼロではなく、利用者がいます。
しかし、株式や投資信託の取引を主に行う人にとっては、一般口座のメリットは全くないといってよいでしょう。
特定口座の方がおすすめといえます。
特定口座の源泉徴収ありの特徴は?
「特定口座の源泉徴収あり」が一番選ばれている口座と言ってよいのではないでしょうか。この特定口座の特徴は、税金を証券会社が自動的に徴収してくれるということです。
取引ごとに、証券会社が税金を源泉徴収し、残りの金額が特定口座に振り込まれます。
もし、1年間の取引で損失の方が多かった場合は、一年間の損益通算もしてくれ、払いすぎていた税金を自動で還付してくれます。
至れり尽せりですね。でも、すべての人が「特定口座の源泉徴収あり」を選んでいるわけではありません。デメリットも存在します。それは何でしょうか?
源泉徴収ありでは投資信託や株での20万円以下の利益に税金がかかる
一つ目は、利益が20万円以下でも税金を引かれてしまうという点です。
株式や投資信託にかかる利益が20万円以下の場合は税金がかからないという決まりがあるのですが、「源泉徴収あり」の口座では、1年間の利益が20万円以下の場合でも、強制的に税金が徴収されてしまいます。
しかも、その税金は確定申告しても戻ってきません。
税金は利益に対して20.315%かかってきますから、最大で40,630円無駄に税金がとられてしまうのです。
かなり大きな額ですね。これがデメリットと言えます。
特定口座・源泉徴収ありのもうひとつのデメリットは?
もう一つは、投資に回せるお金が減ってしまうというという点です。
株式を100万円で購入し、150万円に値上がりして売却したとします。
50万円の利益にかかる税金は10万1515円です。
このお金が強制的に引かれてしまうと、次の株式の買い付け可能額は139万8425円となりますね(売買手数料は考慮していません)。
しかし、源泉徴収されていない場合、150万円全額を次の投資に振り向けることができるのです。
このように、投資効率をよくするために「源泉徴収なし」を選ぶ人もいます。
源泉徴収ありの場合、もちろん、最終的に損失が多ければ払いすぎていた税金が戻ってきますが、それは年が明けてからのことですから、取引の都度引かれていた税金分を投資に回せない、ということはロスだと考える人も多いのです。
特定口座の源泉徴収なし、特徴は?
特定口座の源泉徴収なしの特徴は、「源泉徴収あり」で説明したように、「20万円以下の利益の場合、税金がかからず確定申告の必要がない」ということと、「税金を収めるのを確定申告の時期までのばせる」ということです。
それでは、デメリットは何でしょうか?
確定申告の手間がかかる、という以外にも、大きなデメリットが源泉徴収なしにはあります。
特定口座の源泉徴収なしは主婦にはデメリットがある
特定口座の源泉徴収なしの場合、主婦は扶養から外れる可能性があります。
ここでいう「扶養」とは、健康保険などの「扶養」ではなく、配偶者控除がなくなり、配偶者特別控除になるということを意味します。
妻が年に38~76万の所得があれば、配偶者の夫の年末調整で引かれる控除額が「配偶者控除」ではなく、収入により段階的に設定されている「配偶者特別控除」になるということなのです。
配偶者特別控除は以下のように決められています。
妻の収入 |
配偶者特別控除 |
38万以上40万未満 |
38万円 |
40万以上45万未満 |
36万円 |
45万以上50万未満 |
31万円 |
50万以上55万未満 |
26万円 |
60万以上65万未満 |
16万円 |
65万以上70万未満 |
11万円 |
70万以上75万未満 |
6万円 |
75万以上76万未満 |
3万円 |
76万以上 |
0円 |
と設定されています。つまり、妻の収入が38万以上を超えてくると、控除が段階的に減らされるということで、それは夫にかかる税金が増えていくことを意味します。
どちらがよいのか、考えなければなりませんね。
逆に、「源泉徴収あり」では確定申告の必要がなく、極端な話、数十万、数百万の利益があっても扶養から外れることはありません。
このようなことから、主婦など扶養に入っている人には「源泉徴収あり」が多く利用されています。
損失の三年繰越には確定申告が必要
もし一年間の取引が損失に終わった場合、確定申告をすれば損失を翌年に繰り越せます。
今年の取引で50万の赤字だった場合、来年に繰り越せば50万までは利益にカウントされません。
もし来年の利益が50万に満たなかった場合、残りの損失をその翌年に繰り越せます。
しかし、この手続きは、源泉徴収ありなしにかかわらず、確定申告が必要となっていますので気をつけましょう。
このように、「特定口座 源泉徴収あり」と「特定口座 源泉徴収なし」ではそれぞれメリット、デメリットがあります。
ある集計によると、源泉徴収ありの口座にしている人が圧倒的に多いようです。
税金のことを考えず取引できるというのはメリットが大きいですね。
どちらにしても、特定口座にしておくことが必要です。
その上で、今後どのように投資を行っていくか等を含め、「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」を決めるようにしましょう。